風月さんの質問2015/04/12
『ラノベで泣かせる物語を書く際の注意点とは?』でのアドバイスをありがとうございます。
これがなかなか難しいところで、読者を泣かせるための過程というものは、先人によって猛烈に開拓されてしまっています。
ようは誰が書いてもワンパターンになりがち、ということですね。ちなみに私が本業で「泣き」を書くときは、とにかく「泣かせるために殺さない」ことを念頭に置いて作ります。
激しく同意です。
心情的には「記憶リセット」ものや「タイムリープ」ものを書きたいのですが、それは過去に名作と称されるものがあって難しい。
架空の「難病」を持ち出すと、関係キャラが死んでしまい、バッドエンドになる。
この二点をどういった斬新な切り口で克服し、物語を紡いでいくのか。
非常に難しいところではありますが、可能性を感じるところでもあり、また楽しみなところでもあります。
個人的にはぜひ挑戦していただきたいです。
悩んでみます。
ちなみに、『クラナド』はどうしてあんなに泣けるのか。
父親との「確執」や同じことは繰り返される「構造」といった、昔ながらのパターンが織り込まれているのに、どうしてなのか。
余談ですが、ジジ氏はどう分析されますか?
●下読みジジさんの回答
さらりと思いつく発想法論としては、「逆にしてみる」がありますね。
タイムリープなら、主人公以外の世界の全員がタイムリーパーで、主人公だけが取り残された状況にしてみたり、記憶喪失なら世界中の人が記憶喪失になる中、主人公だけが記憶保持など(こちらは梶尾真治氏の『ちほう・の・じだい』や河野裕氏の『サクラダリセット』がすでに存在しますが)にしてみる、という方法です。
『クラナド』はどうしてあんなに泣けるのか。
父親との「確執」や同じことは繰り返される「構造」といった、昔ながらのパターンが織り込まれているのに、どうしてなのか。
私見になりますが、「そのジャンルで存在しなかった方法論を持ち込んだがゆえの斬新さ」という一面はあるのだろうなと考えています。
古いアニメになりますが、『アイドル伝説えり子』(1989年4月3日放送)という作品がありました。
この作品では、アイドルアニメというジャンルに「昼ドラ」の展開を詰め込むという方法がとられており、当時のアニメファンの間でまさに伝説となったと言い伝えられています。
既存のものでも、他者が考えつかなかった活用が実現できれば伝説になる。『CLANNAD』を始めとするKey作品は、今までそのような方法論のなかったジャンルに、それを魔改造や改悪をせずに持ち込んだことが成功の鍵だったのではないかと思います。
まあ、CLANNAD関連については今考えただけのものですので、あくまで私見ということでお願いいたします。