著作権について学ぼう!クリエーターのための5分でわかる著作権講座!

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これは私が東京都内で主催している創作勉強会(オフ会)で、2017年に講師役のSさんが著作権講座として行った内容をまとめたものです。

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著作権とは何か? 作品を作った瞬間に自然発生する財産権

著作権とは、国内外問わず作者が作った作品を保護し、侵害された場合、侵害者を、または組織、機器を停止し、賠償金を請求できる権利であり、禁止権(極めて強い権利)である。また、れっきとした財産の一部でもある。

・著作権はプロ、アマ関係なく、作り出した瞬間から、自然発生する権利で、役所などの手続きは一切必要ない。
条2項上にその旨が書かれており、自分が駄作と言っても、その作品には著作権がある。著作権を有する人物を「著作権者」と呼ぶ。

著作権を持つ人物は誰か? 作者。共同制作者全員。

・むろん、作者である。また、共同制作した作品は制作に携わった全員に著作権が自動的に発生する。

・小説家や漫画家とは別に歌手、演奏者、ダンサー、レコード製作者、放送事業者は著作権者ではなく『著作隣接者』となり、著作権の保護の対象になる(ちなみに、講義などにも著作権がある) 。

・上記に記載した通り、制作した本人に著作権が発生するが、制作に携わったのに著作権が発生しないパターンがあり、最たる例は映画だ。映画は映画に携わった全員ではなく、映画監督にある。

また、会社員が業務上で何かしらの作品を制作した場合、作品を会社名義で発表する場合は会社が著作権者になりこれを、『職務著作』と呼ぶ。例として、ゲームのキャラクターや、シナリオはその作業者ではなく、会社に著作権がある(外注した場合は著作権者は外注先になる可能性がある)。

自分はゲームプランナーという職業上、なにかしらの著作物を作るが自分に著作権は発生していないし、会社の著作物になっている。

※共同で制作を行った場合、自分が一番年上だから、一番が多く書いたから、発案者だからといった理由で著作権を独占的に行使できるわけではない。また他の共同制作者に許可なく勝手に権利を売ることはできない(著作権法第65条)。

著作権が発生するための独自性とは? オリジナルティの定義

・著作権が発生するためには“オリジナルティ”が欠かせない。では、“オリジナルティ”の定義とは何か?
著作権法には“オリジナルティ”の定義がちゃんと書かれている↓

著作権法2条1項1号(定義)
著作権、思想または感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術または音楽の範囲に属する。

・なるほど、よくわからん! という人に個人的な解釈で申し訳ないが、自分はこう理解することにした。
既存作品にどこか似ていても設定、世界観、ストーリー、キャラに違いあればオリジナルとして扱われる。
これだけ娯楽が溢れている中で、既存作に似ないほうが奇跡というもので、似てしまうのは仕方がない。

著作権の有効期限。作者の死後50年

・著作権には有効期限がある。つまり、他人に自分の作品を勝手に使用されることを一定期間、阻止できる。
逆に、この期間を過ぎると著作権フリーとなる。この状態をパブリックドメイン(公有の意味)となり、誰でも使えるので、許可はいらない状態になる。
ちなみに、現行の法律で有効期限を伸ばすことはできないようだ。

・肝心の有効期限は作品が発表されてから、作者の死後50年である。この期間は許可が必要になる。
アマプロ関係ない。

共同制作物の場合、携わった全員が亡くなってから50年間。
映画は映画監督が亡くなってから50年間。
ゲームは職務著作なので、会社が倒産したときに著作権はなくなると思われる。

著作権で保護されない作品の要素。タイトル。キャラクターの名前、要素。

・作品そのものは著作物であり、法律の保護を受けられる。しかし、作品を構成する一部なのに、法の保護を受けられないものがある。

・1つ目は、タイトルである。残念ながら、タイトルは著作権で守られない。例として、大ヒットしたアニメ映画『君の名は。』(2016年公開)がある。

実は1952年にNHKラジオのラジオドラマで『君の名は』(。があるか、ないかの違い)というタイトルがあるが、これは、問題ないのである。
だからと言って、安易に『ドラえもん』や『涼宮ハルヒ』などのタイトルを使うのは、法律的に問題はなくても、世間一般的な印象は良くないので、やめておいたほうがいい(ドラえもんの研究など、内容にもよるが……)。

・2つ目は、キャラである。キャラの名前や要素も保護されない。世の中には、似たキャラはいるし、名前が同じキャラもありふれているわけで、もし、キャラが保護下にあったら、創作活動はできないからだ。

試しに「りん」と名の付くキャラをググると『ラブライブ』の「星空凛」、『アイドルマスター シンデレラガールズ』の「渋谷凛」、『Fate』シリーズの「遠坂凛」などたくさんヒットする。

電撃を使う能力者、魔法使いなども、『とある魔術の禁書目録』の「御坂美琴」、『HUNTERXHUNTER』の「キルア」、『ポケモン』の「ピカチュウ」などたくさんいる。

作者を守る3つの権利

・ 今度は作品ではなく、創造者である作者を守る権利と認められている権利を見て行こう。

作者を守る権利を『著作者人格権』という。
この中で守られるものは主に3つ。「公表権」、「氏名表示権」、「同一保持権」である。

これらは『一身専属権』という別の権利ではあるが譲渡、相続、差押えができない権利で、作者だけが独占できる権利だ。逆を言えば、あなたがどれだけいらないと言っても、あなたが死ぬまで放棄することはできない。

・公表権とは、字を読んでの通り未発表の作品をいつ、どこで発表するかなどを選べる権利のこと。

・指名表示権とは、自身の作品(メディアミックスも含む)に自らの実名あるいは、ペンネームを載せられる権利のこと。

・同一保持権とは、作者の意思に反して、改変等を行えない権利のこと。

これらの権利は、作者が死亡した後でも、作者の著作者人格権と遺族に対する侵害をしてはならないと著作権法60条と116条で明記されている。

・補足。同一保持権は、有名無実化しており、出版社の編集者が作者に作品の改稿を求めることや、作品に手を加えることは普通に行われている。

アイデアは誰もの? アイデアは万人に開かれたモノ

単刀直入にいうと、アイデアは万人に開かれたモノである。人種性別問わず、許可なく使える。

例えば、タイムマシン、時間移動というアイディアは、たくさんの作品で使われている。「ドラえもん」「時をかける少女」「シュタインズ・ゲート」など。

また、小説投稿サイト「小説家になろう」で人気テンプレートとなった異世界転生などは、人気を出すためにたくさんの作者によって使われて、世の中に溢れかえっている。
異世界転生は、最初に考えた人しか使えない!などと言ったら、暴動が起こるだろう。

創作におけるアイデアは盗むものではなく、使いまわすもの! と言える。

アイディアを他人に使われることを防ぐことはできない(特許権について)

・これを読んでいる人のなかで、こんなことを考えて人はいるだろうか。「自分のアイディアを他人に使われるのは嫌だから、特許をとれないか」と。

実はいうと、著作権を束ねる権利の中に、『知的所有権』があり、そのなかに特許権が含まれているが、「著作権」と「特許権」は枝分かれした別の権利なので、アイデアの特許申請はできないし、先ほども紹介し通りアイデアは万人に開かれたものである。
なので、どう頑張っても、アイデアを他人に使われることを防ぐことはできないのだ。

著作権は譲り渡すことができる

これは、覚えていて損はないことで、著作権は譲り渡すことができる。
先ほど紹介した著作者人格権で作者の意思に関係なく一生ついて回る権利を紹介した。譲り渡すことができるのは作品の権利だけだ。

なぜ、作品の権利だけ譲り渡すことができるかというと、著作物は財産(知的財産)だからだ。
作品の権利を売るということは、例えば、人気になったラノベが、漫画やアニメ、ゲームになることがこれに当たる。作品の権利を利用して、漫画やアニメを作ってビジネスにするのだ。

他にもアメリカのディズニー社が、映画監督のジョージ・ルーカスよりスターウォーズの権利を買収したことは有名であり、ディズニーはスターウォーズの続編を制作してビジネスにしている。

事実は自由に使っていい。事実は著作権で保護されない

事実は自由に使っていい。もちろん、世間一般的な事実だけである。
事実ということは、歴史的な事実も自由だ。

例えば、坂本龍馬や織田信長を作中に登場させても何の問題もない。
第二次大戦を舞台にした小説を作っても良い。

・事実を扱う時に注意するべきことは、登場人物となる実在の人物が生きている、遺族が生きている場合、彼らの許可を取らなかったり、悪意があってもなくても事実を歪めると、名誉棄損になり、訴えられる可能性があるので要注意。

よくある演出は使っていいのか?

・まったく、問題ない。“よくあるものなら” 。

・ただし、アイデアが表現そのものである場合はまねできない。盗作になってしまう。
同時に表現もまねできない。これも盗作になる。

小説なら文体にあたる。マンガやイラストなら絵柄だ。アニメや映画ならカメラワークや演出方法になる。
「表現の自由」という言葉があるが、それとこれは別の話である。

ラノベの世界では、他の作品から文章をいくつも引き写して新人賞を受賞し、ネットで問題になって出版停止になった作品がある。文章をコピーするのは、盗作になる。

他の作品にある同じセリフを使っていいのか?

・日常生活で使われる言葉ならまったく問題ない。そうでなければ、創作活動はできないからだ。

・しかし、有名なセリフは許可を取った方が得策だ。
『ひぐらしのなく頃に』の「ウソだ!」をパロディでやるなら許可を取るべきだが、パロディとかネタとかではなければ、「ウソだ!」は使える。だって、ごく普通のセリフだからだ。

小説投稿サイトの小説をDLするのは合法『複製権』

・小説投稿サイトにある作品を自身のパソコンに一字一句コピペすることは合法だ。これは『複製権』という権利で、自分ひとりだけが楽しむ目的ならネット上で最初から利益を求めていない小説、漫画、イラスト、写真、動画(映画は含まれない)などはコピーできる。

しかし、あくまで自分ひとりが楽しむ範囲であって、コピーしたものを誰かに見せる、貸す、生産と販売、名前を偽って投稿、出版などは犯罪だ。著作権法違反、複製権違反である。

もし、自身の作品が自分ではない名前で勝手に出版されているのを発見したら迷わず出版社に電話しよう。

ト○タ、コ○ミなど伏せ字は意味がない

・○で隠しても、誰もが知っている会社や団体なら隠しても意味がない。
社名や団体名を出さなくても文面から特定できればこれも意味がない。なにが言いたいかというと、伏せ字を使っての悪口はいけません!

・某戦車アニメ、某艦これ、といった表現でボカすのも意味がない(当たり前!)。

オマージュ、パロディネタについて

・オマージュとパロディの違いについて。

オマージュはフランス語で「尊敬」、「賛辞」など(リスペクトは英語で同じ意味)意味を持つ。
例えば、『マッド・マックス』の影響を受けたマンガが『北斗の拳』だ。『七人の侍』の影響を受けた映画が『スターウォーズ』だ。

パロディはギリシャ語で「引用」、「改変」の意味で、他の作品のほんの一部を借りることだ。『ケロロ軍曹』や『這いよれニャル子さん』はパロディネタがたくさんある。
※パロディは元になった作品の作者に確認を取ることが礼儀らしい。

・さて、本題だが、オマージュにしろ、パロディにしろ以下の4つをチェックしよう

①利用の目的と特徴
②利用される作品の性質
③利用される部分の量・実質
④オリジナル作品に市場でダメージを与えないか

二次創作は著作権法違反

タイトルにある通り、二次創作は著作権法違反にあたる。なのに、コミケでは二次創作が溢れていて、毎年行われているのはなぜか?

理由は簡単で、作者と出版社が見て見ぬふりをしているから。コミケなどは、ファンの自由な活動と見ており、活動を阻止すると、不買運動が起きるから放置している。

ちなみに、コスプレも違反だが、ファンの自由な活動として、見て見ぬふりをしている。

コミケでも、ドラえもんの最終回を勝手に作って販売するなど、目に余る行為があった場合は、著作権違反で訴えられている(ドラえもん最終話同人誌問題。2005年)。

世の中に出ているモノ(社名、商品名など)を使いたい。許可を取ろう。

許可を取ろう。それに尽きる。

・ただ、もうない社名などは使っていい。ラノベの『女騎士さん、ジャスコ行こうよ』が最たる例で、ジャスコはもうないブランドなので、許可は不要。

海外で小説の映画化が決まった!日本の著作権法が適用される

・おめでとう! あなたの作品が海外で映画化されることになったよ!
でも、待ってほしい。海外に作品が行った場合、著作権はどうなるのだろう?

海外にも著作権法はあるが、内容が異なる可能性は十分にありえる。
自分の作品が海外でメディアミックスされる時、著作権は日本の著作権法が適用される。なので、海外のスクリーンに自分の名前とタイトルが載ることになる。
逆に、海外の作品を日本で作成する場合は、海外の著作権が適用される。

誰にでもある批評する権利

・あなたがプロにしろ、アマにしろ、作品を世の中に出せは当然、批評される。好評もあれ、酷評もあるだろう。

評論家気取りや、なかにはとにかく叩きたい人もいる。イラッときても、止めることはできない。『著作権法第三十二条』で批評の権利が保障されているからだ。
逆を言えばあなたは、誰かの作品を批評する権利を持っていることになる。

ただ、作品を批判することはできても、作者本人の性格や人間性を批評すると名誉棄損や侮辱罪になる可能性がある。
批評は作品だけにしよう。

・批評に関する条文

●著作権法第三十二条
公表された著作物は引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正でかつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行われるものでなければならない。

●参考文献

『クリエイターが知っておくべき権利や法律を教わってきました。』著者:鷹野 凌 監修: 福井 健策
『著作権とは何か』著者:福井 健策
『楽しく学べる「知財」入門』著者:稲穂 健市

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