第4研究室 創作に関するQ&A 05P | トップへ戻る |
まんじゅうさんからの質問  
 地名と人名に頭を悩ませています 
 
 はじめまして、まんじゅうと申します。甘味好きです。
 本当に今日がこちらへの始めての訪問なんですが、
 あまりの内容の濃さに思わず興奮してきました。
 明日知恵熱でも出ないか心配です。
 研究室では質問の募集中だとか。
 それに乗じて私もちょっとだけ、以前より考えていた疑問を吐き出させていただこうかと思います。
 無遠慮なほどに長いので、お暇な時、もしくは難問よどんとこいな気分の時にでもお読み頂ければと思います。
 私もひがな完成を目指してワードパッドなりノートなりに(原稿用紙はもったいなく思われます/笑)主にファンタジー色の強い物を書いているのですが、最近ふと思う事があるのです。
 ファンタジーとは、やはり若干は現実とずれた非日常だと、それが異世界のことなら当然違う世界なのだとも、確か仰ってましたよね?
 なら物書きは日本・現代語にそちらの言語を翻訳する、登場人物の視ている世界の視点をそっくりそのまま読者の視点にする、というスタンスで書く、そう言うことかと思います。
 そこで気になったのは固有名詞です。
 きっと異世界にも古い外来語、新しい外来語、現代語、俗語、古来の言葉があると思うのです。
 日本語の例をとるなら順に中国伝来の言葉(故事成語に留まらず、熟語が多いようです)、西欧の言葉(カタカナ言葉ですね)、普通に日本語、ギャル語(?等)、やまとことば等かと思います。
 でもそこまで詳しく設定をこねて、しかも日本語のかなり億の深い歴史まで手を伸ばすのは書く側も大変ですが、読者も大変かと思います。
 なにしろ日本は言葉を表記するのに中国の漢字を借用しているので、外来でないやまとことばは少なく、それをメインにして書いていくのはちょっと無理です。ひらがなのオンパレードです。
 せめて言葉の古い新しいでも区別できたら、と思うのですが、(その点については日本語は三種類の文字があるのでやり易いかと思いました)人によってひらがなカタカナ漢字のイメージが違うのです。

 例を挙げますと、
 りんご アップル 林檎

 どれが古そうな感じがしますかと聞きますと、たいていの人は林檎がそうだと答えます。
 ところが新しいのはどれですかと聞きますと、アップルとりんごで意見が割れます。
 少数派ですが林檎も新しそうだという人もいました。
 まあ林檎は固有名詞ではないので(…)さして気には留めませんでした。
 私を半年悩ませ続けているのは地名と人名です。

 また懲りずに例を挙げますと、あるところに竜の背中のような山脈があったとします。
 その名前が、1 「臥竜山脈」 ・  2 「臥せたる竜の山」 ・ 3 「りゅねてん山」 ・ 4 「セリン=ベリダシュ」 の三つがあるとします。

 先ほど挙げました日本の文字の分け方で分類しますと、
 1は古い外来語、2は現代語、3はやまとことば、4は新しい外来語か異国の音しか伝わっていない言葉、となります。
(りゅねてんという謎の音は、竜が寝転んだ、りゅうねてんだ、りゅねてん、にしてみました)
 そしてたぶん古さでは3が一番、次に1,2ときて4なのですが、違和感がありますよね。
 古い言葉はそれなりの威厳があると思うのですが、りゅねてんって……
 威厳のいの字もありません。
 じゃありゅねてんを無視してそれ以外はどうなのかとなりますと、これもうまい具合には行かないんです。
 どうも1より2の方が古めかしくてかっこいいような気がします。
 若干古語だからでしょうか? 
 そんな事を言い出すと4でさえ、もう音しか残っていない言葉なのだという解釈もできてしまいます。
 堂々巡りです。
 人名はまた更にややこしくて、現代語で、しかも世界の住人には意味が一目瞭然だと言う名前なら、やはり日本語のように古田さん、とか付けるべきなんだろうか?
 それともそれは後添えとして置いておいて、音を重視し(つまりはカタカナで)表記すべきだろうか?
 違う国ならば名前の付け方も文字も違うだろう、それでも同じ文字で(つまりはカタカナで)本当に表記すべきなんだろうか?
 けれどもしその異国の人々の遣う文字が表意を重点においた文字だったら、やはり名前だけでも漢字を使うべきなんじゃないだろうか?
 だったら、それこそ意味と音とのどっちを優先させるか…漢字の意味を優先して名前を付けると、カタカナ表記の音優先の国の人々と大きな誤謬が生じないか…?
 かといって漢字の音を曲げるのは(当て字ですね)憚られるしなあ……。
 なんだか泣きたくなってきます(涙/笑)
 うっぴーさんはどう思われますか?
 私は、ただその世界の風景をそのまま持ってきたいだけなのですが……こんな事態に陥って、本格ファンタジーが書けずに今は現代物のファンタジー(懲りない)書いてます。
 本当に長々とすいません。
 もし掲載されるなら、抜粋した方がいいのではと良心の呵責に苛まれたので、この辺で終わらせます。
 実はまだあるのですが(笑)


● 答え ●

 これはいくらなんでも考えすぎですね。

 作品そのものに作用しない「細部の設定」はある意味徒労でしかありません。

 物語の「細部の設定」には2種類があります。
 1つは、その作品のストーリーに深く結びついているモノ。もう1つは、どうでもいいモノです。

 例えば、主人公が魔法使いだとしましょう。
 彼(彼女)が得意な魔法や、よく使う魔法の設定などは、当然、練っていた方がイイですね。
 しかし、それ以外の登場予定のない魔法の設定を微に入り細に入り考えても徒労に終わります。
 その辺は系統のようなモノを大雑把に考えておけば良いのです。
 もう1つ、ファンタジー世界の大陸の地理は大雑把に決めておく必要があるでしょう。
 移動する際などに必要な情報となりますからね。
 でも、帝都からラピス村までの距離は125,56qだとか、ショート・ソードはレムリア大陸では50ゴールドで売られているなんていう設定までは考えなくて良いのです。
 というより考えるだけムダです。

 あまり細部にこだわりすぎるのは、よろしくありません。
 真にこだわるべきはストーリーやキャラクターでしょう?


 山の名前がストーリーに深く関わっているのなら、頭を悩ます必要があるでしょうが、そうでないなら適当に決めてしまって構わないのです。
 また、多少違和感があるような人名でも、繰り返されているうちに馴染んできて違和感が無くなってくることは良くあります。
 西洋ファンタジーなら、外人っぽいカタカナの名前。和風ファンタジーなら漢字の名前。というようなアバウトな決め方で問題ありません。

 設定は矛盾が出ない程度に練っておけば十分です。

 細かい設定にこだわるあまり、いつまでたっても小説本文が書けなかったり、ストーリーの方がおざなりになってしまっては本末転倒でしょう。もっと気軽に小説を書いてみてください。



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猫十字 八万さんからの質問  
 冒頭はどう始めるべきか? 
 
 実は「冒頭」について皆さんの意見を聞きたいと思い、書き込みしました。
 長編ストーリーで導入である「冒頭部分」は特に大事な部分ですが、一口に盛り上げる、
 というのは難しいものです。戦闘があればいいのか? 人が死ねばいいのか?
 そういった極端な例だけでなく、皆さんが気をつけている点、
 こういうのを入れよう、と考えている点を教えてくださいませ。


● 答え ●

 第1研究室の「ストーリーの作り方のヒント」でも紹介しておりますが、

 冒頭においてはインパクトが何より大事です。

 ガツンと、なにか大きな衝撃を与えて読者を物語に引き込むのです。
 漫才で言えば、掴みの部分ですね。
 この掴みがうまくいかないと、もうそれだけで作品が台無しになってしまいます。
 なぜなら、この小説はツマラナイと第1印象で読者に思われたら、
 それ以上、読んでもらえない可能性があるからです。

 特に、だらだとした日常や壮大ぶった世界観の説明から物語が始まるとヤバイです。

 読者は退屈し、あるいは世界観を呑み込むのに疲れて、
 「もういいやバイバイ」と読むのをやめてしまう危険があります。
 あなたも、そんな経験がありませんか?

 コツとしては、とにかく緊張感のある場面から入ることですね。

 重大事件や悲劇、宿敵との対決のようなシーンを冒頭に持ってくるとイイです。


はまさんさんの意見
■基本的には

 話し手は読者が物語(形式、内容ともに)について
 何も知らないというところからはじめなければならない。 だから、

 いつ、どこで、何が起こっているのか、主人公は何者なのか、明示する。
 特に何と何とが『対立』しているのかはっきりさせる。


 ミステリーなら解決すべき事件を、
 ファンタジーなら倒すべき魔王を、
 ラブコメなら恋する相手を、提示する。
 かと言って、最初に説明を詰め込みすぎると、読者の喉につかえてしまう。
 最初から、自分の持てる全てをぶちまけない。
 さもないと最後の重要な場面で何も見せるものがなくなってしまう。
 あとは、全体としての構成の問題です。読者に何を読んでもらいたいのか。
 書き手が自分できちんと把握していれば、何を最初に知らせるべきかおのずとわかるはずです。

■応用としては

 わかりやすく、すんなりと展開して行く文章を書くには、
 時間軸と方向軸を狂わせない。


 書き出しを時間と方向の起点になるようにすれば、文章の狂いはなくなる。
 例えば、時と場所がすっきりしていれば、読者はその文に入るのが楽になる。
 「この夏休みにハワイに行った」
 「昨日、北斎の展覧会を見た」
 「先週の土曜日に友人の山本が結婚した」と言うように。
 これが「『見ろ、あの山を』と、私は思わず叫んでいた」と言う例文だと
 読者は語り手が何をしたいのか、わからないところからはじめなければならない。
 ま、これは小説以前の、作文のテクニックですが。

 だからボクは冒頭で、動作と情景の描写を同時に行う、と言うテを良く使います。
 「(誰それが)どこそこの坂を上った」と言うように。
 ただこれもひとつの手法に過ぎない。安易な真似は危険です。
 例えばボクならすぐに良い方法をパターンとして挙げろと言われれば、
 10以上は最低でもあります。

 要は各人で、表現のバリエーションを持つことですね。


■コツとしては
 筆が乗るまで時間がかかるものです。つまり、

 書きはじめには無駄が多くなりがちになる。
 だから推敲でいっそのこと、冒頭の何枚かはバッサリと切る。


 すると割と、登場人物のアクションから入ることができたりします。
 ただその判断を下せるかどうか、もう最終的には構成力の問題です。


紅月赤哉さんの意見
 どうもです。紅月赤哉です。
 長編の冒頭部分……。
 僕が考えていることは「作品の雰囲気に合う冒頭にする」ってことです。分かりにくいですが……。
 僕はこれまでいくつか長編を書いていますが、主人公の過去の一場面を書いたり、
 ラストシーンの一部を持ってきたり、普通に舞台設定みたいなものを軽く書いたりといくつか、
 パターンがありますが、その作品を引き立たせるのに何がいいかなぁと考えています。
 その結果、インパクトにかけてしまうかなと思っても仕方ないとある意味割り切っています。
 確かに冒頭にインパクトを持ってくるのは大事だと思うんですけど、
 あまりにそれにしばられてもなぁと僕は思うんですよね。
 言ってしまうと冒頭のインパクトがちょっと薄くても、
 内容が面白ければ読者は読んでくれるだろうと思うんです。
 こんな意見もありますと言うことで。
 もう一つ、例を上げて質問に答えると、

 
僕の作品で反響が大きかった冒頭は
 「ラストの盛り上げシーンをネタばれしない程度に持ってくる」でした。


 そこまでの展開がどうなるのかってことで気になる人が多かったようです。
 お役に立てたか分かりませんが、これにて〜。


月見さんの意見
 こんにちは、楽天で資料用に注文した本がなかなか届かずにやきもきしている月見です。
 僕は長編小説の冒頭部はその作品の主題を意識して書きます。
 アクションで爽快感を出したいのなら、出し惜しみせずに、
 しょっぱなから主人公に全力で暴れてもらい、
 心の葛藤を描きたいのなら悩みのもととなる過去のトラウマなり何なりを象徴的に描写する。
 といった具合に。

 早いうちに読者に作品の方向性を明示しておくのは大事だと思いますよ。

 冒頭部でミステリーっぽい雰囲気を漂わせておいて、
 後半がハードなアクションのみで構成されていたりしたら、
 読者は「この人は一体なにが書きたいの?」と混乱してしまいます。
 短編ならそれが逆によい方向に働くということもありますが、

 
長編だとやっぱりこの「主題の一貫性」というのは非常に重要だと僕は考えます。

 僕の意見が少しでも参考になってくれれば嬉しいです。


模造品さんの意見
 どうも、模造品です。
 冒頭ですか。

 プロの作品なんかは、大半が戦闘から入って、
 主人公の力を印象付けるような形を取っていますよね。


 やはり、それが最も確実な方法なのでしょう。
 私個人として気をつけているのは、そうですねぇ……意識して、というわけではないのですが、
 物語の根幹となるものを、プロローグという形で入れるようにしていますね。
 数を書いてないので、例は少ないですが、ヒロインが束縛された環境から逃げ出したり、
 今考えている作品では、『思い出』が少し関係してくるので、
 夢という形で主人公に過去を少し思い出してもらったりしていますね。
 長編で、しかも異世界ものだったら、なるべく世界を知ってもらうために、
 多少説明調になりますが、世界を描写する事が多いですね。
 ただ単に歴史を列記しても意味はありませんから、キャラクターに現状を見させて、
 それに補助的な説明をつけていくという方法を取っていますね。
 と、こんなところでしょうか。お役に立てれば嬉しいのですが、
 例を引くために自分の過去の(といってもつい一ヶ月前のですが)作品を読んで、凹みました。
 出直してきます。模造品でした。


はやしさんの意見
 私も模造品さんのように、冒頭はプロローグとして事の起こりを描くようにしている気がします。
 それと長々と書かずに、すぱっと断片的な場面を示すように心がけている……つもりです。
 投稿作品の序章が長い、との指摘を受けている手前、断言はできませんけど。

 私自身、あんまりつかみが長いと「はやく本編入れよ〜」と飽きてしまう方なので、
 そこは注意しているつもりです。


 で。よくよく考えてみると、私の書く物は、序章で人が必ず死んでいる気がします^^; 
 以前投稿した「Blind」もそうですし、
 中には冒頭で主人公が死んでしまうような幽霊物まであります。芸がない証拠でしょうね。
 もっと研究しないとな、とこのレスを書きながら苦虫を噛み潰したはやしでした。


ミユウさんの意見 
 確かに長編の冒頭は最重要ポイントのうちのひとつですね。
 「1話完結のダイジェスト的ストーリー」をもってくるとかいうのもありですね。
 マンガの連載第一回目とかではよくそういうのを目にします。
 たとえば冒険物を書くとして、旅立つシーンから書くのではなく、
 旅先で遭遇した出来事を書いて、そのなかで旅の理由だとか世界観だとかを描く、と。
 伏線も張りまくる、と。
 まあそんな方法もあるんじゃないかなと思います。


たなべさんの意見 
「うわー、残りの宿題が暴れだした!」
「落ち着け!全勢力を使って、対抗しろ!」
「無理です。明らかにこちらの分が悪いです…うわああ」
「ぐわああああ」な、たなべです。

 僕の長編冒頭は、謎めいた冒頭です。

 
参考にしているのは、時雨沢恵一先生 の「アリソン」の冒頭です。

 
冒頭だけ読んでも、全く意味が分からないのですが、
 全文を読むと冒頭がわかるという、形式です。


 でわあ!


だまさんの意見 
 こんばんわ。人間界の「食物連鎖」ピラミッドの下から二番目に君臨するブービー男、だまです。
 理想としては、

 物語の世界観をまんべんなくちらつかせ、
 いくつもの謎を残しつつも抽象的かつインパクトのある冒頭がベストかと。

 僕なんかひとつも実現できそうにないですが。
 長編を未だにひとつも完結させたことのない未熟者の意見でした。それでわ。

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兵廼 紅さんからの質問  
 文章添削のお願い 
 
《荊のように入り組んだ灰色のパイプを振りほどこうともせずに、少女はズルズルとそれらを引きずりながらジンの前に歩み寄っていく。
腿のあたりまで伸びた黒い髪、のれんのように垂れ下がる前髪の奥には、炯炯とした鬼灯のように赤い瞳。
そんな異容の少女はジンに近づき、すがるようにジンに抱きついた。
肩で息をし、酷く疲労したかのような様子だ。》

↑これはとあるゲームの小説を描こうと思って、書いたものの中の文章のひとつなのですが、どうでしょうか?

見ていておかしい、またはもう少し表現の仕方がある、という部分を探しております……。


● 答え ●

 私より、はまさんの答えが的確だったので、はまさんの答えを掲載します。

はまさんの答え
 兵廼紅さんには申し訳ないのですが、実はこれ、典型的な悪文です。
 ただ余りにも典型的なので、逆に手直しは簡単ですから、さっさと直してしまいましょうか。

■まずは1段落目。
 一文の中に複数の情報が入り込んだ文章を、《複文》と言います。

 原則として、一文の中に入っている情報は、ひとつにしましょう。

 一文の中に入っている主語と述語は、ワンセットのみにする。
 よほど書き慣れている人でもなければ、混乱してしまいます。
 では試しに1段落目を分割してみましょう。すると、こうなります。
「荊のように入り組んだ/灰色のパイプを振りほどこうともせずに/少女はズルズルとそれらを引きずりながら/ジンの前に歩み寄っていく」

 これを更に推敲すると、こうなるでしょうか。素っ気ないですが。
「灰色のパイプは、荊のように入り組んでいる。少女はズルズルとそれらを引きずる。振りほどこうともしない。ジンの前に歩み寄る」
 あと、パイプと少女がどのような状態になっているのか。
 以上の例文だけでは、ちょっとボクには読み込めませんでした。
 もしかすると、この例文の前後で説明が成されているのかもしれませが、この例文だけでは、わかりにくいのは確かです。

■次に2段落目。
 《複文》の問題はすでに指摘したから、放っておくとして。
 今度は描写がおかしい。情報の出し方に問題があります。

 「髪→髪→目」と、髪の描写が二度も繰り返されている。
 部分にこだわって、少女の全体としての印象が伝わらない。


 あるひとつの情報を提示することで、結局何を言いたいのかがわかりません。
 そこで、ちょっと情報の出し方をボクなりに書き直してみました。
「黒い髪は股のあたりまで伸びていて、前髪ものれんのように垂れ下がっている。その奥に、赤い瞳が鬼灯のように炯炯と光っていた」
 この方がまだイメージを捉えやすいのではないでしょうか。

■最後に3・4段落目。
 やはり《複文》は放っておいて。
 修飾語を取り除いて、3段落目を要約すると
「少女はジンに近づき、ジンに抱きついた」となります。

 これ、2回目の「ジン」は必要ないですよね。
 「少女はジンに近づくと、抱きついた」で充分に伝わります。

 ま、これは《複文》だからおかしくなりがちなので。
 「近づく。抱きついた」と文章を短く切ってしまえば、このようなミスはなくなります。

 それから、視点もビミョーに狂っているようですね。
 ずっと少女を中心として文章を描いていたのに、「そんな異容の少女は」とあります。


 これ、少女自身が自分を指して「異容」と思うでしょうか。
 「異容」だと思っているのは、ジンを通しての描写になるでしょう。
 だから直すとすると、
「ジンの目に、少女はいかにも異容として映っているのだろう」
 くらいが妥当かもしません。
 それから最後に

 「すがるよう」「疲労したかのよう」と似た表現を、間を置かずに何度も使うのは、
 あまり関心しませんね。


 手直しすべき点は、ま、ざっとこの程度でしょうか。
 以上です。

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兵廼 紅さんからの質問  
 文章添削のお願い・2 
 
《季節は秋に入ろうとしていた。
 新学期は、まだ夏の名残なのか、日差しは強いし気温だって高かった。
 友人の声も耳から通り抜けるようだった。
 夏の日に起こったひとつの不幸。父が車にはねられ、逝ってしまったのだ。
 事故だった。父は老齢にさしかかり、仕事も退職していた。

 僕が五歳のとき。
 黒い服を着た父。その目には涙など含まれてはいなかった。
 今にしてみればあまり覚えていないが、ひょっとしたら母を葬ったのは父なのではないか。
 そんな考えすら当事は頭におかれていたかもしれない。
 母親を慕い、甘え盛りだった僕にとっては、母を自分のものとしてとどめることの出来た父に意味もわからない嫉妬を覚えた。
 まだ一歳になるばかりの妹は、物心つく頃には母の存在を持たずに悲しみすら覚えずに済むんじゃないか、その皮肉な幸福にすら嫉妬した。
 早い話母に関わるすべてに嫉妬していたのだろう。

 当事僕にとっての赤ん坊という存在は、四六時中泣き喚くし、オムツも自分では取り替えられないという厄介な存在でしかなかった。
 当たり前のその未熟さと無遠慮さが、時に怒りを覚えるほどに気にくわなかったのである。》


 この時点移動って不自然ですかね…。
 一応主人公の一人称で父親の死後から昔を思い出して…という展開でいこうと思うのですが…。
 この文章の不自然でおかしなところ、またすぐに直せるところがありましたら指摘お願いします!
 兵廼 紅でした〜


● 答え ●

 私より、はまさんの答えが的確だったので、はまさんの答えを掲載します。

はまさんの答え
 いやいやいやいや!
 なんですかこの“はまさん”の扱いって。どこの完璧超人ですか!?
 リアルの自分自身とのギャップに戸惑っています。キャー! 恥ずかしい!

 では本題です。ただこの質問。
 基本的な質問でありながら、基本であるがゆえに、とても答えるのに難しい。
 まず今回は、文章が不自然だとか言うつもりはありません。

 時点移動、および構成に関する指摘だけをします。
 そうすると、この構成には無駄があることに気づきます。


 以上の例文は《現在》と《過去の回想》と言う、ふたつのシーンから構成されています。
 ですが、これらに加えて、もうひとつ。
 回想から戻った後の、《現在》のシーンが《過去の回想》の後に続くであろうことが予想されます。

 つまり《現在→過去の回想→現在》と言う構成になっている。

 だから今のところ、
「季節は秋に入ろうとしていた。僕が五歳のとき。当事僕にとっての……(現在に戻る)」
 と言う構成になっていますが。これは別に、
「(今から何年前)僕が五歳のとき。当事僕にとっての……(現在に戻る)。そして季節は秋に入ろうとしていた」
 という構成でも構わないのではないでしょうか?

 この構成の方が、《過去の回想→現在》と、ワンシーン省略できますし、
 時系列に沿ってシーンを配置できます。
 また「僕が五歳のとき」といきなり情報を提示することで、読者の興味をひくこともできます。
 過去を物語の起点とすることで、同時に自己紹介を行うことも可能でしょう。

 以上の理由により、例文の最初のシーンは、不要となります。
 だから削っても構わないのではないでしょうか。

 「構成に余裕あっても無駄はなし」

 がボクの座右の銘なので。
 ただし、以上の指摘は作品を「より良くするため」のものであり、必ず行わなくてはならない類のものではありません。
 別に、このままでも、通じる時は問題なく通じるでしょう。

 ではこの例文の最初のシーンが不要だと言う、論拠がどこにあるのか。
 その理由は、また別のところにあります。
 そのためにも、時点移動の真の問題点について知る必要があります。  
 ラノベ研の掲示板を覗いていて、前から感じていたことがあります。
 時点移動に対する、質問疑問が割と多い。
 と言うのも、うっぴーさんが時点移動や回想を、禁じているからなのですが。
 しかしみんな、その禁じるべき理由がわかっていない。
 だからどうしても戸惑いを覚えてしまう。

 しかしこれは、時点移動の何が問題なのかが明確にわかれば、時点移動を禁じる必要性はなくなる、と言うことにもなります。

 《時点移動》は文学用語で、《錯時法》と言うこともできます。
 錯時法とは、諸事情が起こった順序と、それらの諸事情が報告される順序の不一致である。
 以上は、辞書からの抜粋です。

 実際、錯時法は便利な手法です。
 ざっと挙げるだけでも、回顧、回帰、後読法、カットバック、スイッチバック、フラッシュバック、予知、予見、予告、先読法、フラッシュフォワード、と多くの種類がある。
 ならば錯時法を使うと、なぜ、どのような問題が生じるのか。
 これについて実は、うっぴーさんが既に、『過去を語る回想形式の弊害』において

 「半分ネタバレしているのに等しい所行です」

 
と、答えをおっしゃっています。
 ただ、これだけでは充分ではない。
 そこで、錯時法の功罪と使用上の注意について、補足させてもらいます。
 物語構成をレースに例えるとしましょう。
 ルールは、スタートとゴールの地点が決まっていることだけ。
 走り方も、コースも、参加者の自由です。
 書き手の目的は、物語をスタートからゴールへ、確実に向かわせること。
 前進して後退しないことです。

 これを物語構成に当てはめると、読者に新しい情報という感動を次々と与える、
 ということになります。


 一直線にゴールに向かわなくても良い。
 巧者であれば、寄り道や抜け道、休憩の仕方を知っているでしょう。
 熟達者であれば、最短距離で、確実にゴールへ到着できるでしょう。
 でも初心者は、すぐにゴールを見失いやすい。
 足踏み状態になり、同じ所をグルグルと回ってしまう。
 それは実質、進んでいないのも同然です。
 例えるなら、鎖につながれた犬が、コンパスのようにグルグルと回って、犬小屋から一定範囲外に出られないようなものでしょうか。
 だからうっぴーさんは、時点移動を禁じていたのでしょうが。
 ただし、足踏み状態になるのは、別に回想や錯時法に限った話ではありません。
 本筋と無関係な外伝的展開や、無意味なアクションやアクシデントの繰り返しなど。
 他にも要因はまだまだあります。
 全校集会での校長先生の話って、長いだけで、退屈で眠くなりますよね。
 それって、どうしてかわかるでしょうか?
 あれは、

 同じ内容の話を繰り返して、内容が足踏み状態になっているからです。


「AだったけどBのような気もするんでCに行こうかと思ったけど、やっぱりAは……」
 と、先述された情報を教えられても、読者は興味が持てません。

 そうではない。読者を引きつけるには、物語をとにかく進めなければならない。
 「AだからB」「BだからC」と論旨を積み重ねて、次々に新たな情報を、読者に提示する。

 ここでさきほどの兵廼紅さんの例文を、ボクがどう添削したか思い出してください。
 《現在→過去→現在》と並ぶ3シーンのうち、ボクは最初の《現在》のシーンを削れと言いました。
 これはなぜかと言うと、1シーン目と3シーン目が、内容的に重複することになるだろう、と考えたのです。

 内容が重複する。すなわち、構成が足踏み状態になる、と言うことです。

 恐らくは、3シーン目の《現在》で、最初のシーンの内容も、充分に説明することができるのではないでしょうか。
 と言うわけでボクの意見としては、
 錯時法は、ストーリー構成においてとても有効な手段です。ただし、

 ●物語のゴールを見失わない。
 ●同じところで足踏みして、グルグル回らない。
 ●読者に新しい情報を与え続ける。
 ●むやみに回想に頼って、無駄なシーンを増やさない。


 という、以上の条件を守れる人に限ってなら、ですが。
 以上の条件をクリアできるような方なら、もうすでに初心者は卒業でしょう。
 次の段階として錯時法を使った構成にチャレンジするのも結構だと思います。


ちゅーとはんぱーさんの意見
 いくつか進言をいたします。

> 季節は秋に入ろうとしていた。
> 新学期は、まだ夏の名残なのか、日差しは強いし気温だって高かった。
> 友人の声も耳から通り抜けるようだった。
> 夏の日に起こったひとつの不幸。父が車にはねられ、逝ってしまったのだ。
> 事故だった。父は老齢にさしかかり、仕事も退職していた。

 まずはこの上記引用した部分についてです。
 「〜た。」と言うのが語尾で連発されていますが、

 文章一つ一つが半端に長いせいでリズムが損なわれているように感じられます。


 それと、父親が事故死した時期がはっきりとしないので、そもそもどこから時点移動しているのかか掴めません。
 また、季節が秋に入るというのに新学期が始まったばかりのような印象を受けるので、新学期と言う言葉は使わず、中高校生ならば二学期、あるいは大学生ならば後期としたほうが適切だと思います。学校によって色々あるとは思いますが。
 それらを考慮して、差し出がましいことは承知で、以下のように変えてみました。

『季節は秋に入ろうとしていた。
 ◆〇年の▲期は、まだまだ夏の名残があった。
 日差しは強いし気温だって高かった。
 目の前には棺桶に入った私の父親。
 僕は暑さに当てられたように立っているだけだった。
 友人の声も耳から通り抜けるようだった。
 夏の日に起こったひとつの不幸。
 父が逝ってしまったのだ。
 事故だった。』

 上記は「〜た。」を意識して使ったので、少々くどい仕上がりとなりました。まだまだ改変の余地はありますが、とりあえずおいておきます。

 それで、ご相談内容である時点移動についてですが、まず主人公がどの時点で当時の事を考えているのかが解りません。
 5歳の男の子が考えている(さらに愛しい母が死んだ直後で)にしては非常に高度で冷静な思考内容ですし、現在である“僕”の回想であるとしたら、的確すぎるといいますか、記憶がはっきりしすぎていて違和感を覚えます。
 ショッキングな内容として幼心に記憶しているのならば、まだ納得はいきますが、そのような描写がないのでそうと思えません。
 更には父に対しての感情を吐露していると思いきや、突然赤ん坊云々と最後に来ているので、混乱の様相が深まってしまいます。

 私が何を言いたいのかまとめますと、

・現在は“いつ”であるか。
・回想しているのか、人格ごと過去の視点なのか。
・過去で何を言いたいのか。


 と言う三つのことをはっきりする事です。
 色々と失礼を承知で素人が好き放題語りましたが、兵廼紅様のこの小説におけるご意向を無視した戯言ですので、なにとぞ平にご容赦のほどを。
 それではお目汚しもこの程度に、 ちゅーとはんぱーでした。


珠翠さんの意見
 文章の好みは人それぞれ。なので、半分聞き流して読んでください。

 
これを一読して、わかりづらいと思いました。
 父親の死と母親の死。どちらに比重を置いてるのか、わからなかったんです


 死んだ父親に恨み言を言いたいのか、母の死を引きずってるのか。時点移動は、混乱しませんでしたが、この辺が、受け入れにくかったです。あとは…
『今にしてみればあまり覚えていないが、ひょっとしたら母を葬ったのは父なのではないか。』
 この一文は、いろいろ詰め込んでて、読みづらかったです。読みやすくするなら
『五歳の僕がどう感じたか、よく覚えていない。しかし、ひょっとしたら、母を葬ったのは父ではないかと感じた気がする。』
 こんな感じでしょうか。でも、これらは、私の好みなので…
 では。小説頑張ってください。

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兵廼 紅さんからの質問  
 文章添削のお願い・3 
 
 一応、以前指摘を受けた小説の文章を改良してみました。
 またまた指摘など下さると有り難いです。
 

《僕が五歳のとき。
 母は不意な交通事故で逝ってしまった。五歳の僕と、一歳の妹。それと無精髭の似合う父を残して。 
 黒い服を着た父。その目には涙など含まれてはいなかった。 
 その傍らで僕はこれ以上涙が出ないのでは、と思えるほどに泣きじゃくっていた。腰の骨が見てわかるほどに酷い折れ方をしていたらしい。はねた相手はその場から立ち去ったそうだ、いわゆるひき逃げというものである。
 相手のおぼろげな人相も浮かばず、性格も知らず、ただ母が死んだという事実が僕にのしかかった。相手がわからないということから、ひょっとしたら、母を葬ったのは父だったのでは。
 そんな考えすら当事は頭におかれていた。母親を慕い、甘え盛りだった僕にとっては、母を自分のものとしてとどめることの出来た父に。
 そして、まだ一歳になるばかりの妹は、物心つく頃には母の存在を持たずに悲しみすら覚えずに済むんじゃないか、その皮肉な幸福にさえも嫉妬していた。

 当事僕にとっての赤ん坊という存在は、四六時中泣き喚くし、オムツも自分では取り替えられないという厄介な存在でしかなかった。
 当たり前のその未熟さと無遠慮さが、時に怒りを覚えるほどに気にくわなかったのである。腹が減ったと泣き喚く妹。
 オムツを替えろと催促し、また泣く。父に言われ、渋々未熟な妹の世話をさせられたのを覚えている。
 妹の名は【あかり】父の父。僕の祖父の名前が【あきら】だったことから、その名前を受け継いであかりという名をつけたらしい。幼稚園に入るほどの年になり、僕は小学生で遊びたい年頃だったのに。ようやく赤ん坊という厄介なものから、一応一人で歩ける程度の年に、あかりもなっている。それなのに母がいないせいか、あかりは僕に甘えすぎだった。

 学校が終わればそのまま妹のわがままに付き合わされる。家にいても何かと遊べとねだるし、一人で寝ることすら出来ないのだ。夜中にトイレに一人で行けないからないから、と起こされたりもしたし、時には寝返りのときに僕を蹴ることもあった。
 何故父が僕の部屋で妹を寝させたのか。世話のかかる厄介な妹という存在を、そして小学生になり、それなりに自分のことができるようになっている僕を。
 都合の良い世話役として選ばれていたのだ。妹が僕を慕っているのを良いことに、普段の世話は僕にずっとやらせている。これは妹が小学生になっても変わりはしなかった。
 
 それから幾年か経て、季節は秋に入ろうとしていた。
 まだ夏の名残なのか、日差しは強いし気温だって高かった。夏の日に起こったひとつの不幸。
 父が車にはねられ、逝ってしまったのだ。事故だった。

 父は老齢にさしかかり、仕事も退職していた。退職後はどうするつもりだったのだろう。
 二人の子供を抱えたその身で、退職後の生活を楽しめていたのだろうか。
 半月前に行われた葬儀がウソのように思えている自分がいる。
 視界を埋め尽くし、蠢く黒い参列。すすり泣く妹や親戚の声。
 棺桶から見えた父の顔は、すこしむず痒そうな、若干の不満を残すような。
 言ってしまうと失礼なのだけど、その表情は滑稽にすら思えたのだ。》


 自分で悪い点に気づけないのがむず痒いです^^;
 良ければおかしな点、改善したほうが良い点を踏まえて教えてくださると有り難いです。
 よろしくお願いします!


● 答え ●

 
私より、はまさんの答えが的確だったので、今回もはまさんの答えを掲載します。
 はまさんにはもう足を向けて寝られません(汗)。

はまさんの答え
 実は、もうそんなに改善すべき点はありません。
 だから、言うことがないんですよね。

 強いて言うなら、体言止めが多用されています。

 気をつけてください。読みにくくなります。
 ですから、悪いところの直し方ではなくて、より良くする方法。
 場面転換のちょっとしたテクニックをお教えします。

 「それから幾年か経て」のあたり。
 最初に「僕」を五歳と限定して設定しているのだから、いっそのこと現在が何年後なのか、具体的に言及してみる。
 例えば「幾年か経て、中学生になり」とか「十年がすぎ、僕は中学生になった」というように。
 そうすると読者に、「現代の僕」の情報がストーリーとして伝えられる。
 つまり、自己紹介の代わりになる。

 それから、前後のシーンで季節を合わせても面白いでしょうね。
 「母が死んだ、あの日に良く似ていた秋だった」とか、
 「母が死んでから、十回目の秋が来た」と言うように。
 ……これで気をつけるべき点は出尽くしたはずです。

 後は、添削例を理解するまで何度も読み返したり、書きながら、
 理屈としてではなく、経験と感覚として身につけるべきかと思います。


 でなければ、どうしても対処療法の繰り返しになりますからね。
 ですから、次は作品を書きあげてから、の話になると思います。

 失敗を恐れるのも構いませんが、それよりも一作完成させた方が、よほどご自分の経験になります。

 頑張ってください。
 

珠翠さんの意見
 前より、ずっと読みやすいです。正直、直すところはないのですが、三つほどイチャモンつけさせてもらいます。
 妹の名は【あかり】父の父。
 この文章がつながってて混乱したのが一つ。もう一つは、どうでも良いことですが

 『母は不意な交通事故で逝ってしまった』 

 交通事故って普通、予測できないのだから、『不意』は必要ないんじゃないかと

 で、最後に、

『相手のおぼろげな人相も浮かばず』

 浮かばずってことは、主人公は母が跳ねられるのを目撃したのでしょうか?

 もしそうなら、そのことを書いたほうが良いし、違うなら、見てないなら、浮かばないのは当たり前。浮かばずより、知らずのほうが良いかなと思いました。

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若月さんからの質問  
 「無口で無表情」なキャラを描くためにはどうしたら良いか? 
 
 初めまして。若月と言います。受験生の癖に執筆にハマッている愚か者です。これから宜しくお願いします。
早速質問させていただきたいのです。
 今『無口で無表情』という、現実ではあまり(全然?)見かけないキャラを書いているのですが、どうしても描写が上手くいきません。
 『表情を変えない』とか『無表情のまま』など同じような表現ばかりになってしまうのです。こういう感じのキャラを書くのは初めてなので、是非ともアドバイスなどを頂きたいです。


● 答え ●

 まずは、その人物がどうして『無口で無表情』なのか、
 どこまで『無口で無表情』なのか、考える必要がありますね。


 特に理由もなく『無口で無表情』だと、作為的な感じがしてしまいます。これはいただけません。
 その人物のバックグランドを練ってみましょう。
 例えば、言語障害であるとか、トラウマから心を閉ざしているのだとか、失敗続きで無気力になっているのだとか、それとも故意に感情を隠しているとか、はたまた他人に対して無関心だとか……
 程度としては、人形みたいに周囲からの呼びかけに対して一切反応しないのか、話しかけられれば答えを返すのか、なにか熱中できるモノや、特定の個人と会っているときは表情豊かなのか。
 これらの設定によって、当然、描写方法は変わってきます。
 だから、一概にこうするべきだ! というアドバイスはできません。ケース・バイ・ケースなのです。
 設定を作って、その人物をリアルに想像し、どんな態度や反応をするのか考えてみてください。
 それがコツです。

 ただ、やってはいけない描写方法があります。
 それは、「彼(彼女)は無口で無表情だ」と地の文で書いてしまうことです。


 人間の性格というのは、「彼は積極的だ」「彼女は消極的だ」などとレッテルを貼ることができないものです。
 「彼は積極的なときもある」「彼女は消極的なときもある」というのが、正しいのです。
 「彼は(彼女)は無口で無表情だ」と地の文で決めつけてしまうと、底の浅い、リアリティのない人物像ができあがってしまいます。

 無口で無表情なキャラを描くトレーニングとして、そのようなキャラが登場する小説を、いろいろ読んでみるといいでしょう。
 例としては、榊一郎さんの「ストレイト・ジャケット」 に出てくるカペルテータなんて参考になると思います。
 

珠翠さんの意見
 初めまして、若月さん。珠翠と申します。
 描写ですか…何度か、無口な奴を書いたことはありますが、

 周りに、うるさいキャラを置くと無口さが強調できます。


 また、周りの評価(何考えてるかわかんねーよとか周囲に言わせてみたり。)や描写…いえ、質問は描写についてでした。
 ええと。

 
「………」を使うと沈黙の表現としては簡単ですが、
 こればかりでは味気ないですね。


 うーん…私だったら『彼は、まるで聞こえなかったかの様子で、発言者を見る。』とか『筋肉が動くことを放棄してしまったよう』『喜怒哀楽がもとからない人形、いや人形のほうがまだ愛想がある』
 こんな感じで書きます。すみません、あんまりアドバイスになってませんね。
 でも、初めに書いた通り、周りの評価で強調すると、上手く表現できるんじゃないかと思います。


寺宙さんの意見
 初めまして、若月さん。寺宙です。
 僕も無口……的な主人公を書きました。
 その時は誰かが発言しても、決して『嬉しそうに笑った』や『驚いたように目を丸くする』等の直接的な表現は使わずに、『わずかに眉根を寄せた』や、『涼やかに口元をつり上げる』のように
 若干の表情の動きを直接的に表現すれば大丈夫だと思います。

 この時に他の人物を描写するとき笑った驚いたと直接表現すると、完全な無表情ではありませんがその人物と他の人物が対比が良くできると思います。
 と、僕はこんな感じに書いてみました。
 あと、よく使った表現は『冷たい』や『冷ややか』などの形容詞ですね。
 少しでも参考にして頂けたら幸いです。


水無月さんの意見
 はじめまして、若月さん。同じく受験生のくせして出現率高め、水無月と申します。
 無口で無表情ですか……、地の文の例としては
 『相変わらず鉄面皮は崩さずに』、『むっつりと押し黙って』、『仏頂面で』、『愛想の欠片も見当たらない口調で』、『腕を組んで泰然と構えている』。
 最後のはちょっと違うかもしれませんが(汗)。

 安易に「…………」は使わないほうがいいと思います(楽ですが)。

 あと、珠翠の仰るとおり、周りの評価は大事です。
 何度か会話の端に上らせれば「ああ、このキャラは無口で無表情なんだな」と読者もすんなり理解できると思います。
 では、受験生同士頑張りましょう(笑)。


Glaubeさんの意見
 「彼の顔だけが、その『時』を止めている」、「物理的な力が及ぶことのないその顔は」、「永遠に脱げることのない仮面をかぶった彼の顔は」。
 と、こんなものでしょうか。なんか顔だけに限定されてしまいましたが、私の乏しいボキャブラリーではそれぐらいしか思いつきませんでした(汗)。
 しかしこれ、

 その人の「性格」によっても色々と変わってきますよね。

 
起伏はないかもしれないけど一応感情があるのなら、まだ描写のしようがあるかもしれないのですが、完璧に感情というものがないと、かなり限定されてくるような気がします。
 感情がない=表情に変化がないので、こうなると、感情を感じさせる動作や顔を動かす描写は使うと違和感を感じてしまうのではないかと・・・・。
 やはり、「無口・無表情」のキャラの描写は難しいですね。


バカルディさんの意見
 若月さん初めまして。浪人生なのにあっちへフラフラ、こっちへフラフラなバカルディです。(大体この名だって酒の銘柄だし)
 私にはとても人に描写を教える事等できませんが。
 無口で無表情な私から少し。(会えば分かりますが、マジですよ。まぁ普通自分から言わんでしょうか)
 人嫌いを気取ってもいますが、実際どうなのか。
 ……まぁ、とにかく。

 その人物が、何故無口で無表情なのか。それによっても少し違うと思います。

 人嫌いなのか、関心がないのか、気力がないのか、人と関わりたくないのか、感情がないのか、ただ隠しているだけ か、感情を表に出すのが苦手だという事か、生きることに膿んだのか、自分を責めている結果か。
 それとも、ただ作者が故意に無という個性を出そうとしているのか。
 無口で無表情でも、感情があるなら、少し弱みを見せると面白いと思いますよ。
 でなければ、その無表情の裏を見抜けるキャラを出すとか。
 三人称を前提にしているようなので、他に私が言えることは在りません。
 風林火山の山ってのは良いかも知れません?


獅子兵さんの意見
 こんにちは、作家志望のぐうたら学生、獅子兵です。

 無口で無表情なキャラを書くコツは「解説役」をつける事です。
 とりあえず解説役と無口なキャラを中良くさせて置き、
 解説役は黙っている無口の心が解るということにすれば簡単です。

<例>
「どうしたロナルド?」
「……………」
「解った、俺たちはここにいるから。」
 ジェシーがそう言うと、ロナルドはすたすた歩いていった。
「彼はなんて言ってたんだ?」
「トイレだって」

 まぁ、この手は無口君が孤独だと使えませんね。
 こんな駄文ですが、参考になれば幸いです。


一茶さんの意見
 私が一番好きな無表情キャラはアシモフシリーズのスーザン・キャルヴィン博士です。
 知ってる人います? SF好きな方はアシモフの作品おすすめですよ!

 キャルヴィンは、人間<ロボットな鋼鉄の女(比喩です、彼女は人間です)。
 ロボットと接してるときが一番楽しそうで、人間に対しては無愛想で高圧的。
 そんな彼女を表現する文章に、下のものがあります。

「機械と接しすぎたあまり、その鋼鉄が彼女自身の血にも混じってしまった冷たい放心した顔つき」
「博士はにこりともしなかった。笑ったことがあるとは思えない」
「ロボ心理学者スーザン・キャルヴィン!女みたいに歩くロボット!」
「彼女が人と話す時動かすものと言えば、口のみ。口だけ! そのほかの顔の筋肉は一切 動かない。
 それか瞬きだ」
 など。
 彼女がロボットにかかわっているので、それを利用した表現が多いです。
 このように、その人物の環境を利用するのもいいと思います。

 それでは、ここら辺です。

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