物語の山場とは何か?なければ物語が成立しないエピソード

しやさんの質問 2017/06/06

『あらすじは「物語の山場を繋いでいくもの」/小説のあらすじの書き方』でのとても濃厚なアドバイスありがとうございます。

あらすじを拝見して感じたのは、現状ではまさに筋を書き込んでいるだけで

なるぼど。とても勉強になります。
「あら“すじ”」というくらいだから、大枠で筋を追う事――それこそ、脈略が分かる程度に書き込まれたチャプター――を求められていると考えていました。

あらすじの書き方を調べるために過去のレスを読み漁りそこで書かれていた「山場を繋ぐ」ということも考慮したつもりでしたが、山場=チャプター』と意味を取り違えていたみたいですね。

私が上げたあらすじ(だと思ってたもの)は、「繋ぎを繋ぐ」(一部それすら上手くできていない)といった感じなのだと思います。

ただ、恥ずかしながら、未だに山場というものがピンときていません。

とりあえず
『作者が用意している物語的な山場』という言葉があったおかげで、
『筋を大きくみせる為のにぎやかし(例えばアクションシーンなんか)』が、違うのだと推測は立てられました。

では具体的にどういったものが山場に該当するかと考えると、よく分からなくなってきます。

もちろんクライマックスがそれにあたるのだなという予測は立てられるます。
ただ「繋ぐ」という言葉から考えるに、山場はひとつではなく複数あるものとして語られていると見受けました。

そうだとすると何が山場かということが分かりません。

わたしが今回あげた物語(あらすじ)で言えば、チャプターとして切り取った全てが(私の中で)山場だとも考えられます。
というのも、(つくった経緯も関係してくるのですが)、この話はひとつのチャプターにひとつは魅せたい場所を作るという考え方で作ったプロットなのです。

また別の考え方をすれば、全てがクライマックスの感慨を深くする為の布石(繋ぎ)だとも考えられるのです。

そうですねー。……上手く伝えられるか分かりませんが
『ローマの休日』って映画ありますよね

あの映画のラストシーンで、オードリーヘップバーン扮する皇女様は、報道陣を前に「今回の外遊で一番心に残ったのはローマでした」と語るわけですが(といいつつ昔に見た映画なので違ったらすいません)
この話はこの一言に全てが集約されるように作られていると思うのです

そしてこの「ローマ」というセリフを発する時に感慨を深める為にいくつものシーンを重ねているのだと思います。
私なんかは、「ローマ」とオードリーが発した時に、『真実の口にグレゴリーペックが手を突っ込むシーン』や、『コロッセオの前で二人乗りするシーン』、『テベレ川でSPに追われギターを奪って殴打するシーン』なんかが背後に浮かんできました。

どれも今でもパロディーで使われるくらい有名なシーンですよね。
私が思うに、このシーンはどちらかと言うと、「ローマ」という一言に重みを増すために用意されたにぎやかしのシーンだと思うのです。

これを山場と捉えるべきなのかがよく分からないのです。
今も残るくらいですから最高のシーンであることは疑いようがないのですが、
最終シーンの為の布石と言っちゃえばそうとも言える気がするのです。

ローマの休日をあらすじに起す場合、絶対外せない筋は、
「オードリー扮する皇女は外遊での公務で最終地のローマに付いたときには飽き飽きとしていた」
「気付けのお酒を飲んで、酩酊したまま城を抜け出す(だっけ?)」
「そこでグレゴリーペック扮する貧乏記者に拾われる」
「オードリーはこれを機に身分を隠して休日をエンジョイしようと、ペックは皇女の正体にようやく気づき、とぼけて特ダネを撮ろうと皇女と同行することを選ぶ」
「お互いの中を深める(にぎやかし)」
「互いに惹かれあいながらも別れを選び、皇女は王宮へと帰る」
「翌日、記者会見。ペックは隠し撮りをした写真を入れた封筒をオードリーに渡し、この出来事を二人だけのものだと示す。皇女は今回の外遊で最高の思い出はローマだと言う」
になると思います。

件のシーンを書かなくても、どういう話かを伝えるのことができるのです。

はたして「真実の口」や「二人乗り」、「テベレ川」のシーンは山場としてあらすじに載せるべきなんでしょうか?

併せて、ここでいう『軸』というものをどう捉えるべきか、少々悩んでいます。

一編を通して「●●が、××をして、どうなる」を書くのかという事を自作に問いた場合、
カギカッコの部分を指して軸と考えるのでよろしいでしょうか?

以上2つが、あらすじを完成させるために、早急に私が解決したい疑問です。

「その小説ってどんな話?」に一言で答えてみて下さい

オルトさんの返信 2017/06/06

はたして「真実の口」や「二人乗り」、「テベレ川」のシーンは山場としてあらすじに載せるべきなんでしょうか?

それはシーンの山場。どちらかと言うと見せ場というか、山場ではあるんだけど「物語があるから映える場所」という、物語があることを前提としてる山場じゃないでしょうか。

でも、「あらすじ」は物語がない状態でアピールポイントを示してゆき、そのアピールポイントを繋いでみると物語の全体像が見えてくる、という感じじゃないと。

私は下読みとか誰かの作品を評価する立場にはありませんが、ネット上であらすじを読んで「この作品を読みたい」と思うときは、だいたいあらすじを読んだ時点で作品の内容(概要)が想像できる作品です。

「こんな物語を読みたいな」と感じている私の感覚にフィットする場合は有無もなく読みますし、その予想できる内容が面白そうであれば読みたいという感覚になっていきます。
まあネット小説のあらすじは正確にはあらすじじゃなくて紹介文だけども。

逆を言えば、そのように「相手を読みたい感覚にさせる」ことがあらすじの仕事だろうと私は思います。

で、ここを考えすぎるとあれもこれも詰め込みたくなって、あらすじがえらい長くなる。
もちろんそれじゃダメでしょう。

別のことに例えてみましょう。
車か家電か、何か買い物をするときに販売員がセールスポイントを延々と語ってきたらどうですか?
もっと短く要約しろよ、って思うでしょ。

あらすじってのはこれと同じ。
大事な部分だけを要点絞って短く提示できるのが一番いい。でもこれに慣れるとあらすじ800字とか逆に長くて埋めらんないんだけど、これもこれで問題。

家電の販売員が機能と値段しか言わなかったら買って後悔するかもしれないし、もっといろいろ教えてくれと思うでしょ。
販売員にとて大事なのは客が聞きたい事に要点を絞って説明し、買いたいと思わせること。

ここでジジさんが言う「山場をつなぐ」という話になるかなと思います。
山場という言葉でピンと来ないなら、物語にとって重要な事と考えたら良いのではないでしょうか。

『ローマの休日』において大事なのは「王女が新聞記者と恋をする」という部分で、最短ではこれであらすじは問題ないでしょう。

身分の違いによる展開や、王女がどうやって新聞記者と知り合うのかとか、この一文だけでいろいろ気になります。

一方でしやさんが山場と考えた「真実の口」や「二人乗り」は、「新聞記者がスクープをものにしようと王女を連れ回す」という場面であって、その内容は別になんでもいいので、内容である「真実の口」や「二人乗り」は物語の見せ場ではあるけど重要な場所ではありません。

間違えないで欲しいのは、この内容が重要ではないと言ってるのではなくて、要約すれば済むことを細かく書く必要はないというような意味であって、シーンの詳細はあらすじには重要なことではない、という意味です。

ようは、わりとどの講座にも書いてあると思うけど「要点を絞る」という事。物語を要約するということ。

で、上手い人ってのは「この小説の何を読んでもらいたいか、読者にどこを楽しんでもらいたいか」というのがハッキリしてるので、これが自分の中でハッキリしてると要点をまとめやすいのは言うまでもないですよね。

ローマの休日は「デートシーンを楽しんでもらう」んじゃなくて、「王女の非日常的で平凡な恋愛」みたいな部分だから、「真実の口」とかは全然重要じゃないことがわかります。

個人的には、いろいろ横槍入れたけど、あんま難しく考えずに物語を要約すればいいだけ、と思います。

それが難しいという事もあるけども、そんなときは「その小説ってどんな話?」に一言で答えてみて下さい。

まずこれが一番短く簡略化したあらすじのコア部分であることは間違いないかと思います。
「王女が新聞記者と恋をする」みたいな。
つまりは

『軸』というものをどう捉えるべきか、少々悩んでいます。

これが軸かなと。

●下読みジジさんの回答

オルトさんのコメントは例として非常にすばらしいものですので、ぶら下げる形で付け加えだけ。

まず物語には、ひと言(一文)で表せる軸があります。オルトさんに挙げていただいたローマの休日の『王女と新聞記者が恋をする』がそれですね。
考え方としては、そこに肉付けをしてみるとよいかと。

王女の状況=表敬訪問の過酷なスケジュールに疲れきり、すべてを放り出して訪問先の城を抜け出した。

新聞記者=ベンチでうたた寝してしまった彼女を偶然見つけ、家にまで押しかけられた。途方に暮れた彼だが、彼女が王女だと知り、スクープをものにすべくおしのび旅行へ連れ出す。

その後でいくつかの事件があり、ふたりは惹かれあうわけです。あらすじはもちろん設計図ですので、最初から最後までの筋が記されていなければなりません。

ですがその内容は「事象」ではなく、「主要人物の心情や状況の動き」を含めた「ドラマの筋」でなければならないわけです。

ご提示いただきましたあらすじには「事象」が多く、
たとえば

城ヶ崎家専属庭師の丹羽の助手をする中で、コウは園芸に魅せらていく。

おそらくは物語の方向を決める重要なエピソードのはずが、なにに魅せられるのか、どんな出来事があったのか、それが説明されていないため、おもしろさが伝わらないのです。

まず、絶対にこれがなければ物語が成立しないというエピソードを選んでください。

次にそれを並べて、物語の最初から最後までをざっくり表せているかを確認してみてください。

コメント

  1. 兵藤晴佳 より:

    城ヶ崎家専属庭師の丹羽の助手をする中で、コウは園芸に魅せられていく。

    確かに、面白くありません。

    劇作家・北村想に言わせれば、「ストーリー」「プロット」「テーマ」が同じものはつまらないということです。

    この作品なら、

    ストーリー…コウの変化
    プロット…コウが城ヶ崎家専属庭師の丹羽の助手をする
    テーマ…園芸の魅力

    となるでしょう。

    すると、園芸の魅力に気づく前の後の「コウ」がどうであるか説明すればいいだけの話です。

    たとえば、「無責任な無気力人間が、責任感と行動力に目覚めていく」など。

    すると、プロットはこうなります。

    「無責任な無気力人間コウが、城ヶ崎家専属庭師の丹羽の助手をすることで園芸の魅力に憑りつかれ、責任感と行動力に目覚めていく」