叙述トリック作品のあらすじの書き方とは?/新人賞下読みが回答

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2015/07/12(日曜日) 13:38:27 あまくささんの質問

標記の件について、『あらすじを書く上での重要なポイント』の質問と回答を拝見し、私も興味を持ちました。

《疑問の要点》
叙述トリックは作中の人物にとってはトリックでも何でもなく、読者だけをミスリードする場合が多いので、登場人物の行動を追うだけの記述では説明が難しい気がします。

《説明》
例えば。
ストーリーの流れの中にAポイントとBポイントがあり、Aポイントでトリックを仕込み、Bポイントで開示するとします。そのA~B間で実際に行動しているのは太郎なのですが、性別や主語をぼかした書き方をすることによって、読者には花子が行動していると誤認させるとします。

《質問事項》
その場合。

(1)あらすじではA~B間で行動する人物を、太郎と書くべきでしょうか? それとも、花子と書くべきでしょうか?

(2)実際に行動しているのは太郎なのだから、あらすじでは太郎と書くのが正しいように思えますが、それですと普通の書き方ではA~B間が叙述トリックになっていることが伝わりません。
誤認していたのが作中人物の洋平とかの場合は、「洋平は○○を××したのは花子だと思い込んでいたが、実は太郎だったことに気がついた」というように書けるでしょうが、誤認しているのが読者だけの場合、そうは書きようがないですよね?

(3)よって「A~B間の記述は、主語をぼかすことによって読者に太郎を花子と誤認させるように記述している」
または
「読者には○○を××したのは花子だと思わせるように記述しているが、ここで実は太郎であったことが明かされる」(ちょっとヘンな感じですが)という以外に説明のしようがありませんが、そう書くのはあらすじではNGでしょうか?

(4)そもそもその種のミスリードは演出の一つに過ぎず、あらすじに書くべくことではないのかもしれません。とは言うものの、叙述トリックが作品の根幹になっている作品もあります。そういう作品の場合、あらすじにはどのように反映させるべきなのでしょうか? もしくは、そういう場合でも反映させてはいけないものなのでしょうか?

以上、よろしくお願いいたします。

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●下読みジジさんの回答

(1)あらすじではA~B間で行動する人物を、太郎と書くべきでしょうか? それとも、花子と書くべきでしょうか?

物語の構成的にA~B間で行動しているのが太郎である(と思わせる)必要性があるなら太郎で表記し、花子であることを開示しなければならなくなる時点で「太郎は太郎ではなく、正体は花子であった」などと入れるのが無難ですね。

賞が求めるあらすじは物語の設計図であり、解説書でも技術論文でもありませんので。

(2)実際に行動しているのは太郎なのだから、あらすじでは太郎と書くのが正しいように思えますが、それですと普通の書き方ではA~B間が叙述トリックになっていることが伝わりません。

それが読者に開示されるところで必要な説明を入れ、ネタばらしをしてください。
繰り返しますが、あらすじは物語の設計図です。

(3)よって「A~B間の記述は、主語をぼかすことによって読者に太郎を花子と誤認させるように記述している」
または
「読者には○○を××したのは花子だと思わせるように記述しているが、ここで実は太郎であったことが明かされる」(ちょっとヘンな感じですが)という以外に説明のしようがありませんが、そう書くのはあらすじではNGでしょうか?

特にNGではありませんが(そもそもあらすじ自体、「こう書いていただきたい」という新人賞サイドからの希望に過ぎませんので)、読者に対するしかけを「このようなしかけである」と言うのは、あらすじとしては機能していないものと判断します。

 (4)そもそもその種のミスリードは演出の一つに過ぎず、あらすじに書くべくことではないのかもしれません。とは言うものの、叙述トリックが作品の根幹になっている作品もあります。そういう作品の場合、あらすじにはどのように反映させるべきなのでしょうか? もしくは、そういう場合でも反映させてはいけないものなのでしょうか?

これも繰り返しになりますが、その謎が開示される場面の筋に、結果を書いてくだされば充分です。
演出をあらすじで説明するということは、すなわち作者の思惑を書いてしまうことと同じですし。

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