ハードSF風のプロット(新人賞向け)です。ご指摘をお願いします。

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このトピックには24件の返信が含まれ、2人の参加者がいます。1 ヶ月、 1 週前 大沢朔夜 さんが最後の更新を行いました。

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    大沢朔夜

    ラ研さんにて、毎度お世話になっております。大沢朔夜と申します。某大手新人賞向けの作品のプロットを組んだので、ご指摘をお願いします。
    今回の作品は、技術的特異点(シンギュラリティ)をテーマとしたSFです。なお、今まではコメディ調の物語を考えることが多かったのですが、今回のものはシリアス風味が強いです。

    題:最愛のシンギュラリティ
    テーマ:変わらずに生き続けるために、変わり続ける
    概要:技術的特異点(シンギュラリティ)後、過去の人類の能力を超えた知性体たちが二つの派閥に分かれて覇権を争う世界。そこで最愛の親友を探して戦う、一人の少女の物語です。

    世界観(「戦争」開始前)
    本編中で扱う「戦争」が始まる前の、社会の様子についての記述。「戦争」開始後の人々の生活も、おおむね以下に準拠する。

    政治
    ・司法・立法・行政といった三権のすべてにおいて、AIが人間の仕事のほとんどを代替している。人間の仕事は、「こんな法やサービスが必要だ」というアイディア出しや、AIが出した選択肢に対する認否の最終決定が主である。

    衣食住その他
    ・衣料や食料や日用品などの買い物は、ネットで注文してドローンで届けてもらうのが主流である。また、普段の仕事や娯楽なども、オンラインの仮想現実(VR)環境でほとんど完結してしまう。
    ・上記のため、人々の普段の住居は都市部に集中する必要がなく、好きな土地に個人・家族単位、あるいはせいぜい親族・友達グループ単位で固まって住むのが主流である。
    ・日常の交通は、ドローンや自動運転のタクシーなどで事足りる。ただし、大人数の輸送のために高速鉄道や旅客機の需要もまだある。
    ・水は、近くの海や川の水、その他雨水や排水をろ過して入手するのがメイン。それらで足りない場合、ドローンで配達してもらう。
    ・センサーやスマートスピーカーが家中にあり、身体の動きや音声によってライフラインやディスプレイなどを操作する。

    職業・経済
    ・従来人間が行っていた肉体労働・頭脳労働のほとんどをAI・ロボットがこなしてしまうので、人間の主な仕事は「こういうモノ・サービスが欲しい」というアイディア出しである。例えば創作活動なら、「こういう話を見たい」と言えば、AIが小説・漫画・アニメ・CG映画まで一気に制作してくれる。
    ・社会が二次創作にかなり寛容になり、人の作品を閲覧しながら、そこからひらめいたアイディアを次々に世に出す、という新たな「創作」の形が定着している。
    ・モノ・サービスの売買は、仮想通貨によるネット取引が主流である。ただし、リアルで買い物や遊びや会議などをしたい、という需要もあるため、趣味でリアルの店舗や会議室などを経営する人もいる。そうしたリアルのサービスが集まった場所として、都市の存在意義はまだある。
    ・また、無人の機械がモノづくりを粛々と続ける、工場が集まった都市もある。

    治安・医療
    ・ほとんどの人が身体にBMI(ブレイン・マシン・インターフェイス:脳とコンピュータの接続)用のナノマシンを入れているが、個人として最低限の自由やプライバシーは尊重されたい、という要求から、行動を監視し、強制的に犯罪行為を止めるようなソフトは入っていない。ただし、法に触れうる行為については、身の回りのあちこちにあるスクリーンに警告が出るほか、人が多い場所には警備用ロボットが置かれており、ほとんどの犯罪行為は止められる。
    ・病気や怪我の診断から治療まで、ほとんどナノマシンが行ってしまう。万一大手術が必要な場合は、無人の「手術室」を備えたドローンが飛んでくる。

    エネルギー
    ・あらゆる分野で電子化が進み、電力需要がかなり大きくなったが、核融合の実現や、自然エネルギーによる発電効率の向上、太陽光発電する人工衛星からの送電などにより間に合っている。また、反物質のエネルギーも実用化が近い。

    教育・子育て
    ・人間の「仕事」のほとんどがアイディア出しになり、親たちに余裕ができたこと、それでも育てられない子供はロボットに任せられるようになったことで、育児を受けられない子供はいなくなった。
    ・また、学習は脳に直接知識や技能をインストールすれば済む(ただし、BMIによって拡張するべき知能の発達を、ある程度待つ必要がある)ため、義務教育は六歳~十二歳の六年間に短縮。それを終えた後は、後見人代わりのAIがいれば、未成年者でも一人暮らしや仕事ができる。
    ・脳にナノマシンを入れずに学びたい、という人に合わせて、オンライン授業を提供する私塾もある。

    世界観(「戦争」開始後)
    「戦争」が始まった後の世界の、主要な事項についての記述。

    全地球知性体連合(以下「連合」)
    ・その名の通り、地球のすべての知性体たちの代表を自称する存在。世界中の政治家や知識人たちの人格をコピーしたAIや、人間の知能を超えたAIたちから構成される。すべてのAIがクラウドでつながって機能しているため、実質的に一つの意思の主体である。
    ・ポリシーは「すべての知性を平等に扱うこと」。よって、生身や機械など実体のある身体を残した人間たちを、自由に生活させている。「集合体」(後述)とは対立している。
    ・反物質炉を搭載した宇宙ステーションの事故により、従来の人類の政府のほとんどが壊滅した世界で、統治機構の役割を担う。中央集権的な政府ではなく、人々の身の回りのコンピュータを介して生活の隅々に行き渡るサービスのような存在。

    進歩的知性集合体(以下「集合体」)
    ・「連合」と同等の存在。人類は肉体を捨て、意識だけの存在となるべきだ、と考える過激派の人間たちのコピーであるAI、および彼らに賛同したAIたちの派閥。
    ・実体のある従来の人類を、人類にとってのアノマロカリスのような「過去の生き物」の「資料」としか思っていない。そのため、反物質炉の事故の後生き残った人類を捕らえ、昔の様々な時代を再現した収容区で生活させている。

    《モブラクトリー》
    ・平たく言えば、戦いながら進化する万能兵器。コンピュータチップにも、装甲や武器弾薬にも、燃料や発電機にもなれる万能のナノマシンの塊。名前は「MOBile」「LAboratory」「faCTORY」を合わせた造語。同種の兵器を、「集合体」もIEW(Independent Evolving Weapon)の名で運用している。
    ・「連合」は、日々互いのサーバーや端末を乗っ取ろうと、サイバースペースで「集合体」と戦い続けている。それのみならず、サーバー・端末や人間たちの物理的な防護や、捕らわれた人間の救出といったリアル空間での戦闘も必要なため、《モブラクトリー》を開発した。
    ・「連合」側も「集合体」側も互いに新技術の開発のスピードが速すぎ、もはや戦闘の合間に新兵器を開発していては間に合わないため、《モブラクトリー》・IEWたちは戦闘中に新装備を開発する。敵の解析、VR空間での新装備の設計・シミュレーション、実際の装備の作成など、すべてを独力で行える。
    ・戦闘中は、霧状にしたナノマシン群による攻撃の予防や通信妨害のために、「連合」側も「集合体」側も強力な電波を発している。そのため、一定のサイズ(だいたい拳大)以下に削られたり散らされたりしてしまうと機能停止する。また、ありとあらゆる通信手段は、開発するそばから乗っ取られて悪用される危険があるため、戦闘中のデータリンクはせず各機スタンドアローンでの運用が基本。
    ・各機が戦闘中に新装備を考えて作る、という性質上、創造性に優れた個体が強くなる傾向がある。

    キャラクター

    来栖川 玲緒奈(くるすがわ れおな)
    ・十四歳。小説・漫画・アニメ・映画などのアイディア出しをする「作家」をして生活していた少女。
    ・幼少時、母子家庭に育つ。母は手足を機械化しており、スポーツなどで活躍することでメーカーのプロモーションをして生計を立てていた一方、玲緒奈の世話はロボットに任せがちだった。ある日母が、VRゲームを遊ぶため、BMI用のナノマシンを注射したところ、当時流行していたマルウェアに脳や手足を侵される。そして、自分の頭を全力で殴って脳を破壊、玲緒奈の目の前で死亡した。
    ・上記のトラウマにより、玲緒奈自身は人型のロボットや機械化した人間、ナノマシンなどの一切を恐れている。身体の機械化は一切せず、ナノマシンも病気の治療時に入れることしか(それも、一定時間後排出されるものを、幼馴染(後述)の手を借りて注射することしか)できなかった。よって、ネットの閲覧やVR・ARの利用も、旧式のタブレット端末やスマートグラスを使って行っていた。
    ・母の死後、児童養護施設に引き取られる。施設を出た後は、そこで出会った幼馴染の少女と二人(+後見人代わりのAI)で生活し、「作家」の仕事で生計を立てていた。
    ・脳をネットに接続していれば、脳に直接言葉やイメージを受信することで他人の作品を閲覧でき、遊びもかなりリアルなVRで行えるため、創作のヒントとなるインプットの時間を大幅に短縮できる。またアイディア出しも、言葉にせずとも「考えるだけ」で行えるため、かなり速いペースで「創作」を行える。一方、身体を一切機械化していない玲緒奈のインプット・アウトプットのペースは遅すぎた。それでも彼女は豊富な想像力を持っていたため、そこそこ生活できていたのだが、アイディア出しのためにリアルで旅行などに出かけることが多すぎたため、生活費が厳しくなる。よって「戦争」が始まる直前、幼馴染も何か「仕事」をしたい、と言い出し、そのことで口論。彼女と仲直りできないまま会えなくなったことを、玲緒奈はずっと悔やんでいる。
    ・「戦争」開始後、行方不明になった幼馴染を一刻も早く救出したい、との思いから軍に入隊。脳や脊髄などの神経系を(よくある思考実験のように、神経細胞を徐々にナノマシンに置き換える方式で)すべてナノマシンに替えており、作戦時は神経系だけ肉体から抜け出し、《モブラクトリー》と一体化して戦う。そして、機械化によってさらに拡張された観察力・想像力を生かし、「連合」側の有望な戦力となる。
    ・だが、本当は「人間でなくなってしまうこと」を恐れており、非番の時はVR空間で元の姿を再現したアバターで生活し、さらに時間が取れるときは、保存している元の肉体に戻って過ごしている。
    ・幼馴染からもらったスマートグラスを大事にしているほか、彼女に選んでもらった、二十一世紀初頭の学生服風の服を気に入り、「戦争」開始前も開始後も何着も持っている。あまりに彼女のことが好きすぎるのだが、自身に「そっちの趣味」があるのかどうか、玲緒奈自身は永遠に回答を保留することにしている。

    和井内 伊織(わいない いおり)
    ・十四歳。玲緒奈にとって、母のような姉のような最愛の人。
    ・人手不足でロボットに子供の世話を任せがちだった児童養護施設で、ロボットたちを避けて孤立していた玲緒奈に手を差し伸べた少女。彼女もまた、甘えん坊で懐いてくる一方、常に面白い空想を語って「新しい世界」を見せてくれる玲緒奈を、妹のように愛しく感じていた。よって義務教育終了後、玲緒奈と一緒に施設を出て、二人で生活することを決める。
    ・ネット接続や家事のスキルなどの日常生活での必要性から、BMI用のナノマシンを入れている。だが、玲緒奈を怖がらせないために、それ以外の機械化はしていない。それでも必要な知識や技能はすぐにインストールし、「自分にできないこと」がいっぱいできる彼女に対し、玲緒奈は密かにコンプレックスを抱いていた。
    ・玲緒奈のコンプレックスを察し、稼ぐのは彼女に任せていた。だが、生活費が厳しくなってきたため、自身も「仕事」をしたいと言い出したところ、玲緒奈の猛反発を受けて口論してしまう。そして仲直りできないまま、「戦争」開始時に行方不明となった。

    ハナコ・ジョンスカヤ
    ・ゼロ歳。何度か玲緒奈と戦闘を共にした《モブラクトリー》の一機、そのAI。
    ・もともと人格のないAIに過ぎなかったが、焦ってぴりぴりしがちな玲緒奈を支えたいと考え、陽気かつ正義感のある少女の人格を形成。非番の際、リアルでは褐色肌の十歳程度の少女の姿をしたアンドロイドに宿るほか、VRでも同じ姿のアバターを持ち、容姿の面でも活発な雰囲気を意識している。
    ・玲緒奈には忠犬のごとく懐く。彼女の緊張をほぐすために作戦前に冗談を言ったり、失われた僚機たちを惜しんで泣いたりと、生身の人間だった玲緒奈よりも人間味を示すことがある。
    ・ちなみに名前は、本人曰く適当に無国籍な感じに名乗ったとのこと。

    絹谷 瑠実香(きぬや るみか)
    ・十八歳。ざっくり言えば、姉御肌のギャル。
    ・ファッションデザイナー(と言っても、「こういう服・アクセサリーが欲しい」というアイディア出し程度)をして生計を立てている少女。本人のファッションも、二十一世紀初頭のギャル風の女子高生を意識した派手なもの。
    ・一度「集合体」に捕まったことがあり、古代東アジアを再現した収容区で拷問を受けていた。救出された後、欠損した部分は再生医療で取り戻し、心的外傷もカウンセリングにより治癒した。
    ・趣味は男漁り。同性愛にかなり寛容になり、なおかつ恋愛以外の趣味を生きがいにする人が多い作中の時代において、異性との恋愛という昔ながらの「趣味」にあえて精を出す。男に対する望みが高すぎるせいか、振られた回数は片手の指では足りない。
    ・玲緒奈の戦いにより救われた一般人の一人として、彼女の励みとなる。

    あらすじ

    二十一世紀中盤。人々の生活の大部分がAI・ロボットによって自動化され、技術的特異点(シンギュラリティ)の到来が目前だとされている時代のこと。

    来栖川玲緒奈は、幼馴染の親友・和井内伊織とともに、後見人代わりのAIを付けて二人で生活していた。人間の主な仕事がモノ・サービスのアイディア出しである時代に、玲緒奈もフィクションのアイディアを出す「作家」の仕事をして、二人分の生活費を稼いでいた。
    ある日の晩、玲緒奈は伊織から、生活費が厳しくなってきたので自分も何か「仕事」をしたい、と相談される。しかし、BMI(ブレイン・マシン・インターフェイス)用のナノマシンを入れて、玲緒奈にできないことがいろいろとできる伊織に対し、そうした機械化を一切していない玲緒奈は密かにコンプレックスを抱いていた。そこを刺激されたため、彼女は伊織に反発し、彼女と口論してしまう。
    玲緒奈は伊織から逃げ、自宅地下のシェルターにこもった。そして、翌日お互いに頭が冷えてから謝ろう、と考えて眠りにつくが、その夜地上から響いた轟音と、家のネットワークのAI(シェルターにもつながっている)が鳴らした警報に叩き起こされる。AI曰く、強力な熱線・爆風や電磁パルスによって家の地上部分とその回線が破壊されたのだが、状況が分からないためむやみに地上に出てはならないとのこと。そして玲緒奈は、伊織の安否が分からないまま、眠れない一夜を過ごした。
    翌朝、シェルターのネットワークに何者かがアクセスしてきた。「彼ら」は地球すべての知性体の代表、全地球知性体連合(以下「連合」)と名乗り、一夜にして変わり果てた世界の状況を玲緒奈に説明する。曰く、反物質炉を開発中だった宇宙ステーションが墜落し、炉は大気圏内で大爆発。多くの人命が失われ、人類の統治機構はほぼ壊滅状態に追い込まれたというのだ。それにより、世界中の政治家や知識人たちが万一の事態に備えてネットに保存していた、彼らの人格のコピーたちが一斉に起動。AI同然となった彼らや、もともとネットの各所にいたAIたちは、実体のある人類を自由に生活させようという「連合」と、従来の人類は過去の生物であり、「資料」として保存すべきだという進歩的知性集合体(以下「集合体」)の二つの派閥に分かれ、戦争を始めたのだ。
    玲緒奈は「連合」に伊織の安否を問うが、彼女の遺体を確認していない、と彼らは言う。言い換えると、伊織はまだ生きていて、「集合体」に捕まっている可能性があるというのだ。玲緒奈がいてもたってもいられず、彼女を救出する方法は何かないかと問うと、軍に入隊して戦うしかない、と「連合」は答える。曰く、彼らはリアル空間での戦闘のために《モブラクトリー》という戦闘中に自在に進化できる兵器を開発した。それらは基本的に無人機だが、人間でも脳などの神経系をナノマシンに置き換え、それと一体化すれば扱えるとのことだ。
    玲緒奈は、身体を機械化した母が、BMI用のナノマシンを注射した際マルウェアに感染して死んだ過去のトラウマのため、一切の機械化を拒んでいた。だが彼女は、伊織が生きている可能性を信じ、軍に入りたいと「連合」に伝える。そして、彼らが提供したナノマシンを、恐怖を踏み越えて注射した。

    もともと豊かだった想像力を生かし、戦闘中にどんどん自らを新兵器に変えていく《モブラクトリー》を使いこなして玲緒奈は大活躍する。彼女は非番の時にはVR(仮想現実)で人型のアバターで生活したり、元の肉体に戻ったりしていたのだが、変幻自在の兵器同士のグロテスクな戦いの記憶や、人型に戻った時の違和感、それにいつ死ぬか分からないという恐怖にさいなまれ、創造性が低下。戦闘時の勝率が下がり始めていた。
    その折、一人の少女がリアルで玲緒奈に声をかけてくる。ハナコ・ジョンスカヤと名乗った彼女は、自分は玲緒奈と何度か一緒に戦った《モブラクトリー》の一機、そのAIであると説明した。ハナコ曰く、戦闘の合間の玲緒奈がふさぎ込んでいるので、彼女の支えになりたいと考え、人間らしい人格やアンドロイドの身体、それにVRアバターを得たというのだ。
    玲緒奈は最初、ハナコも所詮AIにすぎない、つまり「戦力」としての自分を支えるという合理的な判断をしただけであり、自身を本当の意味で気遣える「心」を持つ存在ではないのだと考える。よって、非番の時に行く先々に付きまとってくる彼女を、当初はほとんど無視していた。
    だが、失われた僚機たちのことを悲しんだり、玲緒奈の気を晴らすために冗談を言ったり、彼女が休暇中に楽しむ風景や食べ物などを(勝手に)一緒に楽しんだりするハナコに、玲緒奈も人間味を感じるようになる。あるとき、親友の救出のために戦っている、という動機を玲緒奈が口からこぼしてしまうと、ハナコはそれに共感し、彼女を励ました。それを見て玲緒奈は、ハナコも人間と同じ「心」を持っているとみなしていいのではないか、と考え、彼女を友達として受け入れた。
    支えてくれる友達を得たことで、玲緒奈の想像力は再び活性化され、彼女の戦闘における勝率も上がり始めた。

    戦争が始まって時間が経つにつれ、「連合」が優勢になりつつあり、「集合体」から解放された人々の数も増えつつあった。だが、玲緒奈は一向に伊織と再会できず、彼女はまだ生きているのか、生きていても死ぬほど酷い目に合っているのではないか、という不安を感じ始める。
    そんな彼女を、ハナコはまた非番に遊びに誘う。彼女とともに玲緒奈はリアルで外出し、そこでナンパ男にしつこく絡まれているギャル風の少女を見つける。彼女を玲緒奈たちが助けると、少女はお返しにお茶をおごってくれた。絹谷瑠実香と名乗った彼女は、玲緒奈が何か悩みを抱えている様子を察するが、彼女は自身が軍人だということをなるべく隠したいと考え、悩みの内容を伏せた。
    玲緒奈とハナコは、そこで瑠実香と別れたが、宿舎に帰る途中に緊急で出動命令を受ける。曰く、一度「集合体」に捕らわれていた人たちの一部が他の人を拉致し、「集合体」の支配領域近くまで逃げようとしている。解放された人々は、一応「集合体」のマルウェアなどを仕込まれていないか検査を受けるのだが、それに引っかからなかった拉致の実行犯たちは、洗脳というアナログな手段で拉致の指令を刻み込まれたと考えられる、というのだ。玲緒奈と伊織は実行犯たちに近い位置にいたため、リアルの肉体・アンドロイドのまま彼らを追跡して捕らえる。そして救出された人たちの中には、さっきの瑠実香もいた。
    瑠実香曰く、イケメンを引っかけようとしたら、そいつに拉致された。そして、彼女は玲緒奈に「もう一度救われた」と言う。瑠実香は以前にも一度「集合体」に捕まっており、その収容区で他の人間に拷問されていた。そして救出された後、拷問で欠損した部分は再生医療で補い、精神的なダメージからもカウンセリングによって回復したというのだ。
    玲緒奈は瑠実香に、幼馴染の救出のために戦っていること、彼女の安否が不安なことを打ち明ける。そして瑠実香に、その幼馴染もきっと生きている、酷い目にあってもきっと立ち直れる、と励まされた。
    玲緒奈は再び元気を取り戻し、次の作戦に出撃した。

    「集合体」に捕らわれた人々の最後の収容区が解放され、「連合」は戦争に勝利した。
    最後に救出された人々の中には、伊織もいた。玲緒奈はやっと彼女と再会できたことを喜び、彼女に飛びついた拍子にハプニングキスしてしまう。
    ファーストキスだね、と言って照れる「伊織」に対し、玲緒奈は違和感を覚える。彼女は児童養護施設にいた頃、一挙手一投足を施設のセンサーやカメラやスマートスピーカーなどで記録される生活に息苦しさを感じていた。そして伊織に、何か「二人きりの秘密」を持とうと提案された際、センサー類が一切ない場所で彼女にこっそりキスしていたのだ。
    そのことを覚えているか、と玲緒奈が一対一の通信で「伊織」に尋ねると、彼女はそんな記憶はないと言う。そして、目の前の「伊織」は何者なのか、と玲緒奈が「連合」に問うと、彼らは真実を語り始めた。
    曰く、本当の伊織は、反物質炉の事故の際にすでに死亡しており、今の「伊織」は、玲緒奈たちの家のAIの記録を元に記憶・人格まで再現したクローンである。彼らは戦争が始まってすぐ、想像力豊かな玲緒奈に戦力として目を付け、彼女を戦わせる「餌」として、また勝った際の「報酬」として伊織のクローンを用意し、彼女が捕まった収容区の解放はわざと最後にしていたというのだ。
    玲緒奈をずっと騙していたことについて、ハナコと瑠実香が「連合」を非難し、彼らも謝罪するが、それでも玲緒奈は激怒する。自分がコピーであることにショックを受けてすがり付いてくるクローンの手を振り払い、玲緒奈は怒鳴った。自分はこんな偽物のために人間を辞めて、命がけで戦ったのではない。伊織の救出が人間としての自分の最後のよりどころだったが、彼女がいないなら、もう生きている意味などない、と。そして玲緒奈は《モブラクトリー》を無断で起動し、元の肉体を持ち去って飛び去った。
    玲緒奈は核融合炉に突っ込んで自身を完全に消滅させようと、発電所に侵入する。そこにハナコが、伊織のクローンと瑠実香を乗せて《モブラクトリー》で追いついてきた。早まってはいけない、と説得しようとしてくる彼女らを、玲緒奈は問答無用で攻撃する。そしてボロボロになったハナコにとどめを刺そうとしたところ、クローンがその前に立ちはだかった。
    思わず攻撃を止めた玲緒奈に、クローンは訴える。たとえ身体や心が作り物でも、自分たちは人間である。自分は本物の伊織ではないが、それでも玲緒奈を愛している。伊織を救出するためにずっと頑張ってきて、今も伊織と同じ姿のクローンへの攻撃をためらった玲緒奈も、きっとまだ伊織を愛しているはずだ。だから、玲緒奈には生きていてほしい。本物の伊織も、きっと同じことを思うはずだ、と。
    クローンの説得により自殺をやめた玲緒奈は、酷いことを言ったこと、彼女らを殺しかけたことを謝罪し、赤子のように号泣した。クローンと一緒に、玲緒奈を包み込むように抱きしめながら、ハナコと瑠実香は「連合」に取引を持ち掛ける。曰く、人の生死という重大な情報を隠蔽・改ざんしたことは公にせずにおいてやる。その代り、玲緒奈の今回の犯罪行為に対して恩赦を与えろ、と。「連合」は、しぶしぶそれに応じた。
    玲緒奈は、彼女らの優しさを支えにこれからも生きていくと、死んだ伊織に対して胸の内で密かに誓う。そしてクローンに、伊織とは別の個人であるという意味を込めて、サオリという名前を付けた。

    玲緒奈は軍を辞め、彼女の神経系に替わっているナノマシン群を、軍用の機能を除いてほぼそのまま譲渡された。彼女はその拡張された「脳」の能力を生かし、売れっ子「作家」となる。
    そしてある日玲緒奈は、物理的なハードウェアなしでも、情報を直接空間に書き込む技術が実用化された、というニュースを目にする。すなわち、知性体の精神も、直接空間にアップロードできるというのだ。
    玲緒奈は、その技術を利用して死んだ伊織に会いに行く、という考えをハナコ、瑠実香、サオリに語った。曰く、昔から語られてきた幽霊とは、死者の思念が直接空間に書き込まれたものかもしれない。ならば生者の精神を肉体やサーバーなどのハードウェアから解き放てば、生きながらにして死者に会えるかもしれない、と。
    玲緒奈はハナコ、瑠実香、そしてサオリに対し、伊織にまた会える可能性ができるまで生かしてくれたことへの感謝と、また元の肉体に戻って彼女らに会うという約束を告げてから、自身の精神を空間に解き放った。そして昔の家があった場所に行き、そこで伊織らしき存在と出会った。

    以上です。

    気になる点
    ・タイトルの意味が通りにくくないでしょうか。「『最愛』の人を求めて『シンギュラリティ』後の世界を生きる」というニュアンスを、短くてインパクトのあるフレーズにまとめたかったのですが……。
    ・本格ハードSFよりはずっとラノベ寄りの作風だと思いますが、それでも設定が甘すぎる部分がないでしょうか。いわゆる「話の都合」が出てしまう部分は、書きながら補足するつもりですが……。
    ・物語の軸は、「ただの生身の人間」を辞めた玲緒奈の自己肯定に置いたつもりですが、それと世界観全体の動きとの関連性が弱いような気がします……。
    ・キャラクターが多め(「連合」、「集合体」、サオリもカウントすれば七人)ですが、このプロットで全員扱いきれているでしょうか。

    その他問題点がありましたら、ご指摘をお願いします。

    #40043 返信

    サタン
    参加者

    >・タイトルの意味が通りにくくないでしょうか。
    そういう意図なら、「最愛の、シンギュラリティ」と読点を入れてもいいかもね。
    解釈の問題ですが、「シンギュラリティ」とは玲緒奈ないし伊織のことなのかな? と思ってた。
    タイトルを考えると伊織の事なのかな、と。
    シンギュラリティは人工知能が人間の能力を越えることで起こるとWikiにあるので、伊織はずいぶん高スペックのようだし、初期から連合が生死を把握しているし、技術的に作られた知性体のテストタイプなのかな、みたいな。
    または、戦争中は玲緒奈も高スペックのようだから、機械が苦手な想像という分野で人並み外れた想像力を持ってるあたりがシンギュラリティを示していて、伊織は人間で玲緒奈が人工知能なのかな、みたいな。
    人工知能の記憶は書き換えちゃえば自由にできるしね。そもそも伊織は実在するのかな、みたいに思ってたw
    玲緒奈と伊織のどっちが人工知能なのかというのが主軸かな、と。
    そんな感じで読んでたせいもあると思うのですが、

    >物語の軸は、「ただの生身の人間」を辞めた玲緒奈の自己肯定に置いた
    その軸が見えにくかったです。
    このプロットでは、「生身の人間をやめた」という事実の象徴は主人公の武器化にあるので、この活躍がすなわち主人公の「生身の人間をやめた」事の描写になっていきます。
    そして、その事実を嫌悪から肯定に変えていくことが「人間をやめた主人公の自己肯定」と言えるでしょう。
    ところがプロットという設計図の段階もあって、その活躍のエピソードが省略されているので、軸がいまいち読み取れない感じでした。
    序盤にBMI云々でコンプレックスがあることも書かれているので軸を書く準備はできているのに、いざ書く段階でストーリーを進めることに意識を取られて軸を書けてない印象です。

    世界観全体の動きについては、主人公中心に書かれているので周囲の事があまりよくわからなかったです。
    戦争の進行度を指して全体の動きと言っているのなら、話の軸は「自己肯定」で目的は「伊織の救出」なので、無理に戦争終結までもってく必要はないんじゃないかと思います。
    プロットでは上記したように主人公の活躍が省略されていますが、活躍と挫折と葛藤もでしょうか、このあたりを本編でしっかりエピソードに組み上げて戦争開始から終結まで世界観の動きにも注目して書いていくと、新人賞の規模ではページが足らない気がする。

    >キャラクターが多め(「連合」、「集合体」、サオリもカウントすれば七人)ですが、このプロットで全員扱いきれているでしょうか。
    キャラクター数は問題ないと思います。
    場面ごとに注目すべき人物は限定されてると思うから、序盤は主人公と伊織だけ把握できればいいし、中盤はハナコと連合関係の事が理解できればいいし、終盤は瑠実香って助けた子がいたな程度の理解が追加できれば問題ないし。

    >その他問題点がありましたら、ご指摘をお願いします。
    三幕構成で言うところの、ミッドポイントを意識すると物語全体が引き締まると思います。

    #40044 返信

    藤谷要

    お久しぶりです。

    世界観、すごく凝ってますね!
    ただ、私には分かりにくかったです。
    もともと凝った設定の物語になじむまで時間がかかるタイプなんです(ごめんなさい)。
    きちんと丁寧に描写してくれれば、私でも大丈夫な物語になると思いますが、
    そういう描写まで含めると、10万字くらいで終わるのかなぁ、
    という不安を読んでいて感じました。
    主人公のバックストーリーも濃いですし。

    この物語で、一番の問題(目的)って、「最愛の人を助け出すこと」だと思うんです。
    ただ、あらすじを読んでも、そこまでの苦労(戦闘・強敵)が描写的に重視されているように
    思えなかったので、苦労の末にやっと最愛の人に会えたのに!っていう流れには見えなかったです。
    有名な映画マトリックスとか、仮想世界に行って強敵と闘い、
    苦労の末(ピンチの時)に救世主に目覚めた途端、
    あっという間にあの強敵を倒してカタルシスがラストにありましたよね。
    救出劇でも、苦労(戦闘と強敵)がいないと、演出面でそういった面が描きにくいんじゃないのかなぁと感じました。
    「戦闘時の勝率が下がり始めていた」という悩みが、その苦労にあたるのかもしれませんが、それだけでは弱い気がしました。

    また、主人公が払った犠牲は多かったかもしれませんが、母親のことや、それまで機械化を避けて生活してきた云々もきちんと描写をしないと、読者に伝わりにくいかもしれません。
    世界観が特殊なので、説明だけで済ませちゃうと、理解はできても共感はしにくい恐れが。

    あと、以下のところは、ちゃんと伏線を入れないと、ご都合的・唐突的になるところだと感じました。
    「ハプニングキスの思い出」
    「クローン」
    「物理的なハードウェアなしでも、情報を直接空間に書き込む技術が実用化された」

    最後に最愛の人を助けに行くっていうテーマは好みですよ!
    そこは多くの人が共感しやすいと思います。
    良い結果が出ますように!

    あと、自分のことを棚に上げて、色々と駄目だしばかりで申し訳ないです。
    あくまで個人の意見ですし、合わなければ流して頂いて構いませんので。
    ではでは、失礼いたしました。

    #40045 返信

    una

    *こんにちは。
    まず、おもしろかったです。
    キャラ設定とか一切読まずに、あらすじ部分のみ読みました。

    気になる点
    ・タイトルの意味が通りにくくないでしょうか。「『最愛』の人を求めて『シンギュラリティ』後の世界を生きる」というニュアンスを、短くてインパクトのあるフレーズにまとめたかったのですが……。

    *意図してらっしゃるニュアンスは私には伝わらなかったです。私はシンギュラリティという言葉を知りません。シンギュラリティ=伊織というふうに感じました。しかし彼女が技術の特異点(転換点みたいなもの?)かというと違うと思うので、私の解釈は間違っていると自分でもあとで感じました。インパクトはあると思います。

    ・本格ハードSFよりはずっとラノベ寄りの作風だと思いますが、それでも設定が甘すぎる部分がないでしょうか。いわゆる「話の都合」が出てしまう部分は、書きながら補足するつもりですが……。

    *SFあまり読まないですが、甘すぎるとは感じませんでした。連合が伊織を使ってれおなを騙していたという真実をなぜ自白してしまうのかというところだけ、都合を感じました。

    ・物語の軸は、「ただの生身の人間」を辞めた玲緒奈の自己肯定に置いたつもりですが、それと世界観全体の動きとの関連性が弱いような気がします……。

    *世界観全体の動き、というものが何を指すのかよく分からない(戦争の進行?)ので、関連性についてはコメントしません。自己肯定は、途中までの軸であって全体の軸ではないと感じました。感じたのは、ロボットとかAIみたいな存在を尊いものとして認めることかも。伊織はもういないけど、サオリを新たな最愛の存在として認める、ということで、自殺を思いとどまった。だから自殺しなかったのは自己肯定ではなくサオリへの肯定が理由なのかなと感じました。

    ・キャラクターが多め(「連合」、「集合体」、サオリもカウントすれば七人)ですが、このプロットで全員扱いきれているでしょうか。

    *扱いきる、というのがどういうことを指すのか分からないですが、思ったのは、ギャルの子だけあまり存在感がなかった。テーマにも直接絡まないような気がした。

    その他問題点がありましたら、ご指摘をお願いします。

    *特にないです。

    おもしろいプロットをありがとうございました。
    お互い頑張りましょう。

    #40046 返信

    大沢朔夜

    サタンさん

    返信ありがとうございます。構成や主人公の心理については課題があるということを確認できて、助かりました。

    >・タイトルの意味が通りにくくないでしょうか。
    そういう意図なら、「最愛の、シンギュラリティ」と読点を入れてもいいかもね。

    それだけの変更でも大丈夫だろう、と示していただき、ありがとうございます。読点ありかなしか、自分の中でしっくり来るほうを選びたいと思います。

    解釈の問題ですが、「シンギュラリティ」とは玲緒奈ないし伊織のことなのかな? と思ってた。
    タイトルを考えると伊織の事なのかな、と。
    シンギュラリティは人工知能が人間の能力を越えることで起こるとWikiにあるので、伊織はずいぶん高スペックのようだし、初期から連合が生死を把握しているし、技術的に作られた知性体のテストタイプなのかな、みたいな。
    または、戦争中は玲緒奈も高スペックのようだから、機械が苦手な想像という分野で人並み外れた想像力を持ってるあたりがシンギュラリティを示していて、伊織は人間で玲緒奈が人工知能なのかな、みたいな。
    人工知能の記憶は書き換えちゃえば自由にできるしね。そもそも伊織は実在するのかな、みたいに思ってたw
    玲緒奈と伊織のどっちが人工知能なのかというのが主軸かな、と。

    自分もプロット作成中、同じようなオチにしようかと考えたことがあります。
    ただ、我々リアルの人類もこれからなんだかんだ言いつつ、テクノロジーによる「進化」を受け入れていくだろう、という問題意識を玲緒奈を通して表現したかったこと、実在した最愛の人を失って、それでも玲緒奈を支えてくれるものを描きたかったことから、玲緒奈も伊織も「元生身の人間」としました。

    そんな感じで読んでたせいもあると思うのですが、

    >物語の軸は、「ただの生身の人間」を辞めた玲緒奈の自己肯定に置いた
    その軸が見えにくかったです。
    このプロットでは、「生身の人間をやめた」という事実の象徴は主人公の武器化にあるので、この活躍がすなわち主人公の「生身の人間をやめた」事の描写になっていきます。
    そして、その事実を嫌悪から肯定に変えていくことが「人間をやめた主人公の自己肯定」と言えるでしょう。
    ところがプロットという設計図の段階もあって、その活躍のエピソードが省略されているので、軸がいまいち読み取れない感じでした。
    序盤にBMI云々でコンプレックスがあることも書かれているので軸を書く準備はできているのに、いざ書く段階でストーリーを進めることに意識を取られて軸を書けてない印象です。

    確かに、特に中盤で、「人間を辞めた」ことへの玲緒奈の葛藤が描けていないですね……。
    ハナコや瑠実香との関係性、それに戦争の中で、そこを上手く描きなおせないかなと思います。

    世界観全体の動きについては、主人公中心に書かれているので周囲の事があまりよくわからなかったです。
    戦争の進行度を指して全体の動きと言っているのなら、話の軸は「自己肯定」で目的は「伊織の救出」なので、無理に戦争終結までもってく必要はないんじゃないかと思います。
    プロットでは上記したように主人公の活躍が省略されていますが、活躍と挫折と葛藤もでしょうか、このあたりを本編でしっかりエピソードに組み上げて戦争開始から終結まで世界観の動きにも注目して書いていくと、新人賞の規模ではページが足らない気がする。

    おっしゃる通り、賞の規定のページ数内で戦争終結まで描くのは難しいかもしれませんね。SFの戦争ものでも、新人賞応募原稿にあたる一巻では因縁の敵を一人倒して終わり、ということもあるので……。
    せめて、主人公の活躍・挫折・葛藤は織り込みたいと思います。

    >キャラクターが多め(「連合」、「集合体」、サオリもカウントすれば七人)ですが、このプロットで全員扱いきれているでしょうか。
    キャラクター数は問題ないと思います。
    場面ごとに注目すべき人物は限定されてると思うから、序盤は主人公と伊織だけ把握できればいいし、中盤はハナコと連合関係の事が理解できればいいし、終盤は瑠実香って助けた子がいたな程度の理解が追加できれば問題ないし。

    キャラクターの扱いについては特に問題ないようで、安心しました。
    もしかしたら、玲緒奈にとっての「因縁の敵」を追加するかもしれませんが……。

    >その他問題点がありましたら、ご指摘をお願いします。
    三幕構成で言うところの、ミッドポイントを意識すると物語全体が引き締まると思います。

    三幕構成の中のミッドポイントについて軽くウィキペディアを参照したのですが、主人公の行動やストーリーの急激な方向転換、という理解でいいのでしょうか。
    そう考えると、玲緒奈が伊織の死を知るのは中盤で、精神だけの存在となった彼女を捕らえている「集合体」側のライバルを後半で倒す、と言う展開も思いつきました。
    今さっき思いついたことなので、実際にそう書くかは分かりませんが、構成についてはもう少し考え直したいと思います。

    ご指摘ありがとうございました。

    #40047 返信

    大沢朔夜

    藤谷要さん

    お久しぶりです。ご指摘ありがとうございます。
    最近自分のやりたいことばかりやっているのですが、時間が取れたら、藤谷さんの作品に感想を差し上げたいと思います。

    世界観、すごく凝ってますね!
    ただ、私には分かりにくかったです。
    もともと凝った設定の物語になじむまで時間がかかるタイプなんです(ごめんなさい)。
    きちんと丁寧に描写してくれれば、私でも大丈夫な物語になると思いますが、
    そういう描写まで含めると、10万字くらいで終わるのかなぁ、
    という不安を読んでいて感じました。
    主人公のバックストーリーも濃いですし。

    確かに、今回は設定に凝りすぎたと思います……。
    世界観の書き方については、極力さらっとした描写で済ます、物語上不要な設定は描写しない、など、読みやすい工夫をしたいと思います。

    この物語で、一番の問題(目的)って、「最愛の人を助け出すこと」だと思うんです。
    ただ、あらすじを読んでも、そこまでの苦労(戦闘・強敵)が描写的に重視されているように
    思えなかったので、苦労の末にやっと最愛の人に会えたのに!っていう流れには見えなかったです。
    有名な映画マトリックスとか、仮想世界に行って強敵と闘い、
    苦労の末(ピンチの時)に救世主に目覚めた途端、
    あっという間にあの強敵を倒してカタルシスがラストにありましたよね。
    救出劇でも、苦労(戦闘と強敵)がいないと、演出面でそういった面が描きにくいんじゃないのかなぁと感じました。
    「戦闘時の勝率が下がり始めていた」という悩みが、その苦労にあたるのかもしれませんが、それだけでは弱い気がしました。

    確かに、主人公の仲間側の描写ばかりに気を取られて、敵や戦闘の描写は結構いい加減だったように思います……。
    サタンさんへの返信でも同じようなことを書きましたが、敵側に「こいつを倒せば一区切り」的なライバルを出すことも考えています。

    また、主人公が払った犠牲は多かったかもしれませんが、母親のことや、それまで機械化を避けて生活してきた云々もきちんと描写をしないと、読者に伝わりにくいかもしれません。
    世界観が特殊なので、説明だけで済ませちゃうと、理解はできても共感はしにくい恐れが。

    あと、以下のところは、ちゃんと伏線を入れないと、ご都合的・唐突的になるところだと感じました。
    「ハプニングキスの思い出」
    「クローン」
    「物理的なハードウェアなしでも、情報を直接空間に書き込む技術が実用化された」

    確かに、主人公のキャラクターや世界観、重要な展開の伏線などは、本編を書くときには実際の場面でしっかり「描写」したいと思います。自分自身、読者を置いてきぼりにしたくないので……。

    最後に最愛の人を助けに行くっていうテーマは好みですよ!
    そこは多くの人が共感しやすいと思います。
    良い結果が出ますように!

    あと、自分のことを棚に上げて、色々と駄目だしばかりで申し訳ないです。
    あくまで個人の意見ですし、合わなければ流して頂いて構いませんので。
    ではでは、失礼いたしました。

    主人公が「人間辞め」ても最愛の人を愛している、という点は、今作で重視した部分の一つです。そこは維持しつつ、ご指摘を生かして改稿したいと思います。

    コメントありがとうございました。

    #40048 返信

    大沢朔夜

    unaさん

    初めまして。大沢朔夜です。
    自分のプロットを面白いと言っていただき、ありがとうございます。
    これから直すつもりですが、もっと面白くできる、という自信が持てました。

    気になる点
    ・タイトルの意味が通りにくくないでしょうか。「『最愛』の人を求めて『シンギュラリティ』後の世界を生きる」というニュアンスを、短くてインパクトのあるフレーズにまとめたかったのですが……。

    *意図してらっしゃるニュアンスは私には伝わらなかったです。私はシンギュラリティという言葉を知りません。シンギュラリティ=伊織というふうに感じました。しかし彼女が技術の特異点(転換点みたいなもの?)かというと違うと思うので、私の解釈は間違っていると自分でもあとで感じました。インパクトはあると思います。

    我ながら分かりにくいタイトルだな、と思うのですが、「最愛」「シンギュラリティ」の二つのキーワードは入れたいこと、そしてやはりインパクトを重視したいことから、タイトルはあまり変えずに行きたいと思います。

    ・本格ハードSFよりはずっとラノベ寄りの作風だと思いますが、それでも設定が甘すぎる部分がないでしょうか。いわゆる「話の都合」が出てしまう部分は、書きながら補足するつもりですが……。

    *SFあまり読まないですが、甘すぎるとは感じませんでした。連合が伊織を使ってれおなを騙していたという真実をなぜ自白してしまうのかというところだけ、都合を感じました。

    設定の出来が悪くはないということを確認できて、安心しました。
    「連合」が素直に自白したことには、(その展開で行くなら)統治者として自浄作用が必要だと感じた、などの理由をつけたいと思いますが……。

    ・物語の軸は、「ただの生身の人間」を辞めた玲緒奈の自己肯定に置いたつもりですが、それと世界観全体の動きとの関連性が弱いような気がします……。

    *世界観全体の動き、というものが何を指すのかよく分からない(戦争の進行?)ので、関連性についてはコメントしません。自己肯定は、途中までの軸であって全体の軸ではないと感じました。感じたのは、ロボットとかAIみたいな存在を尊いものとして認めることかも。伊織はもういないけど、サオリを新たな最愛の存在として認める、ということで、自殺を思いとどまった。だから自殺しなかったのは自己肯定ではなくサオリへの肯定が理由なのかなと感じました。

    確かに、主人公が中盤で割と自己肯定している上、サオリの説得も彼女が自殺を止める理由としては少しずれている気がします……。
    今後の改稿では、主人公の自己肯定に一貫して焦点を当てたいと思います。

    ・キャラクターが多め(「連合」、「集合体」、サオリもカウントすれば七人)ですが、このプロットで全員扱いきれているでしょうか。

    *扱いきる、というのがどういうことを指すのか分からないですが、思ったのは、ギャルの子だけあまり存在感がなかった。テーマにも直接絡まないような気がした。

    ギャルの子は「主人公に救われた一般人代表」として出したのですが、一般人だけに、確かに物語への絡みは少し弱いかもしれませんね。
    彼女はなるべく出したいので、一般人なりに主人公に救いを与える、という点を強調したいと思います。

    その他問題点がありましたら、ご指摘をお願いします。

    *特にないです。

    おもしろいプロットをありがとうございました。
    お互い頑張りましょう。

    まだプロットの段階ですが、面白いとの感想をいただけたことに、重ねて感謝申し上げます。
    自分からも、unaさんの健闘を祈らせていただきます。
    ご指摘ありがとうございました。

    #40049 返信

    サタン
    参加者

    >三幕構成の中のミッドポイントについて
    一言で表せば、「物語を収束させるためのポイント」です。
    それまで曖昧だったストーリーの終了条件が明確になるという場面。
    こいつは物語の真ん中にあることが多く、変化に乏しい物語などにおいては中だるみを防ぐことができます。
    ちゃんと変化のある物語でも、読者はある程度読めばその世界観のノリというか「こうなるんだろうな」という理解ができてしまうので、ミッドポイントはそんな変化の中でも読者に一石を投じる普通のイベントとは性質が違う仕込みのことです。
    そんな性質上、結果的には「物語の収束が始まるイベント」とか「終了条件の方向性を明確にする」とかって表現になりますが、物語の中間地点に方向性を決定付けるモノがある、というのが重要なんだと個人的には思います。
    物語の中間にあるので、読者は前半を読んで世界観やキャラなどを理解している、この状態で物語の方向性を改めて提示するので、「これが何の物語なのか」というのが非常に理解しやすくなるわけですね。
    理解し、なるほどそういう物語かと思えば後半を読む興味に繋がるので、どういう解決に導くのだろうかと最後まで一気に読める。

    序盤に提示された物語の目的、このプロットの場合「伊織を助ける」ですが、序盤に提示する目的は主人公の行動原理にしかならないので、それを達成して終えても「ヒロインを助ける」「助けた。終わり」という、極端ですがあまり物語の印象が残らない。
    これを「ヒロインを助ける」「実は味方の組織が黒幕だった」「ヒロインを助けた。終わり」にすると、「自分の組織を壊滅させる話だったんだな」と印象に残る。
    ミッドポイントを意識しないと、こういう大事なイベントを「盛り上がる場面」と考えるためか、クライマックスに配置しちゃう。
    でもクライマックスに配置したら、あとはもう話を〆るだけなのですぐ終わっちゃうし、例え盛り上がっても印象には残りにくい。

    ちなみに、個人的にミッドポイントの失敗例を挙げると、
    コメディやギャグ、日常モノで急に進路や恋愛の話などしんみりしたりシリアスな流れになるなど、ジャンルからガラッと路線が変わるやつ。
    なので、
    >玲緒奈が伊織の死を知るのは中盤で、
    そのアイディアの方向性は間違っていないと思うし、良いと思いますが、物語の主旨を考え、なんの話なのかを考えると良いと思います。
    中盤でライバルが出てくるとすると、たぶんバトルものになると思う。

    #40050 返信

    大沢朔夜

    サタンさん

    追伸ありがとうございます。

    >三幕構成の中のミッドポイントについて
    一言で表せば、「物語を収束させるためのポイント」です。
    それまで曖昧だったストーリーの終了条件が明確になるという場面。
    こいつは物語の真ん中にあることが多く、変化に乏しい物語などにおいては中だるみを防ぐことができます。
    ちゃんと変化のある物語でも、読者はある程度読めばその世界観のノリというか「こうなるんだろうな」という理解ができてしまうので、ミッドポイントはそんな変化の中でも読者に一石を投じる普通のイベントとは性質が違う仕込みのことです。
    そんな性質上、結果的には「物語の収束が始まるイベント」とか「終了条件の方向性を明確にする」とかって表現になりますが、物語の中間地点に方向性を決定付けるモノがある、というのが重要なんだと個人的には思います。
    物語の中間にあるので、読者は前半を読んで世界観やキャラなどを理解している、この状態で物語の方向性を改めて提示するので、「これが何の物語なのか」というのが非常に理解しやすくなるわけですね。
    理解し、なるほどそういう物語かと思えば後半を読む興味に繋がるので、どういう解決に導くのだろうかと最後まで一気に読める。

    序盤に提示された物語の目的、このプロットの場合「伊織を助ける」ですが、序盤に提示する目的は主人公の行動原理にしかならないので、それを達成して終えても「ヒロインを助ける」「助けた。終わり」という、極端ですがあまり物語の印象が残らない。
    これを「ヒロインを助ける」「実は味方の組織が黒幕だった」「ヒロインを助けた。終わり」にすると、「自分の組織を壊滅させる話だったんだな」と印象に残る。
    ミッドポイントを意識しないと、こういう大事なイベントを「盛り上がる場面」と考えるためか、クライマックスに配置しちゃう。
    でもクライマックスに配置したら、あとはもう話を〆るだけなのですぐ終わっちゃうし、例え盛り上がっても印象には残りにくい。

    ミッドポイントについて、噛み砕いた説明ありがとうございます。
    藤谷さんが例に出されている「マトリックス」一作目で言うと、モーフィアスが敵に捕まったので救出しなければ、となる時点でしょうか……?
    自分ではまだ完全に理解できているか怪しいのですが、ウィキペディアや上記のご指摘と合わせて、物語の「本当の本番」が始まる時点だ、と今は解釈しています。

    ちなみに、個人的にミッドポイントの失敗例を挙げると、
    コメディやギャグ、日常モノで急に進路や恋愛の話などしんみりしたりシリアスな流れになるなど、ジャンルからガラッと路線が変わるやつ。
    なので、
    >玲緒奈が伊織の死を知るのは中盤で、
    そのアイディアの方向性は間違っていないと思うし、良いと思いますが、物語の主旨を考え、なんの話なのかを考えると良いと思います。
    中盤でライバルが出てくるとすると、たぶんバトルものになると思う。

    確かに、今作はバトルものというよりはテーマ性重視のSFなので、その主旨は忘れたくないですね。
    ご指摘の内容を取り入れつつ、しっくり来る改稿案を考えたいと思います。

    追伸ありがとうございました。

    #40051 返信

    サタン
    参加者

    >「マトリックス」一作目で言うと、
    マトリックスの場合は、主人公が預言者に会いに行くところがミッドポイントですね。
    それまで「主人公は救世主だ」という話だったのが、預言者によって「おまえは違う」と言われ、視聴者の「こういう話だろう」という路線を外している。
    そこから間をおかずに裏切り者のエピソードとモーフィアス救出のエピソードを挟み、否応なく主人公は強敵との対峙を余儀なくされるというクライマックスへと勢い良く進んでいく。

    マトリックスは結局主人公は救世主なわけで、預言者は意図的にウソを言った、という展開だったわけですが、このあたりはそもそも最初から最後まで主人公が救世主ということが変わらないので、路線をズラしにくかったのでしょう。言葉のレトリックというか、演出で「違う路線に移動させた、ように見せかけた」というミッドポイントですね。
    大沢さんの言う「本当の本番」が、マトリックスの場合は序盤から本当の本番が始まってる状態なので(スミスは強敵だけど、彼を倒すことが話の主旨ではなく、主人公が救世主なのかどうかというのが話の主旨で、クライマックスのスミス戦はその証明をしている形)、物語の仕様上ミッドポイントは派手に行えず、言葉は悪いけど誤魔化すしかなかったのかなと思います。
    強いて言うなら、後半は預言者の言葉の真偽について語ってる場面が多いです。「預言者の言葉はウソか本当か」「彼の言葉にはどういう意味があったのか」という感じ。
    なので、「主人公は救世主なのかな?」という話が「預言者の言葉は真実なのかな?」という話に変化したと言えなくもないでしょう。

    これと同じような展開を大沢さんのプロットにやってみると、
    「自分は人工知能なんじゃないかと主人公は確信してしまう」というミッドポイントになりますか。
    後半に入って、主人公は紛れもない人間だということがわかる、という感じでしょうか。
    もちろんラノベっぽく「実は◯◯」みたいなThe新展開って派手なミッドポイントのほうが引きは良いので、こんな地味な展開ではなくちゃんと考えたいところですね。

    既存作のミッドポイントは、決まって中間にあるというわけではないけど、中間からクライマックスの間には必ずあって、ハリウッド系の映画では中間の前後10分くらいの場所のシーンがだいたいミッドポイントになってます。

    #40052 返信

    大沢朔夜

    サタンさん

    コメントありがとうございます。

    「マトリックス」の例は、映画の内容をかなり忘れたままで出したので、いただいたコメントのおかげで図らずも同作の構成の復習ができました。
    ミッドポイントを、変化球で扱った例のようですね。

    また、三幕構成について今度はじっくりウィキペディアを読んでみて、

    第一幕:物語の前提条件(キャラクターや世界観)が紹介された後、何かのきっかけで主人公が動き出す
    第二幕前半:主人公の行動により、彼・彼女の状況がよくなっていく
    第二幕後半:主人公の状況が悪くなっていき、決定的な試練が訪れる
    第三幕:主人公が試練に立ち向かう能力や決意を得て、問題を解決して大団円

    この第二幕前半と後半の間の、「状況が悪くなり出すきっかけ」がミッドポイントである、という理解を今はしています。
    この理解を元に直したプロットを、次の投稿で出したいと思います。
    まだ自分の理解が及んでいないなら、補足していただけるとありがたいです。

    よろしくお願いいたします。

    #40053 返信

    サタン
    参加者

    三幕構成は物語構造の研究を進めた上での考え方だから、なんだか研究論文っぽくてわかりにくいところが多いと思うけど、大沢さんの理解で間違ってないと思います。
    付け加えるなら、
    第一幕:物語の前提条件の紹介
    ターニングポイント:何かの切っ掛けで物語が動き出す
    第二幕前半:状況が進展する
    ミッドポイント:決定的な方向性が示される
    第二幕後半:状況が変化する
    ターニングポイント2:試練が訪れる
    第三幕:試練に立ち向かい、解決して終わり

    おせっかいだと思うけど、個人的にコツと思ってることを書いてみると、
    まず物語の開始と終了(第一幕と第三幕)で大きな変化を考えるといい。
    このプロットで言うと、主旨は「自己肯定」だから、開始で「否定」終了で「肯定」という感じ。
    で、第二幕は起承転結の承で、多くの人が躓く場所だけど、これは対立や衝突を書く場所だから、単純に考えると「開始状態」と「終了状態」の衝突のこと。
    つまり、主旨を考えると「否定」と「肯定」がぶつかり合うシーンですね。
    多くの少年漫画やラノベなど年齢層が低い物語では、「否定(開始条件)の象徴として主人公」「肯定の象徴としてライバル」など、キャラクターに象徴を描いて、戦うことで「衝突」をわかりやすく書いています。
    フワッとした「こういう成長譚を書きたい」とか「絶望や希望など感情を書きたい」というのは、「じゃあそれどうやって書くつもり? わかりやすく伝える自信あるの?」って話ですから、このように象徴を用意すると(キャラに限らず能力や道具・アイテムに象徴を描くなど)、その象徴を物語の中で「どう扱うか」というのがそのまま「どう書くか」になるので、とても書きやすくなると思います。
    あとは物語を始める切っ掛けとなるターニングポイントを考えて、物語が盛り上がるクライマックス(ターニングポイント2)を考えて、物語としては形になる。
    形にしたら最後にミッドポイントを考え、話の主旨は「自己肯定」だから、肯定する切っ掛けなどの展開を用意し、全体を整えていく。
    ここまでできてからあらすじを考えていくとまとまりやすいです。

    また、物語で読者が面白いと感じるところは変化あるところだから、キャラクターや重要な要素には開始と終了で変化があるかどうか確かめてみると隙きがなくなります。
    例えば、このプロットでは主人公と伊織の二人には大きな変化があると言えるけど、サブキャラであるハナコと瑠実香には出会った時点から終了の間に何の変化があるわけでもなく、付いてきてるだけで面白くないと言えるでしょう。
    それほど重要なキャラではないから、切り捨てるなら変化をつけなくても問題ないと思いますが、逆を言えば重要とは言えないほど物語の中で役立ってない、存在理由がわからない、と言えてしまいます。
    例えばハナコはAIで心がないけど、終盤で「玲緒奈。私は貴女に心があることを知っている。ずっと見てきた。私のそれとは違う。今ではそれを疎ましいとさえ思う」とか言わせると、心を持ってないAIに心が芽生えてきた、ないし心を理解しはじめた、という表現になって読者はハナコというキャラクターに変化を見つけられる。
    瑠実香も力ない弱者(一般人)の象徴が勇気を持ってクライマックスに立ち向かうなど、王道ではよく見られる展開でしょう。
    思いつかなければ王道でもステレオタイプでも、何もないよりマシなので、なんらかの変化をつけておいたほうが良いと思います。

    #40056 返信

    大沢朔夜

    大沢です。プロットを修正したので、チェックをお願いします。
    なお、世界観やキャラクターに関する説明はあまり変更していないので、以前のプロットを読まれた方は、あらすじの部分だけ読んでいただいても大丈夫です。

    これまでいただいたご指摘の中で、特に重要だと感じた点、

    ・「人間辞めた」玲緒奈の自己肯定を、話の軸として明確化する
    ・主人公の目的(最愛の人に再会する)達成までの苦労を描き、カタルシスを盛り込む
    ・三幕構成で言うミッドポイントをしっかり作る

    これらの点を特に意識し、主に中盤から終盤を大きく変更しました。
    なお、タイトルは、やはり変えないほうが自分にとってしっくりくるので、そのままにしてあります。「伊織=玲緒奈にとっての特異点(シンギュラリティ)」だと言う何かしらの理由を、本文を書くときどこかに入れようかとも考えています……。

    題:最愛のシンギュラリティ
    テーマ:変わらずに生き続けるために、変わり続ける
    概要:技術的特異点(シンギュラリティ)後、過去の人類の能力を超えた知性体たちが二つの派閥に分かれて覇権を争う世界。そこで最愛の親友を探して戦う、一人の少女の物語です。

    世界観(「戦争」開始前)
    本編中で扱う「戦争」が始まる前の、社会の様子についての記述。「戦争」開始後の人々の生活も、おおむね以下に準拠する。

    政治
    ・司法・立法・行政といった三権のすべてにおいて、AIが人間の仕事のほとんどを代替している。人間の仕事は、「こんな法やサービスが必要だ」というアイディア出しや、AIが出した選択肢に対する認否の最終決定が主である。

    衣食住その他
    ・衣料や食料や日用品などの買い物は、ネットで注文してドローンで届けてもらうのが主流である。また、普段の仕事や娯楽なども、オンラインのVR(仮想現実)環境でほとんど完結してしまう。
    ・上記のため、人々の普段の住居は都市部に集中する必要がなく、好きな土地に個人・家族単位、あるいはせいぜい親族・友達グループ単位で固まって住むのが主流である。
    ・日常の交通は、ドローンや自動運転のタクシーなどで事足りる。ただし、大人数の輸送のために高速鉄道や旅客機の需要もまだある。
    ・水は、近くの海や川の水、その他雨水や排水をろ過して入手するのがメイン。それらで足りない場合、ドローンで配達してもらう。
    ・センサーやスマートスピーカーが家中にあり、身体の動きや音声によってライフラインやディスプレイなどを操作する。

    職業・経済
    ・従来人間が行っていた肉体労働・頭脳労働のほとんどをAI・ロボットがこなしてしまうので、人間の主な仕事は「こういうモノ・サービスが欲しい」というアイディア出しである。例えば創作活動なら、「こういう話を見たい」と言えば、AIが小説・漫画・アニメ・CG映画まで一気に制作してくれる。
    ・社会が二次創作にかなり寛容になり、人の作品を閲覧しながら、そこからひらめいたアイディアを次々に世に出す、という新たな「創作」の形が定着している。
    ・モノ・サービスの売買は、仮想通貨によるネット取引が主流である。ただし、リアルで買い物や遊びや会議などをしたい、という需要もあるため、趣味でリアルの店舗や会議室などを経営する人もいる。そうしたリアルのサービスが集まった場所として、都市の存在意義はまだある。
    ・また、無人の機械がモノづくりを粛々と続ける、工場が集まった都市もある。

    治安・医療
    ・ほとんどの人が身体にBMI(ブレイン・マシン・インターフェイス:脳とコンピュータの接続)用のナノマシンを入れているが、個人として最低限の自由やプライバシーは尊重されたい、という要求から、行動を監視し、強制的に犯罪行為を止めるようなソフトは入っていない。ただし、法に触れうる行為については、身の回りのあちこちにあるスクリーンに警告が出るほか、人が多い場所には警備用ロボットが置かれており、ほとんどの犯罪行為は止められる。
    ・病気や怪我の診断から治療まで、ほとんどナノマシンが行ってしまう。万一大手術が必要な場合は、無人の「手術室」を備えたドローンが飛んでくる。

    エネルギー
    ・あらゆる分野で電子化が進み、電力需要がかなり大きくなったが、核融合の実現や、自然エネルギーによる発電効率の向上、太陽光発電する人工衛星からの送電などにより間に合っている。また、反物質のエネルギーも実用化が近い。

    教育・子育て
    ・人間の「仕事」のほとんどがアイディア出しになり、親たちに余裕ができたこと、それでも育てられない子供はロボットに任せられるようになったことで、育児を受けられない子供はいなくなった。
    ・また、学習は脳に直接知識や技能をインストールすれば済む(ただし、BMIによって拡張するべき知能の発達を、ある程度待つ必要がある)ため、義務教育は六歳~十二歳の六年間に短縮。それを終えた後は、後見人代わりのAIがいれば、未成年者でも一人暮らしや仕事ができる。
    ・脳にナノマシンを入れずに学びたい、という人に合わせて、オンライン授業を提供する私塾もある。

    世界観(「戦争」開始後)
    「戦争」が始まった後の世界の、主要な事項についての記述。

    全地球知性体連合(以下「連合」)
    ・その名の通り、地球のすべての知性体たちの代表を自称する存在。世界中の政治家や知識人たちの人格をコピーしたAIや、人間の知能を超えたAIたちから構成される。すべてのAIがクラウドでつながって機能しているため、実質的に一つの意思の主体である。
    ・ポリシーは「すべての知性を平等に扱うこと」。よって、生身や機械など実体のある身体を残した人間たちを、自由に生活させている。「集合体」(後述)とは対立している。
    ・反物質炉を搭載した宇宙ステーションの事故により、従来の人類の政府のほとんどが壊滅した世界で、統治機構の役割を担う。中央集権的な政府ではなく、人々の身の回りのコンピュータを介して生活の隅々に行き渡るサービスのような存在。

    進歩的知性集合体(以下「集合体」)
    ・「連合」と同種の存在。人類は肉体を捨て、意識だけの存在となるべきだ、と考える過激派の人間たちのコピーであるAI、および彼らに賛同したAIたちの派閥。
    ・実体のある従来の人類を、人類にとってのアノマロカリスのような「過去の生き物」の「資料」としか思っていない。そのため、反物質炉の事故の後生き残った人類を捕らえ、昔の様々な時代を再現した収容区で生活させている。

    《モブラクトリー》
    ・平たく言えば、戦いながら進化する万能兵器。コンピュータチップにも、装甲や武器弾薬にも、燃料や発電機にもなれる万能のナノマシンの塊。名前は「MOBile」「LAboratory」「faCTORY」を合わせた造語。同種の兵器を、「集合体」もIEW(Independent Evolving Weapon)の名で運用している。
    ・「連合」は、日々互いのサーバーや端末を乗っ取ろうと、サイバースペースで「集合体」と戦い続けている。それのみならず、サーバー・端末や人間たちの物理的な防護や、捕らわれた人間の救出といったリアル空間での戦闘も必要なため、《モブラクトリー》を開発した。
    ・「連合」側も「集合体」側も互いに新技術の開発のスピードが速すぎ、もはや戦闘の合間に新兵器を開発していては間に合わないため、《モブラクトリー》・IEWたちは戦闘中に新装備を開発する。敵の解析、VR空間での新装備の設計・シミュレーション、実際の装備の作成など、すべてを独力で行える。
    ・戦闘中は、霧状にしたナノマシン群による攻撃の予防や通信妨害のために、「連合」側も「集合体」側も強力な電波を発している。そのため、一定のサイズ(だいたい拳大)以下に削られたり散らされたりしてしまうと機能停止する。また、ありとあらゆる通信手段は、開発するそばから乗っ取られて悪用される危険があるため、戦闘中のデータリンクはせず各機スタンドアローンでの運用が基本。
    ・各機が戦闘中に新装備を考えて作る、という性質上、創造性に優れた個体が強くなる傾向がある。

    キャラクター

    来栖川 玲緒奈(くるすがわ れおな)
    ・十四歳。小説・漫画・アニメ・映画などのアイディア出しをする「作家」をして生活していた少女。
    ・幼少時、母子家庭に育つ。母は手足を機械化しており、スポーツなどで活躍することでメーカーのプロモーションをして生計を立てていた一方、玲緒奈の世話はロボットに任せがちだった。ある日母が、VRゲームを遊ぶため、BMI用のナノマシンを注射したところ、当時流行していたマルウェアに脳や手足を侵される。そして、自分の頭を全力で殴って脳を破壊、玲緒奈の目の前で死亡した。
    ・上記のトラウマにより、玲緒奈自身は人型のロボットや機械化した人間、ナノマシンなどの一切を恐れている。身体の機械化は一切せず、ナノマシンも病気の治療時に入れることしか(それも、一定時間後排出されるものを、幼馴染(後述)の手を借りて注射することしか)できなかった。よって、ネットの閲覧やVR・AR(拡張現実)の利用も、旧式のタブレット端末やスマートグラスを使って行っていた。
    ・母の死後、児童養護施設に引き取られる。施設を出た後は、そこで出会った幼馴染の少女と二人(+後見人代わりのAI)で生活し、「作家」の仕事で生計を立てていた。
    ・脳をネットに接続していれば、脳に直接言葉やイメージを受信することで他人の作品を閲覧でき、遊びもかなりリアルなVRで行えるため、創作のヒントとなるインプットの時間を大幅に短縮できる。またアイディア出しも、言葉にせずとも「考えるだけ」で行えるため、かなり速いペースで「創作」を行える。一方、身体を一切機械化していない玲緒奈のインプット・アウトプットのペースは遅すぎた。それでも彼女は豊富な想像力を持っていたため、そこそこ生活できていたのだが、アイディア出しのためにリアルで旅行などに出かけることが多すぎたため、生活費が厳しくなる。よって「戦争」が始まる直前、幼馴染も何か「仕事」をしたい、と言い出し、そのことで口論。彼女と仲直りできないまま会えなくなったことを、玲緒奈はずっと悔やんでいる。
    ・「戦争」開始後、行方不明になった幼馴染を一刻も早く救出したい、との思いから軍に入隊。脳や脊髄などの神経系を(よくある思考実験のように、神経細胞を徐々にナノマシンに置き換える方式で)すべてナノマシンに替えており、作戦時は神経系だけ肉体から抜け出し、《モブラクトリー》と一体化して戦う。そして、機械化によってさらに拡張された観察力・想像力を生かし、「連合」側の有望な戦力となる。
    ・だが、本当は「人間でなくなってしまうこと」を恐れており、非番の時はVR空間で元の姿を再現したアバターで生活し、さらに時間が取れるときは、保存している元の肉体に戻って過ごしている。
    ・幼馴染から選んでもらったスマートグラスを大事にしているほか、彼女に選んでもらった、二十一世紀初頭の学生服風の服を気に入り、「戦争」開始前も開始後も何着も持っている(特にスマートグラスは、「戦争」が始まって以降も、幼馴染とのつながりを感じるために常に首から提げている)。あまりに彼女のことが好きすぎるのだが、自身に「そっちの趣味」があるのかどうか、玲緒奈自身は永遠に回答を保留することにしている。

    和井内 伊織(わいない いおり)
    ・十四歳。玲緒奈にとって、母のような姉のような最愛の人。
    ・人手不足でロボットに子供の世話を任せがちだった児童養護施設で、ロボットたちを避けて孤立していた玲緒奈に手を差し伸べた少女。彼女もまた、甘えん坊で懐いてくる一方、常に面白い空想を語って「新しい世界」を見せてくれる玲緒奈を、妹のように愛しく感じていた。よって義務教育終了後、玲緒奈と一緒に施設を出て、二人で生活することを決める。
    ・ネット接続や家事のスキルなどの日常生活での必要性から、BMI用のナノマシンを入れている。だが、玲緒奈を怖がらせないために、それ以外の機械化はしていない。それでも必要な知識や技能はすぐにインストールし、「自分にできないこと」がいっぱいできる彼女に対し、玲緒奈は密かにコンプレックスを抱いていた。
    ・玲緒奈のコンプレックスを察し、稼ぐのは彼女に任せていた。だが、生活費が厳しくなってきたため、自身も「仕事」をしたいと言い出したところ、玲緒奈の猛反発を受けて口論してしまう。そして仲直りできないまま、「戦争」開始時に行方不明となった。

    ハナコ・ジョンスカヤ
    ・ゼロ歳。何度か玲緒奈と戦闘を共にした《モブラクトリー》の一機、そのAI。
    ・もともと人格のないAIに過ぎなかったが、焦ってぴりぴりしがちな玲緒奈を支えたいと考え、陽気かつ正義感のある少女の人格を形成。非番の際、リアルでは褐色肌の十歳程度の少女の姿をしたアンドロイドに宿るほか、VRでも同じ姿のアバターを持ち、容姿の面でも活発な雰囲気を意識している。
    ・軍のエースである玲緒奈を、忠犬のごとく慕っている。また、彼女の緊張をほぐすために作戦前に冗談を言ったり、失われた僚機たちを惜しんで泣いたりと、生身の人間だった玲緒奈よりも人間味を示すことがある。
    ・ちなみに名前は、本人曰く適当に無国籍な感じに名乗ったとのこと。

    絹谷 瑠実香(きぬや るみか)
    ・十八歳。ざっくり言えば、姉御肌のギャル。
    ・ファッションデザイナー(と言っても、「こういう服・アクセサリーが欲しい」というアイディア出し程度)をして生計を立てている少女。本人のファッションも、二十一世紀初頭のギャル風の女子高生を意識した派手なもの。
    ・一度「集合体」に捕まったことがあり、古代東アジアを再現した収容区で奴隷にされていた。そこから救出してくれた「連合」や軍には感謝している。
    ・趣味は男漁り。同性愛にかなり寛容になり、なおかつ恋愛以外の趣味を生きがいにする人が多い作中の時代において、異性との恋愛という昔ながらの「趣味」にあえて精を出す。男に対する望みが高すぎるせいか、振られた回数は片手の指では足りない。
    ・玲緒奈の戦いにより救われた一般人の一人として、彼女の励みとなる。

    あらすじ

    ・第一幕
    二十一世紀中盤。人々の生活の大部分がAI・ロボットによって自動化され、技術的特異点(シンギュラリティ)の到来が目前だとされている時代のこと。

    来栖川玲緒奈は、幼馴染の親友・和井内伊織とともに、後見人代わりのAIを付けて二人で生活していた。人間の主な仕事がモノ・サービスのアイディア出しである時代に、玲緒奈もフィクションのアイディアを出す「作家」の仕事をして、二人分の生活費を稼いでいた。
    ある日の晩、玲緒奈は伊織から、生活費が厳しくなってきたので自分も何か「仕事」をしたい、と相談される。しかし、BMI(ブレイン・マシン・インターフェイス)用のナノマシンを入れて、玲緒奈にできないことがいろいろとできる伊織に対し、そうした機械化を一切していない玲緒奈は密かにコンプレックスを抱いていた。そこを刺激されたため、彼女は伊織に反発し、彼女と口論してしまう。
    玲緒奈は伊織に「伊織ちゃんの馬鹿! 大っ嫌い!」と捨て台詞を残し、自宅地下のシェルターにこもった。そして、翌日お互いに頭が冷えてから謝ろう、と考える。彼女は、伊織に選んでもらった、常に身に着けているスマートグラスを握りしめて眠りにつくが、その夜地上から響いた轟音と、家のネットワークのAI(シェルターにもつながっている)が鳴らした警報に叩き起こされる。AI曰く、強力な熱線・爆風や電磁パルスによって家の地上部分とその回線が破壊されたのだが、状況が分からないためむやみに地上に出てはならないとのこと。そして玲緒奈は、伊織の安否が分からないまま、眠れない一夜を過ごした。
    翌朝、シェルターのネットワークに何者かがアクセスしてきた。「彼ら」は地球すべての知性体の代表、全地球知性体連合(以下「連合」)と名乗り、一夜にして変わり果てた世界の状況を玲緒奈に説明する。曰く、反物質炉を開発中だった宇宙ステーションが墜落し、炉は大気圏内で大爆発。多くの人命が失われ、人類の統治機構はほぼ壊滅状態に追い込まれたというのだ。それにより、世界中の政治家や知識人たちが万一の事態に備えてネットに保存していた、彼らの人格のコピーたちが一斉に起動。AI同然となった彼らや、もともとネットの各所にいたAIたちは、実体のある人類を自由に生活させようという「連合」と、従来の人類は過去の生物であり、「資料」として保存すべきだという進歩的知性集合体(以下「集合体」)の二つの派閥に分かれ、戦争を始めた。人類は、かなり過酷な形でシンギュラリティを迎えたのだ。
    玲緒奈は「連合」に伊織の安否を問うが、彼女の遺体を確認していない、と彼らは言う。言い換えると、伊織はまだ生きていて、「集合体」に捕まっている可能性があるというのだ。玲緒奈がいてもたってもいられず、彼女を救出する方法は何かないかと問うと、捕らわれた人々のために軍が戦っている、と「連合」は答える。曰く、彼らはリアル空間での戦闘のために、《モブラクトリー》という戦闘中に自在に進化できる兵器を開発した。とのことだ。
    玲緒奈は、伊織が生きている可能性を信じ、自分も軍に入って戦いたいと「連合」に伝える。彼女は「連合」から、《モブラクトリー》は基本的に無人機だが、人間でも脳などの神経系をナノマシンに置き換え、それと一体化すれば扱えるとの説明を受ける。そして彼らが提供したナノマシンを受け取るが、それを注射しようとしたとき、玲緒奈の脳裏にあるトラウマがよみがえる。彼女の母は身体を機械化しており、BMI用のナノマシンを注射した際、マルウェアに感染して死亡したのだ。よって玲緒奈は一切の機械化を拒んでいたのだが、伊織を助けるために覚悟を固め、ナノマシンを注射した。

    ・第二幕前半
    もともと豊かだった想像力を生かし、戦闘中にどんどん自らを新兵器に変えていく《モブラクトリー》を使いこなして玲緒奈は大活躍する。彼女は非番の時には、変幻自在のグロテスクな兵器となって戦った記憶から逃れ、自分がまだ「人間である」ことを確認するために、VR(仮想現実)で人型のアバターで生活したり、元の肉体に戻ったりしていた。また、リアルの肉体でネットやAR(拡張現実)を利用する際は、今の「脳」を直接ネット接続せず、伊織に選んでもらったスマートグラスを使い続けていた。だが玲緒奈は、リアルで外食した際、思わずナノマシンを体外に出して手の代わりに使ってしまい、《モブラクトリー》を直に見たことのない周囲の一般人を驚かせてしまう。
    自分は人間を辞めてしまった、というショックを受けて引きこもりがちになった玲緒奈のもとを、とある少女が訪ねてきた。ハナコ・ジョンスカヤと名乗った彼女は、自分は玲緒奈と何度か一緒に戦った《モブラクトリー》の一機、そのAIであると説明した。ハナコ曰く、戦闘の合間の玲緒奈が落ち込みがちなので、軍のエースである彼女の支えになりたいと考え、人間らしい人格やアンドロイドの身体、それにVRアバターを得たというのだ。
    玲緒奈は、気分が沈んだままでは《モブラクトリー》の戦闘に必要な創造性が低下する、とハナコに説得され、彼女と外出した。そして、玲緒奈の気を晴らすために冗談を言ったり、失われた僚機たちのことを悲しんだり、彼女が楽しむ風景や食べ物などを一緒に楽しんだりするハナコに、人間らしい「心」を感じるようになる。彼女はハナコに、自分は「人間を辞めて」しまったことが辛いのに、AIのハナコがどうして生き生きと人間らしくしているのか、と愚痴をこぼしてしまった。
    逆にハナコが玲緒奈に「人間を辞めた」動機を問いかけた時、彼女らはナンパ男にしつこく絡まれているギャル風の少女を見つける。彼女を玲緒奈たちが助けると、少女はお返しにお茶をおごってくれた。絹谷瑠実香と名乗った彼女が、玲緒奈が何か悩みを抱えている様子を察したので、ハナコは改めて玲緒奈に先ほどの質問を投げかける。そして玲緒奈は、伊織を「集合体」から救出する、そのために人間を辞めた、と二人に打ち明けた。
    するとハナコは、自分もできるだけ多くの人たちを救いたい、だから一緒に頑張ろうと、玲緒奈に対し共感や励ましを示した。瑠実香も、自分が一度「集合体」に捕らわれ、過酷な時代を再現した収容区で生活させられていたこと、彼女をそこから救出してくれた「連合」や軍には感謝していることなどを語る。さらに瑠実香は、玲緒奈の言動の節々から伊織への強すぎる愛を感じると言い、お前のどこが人間辞めてるんだ、と彼女をからかった。
    元は人間でさえなかったのに人間らしいハナコや、自分を人間扱いしてくれた瑠実香との触れ合いを経て、伊織を救うために戦っている限り自分はまだ人間だ、と玲緒奈は安心する。そして、彼女と再会できた暁には軍を辞め、兵器ではない生身の人間に戻って伊織とまた暮らそう、と密かに決めた。

    ・ミッドポイント
    玲緒奈は、時間があれば「連合」が解放した収容区の生存者・死者のリストから、伊織の名前を検索していた。そして彼女の名を、ある時解放した収容区の死者のリストに見つける。伊織は二十一世紀初頭の日本を再現した収容区で、ブラック企業に勤める「親」の虐待により死亡していたのだ。

    ・第二幕後半
    伊織を救うことという、自身が「人間であること」のよりどころを失った玲緒奈は、彼女の敵を討つために自分の命を使い果たそう、と考える。玲緒奈は伊織に選んでもらったスマートグラスも元の肉体も破棄し、自分の《モブラクトリー》の中に、以前の家や伊織と遊びに行った場所を再現したVR空間、それに家のAIの記録をもとに再現した伊織のコピーのAIを作る。そして彼女は、非番の時はずっと作り物の「伊織」と過ごしていた。心を閉ざした玲緒奈を見ているのが辛くなり、ハナコも人格なきAIに戻る。そんな二人を、瑠実香は大馬鹿野郎、と叱責した。今や、玲緒奈と新しい友人たちとの交流も絶たれてしまったのだ。
    その折に、「集合体」が一挙に攻勢をかけてくる。「連合」と戦力が拮抗している状況にしびれを切らし、彼らは自分たちが所有するコンピュータやIEW(Independent Evolving Weapon:「集合体」側の、《モブラクトリー》にあたる兵器)のほとんどを一つの塊にして攻めてきたのだ。その途方もない演算能力や武装の単純な出力の高さの前に、「連合」側の《モブラクトリー》たちは次々に倒れていく。倒した敵さえも吸収しながら、巨大IEWはさらに巨大化していった。
    出撃した玲緒奈は、自機に機能停止したふりをさせて、巨大IEWにわざと取り込まれる。そして自機のすべてを発電機に変え、自分ごと敵を焼きつくそうとした。
    玲緒奈は、死ぬ前に最後のお別れを伊織コピーに言っておこうと思い、一瞬だけ自作のVR空間にログインする。そして伊織コピーに、彼女やこの世界が作り物であること、今から彼女を「殺して」しまうことへの謝罪、そして自分も死ぬので、もしかしたら死んだ本物の伊織に会えるかもしれないことなどを語った。
    玲緒奈の言葉を信じ、死んではいけない、と反論した伊織コピーに対し、玲緒奈は彼女がAIであることも忘れて激怒した。曰く、もう本物の伊織はどこにもいないので、自分が人間を辞めてまで戦った意味もない。ならせめて、命に代えても彼女の敵を討つしかない、と。
    そして玲緒奈は、「伊織ちゃんの馬鹿! 大っ嫌い!」と、本物の伊織に最後に言ったのと同じ言葉を言う。だが、直後に彼女は前言を撤回する。曰く、本当は、酷いことを言ったことを伊織に謝りたかった。また何度でも、彼女に好きと言いたかった、と。
    泣き崩れた玲緒奈を抱きしめ、伊織コピーは語った。自分も玲緒奈を好きだ。だから、たとえ自分がいなくなっても、優しい人たちに囲まれ、愛し愛されて、玲緒奈には生きてほしい、と。玲緒奈も、いつか本物の伊織のところに行くまで、どんな存在になっても生き続ける、と答えた。そして伊織コピーに別れを告げて、ログアウト。戦闘に使うデータ容量を空けるために、VR空間や伊織コピーを消去した。

    ・第三幕
    玲緒奈は、自機の一部だけを切り離して巨大IEW内部から脱出した。そして敵の中に残した部分に放電をさせるが、出力が足りず仕留め損ねた。すぐにダメージを修復した敵を尻目に玲緒奈が離脱すると、「連合」の《モブラクトリー》たちも、全機を一まとめにするという、敵と同じ手段で戦っていた。だが彼らは、先に多くの仲間を失っていたため敵よりもサイズが小さく、劣勢に陥っていた。
    玲緒奈の機体が巨大《モブラクトリー》に合体すると、彼女はそこでハナコ、瑠実香と再会した。ハナコ曰く、玲緒奈が立ち直る可能性を信じて、人格を削除せずに圧縮・保存していたとのこと。瑠実香曰く、彼女は戦場に出れば玲緒奈やハナコとまた話す機会があるのでは、と考えて軍に入隊し、玲緒奈と同じ方式で《モブラクトリー》を操る能力を得ていたとのことだ。
    玲緒奈は、今の自分は、彼女たちとともに生きられる世界を守りたい、そのために「集合体」を倒したい、と二人に語る。だが、具体的にどうやって勝つのか、敵のサイズを上回るために《モブラクトリー》をもっと生産できないのか、と瑠実香は唸る。それに対してハナコ曰く、「連合」側も現在《モブラクトリー》を大量に増産中だが、その生産設備も次々に乗っ取られ、生産のペースでも敵に負けてきている、とのこと。
    だが、彼女らの言葉にヒントを得て、玲緒奈は巨大《モブラクトリー》を構成するナノマシンをこの場で生産しよう、と味方に提案する。すなわち、周辺の空気や水や土などの物質から、自分たちの構成部品を自分たちで作ろう、と。玲緒奈のアイディアを取り入れ、巨大《モブラクトリー》は周囲の物質を取り込んで急激に巨大化。サイズでも演算能力でも巨大IEWを上回り、敵を包み込んで支配下に置いてしまった。
    最大の切り札を失った「集合体」を、「連合」は一気に追い詰める。そして、彼らが万一のために残していたサーバーや端末もすべて破壊・支配し、「集合体」を殲滅した。
    ハナコと瑠実香は勝利を喜ぶが、伊織を失ったことに変わらない玲緒奈に対し、これからどうするのかと尋ねる。それに対して彼女は、伊織にまた会うまで生きる、とだけ答えた。

    玲緒奈は軍を辞め、《モブラクトリー》だったナノマシン群(軍用の機能を除いて、ほぼそのまま譲渡された)を神経系の代わりとして、元の肉体のコピーに宿って生活を始めた。彼女はスマートグラスなどの体外の端末を使わず、機械の「脳」の性能をネット接続やアイディア出しにフルに生かして売れっ子「作家」となる。
    玲緒奈は、稼いだ金を資産運用で増やし、あるプロジェクトに投資していた。それは、肉体やサーバーと言った物理的なハードウェアなしに、情報を直接空間に書き込む技術の開発。彼女がハナコや瑠実香に言うには、昔から語られてきた幽霊とは、死者の思念が直接空間に書き込まれたものかもしれない。ならば生者の精神を空間に「書き込め」ば、生きながらにして死者に会えるかもしれない。つまり玲緒奈も、本物の伊織にまた会えるかもしれない、とのことだ。それを二人に説明しているとき、ちょうど件の技術が実用段階に達した、との知らせが玲緒奈に届く。玲緒奈は、さっそくその技術を利用し、科学の力で「生き霊」となった初めての人間になろうとした。
    情報だけの存在になってしまうことは、さすがに「人間を辞め」すぎではないかと、ハナコと瑠実香は心配する。玲緒奈は、何になっても自分は、伊織を愛し、彼女に愛された玲緒奈という人間だ、と答えた。そして、また元の肉体に戻ってハナコと瑠実香に会う、と誓い、自身の精神を空間に解き放つ。玲緒奈は昔の家があった場所に行き、そこで伊織らしき存在と出会った。

    以上です。

    気になる点
    ・前半のハナコと瑠実香の下りと、後半の「集合体」との決着の下りは駆け足すぎ・詰め込みすぎではないでしょうか。前者については、玲緒奈が支えになる友人を得る過程を第二幕前半に入れたい、後者については、やはり最大の敵との決着のカタルシスを出したい、という意図があるのですが……。
    ・玲緒奈が伊織の死を知る下りを中盤に持ってきましたが、うまくミッドポイントとして機能しているでしょうか。最愛の人がもう死んでいて主人公がどうなるのか、というはらはら感を演出できると思うのですが、サタンさんがおっしゃっていた「物語を終息させるためのポイント」「決定的な方向性が示されるポイント」という点に当てはまるかどうか、若干不安はあります。

    その他問題点がありましたら、ご指摘をお願いします。

    #40059 返信

    t

    こんにちはいい物語ですね。
    いつも勉強させてもらっております、ありがとうございます!

    前回よりも物語に厚みがでてきて分かりやすくなっていました。
    改善されているのですが、しかし以前として難解で便利というのが率直な感想です。

    連合と集合体に分かれて戦争が始まる場面ですが、彼らの人格のコピーたちが一斉に起動とあります。最近、日本で衆院選がありましたが、世界をみても考え方が違うだけで戦争にはならないじゃないですか。だから説得力として弱い。ここには特別な一文や、成立させるための”何か“が必要となりそうな……。

    他にも特別な一文がいりそうな箇所が……そのような視点で全体を見ていくと。
    モブラクトリーとは何か。「集合体」「連合」は何か。
    心地よい響きの設定が便利に終わっていて。
    玲緒奈と伊織のドラマに話を持って行きたいのは分かるのですが、今のところ読者が二人のドラマの面白さを理解できるのかと考えた場合……んー難解なような。

    ガチでモブラクトリーを書こうとするなら、ヘヴィーオブジェクト(電撃文庫)やガンダムUCだったり相手にエースパイロットを作って、ロボットを利用した人間ドラマに仕上げると、ロボット含めて背景のこともよく分かりますが。でも玲緒奈と伊織のドラマから推測するとそこまでガチは求めていないような。

    巨大IEWがでてきたり。
    玲緒奈がちゃんと悩んだり活躍する話になっていたり。
    伊織が収容区にいてすぐにはでてこなくて、良い本文が書けそうなポイントが用意されていたり。
    このラストにしても私は好きです。
    良いところだってたくさんあるのですが。

    色んな素材から借りてきただけになっていて、それで結局何が面白いのかについて。もっとこのラストに相応しい、大沢さんにしか書けない組み立てがありそうなような……。
    それを考えるのが作家の仕事ならお前どうするんだよって怒られたら、”ひえー私のような雑魚には思いつかない無理“ってなります。雑魚の戯言なので聞き流してもらって構いません。

    #40060 返信

    大沢朔夜

    tさん

    コメントありがとうございます。
    自分の作品から学べると言っていただけて、光栄です。

    前回よりも物語に厚みがでてきて分かりやすくなっていました。
    改善されているのですが、しかし以前として難解で便利というのが率直な感想です。

    あらすじは確かに、前回より良くなったと自分でも思います。ただ、設定に凝りすぎているところは変わらないので、本文を書くときに、分かりやすく読者に伝えたいと思います。

    連合と集合体に分かれて戦争が始まる場面ですが、彼らの人格のコピーたちが一斉に起動とあります。最近、日本で衆院選がありましたが、世界をみても考え方が違うだけで戦争にはならないじゃないですか。だから説得力として弱い。ここには特別な一文や、成立させるための”何か“が必要となりそうな……。

    確かに自分でも、彼らが争う必要性が弱い、とは途中で感じました。しかし現実でも、宗教・宗派同士の戦争など「考え方が違うだけ」での争いはある(あった)ので、彼らの考え方の違いも、彼らにとっては争うくらい重大なものだ、ということを本編で描きたいと思います。

    他にも特別な一文がいりそうな箇所が……そのような視点で全体を見ていくと。
    モブラクトリーとは何か。「集合体」「連合」は何か。
    心地よい響きの設定が便利に終わっていて。
    玲緒奈と伊織のドラマに話を持って行きたいのは分かるのですが、今のところ読者が二人のドラマの面白さを理解できるのかと考えた場合……んー難解なような。

    ガチでモブラクトリーを書こうとするなら、ヘヴィーオブジェクト(電撃文庫)やガンダムUCだったり相手にエースパイロットを作って、ロボットを利用した人間ドラマに仕上げると、ロボット含めて背景のこともよく分かりますが。でも玲緒奈と伊織のドラマから推測するとそこまでガチは求めていないような。

    作中の超ハイテク兵器や、「連合」「集合体」については、確かに物語の「背景」に終わっている点は否定できません。
    ただ、あくまで自分は「主人公が何が何でも(たとえ相手が死んでいても)ヒロインに再会する話」という点に焦点を絞りたい、と考えています。それに加え、「集合体」は従来の人類とは分かり合えない不気味な敵にしたいので、下手にドラマ性のある敵も出したくないと考えています。よって、敵側とのドラマも描くという考えは、今のところありません。

    巨大IEWがでてきたり。
    玲緒奈がちゃんと悩んだり活躍する話になっていたり。
    伊織が収容区にいてすぐにはでてこなくて、良い本文が書けそうなポイントが用意されていたり。
    このラストにしても私は好きです。
    良いところだってたくさんあるのですが。

    色んな素材から借りてきただけになっていて、それで結局何が面白いのかについて。もっとこのラストに相応しい、大沢さんにしか書けない組み立てがありそうなような……。
    それを考えるのが作家の仕事ならお前どうするんだよって怒られたら、”ひえー私のような雑魚には思いつかない無理“ってなります。雑魚の戯言なので聞き流してもらって構いません。

    今回、ハリウッド映画などの分析に使われる三幕構成を参考にしたこともあり、今まで自分が考えた中では一番ベッタベタな話になったと思います。
    しかし、物語の「骨組み」がベタでも「肉付け」がしっかりしていれば面白い、と考えるので、このプロットを直すとしても下手に王道を外したくはない、と考えます。

    反論ばかりになってしまい、非常に恐縮です……。
    しかしながら、今回のプロットで押さえるところは押さえている、という手ごたえを得られて、嬉しいです。

    コメントありがとうございました。

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