第4研究室 創作に関するQ&A 108P | トップへ戻る |
雪都さんからの質問
 主人公には特別な才能や能力を持たせるべき?
 
 お初にお目にかかります、雪都と申します。
 このサイトを閲覧し始めて、はや数ヶ月になります。

 早速質問ですが、主人公は異端であるべきなのでしょうか?
 (異端というと少し極端かもしれませんが)
 私が書いた小説に何が足りないかを友人に聞いてみたところ、
 主人公の魅力が足りないと言われてしまいました。
 
 友人いわく
『主人公は、他のキャラには無い長所を持っている必要がある。
 長所の無い主人公の小説は間違いなく落とされる』そうです。
 確かに、有名どころの作品を見る限りでは主人公は必ず他人と決定的に違うところがあります。
 例を挙げますと、月姫の遠野志貴は直死の魔眼、.hackのカイトはデータドレイン、
 名探偵コナンのコナンは驚異的な推理力……といった具合です。

 ただ、私が考えている小説だと、
 主人公に長所を持たせると話が成り立たなくなるという現象が起きてしまいます。
 一応原稿とは別に、長所を持った主人公のバージョンを書いてみました。
 すると途中までの展開は面白くなるのですが、テーマや設定との矛盾が多くなりすぎて、 
 結果的に話が破綻してしまいます。

 テーマや設定を無視してでも、長所を持たせるべきなのか。
 テーマを大切にして、元の主人公のままで行くのか。
 (ちなみに、この主人公は他の人とは違う欠点を持ってます)
 切羽詰ってしまい動けない状態の私に、皆さまのアドバイスをください。


● 答え ●

 主人公になにか特別な能力を持たせることで、話が成り立たなくなるのであれば、
 無理にそんな力を持たせることはないでしょう。
 実際に、何の力もない凡人が主人公の話というのは、たくさんあります。

 例えば、桜庭一樹さんの「GOSICK―ゴシック」とかですね。
 この話の主人公・久城一弥は、ごくふつうの少年であり、
 なにか特別な才能や能力といったモノは持っていません。 
 一方でヒロインのヴィクトリカは、ビスクドールのような愛らしい容姿と、
 膨大な知識、明晰な頭脳を持っており、難事件の謎をどんどん解いていきます。
 しかし、ヴィクトリカは、極端に身体が弱くて体力のない、世間知らずなお嬢様です。
 一歩外に出ると、自分の身を自分で守ることができず、
 とある理由から恐れられ幽閉されていたりと、精神的にも辛い立場に立たされています。
 そんな彼女を守るために久城は必死に努力します。
 「GOSICK―ゴシック」がおもしろいのは、まさにこの部分なのですね。
 ふつうの少年にすぎない久城がヴィクトリカを守るために、
 自分にできる最大限の努力をしているところです。

 もし、彼がなにか格闘技の達人だったり、魔法使いだったりしたら、
 危険を冒してまで彼女を守るという行為の崇高さが薄れてしまいます。


 主人公には他の登場人物にはない長所が必要だというのは真実だと思います。 

 しかし、その長所とは、なにか特別な能力や才能ではなく、人間としての魅力です。

 なので、無理矢理でも、特別な力を持たせなければならないとうのは間違いでしょう。
 ご自分の書きたいテーマを大切にして、元の主人公のままで行ってみてください。


如月透さんの意見
 こんばんわ、初めましてな如月です。

 えーまぁ僕なりの意見なんですがね、雪都様の考えている長所ってのは、
 特異な能力に限定されてるみたいですね。
 で、特異な能力に限らせて質問に答えさせて頂きますと、別にいらない、と僕は答えます。

 何故か。小説は特異な能力や設定を見せびらかすものではないのです。
 大事なのはテーマやストーリーですからね。

 奇異な設定に拘って話を破綻させるくらいなら、元々で行けばいいと、僕は答えます。
 あと、長所短所、という言葉の区切りで言うならば、
 他の人と違う欠点、というのも立派な能力ではないでしょうか?
 お友達の発言を見る限り、足りていないのは設定ではなく、
 ただ個々人の特徴(キャラ)を表現し切れていないように思えます。
 長所のない主人公、特徴のない主人公。

 では、アニメ化された「涼宮ハルヒ」の主人公はどうでしょうか? 
 彼は他の人と違って、超能力者でも宇宙人でも未来人でもありませんが、
 キャラが立っているでしょう? 
 
 それと同じで、大事なのは設定ではなく、どう表現するか、だと僕は思いますね。
 バトル物でも、何の能力もない凡人が能力者に挑むのは燃えるものがありますし。

 
 特異な設定に拘らず、まずは自分の主人公について考えてください。
 そして、それを生かせるように表現を凝らしてみるべきです。

 では、若輩者の戯言でした。参考になれば幸いです。


ペットボトムさんの意見
 これは難しい悩みですね。
 けど一つ言える事があります。

 短所0、長所0の人間など存在し得ないという事です。
 人間誰にだって得意なことや不得意なことはあります。
 ドラえもんののび太ですら日常生活でこそ役に立ちませんが、
 射撃とあやとりという立派な長所を持っています。
 「Girls ブラボー」の佐々木雪成は(知らなかったらごめんなさい)
 女装が似合うという長所があります。本人は嫌がってるけど。
 
 ここで大事なのは、「他のキャラには無い長所」といっても、
 大それたものにする必要はないということです。


 それはある作品では世界を救いえる(もしくは滅ぼしえる)力であったり、
 ある作品では社会に見捨てられるような、
 弱く小さな存在にも眼を向けられる思いやりだったりします。
 とにかくキャラには特徴を持たせましょう。それが大切です。
 しかし、それが必ずしも長所である必要性が無いのも確かです。

> ちなみに、この主人公は他の人とは違う欠点を持ってます。
 
 これも立派な特徴です。
 よくハーレム系萌えアニメで「どじっ娘」てのが出てきますよね。
 彼女達のドジなところは短所でこそありますが、オタク達は(主に男性)そこに激しく萌えるのです!
 
 この場合、短所がこのキャラクターの魅力になっています。
 
 でも、いくら短所まみれのキャラでも長所が無いはずはありません。
 新世紀エヴァンゲリオンの碇シンジは一見根暗で長所なんて無いように思えます。
 (僕の個人的意見ですが)
 でも、彼にもチェロが得意という特技がありました。
 
 長所と短所はいわば、キャラクターの人間性をつかさどる重要因子です。なるべく設定しましょう。
 
 なんなら話が進んで行く中で長所を見つけるという筋書きでもいいです。
 長くなりましたが、参考にしてください。


猫の盛りさんの意見
 通りすがりの野良猫です。
 オイラなりの答えを残します。

 いきなり反則的例外ですが、リニューアルされた映画「ピンクパンサー」の主人公、
 クルーゾー警部は自称カンフーの達人ですが、弱いです。
 かれはトラブルとハプニングに巻き込まれる達人で、その分タフですが取り柄はありません。

 彼は使命だけでの人です。でも憎めなく面白い。

 全然普通で、異世界に行っても何をやっても普通、
 でも、だからこそ、流されず普通でいる強み。
 読み手と同じ普通の立場で銀河の中心に挑み、地の底に君臨する物の前に立ち、
 でも剣も振るえず、銃も使えず、宇宙船も操れない。普通のまま、そこで考え対話する。

 最近はそんな気概ある普通主人公にお目にかかっていませんが、
 オイラはそういう主人公は、もうすこし居た方が良いのになと思います。
 ではでは。


アトベさんの意見
 どうもです。
 自分としてはテーマや設定を無視してでも、
 長所を持たせることはやめたほうが良いような気がします。
 これは物語云々の問題ではなくモチベーションの問題になってしまうのですが、
 
 テーマや設定を無視してしまうことは、
 作者さんからすれば『やりたくない』ことのような気がします。

 
 誰でもそうだと思うのですが、やりたくないことをやっていて良いものができるのは、
 その道のプロの方ぐらいです。(でないと食っていけませんから)

 たいていは物語の質を落とすことになるのではないかと思います。

 このあたりは確率の問題ですので、確実にそうだとは言えないのですが、
 執筆ペース、モチベーション、とかいった観点で考えると、よろしくないような気がします。

 とはいえ、長所があった方が良いというのも頷けることだと思います。
 この点に関しては先の方が述べられているように、
 たわいもないことでいいのではないかと思います。
 『視力が2.0ある』とか趣味として『家に大量の本がある』とか、
 長所にこだわらないでいいのならば『趣味』の点に着目するということもできます。

 たぶん、そうすれば主人公に親近感がわくのではないでしょうか? 
 ご友人の方も主人公に親近感を感じたいとか思われて言われたことなのかもしれません。
 まあ、戯言ですが。


EXEさんの意見
 質問以外で書くのは初めてかもなEXEです。
 参考になるかどうかさえ分かりませんが、ひとつ。
 本当の長所は凄い力とかそんなんじゃなく、目には見えない物なんじゃないでしょうか?

 人より優しかったり、平凡だけど心の中に何かがある。
 そう言った人間らしい物を加えてみれば良いんじゃないでしょうか。


 う〜ん……。書いてる途中で自分でも意味が分からなくなりました(爆)
 駄文失礼しますm(_ _)m


EXEさんの意見
 初めまして。

 主人公に長所を持たせるのは、主人公を特徴的にするには最も簡単で単純な方法です。
 理由は単純、その長所で他のキャラとの差別化を図れるからですね。


 しかし、一口に長所と言っても、それが超常能力である必要はありません。
 他の皆さんも仰っていることですが、キャラクターを特徴付ける、
 あるいは魅力的にする方法は長所を持たせるだけではありません。
 短所など、他のキャラとは違う何かがそのキャラにあればいいのです。

 とてつもなく優しい人、限りなく普通である人、クールに振る舞うけど根は単純な熱血野郎、
 誰かのために一生懸命になれる人など、
 性格部分をいじるだけでも他のキャラとは差別化が図れるでしょうし、
 普段はだらけているけどいざというときは頼りになったり、
 熱い発言をしたりするキャラは十分に魅力的に映るはずです。

 また、意外性をキャラに持たせるというのも方法の一つではないでしょうか。

 喧嘩無敵の高校生が実は沢山の捨て猫を拾って飼っていたり、
 番長(死語?)が毎朝自分でせっせとお手製の弁当作りに励んでいたり、
 クラスの堅物委員長が実は金に汚かったり。
 
 最初に登場する外面と内面とでギャップを生み出すだけで、
 人間性を持たせ、非常に魅力的にさせることが出来ると思います。

 
 特に、ファンタジー要素を排除した作品の主人公などでは、
 そういった主人公の人間性の部分が魅力に繋がるのではないでしょうか。


んぼさんの意見
 踊りながらタイピングに挑戦中、んぼです。
 バスドラム=エンターキー。

 主人公を主人公たらしめるものは、その特殊性です。
 決して長所が必要なわけではありません。

 例として、京極夏彦の「ルー=ガルー」。
 詳しい説明は省きますが、これは未来の日本が舞台の話で、
 社会の構造や価値観などが現代とは大きく異なっています。
 その中で、主人公はごくごく一般的な少女。
 別段特技は無いし、事件に巻き込まれて、本人が解決するでなく話は終わります。
 
 しかし、彼女に関わる周囲のキャラクターが極端に特殊です。
 メカ好きな天才少女、人殺しの少女、人権を持たない少女……。
 各々が各々の価値観を持ち動く中で、
 主人公だけは「自分の価値観」を持ちません(やや語弊がありますが)。

 さて、この少女を主人公たらしめている要素は、ずばり「傍観者」です。

 主体性を(他のキャラと比較して)極端に欠落させ、
 結果的にそれが主人公たる少女の存在を明確にしています。
 また、この少女の価値観は「この世界観では一般的とされる価値観」の代表であるため、
 説明すると難解になりがちな世界観を読者側へ近い位置にシフトアップしています。

 世界観の総括であるキャラクター、十分に特殊じゃありませんか。

 ただし、これは主人公がカメラとしての役割しか果たさず、
 徹頭徹尾事件解決に寄与しないという立場だからこそ出来た手法と言えます。
 主人公に魅力が必要、というご友人の意見から、
 おそらくは主人公が能動的に動く瞬間が少なからずあるとお見受けします。
 少しでも主人公に感情移入させる必要性があるのなら、
 ご友人の仰るとおり魅力の追加は必須でしょう。
 
 でも、魅力=長所である、というのは、ある種短絡思考ではないか、と思います。

 長所も転ずれば短所になりうるように、
 長所にこだわらず、また物語を破綻させない範囲で探ってみてはどうでしょうか。

 別のケースとして、「主人公の活躍が無い(魅力的に映らない)」というパターンも考えられます。
 この場合はプロットレベルからの再構築をオススメします。
 それでは。

 追伸:やっぱ踊りながらは無理でした。


留巳さんの意見
 はじめまして。留巳と申します。
 わたしもサイト閲覧数ヶ月、掲示板は初出没です。

> 早速質問ですが、主人公は異端であるべきなのでしょうか?
 (異端というと少し極端かもしれませんが)

> テーマを大切にして、元の主人公のままで行くのか。
 (ちなみに、この主人公は他の人とは違う欠点を持ってます)


 他の人とは違う欠点を持っているのは異端なのではないでしょうか?

 具体的な例は思いつきませんが、何かの『おちこぼれ』という主人公はいたような気がします。
 (実は潜在能力は高いというおまけをもっている場合もありますが……)
 実は、自分が今書いている小説の主人公には、
 『世界でたった一人の短所の持ち主』という設定があります。特に潜在能力もありません。
 一応、長所もありますが『少し面倒見がいい』『少し冷静』『方向感覚はいい』など、 
 村人Aにあってもおかしくない設定です。
 わたしはこれでいいと思っています。書きたいことは書けますから。

 テーマを無視して超人的な長所を持たせる必要はないと思います。

 いっそ欠点を魅力的に書いてみてはいかがでしょうか?
 以上です。


どてかぼちゃさんの意見
 初めまして、雪都さん。
 どてかぼちゃと申します。

 主人公が、主人公であるたったひとつの理由は「物語に関わった」ことです。


 熱血でも、クールでも、ろくでなしでも、物語に関わり(つまりは事件に関わり)
 「なにかしよう」と思った奴が主人公になります。
 それが時に、好きな女の子を守ったり、世界を救ったりするわけです。

 名探偵コナンの場合、実際に謎解きをするのが毛利小五郎だとしても、
 謎を解こうとしているのがコナンである限りコナンが主人公です。

 というのが、わたしの意見です。

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