第4研究室 創作に関するQ&A 06aP | トップへ戻る |
Glaubeさんからの投稿コラム  
 剣道の構え、技について 
 
 どうも、Glaubeです。はじめに述べておきますが、これはあくまで「参考」程度のものです。
 剣道をやりこ んだ人なら、説明が足りない! というかもしれません。
 それに、いくつか分からず、結局書けなかったものがあります。
 また、多少主観的なものが入っています。
 残念ながら、経験の浅い私では、これが限界でした(汗)。
 ただ、基本的なところは押さえていると思います。


基本的な構えについて
 ここでは、一番ポピュラーな中段を例にあげて話します。
 中段に構えるとき、足は左右並行で握りこぶし一個分ほど空き、
 左足のつま先が右足のかかと辺りにきます。
 これが該当しない構えがあるのですが、それは後ほど。
 左足はかかとをすこし上げ、爪先立ちになります。
 右足もかかとをすこし上げています。よくたとえられるのは「紙一枚分」といわれています。
 両足のかかとを上げるのは、かかとが着いていると前傾もしくはこうけいになってしまい、
 なにしろ前に出にくいのです。
 前に出る時、つま先で蹴らねばならないのにかかとがついてるとワンテンポ無駄ができます。
 それに、体が前後に動いてします。
 しかし個人差はあります、構えは人によって微妙に違うので・・・・。
 上記のとおり足を置いた場合、半身になっていると思います。
 また、足も少々内股ぎみになっているはずです。
 どうでもいいことですが、私は足の置き方について「内股ぎみになる」と言われたことがあります。
 この教え方は、結構ポピュラーな教え方のようですね。
 とはいえ、完璧に内股になっているわけではありませんのでご注意を。
 そして、腰を少しだけ前に突き出し(ほんの気持ち程度でいいですよ)、背筋を伸ばします。

 竹刀の持ち方ですが、基本的には左手の小指・薬指・中指の3本で持ちます。
 小指は竹刀の柄の一番端のギリギリのところにきて、右手は竹刀の鍔(ツバ)のすぐ下にきます。
 他の指と右手は添えるだけで、上からくるように持ちます。
 よく言われるのは「雑巾を絞るように」という言葉です。実際、そんな感じになるはずです。
 ただ、硬く握るのではなく、柔らかく握るようにしますが。
 肘は柔らかくし、肩の力も抜きます。
 そして、左拳は臍の前、こぶし一つ分空けたところに置き、体の中心線からずれないよう、
 真っ直ぐ持ちます。剣先(剣の切っ先)は相手の喉に向けます。

 これで、模範的な中段ができるはずです。
 とはいえ、これはあくまで模範的な構えであって、自分に合うように多少崩した人もたくさんいます。
 特に、竹刀の握り方なんて怪しいですね。
 左手の指3本だけで持っている人はほとんどいないんじゃないかと思います。
 考えてもみてください。
 たった3本で握るのと両手使って握るのと、どちらが早く竹刀を振り回せると思いますか?
 とはいえ、左手の方が右腕より力が入っていることが多いのも事実なわけですが。

○余談
 剣道の構え(ここでは中段・上段・下段を指します)は人間にとって不自然なポーズだそうです。
 というのも、右足と右手が同時に前に出ているからです。
 歩いてみればわかると思いますが、手と逆の足が同時に出てきますよね。
 なので、最初は違和感を感じる方がほとんどだと思います。


足さばきについて
 剣道では8方向への足さばき(足の動かし方)があります。
 基本的には一歩目の足をあまり地面から離さない、
 もしくは完璧に離さずに動かし(摺り足というヤツです)、
 もう一方の足をさっと、すぐに引くようにします。
 このとき、腰から前に出るように動きます。
 わかりやすく言えば、「腰に糸がくくりつけられていて、
 それが引っ張られている」ような感じでしょうか。
 ですが、これも露骨に腰を前に出さないように。
 各方向への足の動かし方については、大体こんな感じです。

 前方・・・右足を前に出し、左足を引く
 後方・・・左足を前に出し、右足を引く
 右・・・右足を平行にずらし、左足を同じように引く。
 左・・・左足を平行にずらし、右足を同じように引く。
 右前方・・・右足を前に出し、左足を引く
 左前方・・・左足を前に出し、右足を引く
 右後方・・・右足を前に出し、左足を引く
 左後方・・・左足を前に出し、右足を引く

 このとき、動き終わったあとはちゃんと元の足の置き方になっているようにします。
 というか、なります。
 この時、摺り足が終わったあと体勢が崩れないようにするのも大切です。
 摺り足についてですが、これも人によって完全に摺る場合と摺らない場合があります。
 ちなみに、私はゆっくり動く時は摺り、早く動く時はステップに近い摺り足でした。
 試合などを見る限り、後者のようが多いように見えます。
 少々説明しにくいのですが、言葉で表すのなら「ススッ、ススッ」という感じでしょうか。

踏み込み
 「震脚」とはまた違う・・・・・と思います。
 一歩目を踏む時に、少しだけ足を上げて地面と平行に「ドン!!」と力強く踏み込むことを言います。
 このとき、タイミングは相手に打突が当たったと同時でなければいけません。
 そして踏み込んだ後すぐに左足を引きつけすことが大切です。
 足はどれくらい上げるのかは個人差もあると思います。

〇余談
 剣道は摺り足のため、体の上下がほとんどありません。
 熟練した達人ともなると、3センチ(5センチだったかもしれません)ほどしか頭が上下しないそうです。
 また、摺り足なので足の皮がむけやすいです。初めての人ほど多いですね。
 これが繰り返されると、足の皮が分厚く、硬くなります。私は足の皮が1ミリほどありましたね。
 それと、剣道ではあまり足の爪を伸ばしません。
 というのも、相手に怪我をさせる恐れがあるからです。
 ちなみに、私は後ろに移動する時に右足のかかとが左足の親指に当たり、
 爪がめくれそうになった(とはいっても実際にめくれたわけではないですけど。
 ただ、足の爪に一本、白い横線が・・・・)という体験をしたことがあります。
 ただのアホなので、私以外はこんなことないとは思いますけど。
 それと、素足に画鋲が刺さったことがあるのですが、少し抜けにくかったですね。
 足の皮が厚くなってたせいだと思います。
 画鋲を抜こうとすると、足の皮まで少し引っ張られるんですよ。
 もちろん難なく抜けましたが。
 踏み込みについてですが、初心者はこれを苦手とします。
 何故かと言いますと、やってるうちにかかとが痛くなるんです。
 そもそも、人間が歩く場合、かかとから地面につきますよね。
 慣れるまで、地面と平行に強く踏み込むのは難しいんです。
 反面、慣れるとどうってことなくなります。
 しかしあくまでも踏み込みはかかとから踏み込むのではなく、
 足全体で同時に踏む込むのでそのあたりを誤解しないように。
 これは看護師の母親から聞いたのですが、剣道をしていると貧血になりやすいそうです。
 踏み込みをしていると、血液中の赤血球が破壊されるのだとか。
 衝撃が強すぎるせいですかね? 確かひどくなると血尿が出るとか・・・。
 そういえば、コーチが変わってシゴキがひどくなった後輩が、「血尿が出た」といってましたが。
 まあ、初心者にはそんなことほとんどないでしょう。
 よっぽどつらくなければ大丈夫だと思います。現に私、血尿なんて出したことないですから(笑)。


剣道の構え
 剣道の構えはおおまかに分けて
 「上段・中段・下段・二刀流・八双・脇構え・小太刀」の7つに分かれます。
 しかし試合で使えるのは「上段・中段・下段・二刀流」です。で、どんな構えなのかというと、

上段:柄を握っている拳が額の少し上かもしくは頭の上にくる構え。
 剣は真上よりも少しだけ傾いていて、剣先が後ろ上方(ほぼ上向き。
 天を突くように構える)を指している。
 メリットは攻撃が早いこと。
 いちいち振り上げなくてもいいので、その分攻撃スピードが短縮されます。
 そして普通上段は左手だけで降ります
 、そうすると中段の時より腕が伸びやすく間合いが遠くなります、
 間合いが遠くなると相手が届かない距離からでも打てます。
 また、威圧感があります。
 これは、動物が威嚇のときに体を大きく見せるのと原理は同じだと思います。
 あと、相手にとっては面(頭への打突)が打ちにくい、というか打てません。
 デメリットは太刀筋が限定されてしまうこと。
 上から下に振り下ろすことしかできないので胴を打つのに不向きです
 (一応打てなくはないのですが、その場合は一回上段を崩す必要があると思われます)。
 また、自分の突き、胴・小手(篭手への打突)ががら空きになります。

 上段には左上段と右上段があります。左上段とは左足を前に出し、
 竹刀を右に少しだけ傾けた構えで、右上段は上で述べた上段の構えのことです。
 私は上段をやらなかったのでよくはわかりませんが、
 恐らく右上段は右足が前に出ている分攻撃が早く、
 左上段は一歩が多く踏み出せるので遠くからでも攻撃できる、といったメリットがあると思われます。


中段:剣道でもっともポピュラーな構え。最も基本的な構え。
 柄を握る拳はヘソの前こぶし一つ分空けたところ。
 剣先は相手の顔の辺り(さらに詳しく言うならノド)を向く。
 攻・守バランスのとれた構えです。
 竹刀が体の中心近くにあるので、どの攻撃にも対応しやすいです。
 また、小手・突きをしやすいです。

 これの剣先を右上に少し上げ、相手の左肺のほうに向けたのが正眼です。
 メリットというか、その構えの意味がいまいちよく分からないのですが、
 とりあえず相手にとっては小手が少ししにくいと思います。
 多分ですが、面が少しあくので、面を誘って小手を入れるための構えなのかもしれませんね
 (あくまで予想なので、恐らく違うでしょうね)

下段:拳の位置は中段とほとんど変わらず。ただ、剣先が地面と平行になる。
 要は、中段の構えの剣先を少し下げたのが下段です。
 使えない構え、その1。
 頭はがら空きになるわ、一度竹刀を振り上げなければいけないので攻撃の動作は遅れるわで、
 使う人は全くいません。
 少なくとも、私は見たことがありません。
 一応、面(頭への打突)を誘って小手や胴や突きを打つための構えらしいのですが・・・。
 あと、相手にとっては胴が打ちにくいです。

二刀流:これは特殊な構えです、普通の竹刀と他に短い竹刀(小太刀)を使います。
 この構えは中段、上段、の次に多い構えです。
 全日本剣道選手権大会でもたまに見かけます。
 メリットはやはり二本の竹刀でしょう、左手に小太刀、
 右手に竹刀を持つことにより完璧な攻防一体の構えでしょう、小太刀で防ぎ竹刀で攻撃。
 デメリットは尋常じゃない腕と肩、握力、腹筋、背筋、などが必要となります。
 普通中段や上段で使う竹刀を片手で使うわけですからね。
 そして使い手があまりいなく、
 審判自身が面や篭手が入ったのかよくわからなくなることがあります。

八双:いわゆる暴れん坊将軍の構え(笑)。
 顔の右、横より少し前辺りに柄を握る拳がくる。左上段と同じく、左足を前に出します。

 使えない構え、その2。
 一応相手にとっては小手が打ちにくいというメリットはあるのですが、体がモロがら空き。
 攻撃もしにくいし、防御もしにくいです。
 ただし、下段の構えよりはまだ使えると思います。
 厳密には違ったはずですが、トンボの構え(示現流における構えの1つ)とそっくりです。
 ただし試合では使えません。

脇構え:剣を握っている右拳がちょうど腰のすぐ右横にきて、右足を一歩下げます。
 右腕はほぼ添えられるだけ。かなり捻っていて、右腕のひじの内側が外を向きます。
 剣先は後ろ下方を向き、正面からみると、剣が見えなくなります。
 使えない構え、その3。
 一番使えない構えです。
 もともとは相手に剣の長さを悟られないようにするものなのですが、
 竹刀の長さが決まっている剣道では全くの無意味。
 しかも、小手以外の部分、体ほぼ全部ががら空き。
 さらに、剣の大部分が後ろの方にあるので、攻撃するにも防御するにも時間がかかります。
 これも試合では使えません。

小太刀:これは上段審査などで上位の段を受ける時の型に含まれてくる構えです。
 左手に小太刀を持ち、右手を腰にやります。初心者には縁がありません。

 八双と脇構え以外は全て剣が体の中心線上にあります。
 構えは、人によって多少違いがあります。ですが、大体このようなものだと持ってください。

 分かりにくいかも知れませんが、大体こんな感じです。
 上では触れませんでしたが、実際に剣を振るうと上段は剣の重さが上乗せされて攻撃が重く、
 下段は剣の重さがネックになって攻撃が軽くなる(のではないか)と思います。


剣道は役に立たない!?
 一つは、相手が剣道の構えをしてないと役に立たない、ということ。
 剣道をする人たちを相手に練習や試合をするわけですから、
 動きもそのためのものになってしまいます。
 これは、うまい人ほどその傾向があると思われます。
 しかも、剣道というのは打ったあと残身をとりながら相手の横を通り過ぎたり、
 また相手にぶつかったりするので、このクセがあるまま闘えばどう考えても隙だらけ。
 「剣道3倍段」という言葉がありますが、
 あれは異種格闘技と闘ったことがある人にのみ当てはめることができる言葉だと思います。

 最後は、竹刀がないと何もできない、ということ。
 棒っきれがあればいいというわけではありません。
 何故なら、竹刀の長さや重みに慣れてしまってますから。
 多分違和感を感じ、いつもの実力が発揮できないと思います。
 たまに剣道をかじった人間が剣を持って大活躍する、という話を見ますが、
 竹刀の重さは約400〜500グラム。実剣の重さはものにもよりますが大体2〜3キロ。
 4倍以上もするものをいきなり振るって、大活躍するというのは無理があると思います。
 竹刀より軽ければまだ何とかなるかもしれませんが・・・。

 これらと同等の理由で、薙刀なんかも役に立たなさそうな・・・・。
 やったことないので分かりませんが。
 ちなみに、薙刀には剣道の部位ともう1つ、足(すね)に打突部位があります。

 ただ剣道がまったく役に立たないかといわれると、そうでもないみたいです。
 実力がある者が竹刀を振ると、その威力は絶大です。
 竹刀というのは一番力のかかる先のほうに打突部分がありますし、
 早く振るためにはそれだけ筋力も必要なわけですから。
 実際、中学の顧問の先生が竹刀で胴を打たれて肋骨が折れたという話や、
 試合中に面を打たれた選手が病院送りになったという話があるほどです。
 さらに、これが木刀だと威力もまた増大されることでしょう。
 なんせ、木刀の材料の木は非常に硬く、また竹刀と重さも変わりませんから。

〇余談1
 剣道は他のスポーツに比べて「体格」を気にしないスポーツだと言われています。
 剣道を強くなるために必要なのは、「経験」です。
 多少の才能も必要かもしれませんが、経験が多ければどうとでもなります。
 そのため、剣道は誰にでも強くなることができる、といわれています。
 とはいえ、背が高ければ面が打ちやすく、
 また相手は面が打ちにくい、というぐらいのことはあります。
 しかし、それはあくまでも「多少は有利」ぐらいのことです。
 それに、背が低ければ低いで小手が打ちやすいという利点がありますから。
 まあ、さすがに腕が太いとか、そういうのは竹刀の振りの速さなんかに関係しますが(汗)。
 ここでいう体格とは、身長のことだと思ってください。

〇余談2
 剣道は肩と手首・腕・スタミナが強くなります。
 理由は簡単、その部位をよく使うからです。
 スタミナに関してですが、剣道は瞬発力も必要ですが、それは一瞬一瞬の話で、
 総じて見ればスタミナが強くなるんですよ。
 急激に筋肉を酷使しない運動だからかもしれませんが。
 あと、常に爪先立ちなので、足首が細くなるらしいです。
 それに小手や面をつけているので、なかはサウナ状態。
 多分、顔や手のあたりはやせると思いますよ。
 女性必見!?
 ただ、面は重いし、面をつけていると顔が掻けなくなるので、汗が垂れると非常にツライ・・・。
 目に入ることなんかもあったりしますね。まあ、一応面の隙間から掻けないこともないんですが。

 昔とある先輩が、「剣道部に入るやつは運動ができないやつが多い」といってました。
 その傾向は少なからずあるかもしれません。
 なんせ、自分自身運動音痴ですから(汗)。
 剣道は他のスポーツの動きとは全く違う動きをするので、
 運動神経の良し悪しが関係しないかもしれません。


打突について
 剣道には、基本的に「面・小手・胴・突き」の4種類があります。

面・・・相手の面のど真ん中、鉄ではない部分のちょうど天辺を叩きます。
 それから少し横にずれた部分を叩く「左右面」というのもありますが、あまり見ません。
 それと、大きく振りかぶる「正面打ち(面打ちとも言う。呼び方は学校などによって違う)」
 とほとんど振りかぶらずに素早く叩く「刺し面」があります。
 刺し面は一番ポピュラーですね。面といえばこれを指す、といっても過言ではありません。

小手・・・篭手の手じゃない部分、腕を守っている部分を叩きます。
 相手の竹刀の上から叩くのと、したから回って叩くのの2種類があるのですが、
 前者のほうが多いです。
 人によっては後者をよくないとする人もいます。
 というのも、前者は「上げる→下げる」の2動作で済みますが、
 後者は「下げる→上げる→下げる」と3動作行うため、少しだけ遅くなるからだと思われます。

胴・・・基本的には相手の胴の右側、
 側面より少し前(相手自身を中心としてから見れば斜め45度ぐらいですね)を叩きます。

 他にも名前どおり、相手の逆の胴を叩く「逆胴」というのもあります。
 この時、竹刀の刀で言えば刃に当たる部分が胴に対して寝ていてはいけません。
 刀でも、刃の横の部分で斬っても切れませんよね? 理屈はそれと同じだと思います。

突き・・・突きは面の首のところを文字どおり突きます。
 突きは打たれる相手から見ると、
 竹刀があまり動かず遠近感がなくなり打たれたことにすらきずかないケースもあります。
 突きはまっすぐ突くのが基本で腰から打つといわれたことがあります。
 そしてついた後すぐ引きます、
 これは昔刀で首を突いた後肩と首で刺さったままの刀を押さえられてしまうからだと聞きました。
 一般に知られてないようですが、突きを使っていいのは高校生からです、
 突きは最も危険な技です、はずしたら声帯とか動脈とかいろいろありますからね。
 したがって、中学生以下は使ってはいけません。

連続技
 剣道には連続技というものがあります。それらは
・小手面
・小手胴
・小手面胴
・面面
・面胴
・突き面
・突き小手
・突き胴
 です。名前のとおり、小手面は小手を打ったあと素早く面を打つ、といった感じです。
 よく使われるのは小手面、小手胴ですね。
 それ以外はあまり使われません。
 面胴なんか特に使われませんね。というのも、小手を打ったあとならまだ距離があるのですが、
 面を打つとどうしても距離が詰まってしまい、次の胴がしにくくなるのです。
 まあ、うまい人なら軽くやってのけるのでしょうが。
 突き面、突き小手なんですが、普通は練習でも試合でもやりません。
 調べてはじめて分かったぐらいですから。

引き技
 引き技とは、後ろに下がりながら相手を打つ技です。
 打つ部分ややり方は他の打突と変わらないのですが、左足を引いたと同時に振りかぶり、
 右足で下がりながら(ほぼその場です)打突を打つ、という技です。
 性質上、鍔迫り合いなどのかなり密着しているしている場合でないと使えません。
・引き面
・引き胴
・引き小手
 この3つだけです。連続技はありません。

応用技
 かなり難しい、実戦向きの技です。

・出鼻技・・・要は、相手が動いたと同時に攻撃に行く技です。
・出鼻面・・・相手が面を打つ瞬間にこちらも面を打つ打突です。
 もちろん、先に当たるのはこちらです。
・出鼻小手・・・相手が面を打つときに手が上がって小手ががら空きになるので、
 そこにすかさず小手を入れる技です。

すりあげ技
・面すりあげ面・・・相手が面を打ってきたとき、
 右側に直線に近いカーブを描くようにこちらの竹刀を跳ね上げ、
 相手の竹刀を弾いてその隙に面を打つ技です。

抜き技
 相手の攻撃をかわし、すかさず攻撃する技です。

・面抜き面・・・相手の小手を自分の小手をずらすことでかわす、
 あるいは一歩下がりながら振り上げ、小手を打つ打突です。
 後者は動作が大きいので、前者のほうが多いです。

・面抜き胴・・・相手が面を打つときは胴ががら空きになるのでそこに
 右にずれつつ避けながら胴を打つ技です。
 うまい人だと相手の面を(軽く弾くように)防御した後すかさず胴を入れることがあります。
 これ、厳密には抜き胴とは言わないかもしれませんが。

・面抜き小手

 合い小手面
 合い面・・・相手と同時に面を打つ技です。


 とりあえず、自分の知りうる限りを並べてみました。
 本当は他にも技があり、捌き技・返し技・担ぎ技などといった系統の技もあるのですが……
 私の知識では、全て並べることができませんでした(汗)


一本をとるためには
 普通、相手に攻撃するとき打突と踏み込み、
 そして気合(「メーーーーン!!とか「ドーーーーーー!」とか、打突の名前を大きな声で叫ぶこと。
 しかし、「ヤーーーーー!」など個人によって違うこともあり、
 また、それでも大丈夫です。
 この3つがきちんとそろっていて(同時といっても過言ではないかもしれません)、
 最後に残身が取れていて初めて一本となります。

剣道で致命傷を与えるには?
 剣道で人に致命傷を与えるとするならば、やはり突きです。
 頭は当てても戦闘不能にはできないだろうし、小手なんて打突部位が小さく狙いにくいので論外。
 胴は、うまくはずす要領で脇にあたれば悶絶するかもしれませんが、
 これも致命傷にはなりません(ですが、うまくいけば「戦闘不能」にできるかもしれません)。
 となると、残るのは突き。これは致命傷を与えることができる可能性があります。
 というのも、突きの打突部位はノド。これは急所ですし、鍛えてもどうにもなりません。
 さらに言えば、顔は揺らすことができても、首自体は他の部位に比べてあまり動きませんから、
 当てやすいといえば当てやすいかもしれません。
 しかし、剣道では全く違います。突きというのは一番一本がとりにくい打突なんです。
 突きというのはさっきも言ったとおり、相手のノドを狙う打突なんですが、
 これはつまり、相手の体のど真ん中に一直線に突くことになります。
 そうなると、その動きを見せただけですぐ竹刀を寝かせていなされます。
 しかも、突きは連続技ができません。
 さらにいうなら、状態が前に傾くのでまともに打つと隙ができると思います。
 突き自体も決めることが難しい高度な技らしく、あまり剣道では突きを使う人はいません。
 私の場合、先輩に「友達なくすから突きは使うな(というか、練習するな)」
 と言われたので詳しくは分からないのですが。
 ちなみに、一本をとるのは
 面or小手(ここは人によって意見が分かれます)→胴→突き
 の順で難しくなります。



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原中三十四さんからの投稿コラム  
 実践できる殺陣技法 
 
 先だって、Glaubeさんが『剣道の構え、技について』のコラムを寄稿された事がありました。
 氏は剣道の経験者でその方面に造詣が深く、大変興味をもって拝読しました。
 変わって私は若いころの武道、それから以前に映像・舞台の世界で、
 殺陣を体験・指導した経歴があります。
 いわゆる「時代劇」の「チャンバラ」の事で、Glaubeさんの剣道的側面とは違った、
 実戦的&エンターテイメントとして剣を考えた場合の経験談を寄せてみようと思いました。
 断りをいれますと、これは私個人の体験をまとめた物で、
 実際に小説執筆の参考になるかどうかの自信はありません(汁)。
 しかし小説における描写、殺陣の技法も、どちらも「魅せる」ものであると考え、
 氏のコラムを補足できれば幸いと思います。


基本の構え

 剣の構えには「上段・中段・下段・八双・脇構え」といったものが主流で、
 薩摩の示現流にある「トンボ」、それから念流などの独特な構えを別として、
 どの流派もそれほど、大きな違いはありません。
 構える際の剣の持ち方も、左手を主軸に右手は、添え置く、というものです。
 基本的に左手を軸にして剣を遣う、と考えてください。
 両手は、ぞうきんを絞る用にギュっと握ると、これで持ち方は完璧です。

1)正眼
 もっとも一般的な中段を、通称で正眼(青眼)の構えといいます。
 この構えをとった際、剣の切っ先がどこに位置するか、
 というのも重要なポイントになると思います。
 これは流派によって違い、その代表的な二例を挙げてみようと思います。
 ワンポイントは構えたとき柄の先端が、おへその延長線上に位置するのがミソです。
 その上で、切っ先(刃の先端)は自分の目から見て敵手の「目」との間にもってくる用にします。
 これは攻めにしても守るにしても、相手を威圧する意味があるといわれています。
 もう一つは、自分から見て相手の「首」との間に位置させるものです。
 たいへん攻撃的なもので、打突によって一気に距離を縮め突きを想定しているのかもしれません。
 相手にとって、この構えの差は大きく印象が違うと思います。
 ちなみに、正眼の構えは、もっとも基本であり手堅い印象を与えると思います。
 剣士は、たいがいこの構えをします。
 派手さもなく、しかし自身の間合いを死守しやすく、攻守に優れた構えといえるでしょう。


2)上段
 きわめて威圧感があり、かつ実践的で攻撃的な構えの一つです。
 間合いがとりにくい代わりに攻撃に特化した印象があります。
 これも、おもに二つの構えの差があるといえます。
 一つは、剣先が天を突く具合に高く構えるもの。
 もう一つは頭上に担ぐように剣先を寝かせて構えるもの。
 前者は通常の間合いで、後者は長い間合いでの用法に適しているのではないでしょうか。
 実戦において上方から繰り出す剣は最も有効だといわれています。
 その為、やや広めの間合いをとって攻め手・守り手どちらにまわっても、
 一撃の斬剣が可能な大技むけの構えといえるでしょう。
 ただしこの構えは両サイドの守りががら空きで、屋内や狭い路地裏などでは、
 まったく不向きな構えかもしれません(汗)。一対一の場合に有効といえるでしょう。
 有効な太刀筋は、真っ向斬り下ろしと、左右の袈裟斬りです。

3)八双
 多数対多数を想定した、もっとも乱戦向きの構えです。
 どうしてそうなのかというと敵味方入り乱れた場合、上段の構えや中段、脇構えなどは、
 とにかく一人で大きなスペースをとってしまいます。
 その為に肩担ぎに構えたコンパクトな八双は、機動的な戦闘に有利に働きます。
 構えは、右顔の側面あたりに、左足を前に引き構えます。
 イメージとしては肩担ぎににかまえるというもの。バットの構え方とは違うので注意しましょう(笑)。
 この構えのメリットは、突進力があるということです。
 上段や正眼に比べると、「駆け抜けざまに切り抜ける」としても
 走っている最中に構えがぶれにくいです。
 もう一つのメリットは、一対多数の際も想定している事でしょうか。
 いわゆる暴れん坊将軍はこの八双の構えをしますが、
 一八〇度方向に視野と行動範囲が開けるので、
 吉宗が格好だけでこの構えを選んでいる訳ではありません。
 間合いが狭いと、極端に不利です(汗)。

4)下段
 この構えは、相当の上級者でないと扱えない、かなり個性派の構えです。
 守りの構えといえるでしょう。
 相手を誘うように、正眼から剣を下ろした感じをイメージしてください。
 Glaubeさんはこの構えをして「使えない構え」と仰っていますが、私もそれに賛成です。
 見た目が地味な上に、結局は正眼に引き戻さなければ、
 相手の攻撃を受け太刀出来ないからです(汗)。
 使用方法としては、刷り上げて剣を流す、斬り上げの一撃、あるいは胴への一撃、
 というものが考えられますが、どれもスタンバイに時間がかかり、やはりオススメ出来ない構えです。
 これを構える人は、よほどの達人か、あまりにも凡庸な人です。

5)脇構え
 差し足は左、剣は右腰に引っさげる感じで構えます。
 この構えの絶対的なメリットは剣の初動を相手に見せない、というものです。
 初動が半瞬だけ見えないため、切上げ、胴、
 袈裟のどのパターンからも攻撃できる優れものの構えですが、欠点もあります。
 絶対に右方向からしか繰り出さない為、
 この構えもよほどの熟練者が遣わないとメリット半減になってしまいます。
 また守りも極めて手薄で、あまりにも攻撃に特化した印象を受けます。
 どちらかというと豪の剣を得意にする剣士が、お似合いの構えでしょう。
 余談ですが、重い剣(例えば広刃の西洋剣)などを構える際に、しっくりとくるかもしれません。
 

応用の構え

 これまでに紹介してきた基本的な構えは、
 恐らく剣道をかじった人や一般にも時代劇を見たことのある人は、ああ、それ知っているぞ、
 といった具合ではないでしょうか? 
 どれも用途の差はあっても、まだまだ練習すれば使える部類の剣だと思います。
 しかし、ここから先に紹介する構えは、
 たぶん剣道の道場ではなかなか教えてもらえなかったりするものです。
 まず、得物が違いすぎます。「二刀流・ドス・長ドス・小太刀」といった、
 少々特殊な武器の用法と構えを紹介したいと思います。
 どれも実際にはよく出てくるのに、まったく紹介が少ないものです。

1)ヤクザ流
 ヤクザな人は、特に剣法を習ったりする事はなかったように思います。
 ですが時代劇では大暴れ(笑)。
 そして最後は、いつもバッサバッサ斬られて倒れてしまいますが、
 ものすごく特徴的な構え方をするので紹介いたします。
 常に「猫背・前かがみ・腰はとにかく低く」構えています!
 猫背で前かがみである理由は、防御なんて出来ないので、
 前に前に押し出しがきくように低く身構えるからです。
 彼らは斬るよりも「突き」を中心に攻撃してきますから、前傾姿勢になりがちなのです。
 ガニマタだと尚サマになるでしょう。
 余談ですが「袈裟斬り」は攻撃でも最も難しいとされています。
 パックリと綺麗に「袈裟懸け」で斬れるのは、武士と相場が決まっています。
 ドスなどの切れ味も悪く、間尺の短い刃物を使うことが多いため、
 腰に剣を溜めて密着して突き込むのが、剣士から見ると一番やっかいな攻撃方法です。
 場慣れ喧嘩慣れしているのがヤクザの強みで、度胸の喧嘩殺方とでもいうべきでしょうか(汗)。


2)二刀流
 最も有名なこの流派といえば宮本武蔵の二天一流です。右手に大刀、左手に小刀を持ちます。
 しかし、構えだけが現在に伝えられているだけで、まったく実戦での型などがありません(汁)。
 というわけで攻守四つの構えを紹介するに留めます。

@の構え。右足を前にして、右手を剣ごと前方に突き出し、左手は天に突き上げます。
 攻撃の構えです。 

Aの構え。左足を前にして、左手は小刀ごと前方に伸ばし、右手はひじで折り、
 を持ち上げて剣を前方に伸ばし構えます。攻撃の構えです。

Bの構え。右足を前にして、左右の手を肩の高さに広げます。剣先は前方を向けます。
 守りの構えです。

Cの構え。左足を前にして、大小の刀を胸元で交差させる構えです。
 この時左手の上を右手が、剣は左右に向けて突き出し、伸ばします。守りの構えです。
 
 二刀流のメリットは、左右の繰り手が全て連鎖していて、
 絶え間ない攻撃によるプレッシャーを相手に与える事ですが、
 いかんせん修得に時間がかかりすぎるのが欠点です。
 また、現実的に攻撃の一手一手が浅くなりがちで、
 体力を「斬減」させていくスピード重視の剣といえるでしょう。
 極端な接近戦は不利になりがち、受け太刀も不利なので払いが中心の防御になるでしょう。

 
3)抜刀方法
 剣で戦う為には、鞘からぬかなければなりません。これを抜刀といいます。
 抜刀には手順があり、それを少し紹介してみたいと思います。 
 まず剣を抜く為に、最初に「鯉口」を切ります。鯉口は鞘の入り口部分を指していう言葉です。
 鞘にストッパーがついていると思ってください。
 これを解除してはじめて、剣がスムーズに抜けます。
 また「鯉口」を切るというのは、臨戦態勢に入ったことを意味します。
 例えば何かの物陰にいぶかしむべき音がしたとします。
 物取りかもしれないし、闇討ち、仇討ちかもしれない。
 こういった場合に「鯉口」を切っていつでも剣を抜ける状態にする訳です。
 相手が見え見えている状態で「鯉口」を切った場合、
 これはもう宣戦布告と同義だと思っていいでしょう。

 次に実際の抜刀方法を紹介します。
 左手で鞘の鯉口付近を握るようにします。右手は柄にもっていきます。
 まずヤクザ流(笑)。
 ヤクザのカッコイイ(?)抜刀のスタイルは、鞘を左手で逆さにし、刃を下に向けて抜き放ちます。
 抜いた時、下から上に斬りあげる様な抜刀をイメージしてくださいね。
 とっても利にかなわない、格好だけの抜刀スタイルです。
 それから一般的な抜刀の方法。
 鞘を横に寝かせ刃を外向きにします。そして抜き放つと横一閃に切っ先が伸びて抜刀します。
 
 抜刀する際のワンポイントは「右手で引き抜く」ではなく、
 体全体を駆動させて、それ全体で抜刀させる事です。
 右手は前方に、腰は抜く瞬間に半身に、鞘は後方に少し押し込む、
 そしたらすぐに両肩を前方に向けて正面構えにもどりましょう。
 手だけで抜こうとしたら、鞘の中で引っかかってしまいます。注意しましょう。


攻守の技巧

 西洋剣と違い、日本刀はいわゆる「引き斬り」とよばれるスタイルをとります。
 繰り出した剣はすべて、脇を締める感じで引き付けるのです。
 その為に足裁きは極めて重要で、無理な姿勢で斬っても、相手に致命傷を与えられるどころか、
 自分の足や体の一部を切ってしまいます(滝血)。
 また、剣道と決定的に違うのは、構えや足裁き、斬り方が少しでもずれると、
 まったく攻撃力がありません。
 だれでも手に入れることのできる木剣(木刀)の例をとって説明しようと思います。
 正しい構えから、正しく剣を振り込んだ場合、木剣は次のような音を出します。
「ブンッ」
 正しい振り方だと、こんな音がします。これを正確に高速で斬り込むと「ボッ」という音になります。
 逆に正しくない、例えば切っ先が僅かに傾倒しているだけで、音が変わります。こんな音です。
「シュッ」
 嘘じゃないですよ(汗)。
 シュっという「いかにも」な音がしたからといって
 「今のはうまい具合に相手が死んだな」とか思わないで下さいね。
 相手が怪我をするのは「ブンッ」か「ボッ」です。
 これを念頭に素振りをすると、あなたも竹をサクサク斬れます(それは嘘)。

1)斬る
 さて、実際には剣のどこをつかって攻撃するのかという事が問題となります。
 よくいうように「切っ先三寸」といわれる部分を遣って攻撃(斬る)訳です。
 この「切っ先三寸」が、剣の最も鋭敏な場所で、
 ツバの法へ刃が下がっていけば行くほど、切れ味は悪くなっていきます。
 この鋭利な先端を遣って、斬るというよりは実際は「削ぐ」という具合で戦闘していた様です。
 具体的にどのような場所を攻撃するとよかったか?
 というと、頸(首根の血脈)や顔の丁字部分(額や鼻付近)、脇、内臓などです。
 絶対に遣ってはダメな場所というのがあります。心臓ひと突き、です。
 どうしてダメかというと、心臓を刺すと、
 やられた相手が一瞬ビクビクっと動いて思わぬ不意の反撃を受ける事があるからです。
 相手の剣を奪うか跳ね上げてしまってからの心臓ひと刺し、というのが常道のように思います。
 
2)突く
 突く場合の注意点は、刃を上向きにするか下向きにするか、という事になります。
 刃を下向きにし突く、というのが普通、時代劇で見られる用法だと思います。
 特に技術を必要としないからです。
 刃を上向きにしたらどうなるか? 疑問に思われますよね。
 これが何のためなのかというと、刃を上向きにして相手に差し込んだ場合。
 抜く際は、引き抜くというよりも「引き上げる」という事でしょうが。
 引く際に力が働き、内蔵を切り上げて抜くからです。
 こういう描写をする場合、まさに「必殺」の意味が込められるのではないでしょうか?
(法的にも、刃を上に向けて人を刺した、
 未遂したとなると「殺人・その未遂」に問われてしまうことになります。
 必然であっても偶然であってもです)

3)受け太刀
 剣を受ける事を受け太刀といいます。
 殺陣の世界でもヴェテランの人になると、
 受け太刀の痕跡は切っ先から三〇センチくらいの場所に集中して残るようです。
 これは正確な場所で受け太刀をしている事になります。
 そしてもう一つ、このような事を私が殺陣をしていた時分に見たことがあります。
 受け太刀をする瞬間に、刃を寝かせる、というものです。
 こうすれば刃の切れ味を極端に損なうこともなく、つまりは受け太刀の痕跡が最低限ですみます。
 どうも実戦であっても、これに近い対処法をしていたという話を、
 日中戦争当時の体験談から聞いたことがあります。
 実際の戦闘では、ほとんど受け太刀は現実的でないので、稀にしかやらなかったはずです。
 だとしても受け太刀をどうしてもしないといけない瞬間はあるはずで、
 こういった方法で、少しでも剣の切れ味を維持していたんだと推測します。


日本刀はどれだけ切れるか?

 日本刀を描写するにあたり、一番の疑問はこのあたりにあるのではないかと思ったので、
 閑話休題をお許しください。

 先日、ライトノベル作法研究所のチャットルームで、興味深い討論がありました。
 日本刀の切れ味は、どれほどのものか!? というものです。
 刃物は普通、血脂によって切れ味が悪くなります。
 牛肉でも豚肉でも、包丁で切っていると、だんだん切れ味がわるくなりますしょね? 
 日本刀も同じです、ほんの少しではあっても血脂は切れ味に影響するのです。
 しかし、これが直接的に戦闘に支障をあたえるかというと、そうはならないと思います。 
 その日の討論では件の「血脂」を例に、
 それほど沢山斬るなんてことは出来ないのではないかとある人がおっしゃりました。
 逆に、戦時中の例を引き合いに出して、そうではなかったという人の体験談を盾に反論しました。
 これ、どちらも間違っています。
 というよりは、そもそも比較する事がおかしい、というべきでしょうか。
 皆さんもご存知の通り、日本刀の種類も千差万別です。
 また時代によっても切れ味はまったく違うからです。
 例えば戦時中によく見受けられた軍刀というものは、
 白兵戦(いわゆる敵味方入り乱れての乱戦)の場合に使われる事もあったと思いますが、
 これがとんだナマクラで、ほとんど数度斬っただけで、まったく斬れなくなってしまいます。
 精度が悪くなっていくのは敗戦が濃厚になればなるほど、だったんじゃないでしょうか。
 逆に、そうでなかったという、切れ味抜群の説を考えてみると、
 たぶんそれは軍刀ではなく、家宝といわれるようなご先祖の剣だったんじゃないでしょうか?
 もう一つ考えられるのが、達人が使うか、
 凡庸な人が(といっても相当の力量だが)使うかでも変わってくる、ということです。

 仮に達人が家宝の銘刀で斬りまくったとします。
 どんな具合になるか、ちょっと推測してみました。
 先だって記しましたが、基本は「突く」。刃が痛みにくいし、血糊も脂もなんのそのです。
 斬る場合も、場所を少しずつ変えながら、延命処置をする感じでしょうか? 
 最後は「引き斬る」から「叩き斬る」に変わって、ポッキリ。
 そんな感じだと思います。
 銘刀はなかなか折れないそうで、それでもグニャグニャにひしゃげてしまって、
 鉄の棒切れに変わってしまうと思います。
 そして、たぶん刃よりさきに、柄が折れてしまうのではないでしょうか(汗)
 日本刀の欠点は、刃よりも柄だったりすのは内緒です(シー)。


格好良いポーズ

 一般に、殺陣が遣われるの剣戟や歌舞伎の中では、
 格好の良い魅せ場のポーズをとる役者が、しばしばいます。
 これを「見得を切る」といいます。
 こんな事をそのまま小説で描写してしまうと、見得もへったくれも無くなってしまいますが、
 相手を挑発したりする時、ポーズとしてやったりします。
 そうするとなぜか、無数の敵さんが「おおおぅッ」と声を荒げて答えてくれたりします(笑)。
 暴れん坊将軍で吉宗がよくやってます(笑)。
 舞台の世界になると、こういう「見得を切る」というのが、
 一つのパターンとして組み込まれていますね。歌舞伎では特に目立つのが印象的です。
 最近の時代映画から例を挙げてみると「ラストサムライ」がメジャーでしょうか。
 政府の忍者部隊が、渡辺兼ふんする勝元の村を襲うシーンがあります。
 激戦の末に勝元の部下にふんする真田広之が雄たけびを上げると、
 仲間達が「応ーッ」と一斉に返すシーンがあります。
 これも変則的な「見得」の一種かもしれません。
 みんなで一つの見得といえるのではないでしょうか?


――サブメニュー。

襷&鉢巻
 決闘のシーンなどでよく出てくる襷(タスキ)と鉢巻(ハチマキ)は、
 いかにも真剣勝負という印象を与えてくれます。

 ハチマキの締め方は、運動会のときにやるようなやりかたではいけません(笑)。
 必ず耳を隠すようにハチマキで押さえつけて、かた結びにしましょう。
 なぜ耳を隠すかというと、戦闘の際に、
 敵の剣が耳に引っかかって削げ落ちないように保護する為にしています。
 時代劇などで耳が隠れていないハチマキの締め方をしていたら、
 ディスプレイにむかって大笑いしましょう。

 タスキは、邪魔な袖を巻き上げて固定する為のものです。
 緊急の時で、いきなり決闘などの場合には、タスキのかわりに剣の下げ緒を利用したりします。
 ハチマキに代用される事もあります。
 剣の下げ緒は、鞘の装飾と思われがちですが、実は違います。
 普段は帯に巻き込んで剣が簡単に抜け落ちないように遣われますし、
 ハチマキにもタスキにも早代わりです。

 
剣の挿し方
 通常の大小の挿し方は、横寝かせに大刀を、大刀と腰の間に小刀をやや立てて挿します。
 浪人者などの格好いい不良スタイルというのもあります。大小どちらも立て挿しするものです。
 貧乏な「武士は食わねど」な素浪人は、脇差一本だったりします。
 傘貼り職人だったりする人ですね(笑)。


目釘
 いざ真剣勝負に向かう人は、襷・鉢巻を装着する以外に、必ずやっておきたい事があります。
 突発的な戦闘でもないかぎり、決闘だろうが仇討ちだろうが、
 吉良邸へ討ち入りであっても、です(笑)。
 刀の刃と柄を固定するのは、目釘といわれる木の釘です。
 これが案外腐りやすかったり割れやすかったりするので、
 ここがおかしくなると戦闘どころではありません。日本刀の欠点はここにあったりするかもです(笑)。
 そこで真剣勝負の前には「目釘を改める」という作業が欠かせません。
 もう事前に真剣勝負が分かっているのなら、
 目釘に水を含ませて、膨張させておけば、より完璧です。


残身
 相手を倒したとしても、残身の構えを取ることで、万が一の反撃を対処できる。
 はずなのですが、殺陣の場合は、斬られ役も残身をとります。
 こっちは「残心」といったほうがいいかもしれませんね(笑)。
 ニュアンスとしては、もう死ぬしかないのに、気持ちは反撃に出ようとする。
 魂は尽きようとしているのに、体はやる気マンマン、というやつです(笑)
 書いていると見苦しくも思えますが、実際にはとってもリアリティーをあたえてくれます。
 

あとがき?

 たいして知識もないのですが、自分が思いついたものを項目別に分類して書きだしてみました。
 私よりも、よっぽど知識のある方が多分いると思います。
 また、これがGlaubeさんのコラムを補完するものになったかどうかも、
 書きあがってみると微妙な具合です(汗)
 殺陣と自分の武道経験から見た場合の「剣」を、今回は説明してみましたが、
 微才の文ですから、至らぬ点はご容赦くださいませ。

萌え・美少女・美形・BLについて
その他・創作上の悩み
世界観・リアリティ・設定についての悩み
タイトル・ネーミングについての悩み
やる気・動機・スランプについての悩み
作家デビュー・作家生活・新人賞・出版業界
上達のためのトレーニング・練習法について
読者の心理・傾向について
使うと危険なネタ?
恋愛・ラブコメについての悩み
ライトノベルについて
文章・描写についての悩み
人称・視点についての悩み
推敲・見直しについての悩み
コラム(創作に役立つ資料)
批評・感想についての悩み
ネットでの作品発表の悩み
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