ラノベ研シェアワールド企画(著作権フリー)

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「シェアードワールド的なもの」にご参加いただけませんか? (親記事) – ジジ

おつかれさまです。
創作掲示板のほうでスレ建てをさせていただいております、ジジと申します。

今回は2回めの秋ということで、参加型の企画をぜひ一本やりたい! と野望を燃やしておりました。
スケジュールの都合で、そっとなかったことにしようかと思ったりもしたのですが、初志貫徹、投げ込むだけは投げ込むことに決めました。
ということで、「シェアードワールド的なお題・魔法研究所編」を置かせていただきます。

【シェアードワールドとは?】
お題になる世界観や物語設定に沿いつつ、誰でも自由に書いてくださいという作品形式です。
私が提示する設定は著作権フリーです。また、書かれた作品の設定や歴史、キャラを公式化して広げていくことになります。ただ念のため、商業目的と投稿目的での使用は禁止ということにしておきましょう。

[No.46133] 2014/10/03(Fri) 14:18:09

「シェアードワールド的なもの」の設定  – ジジ

【世界設定】
どこかの世界のどこかの場所にある『魔法研究所』。
魔法を使う者の寄り合い所として作られたこの施設には、いろいろな場所から魔法を研究するため、さまざまな者が集まっています。その研究と人員の生活空間確保のため、施設の外周では常に改築と新築が行われています。

【研究所の派閥】
この世界において、魔法はけっこう普通に使える代わり、理論体系は確立できていません。魔法を使うための条件が、人によってちがうからです。
その中で、研究所の者たちは研究を進めるため、条件が近い者同士で派閥を作っています。まあ、派閥と言っても政治やら権謀術数やらが飛び交うような生臭いことは一切なく、派閥同士で協力しあう、互助会のような感じです。

派閥は大きく分けて4つあります。
●純研究派=普通に魔法実験や呪文開発、魔法発動の段取り研究などしている派閥です。見た目も行動もごく普通。常識的な者が多いです。ゆえに外の世界との橋渡しの役職に就き、苦労する者も。
●食堂派=魔法と融和性の高い食材の調理法を研究している派閥です。そこで開発された食べ物や飲み物はすべて「丹」と呼ばれます(相撲のちゃんこと同じ感じです)。副産物であるダイエット丹で超モデル体系を手にする者、味見の日々によってむっちり化する者の2タイプに分かれます。
●上下派=テンションを極端に上げることでエッジの立ったキレる魔法を使う派閥です。派生系に、テンションを極端に下げることで圧縮率が高く重い魔法を使う者もいます。その派閥傾向からマッド率が高く、また公式髪型としてモヒカン刈りが推奨されています。
●代償派=超越的存在に代償を差し出すことで、世界救済規模の大魔法を使う派閥です。非常に強力ですが、失うものがあまりに大きいため、派閥としては最小になります。

【研究所の有名人】
今のところ決まっているのは、代償派のふたりだけです。
・無垢の聖女=「壁なるツイナ」という古い存在と契約しており、最大で世界の1/4の範囲を守護できる防壁を生み出すことができます。
ただ、その代償として「心の年輪」を1枚ずつ剥がされてしまうため、18歳でありながら10歳程度にまで知性を落とされています。
彼女には師を同じくする仲の良い弟弟子がいますが、彼のことを、弟様をさらに縮めた「おとうさま」と呼び、慕っています。
・求愛の管理官=「ベレルの舌」という邪神と契約している中年男性。攻撃魔法から治癒魔法まで、必要に応じてなんでも使うことができますが、その代償は「愛する妻の、彼への愛情」。ちなみに彼の妻は研究所の大スポンサーの娘なので、妻の愛がゼロになって離婚されると研究所は解散の危機に陥ってしまいます。
研究所は便利な彼をできるかぎり温存しようと気づかい、彼は彼で冷めていく妻の愛をわずかでも取り戻すため、妻に尽くす毎日を送っています。
【物語のルール】
このシェアードワールドの目的は、「ひとつのシチュエーションを完結させる練習」です。小説はこのシチュエーションをより合わせてひとつの物語を作っていくものなので、そのいちばん小さな単位を作る練習をしましょうというわけです。

ですのでルールは、
●物語は4000字(原稿用紙換算で10枚)以内で完結
●明示されている設定以外、どんな設定やキャラを出しても自由
この2点のみです。

創作の合間の息抜きに、または作品づくりのための練習に、よろしければご参加ください。
ご参加がない場合は、3日くらいで何事もなかったかのように削除します。

[No.46134] 2014/10/03(Fri) 14:18:58

サンプル的原稿/キャラひとり/三人称/約800字 – ジジ

上下派の朝は早い。
だって。食堂派によれば、体がちゃんと起きるまでには、起床してから5時間かかるそうだから。早寝早起きこそがハイテンションを支え、シャウトを鋭く研ぎあげる。そうでなくてもモヒカンはセットする時間がね。
「ぃきょー!!」
師匠から最初の授業で伝えられたハイテンションの構え――頭を激しく前後へ振りかぶり、振り下ろすの繰り返し――からのシャウトを決めて、彼は朝食の準備にかかった。
朝は塩気を控えたノンオイルドレッシングで味つけした野菜を中心に、おかゆと魚を少々。野菜→タンパク質→炭水化物と、食べ順にも注意。
上下派と言えば見た目も生き様もパンクな輩なわけだが、そのヒャッハーは日々の規則正しい生活から生まれるものなのだ。
で。急がず、ゆっくりと食事を終えた彼は、「いぇあ!」と跳び上がり、食器を洗って片づけたが。
「っ、ちょーやべー。切れやがったぜアレがアレな感じでちょーやべー」
震えだした左腕を右手でつかんで押しとどめ、彼はそのまま左手をじりじり動かした。そしてなんとか服のポケットから小ビンを引き抜くと、高く掲げて中身の錠剤をざらざら。大きく開けた口の中に流し込む。
「くーっ、ちょーキクぜぇーっ! コレだぜ! コレが欲しくてイキてんぜぇーっ!!」
錠剤の中身はショ糖。シャウトやらヘッドバンキングやらで激しく消費され、低下してしまう血糖を補給するためのものだ。ちなみに食堂派の売店にて、板チョコくらいの値段で買えます。
「イクぜー。気合ぶっ込んでくぜー、シクヨロっ!」
最後に、友達とケンカして落ち込んでいた彼に師匠がそっと教えてくれた「元気が出るおまじない」を唱えて部屋を飛び出して、彼はきちんとドアにカギをかけた。
誰かを犯罪者にしたくなければ、その元を作らないようにしないとね。それがお世話になってる“火炎放射器先輩”の教えてくれた、世界平和のためにいちばん大事なこと。
こうして上下派の彼の、素敵な今日が始まったのだった。

[No.46135] 2014/10/03(Fri) 15:20:33

Re: 「シェアードワールド的なもの」にご参加いただけませんか? – あまくさ

ジジ様。お世話になっております。

たいへん面白そうですので、参加させていただこうと思います。
設定の内容を拝見しましたが、けっこう詳細なので少し考えてみます。魔法モノはあまり得意なジャンルではないので、考えたすえに何も思いつかなかった場合はそっとなかったことにするかもしれませんがw、たぶん初志貫徹すると思います。

とまれ、よろしくお願いいたします。

[No.46136] 2014/10/03(Fri) 19:21:35

Re: 「シェアードワールド的なもの」にご参加いただけませんか? – ジジ

おつかれさまです。

> 設定の内容を拝見しましたが、けっこう詳細なので少し考えてみます。魔法モノはあまり得意なジャンルではないので、考えたすえに何も思いつかなかった場合はそっとなかったことにするかもしれませんがw、たぶん初志貫徹すると思います。

まあ、設定に沿いさえすればなんでもアリというのがシェアードワールドのいいところです。つまり、現在の設定に書かれていないことならなにを書いてもいいわけですので。
研究所という舞台になっていますが、外の世界とも繋がっているわけですから外のことを題材にするのもおもしろいのではないかと思っています。

一応、言い出した人間の責任として、聖女と管理官のエピソードはひとつ投稿しようかなと思っております。
仕事とは文体を変えつつなので、2時間くらいのまとまった時間が取れないと書けないのですが……

ともあれ、気楽にまいりましょう!

[No.46137] 2014/10/03(Fri) 20:04:00

キャラ三人/三人称/約4千字 – たなか

レスをぶら下げるのはこちらで良かったのでしょうか?
違うのなら、ご指摘ください。

こんばんは、創作掲示板の方ではお世話になりました、たなかと申します。
シェアワールドの企画、「面白そう!」と思ったので、参加させていただきました。
初めてシェアワールドを体験したのですが、なかなか難しいですね……自分の未熟さが痛感させられました。
賑やかしにでもなれば嬉しいです。
よろしくお願いします。

――――――本文開始――――――
タイトル:無視されちゃうのかなぁ……虫だけに

「ぃきょー!!」
本日の朝は最悪だった。
「なんじゃ、朝っぱらから……やかましいのう」
響き渡る不快なシャウトで、彼女の清々しい朝は台無しになる。怪訝な面持ちで体を起こして、研究所の外に顔を出してみた。
「キイタぜぇーっ! コレはヤベエぜぇーっ! ぅきょー!!」
すぐそこに頭が悪そうなモヒカン男を見つけて、彼女は早々に顔を引っ込める。
「最近の若者は何言ってるか分からん」
欠伸を一つ漏らして、彼女は再びベッドに潜り込もうとした。いつもなら正午近くまで眠っているのだから、この時間帯は眠くて仕方ないのである。
しかし、
「ぇきょーっ!!」
再び響いた大声と同時、今度は屋根が崩れ落ちる轟音が鳴り響いたので、彼女は眠ることを諦めてしまった。
というか、寝ていられる状況ではない。
「まったく、子供は元気過ぎて困るのじゃ……」
うんざりとした声は、瓦礫が落ちる音に紛れてしまう。頭上から降り注ぐ落下物に当たらないよう気をつけながら、彼女は研究所の外に出たのだった。
そして、次の瞬間……彼女の家が、倒壊する。
「ぁふ……」
「のじゃババ様! ご無事ですか!?」
欠伸交じりにその光景を眺めていると、慌てたような声が聞こえた。
振り向くと、そこには中年らしきおじさんが一人。
「ん? おお、クソガキじゃないかえ。久しぶりなのじゃ」
「のじゃババ様……ハゲかけているおっさんを子供扱いしないでください」
クソガキと呼ばれたおじさんは苦笑を浮かべる。とりあえず無事が確認できてほっとしているようだった。
一方で、のじゃババ様と呼ばれた彼女は相手の心配など気にもせず、あっけらかんと笑いだす。
「クフフ、そんなこと言われてものう……永きを生きたわしからすれば、お主はいつまでたってもクソガキなのじゃ」
「だったら年相応の容姿になってくれませんか? 外見的に言えば、クソガキはあなたの方ですよ」
どう見ても幼い少女にしか見えないというのに数百歳などと口にするものだから、おっさんは困っているのだった。
「それで、何用じゃ? わしは今、家が壊されて困っているところでのう……忙しいのじゃ」
「えっと……」
相変わらずの不遜な態度に多少辟易としつつも、当初の目的を思い出したおっさんは気を取り直す。
「その件についてお伝えしたいことがあります」
咳払いを一つして、話を戻した。
「申し訳ありません。上下派の少年が暴走してしまったようで、のじゃババ様の住居を壊してしまったようなのです」
「何? あの「てんしょん」とかいう意味の分からない精神論で魔法を使う連中かえ?」
おっさんの話に、のじゃババ様は顔をしかめる。
「まったく、迷惑な話なのじゃ……これだから若い者は好きになれん。精神なんていう不安定なもので魔法を操るとは、どういう了見なのじゃ? 食堂派のわしに喧嘩売ってるのかや?」
視線の先で、周囲の建物を壊しながら歩くモヒカン頭を眺めながら、二人の会話は続く。
「そんなことないと思いますが……なんでも、ショ糖の錠剤を飲んですぐに暴走したようです。恐らく、糖分過多によるものかと」
「……糖分を摂取して暴走するとは、相変わらず意味の分からない連中なのじゃ。して、止めないのかや? 求愛の管理者」
おっさんは求愛の管理者と呼ばれて、ピクリと体を震わせた。
「いえ、あの……止められなくもないのですが。少し問題がありまして」
言いにくそうに視線をそらしながら、おっさんはこんなことを言う。
「私の魔法には、妻が冷たくなっていくという代償があるのですが……最近、ちょっと酷いレベルにまでなっているのですよ」
「酷いレベル? それってどれくらいなのじゃ?」
「ハエ叩きで叩かれるレベルです」
ハエ叩き……その単語を耳にした瞬間、のじゃババ様の表情がひきつる。
「それは、また……大変なのじゃな」
「大変なんてレベルじゃないですよ! のじゃババ様に分かりますか!? 愛する妻にハエ叩きで叩かれる夫の気分がっ……しかも理由が、『ハエと間違えた』ですよ!! 何をどう間違えたら夫とハエを間違えるのか、私にはさっぱりなんですが! もしかして私は虫と同じ扱いなのでしょうか!?」
途端に叫びだす求愛の管理者。その頭部は若干ハゲかかっている。
「あ、あのな、それは、その……ドンマイなのじゃ!」
言葉が見つからないのじゃババ様はとりあえず励ましてみたが、無駄だったようで。
「……そういうわけで、もう力を使って妻からの愛をなくすのは嫌です。のじゃババ様には私の代わりに暴走を止めてほしいのですが。お受けしていただけますか?」
悲哀が漂うおっさんの言葉を、のじゃババ様は断れなかった。
「う、うむ。任せておけ」
仕方なく引き受けて、のじゃババ様は求愛のおっさんに背を向ける。泣き出しそうなおっさんを見ていられなかったのだ。
「やれやれ……あのクソガキも、とうとうハゲたか。時間が過ぎるのは、本当に早い」
ぶつぶつ言いながら、未だに暴走する上下派の少年に近づいていく。
「ぉきょーっ!」
「相変わらずやかましいのう……じゃが、力は凄いものじゃな」
不快そうにするのじゃババ様だが、しかしその表情は険しい。視線の先で繰り広げられる破壊の嵐に、警戒の色を強めていたのだ。
「ァィヤーッ!!」
例えるなら、刃の嵐。少年が歩くたびに大気が暴れ、刃となって周囲のモノを切り刻んでいた。
「確か、上下派の連中は「てんしょん」とやらを上げることで切れる魔法を使うと聞いたが……物理的に切るのということだったのか。ふむ、なかなかに危険なのじゃ」
このままにしてはいけない。そう思ったのじゃババ様は、早急に暴走を止めることに。
「食堂派の用意したショ糖を食べてこうなったと言うからな。わしに関係がなくもない……食堂派の一人として、責任をとっておくのじゃ!」
そう言って、のじゃババ様は懐からアクリルのケースを取り出す。その中には、たくさんの錠剤が入っていた。
「さて、戦闘モードなのじゃ」
のじゃババ様は一つの錠剤を手にとって、そのまま口に入れる。
「っ、ぁ」
次の瞬間。のじゃババ様の外見年齢は、十歳から十八歳ほどにまで成長した。
「ふぅ……流石に幼女体型では戦えないのじゃ。あと、必要なのは……力でいいかや」
そして、錠剤をもう一つ口に入れる。そうすれば、彼女の腕と足が筋骨隆々に太くなっていった。先ほどと同じように、外見が変化したのである。
食堂派。魔法と融和性の高い食材の調理法を研究している派閥に属しているのじゃババ様は、ある種の極致に達している。
彼女は食物の『成分を抽出』し、思い通りに肉体を変化できるのだ。
例えば、彼女の肉体が急激に成長したときに使用した錠剤は、『成長丹』というものである。食材から成長に関する成分を抽出したもので、これを使えば思い通りに肉体年齢を調整できるのだ。
また、筋骨隆々になったのは、『力丹』のおかげである。力に関する成分を抽出した丹を、のじゃババ様は用意していたのだ。
これらを使って肉体を強化したというわけである。
「むほーっ!!」
のじゃババ様は、叫ぶモヒカンに狙いをつける。
そして、
「うるさいのう」
のじゃババ様は、地を蹴った。それは大地が砕けるほどの踏み込みであり、そして上下派の少年との距離をゼロにする一歩でもある。
「イエアア、ぁ?」
一瞬だった。
「大人しくせい、上下派の小僧」
一瞬で、少年の脳天に拳が叩き込まれた。情け容赦のない一撃は的確に彼の意識を刈り取り、それどころかモヒカンまで刈り取ってしまった。
あまりにも鮮やかに……かつ、残酷に。
「ふっ……他愛ない」
破壊の嵐は、消滅する。
「ほれ、これでも食え……ナトリウム糖なのじゃ。糖分過多なら、塩分とれば大丈夫じゃろ」
適当な理由でナトリウムの錠剤を少年の口に捩じこんだ彼女は、やりきったと言わんばかりに額の汗を拭って、
「ふみゅ……流石に眠いのじゃ」
欠伸を一つこぼす。いつもならまだ寝ている時間なので、一仕事やり遂げて眠くなっているようである。
「もう、ねみゅるぅ」
そして、彼女は『幼女丹』を口にして元の幼女に戻った後、自分の家に向かって歩き出そうとする。
しかし、彼女の家はない。
「ぁ……ダメなの、じゃ」
そのことを思いだした彼女は、力尽きたようにその場に倒れこんでしまう。
そのままぐっすりと、寝てしまうのだった。
「のじゃババ様? あ、寝てる……ということは、終わったのですね」
直後、求愛の管理者ことおっさんが、ようやく追いつく。無防備な幼い寝顔にほっと胸をなで下ろして、何事もなく終わったことを喜ぼうとした。
そのとき。
「ぁあ……タリい。こいつは、カッタリイぜぇ……」
上下派の少年が、地面に横たわりながら声を発する。何事かと、おっさんが振り向いたときには、もう遅かった。
「メンドクセエ」
例えるなら、ハンマーの嵐。
先ほどのような鋭い一撃とは違う、鈍重な一撃の嵐が、再び周囲を破壊へと導いていたのだ。
「な、なんで……っ」
おっさんは絶句して、それを眺める。上下派の連中はテンションが下がることで重い魔法を使えるようになるというのは、知っていた。しかし、テンションを下げた理由が分からなかったのだ。
実はこの原因、のじゃババ様が適当に食べさせたナトリウムが原因である。塩分過多による体調の変化が、上下派の少年に変調をもたらしたというわけだ。
そのことを知る由もないおっさんだが、それでも破壊が終わっていないということは事実である。
それを止める者はいない。のじゃババ様も寝てしまっている。ならば、おっさんが止める他ないわけで、
「……今度は無視されちゃうのかなぁ……虫だけに」
自嘲気味に笑って、悲哀をより一層膨らませながら、力を使うのだった。
今日もまた、おっさんの頭はハゲていく。

――――――本文終了――――――

[No.46141] 2014/10/04(Sat) 03:13:42

ルールについて、いくつかの質問 (No.46133への返信 / 1階層) – あまくさ

おはようございます。
ルールについて、2点ほど教えていただきたいことがあります。

まず、先行して投稿された作品について。そこで新たに追加された設定やキャラとの整合性に関しては、どのように考えればよいのでしょうか? つまり、一つの世界を全員で少しずつ膨らませていくという形をとるのか、そうではなくて投稿者ごとにパラレルワールドを作ってしまってもかまわないのか、という質問です。

2点目。
ここに投稿するものは、大きな物語の中の1エピソードと捉えてよいでしょうか? その場合、単体の掌編と違い、エピソード内に使用した設定や伏線は必ずしも回収しきらなくてもよいのかな? と思いました。その点、いかがでしょうか?
もちろん、それなりの起承転結は意識して書くべきだと思いますが。

作品自体は、今日の夜か明日投稿させていただこうかと考えております。
それでは、宜しくお願いいたします。

[No.46142] 2014/10/04(Sat) 06:35:34

Re: ルールについて、いくつかの質問 (No.46142への返信 / 2階層) – ジジ

おつかれさまです。

> まず、先行して投稿された作品について。そこで新たに追加された設定やキャラとの整合性に関しては、どのように考えればよいのでしょうか?

自由です。
他の方の作品を読んで、感じ入ったキャラや設定を持ってくるも自由ですし、それはそれとしてパラレルなものを書いても自由、別設定をかぶせて潰しに行くも自由です。
この研究所で言う掌編の練習用お題なので、練習のためなら手段は選ばない方向で。

> 2点目。
> ここに投稿するものは、大きな物語の中の1エピソードと捉えてよいでしょうか?

ですね。
なんらかの形で残せるようなら、定期的に回収して公式設定を膨らませていきたいところです。
遊んでいただいた結果を形に残したいというか。
まあ、実際は数日で流れていってしまうでしょうが。

> その場合、単体の掌編と違い、エピソード内に使用した設定や伏線は必ずしも回収しきらなくてもよいのかな? と思いました。その点、いかがでしょうか?

設定は残しても可ですが、1シーンを完結させる練習なので、伏線を張る場合はできるかぎり回収するようにしてください。
それ以外はゆるめで。気軽なのがなにより大事ですので。

それでは、よろしくお願いいたします。

[No.46143] 2014/10/04(Sat) 07:52:28

Re: キャラ三人/三人称/約4千字 (No.46141への返信 / 3階層) – ジジ

おつかれさまです。

> レスをぶら下げるのはこちらで良かったのでしょうか?

はい。大丈夫です。

> 初めてシェアワールドを体験したのですが、なかなか難しいですね……自分の未熟さが痛感させられました。

拝見しましたが、設定やサンプル内容を吸収しつつキャラを上乗せという、シェアの醍醐味を味わわせていただける内容で「ほう」と思いました。
本当にいいものですよね、ロリばばぁ。キャラクター性が絞り込めていて、楽しく読み進められました。

今日明日中に私も管理官と聖女の小話を投下できるようにします。

[No.46144] 2014/10/04(Sat) 07:58:25

キャラ三人/三人称/約4千字 (No.46134への返信 / 2階層) – わをん

「ゲルトさん、あなたを代償派の中でも交友関係の広い方と見込んでお聞きしたいことがあります」
「うむ、まあ聞こう」
テーブルの向かい側に座るディアーヌという少女に頼まれ、隻眼の男ゲルトは軽く頷いた。
「『無垢の聖女』様のことなんですが、あの方には少々百合の気があったりしますか?」
――言うまでもなく、彼女は上下派である。
ゲルトにとっては知人の弟子であり、毎日うるさいほどに元気な挨拶をしてくる煩わしい娘だ。しかし今朝は妙に覇気がなかった。
昼食の折にまでそのような面を見せられるので、たまには元気づけてやろうかなどと考えた結果、これである。
ゲルトは周囲を見回し、自分たちに注目している者がいないことを確認してから口を開いた。
「私はな、魔術とは世のために行使されるべきだと思っている」
「へっ? あ、はい、そうですね!」
「こんな時代になっても争いは日常茶飯事だ。だからこそ、私は自分の身を犠牲にしてまで戦乱から人を守ろうとする聖女様を尊敬している」
「素晴らしい行いだと思います!」
「うむ、であるからして――」
右手の拳で力強くテーブルを叩く。
「あの方に不埒な思いを抱くのならばこの私が即刻断罪してくれよう……!」
「ふえっ!? ち、違うんですよ」
「何が違うのかねディアーヌ、君が同性愛者だったとは意外だがあのように心の幼い者にまで催すなど変態この上ない!」
「い、いえその……違うっていうのは、私じゃなくて聖女様ってことなんです」
「……何?」
ゲルトが思わず問い返したのを見計らい、ディアーヌは咳払いする。
「先日、私たち上下派の宿舎まで聖女様がいらっしゃったんです」
「う、うむ」
「それでみんなは研究があって手が離せないからって私がお相手をしたんです。夕方頃には流石に聖女様も眠たげだったので送っていこうとしたんですが……その時に何というか、贈り物をすると仰って」
そこまで言ったところで、ディアーヌは急に赤面した。
「なんだと? 何を貰ったというのだ」
「ですからその、張り子的な」
「それが何だと言うのだ。張り子? 犬だか猫だかの模型か?」
「猫というかタチというか、男性にあって女性にないものというか、もっと……」
「……! いや、待て。もういい。それ以上言ってはならん」
「ほっ、ご厚意に感謝します」
言われ安心したのか、コーヒーをぐいっと飲み干す。
「つまりその……聖女様がそういうものをお前に渡したと? ありえん、幻覚ではないのか」
「正直私もその発想に縋りたい気分ではあります。実際、気が動転してその贈り物は受け取らずに逃げてきましたから」
しかし話を聞く限り彼女は冷静だ。
ゲルトにとってはにわかには信じがたいことだが。
「ゲルトさん……私、どうしたらいいと思います? ずっと聖女様は弟弟子さんが好きだったと思ってましたが、私みたいな女の子に興味があったなんて信じられません」
「馬鹿な、聖女様×弟弟子殿のカップリングはもはや研究所にとって常識だぞ。……そもそもだ、あの方は心の年輪を代償になされてる。齢十ほどの精神年齢で斯様な特殊な性癖が表に出ているなど考えにくい」
「はっ、確かに!」
「――であれば、答えは明白というもの」
ずいっと、ゲルトが顔を寄せる。
応じてディアーヌも顔を突き出す。
「と、というと」
「何者かが聖女様をからかうために渡した、としか考えられん」
「なんと卑劣な! 許せませんねそんな人は。いったい誰がしたんでしょう!」
「分からん……今はな。この私を相談役にと考えたのは幸運だったぞ、私の魔法なら犯人を暴くこともたやすい」
そういってゲルトは眼帯をそっと外した。
「それ、ゲルトさんの代償ですよね。そういえば、ゲルトさんの魔法って見たことないです」
「ああ、『年月』や『愛情』と比べてみれば些細な交換材料だった」
眼帯を置くと、次にテーブルに並んでいたパンや肉料理の皿をのけ、真ん中にスープの入った平皿を置く。
「俺が契約したのはミーミルという名の水精だ。こいつは知識に対して非常に貪欲でな、俺の周囲の情報を無秩序に集めようとする。それを引き出してやれば、疑似的だが過去を知ることも可能だ」
「ほう……!」
関心した風なディアーヌを後目に、ゲルトは呪文を唱える。
するとゲルトの暗い眼窩からひゅっと何かが飛び出し、スープの皿に入っていく。
波が立ち、その波紋が消えるた頃には覗き込む自分たちとは別の何かが映っていた。
「あっ、聖女様!」
それは確かに無垢の聖女その人だった。どこか研究所の廊下を歩いているところらしい。
しばらくして彼女は立ち止まり、後ろを振り返った。誰かに呼び止められたらしいが、その人物の顔は見えない角度だ。
ミーミルの水鏡は必要な映像だけの映す。すなわち、この人物が聖女にナニを与えたということになるだろう。
「ふむ……とりあえずモヒカンではないな」
「当然ですよ! 上下派を疑ってたんですか!?
「ほら、続くぞ」
その後も聖女はしばらく話をし、そのあとでこの人物から紙袋のようなものを渡されていた。
聖女は礼を言ったようで、それに対して手を振って応えた後、その人物は振り返って去っていく。
そしてその振り返る瞬間を、ミーミルは確かに記録していた。
「あっ、この人!」
顔が映った瞬間、ディアーヌが声を上げる。
ゲルトもまた見覚えがあった。あまり親しくはないが、確かディアーヌと同年代の純研究派でアイニッキという名前の娘だ。
「この者が元凶か」
「そ、そんな……アイニッキさんは悪い人じゃないのに!」
「お前のいい人判定は信用ならぬわ。ともかくこの者をすぐに捕まえて……」
「私がどうかしたの?」
突然の声に、ゲルトはディアーヌ共々振り向いた。
声の主は今まさに話していたアイニッキだった。
「やほやほ、お二人さん。顔合わせて昼食なんて珍しいね」
「ア、アイニッキさん。ちょっと聞きたいことがあるんですけど」
「聞きたいこと?」
「そうだ、お前が聖女様に働いた不埒な行いについてな」
「んんー? よくわからんのだけど、私は聖女様にどんな不埒なことをしたって?」
彼女は心中を読ませない、緩い笑顔のような表情で聞き返す。
実際具体的に何をしたかと聞かれると微妙に説明しづらいものがある
「あー、なんというか、男性の大切なだな」
「そうそう、えーっと、新婚さんには特に大切なあれ」
「ちょっと、ほんとによくわからんのだけど」
それでもアイニッキは二人の残念な説明を聞き続け、ようやく「ああ」と声を上げた。
「もしかして、ご神体のこと言ってる?」
「……ご神体?」
「そうそう、確かもう一個持ってたけど……あった」
そういって彼女が懐から取り出したのは、確かに男性器そっくりな模型だった。
「あっ、そうですこれです! アイニッキさん、本当にあなたが犯人だったんですね!」
「いやいや待ってってば。多分二人とも勘違いしてるのよ。ほら、つい先月この研究所に襲撃があったの覚えてる?」
襲撃というのは、南方の国家魔術師のことである。
この研究所には多くの魔術師が滞在しており、あらゆる魔術の方法論が資料として記録されている。国ごとの魔術への解釈によっては、研究所と敵対するところも存在するのだ。
「確か、聖女様のおかげで事なきを得ました」
「そそ、つまり聖女様は私たちによって防衛上大事な人で、何かあったら困るの。だからといって四六時中自分のことを守っておいてとは言えないでしょ? そこで、私がこれを差し上げたわけです」
「それ、何かあるんですか?」
「うちの故郷で信仰されてる神様なの。男根崇拝ってやつ、ディアーヌちゃんとこはなかった?」
ディアーヌは首を振る。
「そっか。でも昔から、神様の生殖器ってのは邪視祓いのお守りになるの。まあそこまで強力なものじゃないんだけどさ、気休めにはなるかなって」
「そ、そうだったの? 私、聖女様からそれを渡されたからてっきり……」
「あらら、渡しちゃったんだ。あんまりどういうものか理解してなかったみたいだしね、しょうがないか」
「……はぁー。よかった、全部勘違いだったんですね」
「そういうことみたいね」
「あはは……、ゲルトさんも、ありがとうございました」
ここにきてようやくディアーヌはゲルトを振り返る――が、
彼はこの結末に青筋を立てていた。
「ディアーヌ……お前は馬鹿か?」
「あれっ、ゲルトさん怒ってるんですか?」
「怒るに決まってるだろうが! 散々振り回した挙句に勘違いなどと!」
「だ、だってしょうがなくないですか? こんなの見間違えるに決まってますよ!」
「しょうがない……だと? これがか?」
アイニッキの所持しているお守り、それははっきり言って小さかった。
常日頃から持ち歩くものなのだから当然である。せいぜい親指程度の大きさしかない。
「こんな矮小なものが本当に張型の意味をなすと? 童でもこれよりはマシだぞ」
「へっ……ええっ!? 男の人のって、これ以上大きくなるんですか? 本当に!?」
「ええい生娘かお前は!」
「はっはっは、お上品でいいじゃないの。それじゃ、私はこれで失礼するよ」
口論の合間に立ち去ろうとしたアイニッキは、しかし後ろから伸びてきた腕にしっかりと肩をつかまれた。
「待て、お前にも聞きたいことがある……。たしか先月の襲撃、邪視などではなくもっと本格的な魔導兵器であったと記憶しているが?」
「……いやいや、それは邪視対策をしない理由にはならないよ。原始的な魔術だけどあらゆる呪詛の基本だからね」
「そもそもここの魔術師ならもっと汎用的で強力な魔法具が作れるはずだ。その場合男根偶像など用いる必要はないに等しい。」
「……あはは」
「貴様、結局のところ聖女様に面白がってそれを渡したのは本当だな」
「これは……逃げるが勝ち!」
「待たんか不心得者!」

その後しばらくの間、研究所の廊下で追いかけっこをする二人の姿と、それに「男の人のってどれだけ大きくなるの……腕ぐらい……?」などとつぶやくディアーヌの姿がみられたという。

【終】
ゲルト
・代償派
・聖女萌え
・老け顔の三十代
・「知り過ぎたるミーミル」という水精と契約を交わし、限定的な過去視を行うことができる。ただし見れるのはゲルトの一定範囲(研究所まで)内の出来事かつ数日以内に限られる
・代償は片目の永久なる喪失
ディアーヌ
・上下派
・元気っ子
・十五歳前後
・毎日の挨拶を大切にし、いつでも元気に受け答えをすることで高テンションを維持するという魔術体系を持つ
・使用魔法自体はわりとオールマイティー

アイニッキ
・純研究派
・ディアーヌと同い年
・マジックアイテム専攻

[No.46148] 2014/10/04(Sat) 10:09:54

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