第4研究室 創作に関するQ&A 168P | トップへ戻る |
小乱さんからの質問
 引き込まれる冒頭について
 
 皆さんどうも今日は。
 最近ちょっと乱れてます。小乱(こみだれ)です。

 先日、友人に小説を読んでもらったのですが、
 その感想が簡単に「冒頭に引き込まれない」と言うものでした。
 「具体的にはわからないけど、何か引き込む力が足りない」のだそうです。
 一言で言えば実力が足りないんですね……。
 書き直している途中で思ったのですが、
 皆さんの思う「引き込まれる冒頭」とはどのようなものがありますでしょうか?
 
 やはり何が面白いかとか、何がウケるかといった問題はその人の感覚によると思いますので
 「こういった感じの冒頭なら私は好きだ」や、
 「こんなのは巧いと思った」といったものでも構いません。
 「作者のセンス」と一言に片付けてしまってもいいかもしれません。
 ですが皆さんお気に入りの冒頭の形を知っておくと、
 今後に役立つかと思ったので投稿させてもらいました。
 投げ遣りアンケートみたいで申し訳ないのですが、たくさんのレス待っております。
 ……なんか堅いなぁ;^_^A


● 答え ●

みつきさんの意見
 小乱さま、はじめまして。

 『引き込まれる冒頭』と聞いて思い出すのは、宮部みゆきさんの現代ミステリーでしょうか。
 『レベル7』とか『魔術はささやく』とかですね。
 冒頭を読むや否や、「なんでまた、どうしてこんなことになってんの?」
 という疑問がふつふつと湧き上がってきて、続きを読まずにはいられませんでした。
 
 というわけで、冒頭に必要なのは、
 読者が思わずページをめくってしまいたくなるような『謎なシチュエーション』なんじゃないかしら?
 と思っています。

 
 それでは、簡単ですがこれにて。失礼させていただきます。


むらちゃんさんの意見
 こんばんは。むらちゃんです。
 僕の場合は、可愛い女の子が、はっちゃけてるところですね。

 ただ作品によりますんで、書いているジャンルの人気作を調べて、
 本屋で一ページだけ見るのは、いかがでしょう。
 やっぱりジャンルによって、多少読者が違いますし、
 ジャンルの向き不向きも、あると思うんで。
 それでは。


むらちゃんさんの意見
 僕は内容よりもむしろ文章が面白いと引き込まれます。
 カッコいいと思った小説の冒頭をいくつか引用させていただきます。

・ジーン・ウルフ 『新しい太陽の書@ 拷問者の影』
 自分の未来について、すでにある程度の予感があったのかもしれない。
 われわれの前には鎖され錆びついた門が立ちはだかり、その忍び返しの刺の間を、
 峠を越える山道のように河霧が流れていた。
 あの情景が、自分の流刑の象徴としていまだに心に残っている。
 だから、拷問者の徒刑であったわたしセヴェリアンは、
 あの溺死しかけた水浴の結果をもって、この物語の発端とするのである。

・G.ガルシア=マルケス 『百年の孤独』
 長い歳月が流れて銃殺隊の前に立つはめになったとき、恐らくアウレリャノ・ブエンディア大佐は、
 父親のお供をして初めて氷というものを見た、あの遠い日の午後を思いだしたにちがいない。

・後藤明生 『挟み撃ち』
 ある日のことである。わたしはとつぜん一羽の鳥を思い出した。
 しかし、鳥とはいっても早起き鳥のことだ。ジ・アーリィ・バード・キャッチズ・ア・ウォーム。
 早起き鳥は虫をつかまえる。早起きは三文の得。わたしは、お茶の水の橋の上に立っていた。
 夕方だった。たぶん六時ちょっと前だろう。


milveさんの意見
 引き込まれる冒頭ですか……

 小野不由美作、
 十二国記シリーズの
 『月の影 影の海』や、

 桜庭一樹作、
 『GOSICK』などがおすすめです。

 前者は夢の情景ですが、とても不気味さが漂っていて、
 後者は始まり方が斬新です。


んぼさんの意見
 何か、幾度も書いた気がしますが、自分にとっての冒頭は「一行目」です。
 これが良くないと駄目。

 で、改めて見てみると、一行目でタイトルにちなんだ文章が書かれているものが、
 結構多いんですよね、自分が好きな冒頭だと。

例えば、「ルー=ガルー」なら
・昔、狼というけだものがいたそうだ。

「凍りのくじら」なら
・白く凍った海の中に沈んでいくくじらを見たことがあるだろうか。

 さすがに、これが勝利の方程式っていうわけじゃないんですがw
 一つの技法? として覚えておくのもいいような……悪いようなw


らじがくさんの意見
 こんばんわ、小乱さん、時間的にはおはようなのですが^^;
 完全に小説が止まったらじがくです。あぁ、どうすれば……。

 っと、そうじゃなくて……本題、本題っと。
 私的な意見を言わせて貰えば、それは、人それぞれである。と、言った感じでしょうか?
 今書いてるのとは違いますが、
 いずれ書くつもりの話(もしかすると漫画?)の冒頭は、こうなってます。

 自殺。
 それは、キリスト教において、最も犯してはならぬ大罪。
 それ故、その罪を犯した者は、それ相応の罰を受け、償わねばならない。
 だが、人はそれでも望む。
 如何なる報いを受けようが、如何なる絶望を迫られようが、それでも望まずにはいられない。
 それが、希望であり、救いである限り。そうして今日も誰かが消える。
 その罪の重ささえも分からずに……。

 っとまぁ、オカルト好きな人なら、魅かれるような文章でしょうが、
 おそらく、人によっては、なんだ?宗教話か?などと、嫌悪、もしくは疎外するでしょう。

 そう、魅かれるというのは、人それぞれなのです。
 ですが、一応万人に魅かれる文章というのは、端的に、先が気になる文章とされております。
 それでも好みは絶対的にありますしね。
 私が、重要だと思う事は、わかりやすいかつ、先の展開がわからないような、
 そうゆう冒頭だと思います。

 ちゃっかりとした例は挙げれませんが、一言目のインパクトが重要だと思いますね。
 それも短めの方がいいでしょうか?


 スクエニ出版、スタンプ・デットだと、冒頭後ですが、第一章スタートが
「あなたを殺させてください」
 と、まぁ、ドシっと、ギシっと来る一言ですからね……。

 完璧個人的意見かつ、拙い文章ですいませんが、ご参考になればありがたいです。


秋葉秋馬さんの意見
 考えてみましょう。その作品、つまらないのは冒頭だけ?
 冒頭がつまらないのに中は面白いなんて滅多に無いですから、
 たぶんその作品自体が微妙なシロモノなんだと思います。

 今一度その作品を読み返してみましょう。
 自分の書きたかったことは書けてる?
 主人公をはじめとするキャラクターは不自然じゃない? 
 素人の小説のキャラクターって極端に砕けてるか極端に気取ってるかのどっちかなんで、
 それも意識してみましょう。
 ストーリー展開は無理矢理じゃない?
 冒頭よりもオチや中だるみの方がずっと重要なんですよ。

 以上三点を踏まえて読み返してみましょう。
 本当に、つまらないのは冒頭だけ?


Dr.ウニボンさんの意見
 リアルの時間でもこんにちは、Dr.ウニボンと申します。

 お気に入り、というワケでもないのですが、変わった冒頭をご紹介致します。
 それは藤原祐・著「レジンキャストミルク」です。
 このシリーズの冒頭は何と、『事件の結末』が書いてあるのです。
 まず、巻毎の事件(3,4巻は連続した話)の後に、
 主人公は事件に関った友人や元友人と話をするのですが、
 この話の一部分が冒頭に持ってきてあるのです。

 具体的には
「あんた、○○の死体を見たとき、どう思ったの?」
 ××はそう聞いてきた。
 結論から言うと何も思わなかった、だ。

 という具合です。因みに○○はヒロインです。
 いきなりヒロインがその事件で死亡してしまう事実が突き付けられますが、
 逆に言うと主人公と××は生き残る事が明確になっています。
 ただ、冒頭部分に持ってきてあるのは会話の一部分のみで、
 ラストシーンに話の続きと事件の本当の顛末が書かれており、一種のミスリード状態なのです。

 事件の顛末だけ(ただし、決して真相やラストシーンではない)を冒頭に持ってくる、
 というのも一種の手法でしょうね。



峰しずくさんの意見
 こんにちは。
 引き込まれる冒頭……
 
 そうですね、例えばいきなり会話文から始まって、
 その会話の中にある程度キャラの特徴も出てて、
 しかも事件の予感をさせるもの、という始まり方があろうかと思います。

「大和酒造さん、ちょっといろいろとマズイらしいよ」
「わかりました。契約書を交わすまでに、少し調べてみます」

 この会話なら、サラリーマン同士で、最初が上司、
 次が部下みたいなことがおのずと読み取れるかと思います。
 そして、この2人のサラリーマンが所属する会社は、
 新たに「大和酒造」というところと取引をはじめようとしているが、
 大和酒造はなんか色々とまずい状態であるらしい、ということもわかります。

「いや、調べるまでも無い。佐川商事が焦って契約を進めようとしている。
 ババを引くのを黙って見ていよう」
「しかし部長。もしかしたら美味しい話を逸してしまうかもしれません」

 とくれば、2人の会社のライバルが佐川商事であって……
 などなど、さらに状況が読み取れます。
 部長はそんな契約はもうほうっておけと言い、部下はしかし、
 みすみす美味しい儲け話を逃してしまうかもしれないと、気持ちがせいています。

 別にアクションもののようなハラハラドキドキではないですが、この先が気になりませんか?

 大和酒造は本当にヤバイのか?
 それとも、佐川商事に美味しいところを持っていかれるのか?
 この部下は、部長の意図に反して何かするのか?
 その他色々……。

 一方で、個人的な好みになりますが、冒頭では静かに淡々と情景描写が進むものも好きです。
 それも、考えないとわからないような凝った比喩などは一切使わず、
 簡単な単語の羅列で、しかし情景が目の前にパーッと広がるようなもの。

 引用ですが、「国境の長いトンネルを抜けるとそこは雪国だった」などが代表格です。


 この他には、いきなり世界観の説明からはじまるもの。

「我輩は猫である。名前はまだ無い」


 主人公の紹介を唐突に始めて、
 どんな人物かをきわめてはっきりさせてから物語をスタートさせるもの。

「親譲りの無鉄砲で小供の時から損ばかりしている〜〜(中略)
 この次は(腰を)抜かさずに飛んで見せますと答えた」


 物語の真っ只中にいきなり放り込まれてしまうもの。

「メロスは激怒した。必ず、かの邪智暴虐の王を除かなければならぬと決意した」


 こんなところでいかがでしょうか?

 ラノベのファンタジーには、冒頭の比喩がウザいものがたくさんありますが、
 ここに例示した作品群にはそのような紛らわしさが全くありません。



克さんの意見
 こんばんは克ともうしますですよ。
 
 引き込まれる冒頭……
 自分は『唄』のような始まりはミステリアスな感じがしていいと思います。
 あと、その世界の日常のようなものとかは好きですね。
 例をあげるならば。
 「エア・ギア」(漫画だけど、冒頭じゃないけど)

 私の奥の
 ヴィリジアンの扉
 一つ一つ
 扉を開ける
 私の中の
 奥の奥に
 そこは深き
 黒き森
 眠りの森の禁断の果実

 と、こんな感じの『唄』のようなものを持ってきたりは好き。
 あと有名な「涼宮ハルヒの憂鬱」のような何気ない始まり方。
 これは日常〜的な堅苦しい雰囲気がなくてスイスイ行きます。
 自分の初めて買ったラノベだから贔屓しているところがあるかも(笑
 それではあまり参考にならないかもしれませんが失礼します。
 コレがあなたの助力になりますように、克でした。


飛車丸さんの意見
 冒頭で引き込む力。

 それは、謎と衝撃だと信じてやみません。

 読者に「どうなるんだ? どうなっているんだ?」と思わせることが、
 その先を読ませる、つまり引き込む力、なのだと思うのです。
 文章の巧拙も見過ごせない要因ではありますが、冒頭だけに焦点を絞った場合、
 何よりも「読みたい!」と思わせることが重要かと存じます。

 個人的には「キノの旅」の冒頭(エピローグb)が、何気に上手いと思う今日この頃です。


クールミカンさんの意見
 こんにちは。クールミカンと申します。

 引き込まれる冒頭ですか。自分もんぼさんと一緒で勝負は一行目だと思っています。
 最近凝ってるのは「メロスは激怒した」タイプの冒頭ですね。

 これは超個人的な意見ですが、情景描写やモノローグで小説をはじめる人結構多いですが、
 読み手に回るとそれってかなり苦痛なんですよ(自分だけ?)。


 もちろん、魅力的な文章であれば別ですけど。
 例えば、

  ◇
 雪をまとわりつかせたような白い桜の枝が、清冽な空気に染み入るように音も無く揺れる。無風であるにもかかわらず、そこから無数の花びらがはらはらと零れ落ちた。この季節、鴎第三高校へ続く坂は、道の両脇に植えられた桜によって白く染め上げられる。その白い霞の中に、一際高く、小山のようにそびえる古い桜の樹があった。通称“千年桜”と呼ばれるそれは、校舎に寄り添うように静かに佇み、今日新たに学校の一員となる若者達を見守っている。

  ◇
 桜には種類がある。現代人にとって桜といえば染井吉野だが、実はその歴史は浅い。ここ鴎第三高校の名物“千年桜”は、ヒガンザクラという種類の桜で、樹齢はその名の通り千年近いと推定されている。今年もまたその桜が一斉に花開く季節がやってきた。


 ……っと、二つ文章を書いてみたんですが、どうでしょう。
 文章としてはたぶん上のほうがマシな出来だと思うんですが、
 冒頭としては下のほうが良いと(自分は)思ってます。
 「メロスは激怒した」もそうなんですが、一文読んだだけでストレートに内容が飲み込めて、
 次の行も読んでみようという気にさせることが冒頭には大事なんじゃないかと。

 それととにかく冒頭は読者に考える隙を与えずマシンガントークで、というのもあります。
 話が乗ってきたら例に書いた上の文のような、
 読者に情景を思い浮かべてもらう描写もいいと思いますが、
 冒頭は読者にとって「試食」みたいなもんですからね。
 この時点でいろいろ考えながら読まなきゃいけないのはしんどいと感じる人も多いのでは? 
 そして読むのがしんどいと感じたら読者は逃げてしまうんじゃないかと。
 もっとも内容によっては上のタイプの冒頭の方がよいということもありますし、
 その辺りは臨機応変で。
 ではでは、長文失礼致しました。


kkkさんの意見
 ハードボイルドやクライムノベルというジャンルでは、エルモア・レナードという作家の影響で、
 いきなり会話(主にくだらない雑談)やアクションシーンから始まる、
 というパターンが確率されています。

 例えばエルモア・レナード「グリッツ」の冒頭。

「弾丸をくらった晩、ヴィンセントは、やられるな、と直感した。ところはサウス・ビーチ。
 相手はメリディアン ・ストリートと、
 シックスティーンズ・ストリートの角の街頭の陰からちかよってきた。
 ヴィンセントはそのとき、 車から降りて自分のアパートに歩みよろうとしていたのだ。
 まだ早い時間だった。九時を数分しかまわっていなかったのだから。」

 このように情景描写は殆どなく、いきなりアクションシーンからスタートします。

 私は、情景描写・世界観の解説・主人公のモノローグ等は読んでいてダルくなることが多いので、
 このように、なるべく早めに会話やアクションシーンを入れてもらった方が、
 より先を読みたいと感じます。


ひとりでできるもんさんの意見
 冒頭で読者を引き込むという技術は、小説をおもしろくする為の技術ではありません。
 この技術は、あくまで《読者を引き込むため》の技術でしかありません。
 私は小説の作法を指南してくれる本を読んだことがないのですが、
 この問題についてはそう断言できると思います。

 私はライトノベル、一般小説、児童文学などなどジャンルを問わずに読み漁るタイプの人間です。
 (節操がまるでない)
 いままで読んだなかで、やはり「おもしろい!」と
 太鼓判を押したくなるような小説が五十冊ほどありました。
 その五十冊の小説の冒頭を振り返ってみると、その半分以上の作品には、
 読者を引き込むような冒頭は存在しませんでした。
 小乱さんの質問にお答えするべく、読者を引き込むような冒頭がないのに、
 おもしろいと思った小説を、十冊ほど分析してみました。
 
 結果――、私なりの見解ですが、その幾つかの小説の冒頭は、
 どれも物語のために用意されたような冒頭でした。


 読み返した幾つかの作品の冒頭は、これから始まる物語に必要な情報、
 または次の展開に持ち込むための布石だったのです。
 
 例題でもう少し分かりやすく説明します。(下記に記載)

「最初の機会で恋を感じないなら、恋というものはないだろう」
 と言ったのは、イギリスの劇作家マーローだ。(参考文献・天使の卵)

 この冒頭は、十年まえに出版された小説の冒頭です。
 これでも十分魅力的な冒頭だとは個人的に思います。
 けれど、この先は、美大に受かることができなかった主人公が、
 満員電車に揺られながら予備校に向かっている、という平凡な内容です。

 天使の卵の一ページだけを読み返しただけで、私は驚愕してしまいました。
 何故なら、冒頭の劇作家の名言が、そのあとの内容にぴったりだったからです。
 肥満体の中年男が密集している満員電車、
 そのなかで主人公は息苦しさを感じている状況なのですが。
 そのあとに、ある女性が満員電車の乗り込んでくるのです。
 そこで主人公は、その女性に惚れてしまうのです。
 あの劇作家の台詞から始まる冒頭が、なんとその後の展開をあらわしていたのです。
 これは、上記で語りました《次の展開に持ち込むための布石》だったわけです。
 
 さらにこの冒頭だけで、
 《主人公は誰かと恋していくんだな》と読者に思わせることに成功しています。
 また、イギリスの劇作家の名言を知っていることから、
 主人公の内面を窺わせることができています。
(劇作家の名言だけで、頭はそれほど悪くないということがすんなり分かりますよね。意識しないうちに)

 ライトノベルの冒頭を何冊か読み返してみると、何の情報も書かれていないのです。
 読者になんの情報も与えないうちに、戦闘シーンから始まったり、
 読者がキャラクターの性格を把握できていないのに、
 知らないキャラクターたちのかけあいが始まったりなどなど……。
 
 天使の卵の冒頭、また前半部分を読んだだけで、たくさんの情報が入手できます。
 美大に落ち予備校に通うまでするほど、主人公は絵を続けたいと思っていること。
 劇作家マーローなんて人の名言から、ヒロインと恋に落ちること……あげれば切りがありません。
 たった一ページで、主人公はこういう人物だ、なんて説明をしていないのに読者に分からせる、
 それだけのために冒頭を使うのもいいかもしれません。
 
 大事なのは、《冒頭で読者を引き込む》のではなく、
 《冒頭をこれからはじまる物語のために使う》ことではないでしょうか?


 ついでに述べますと、大抵のおもしろい冒頭は、無駄がありませんでした。
 必要のないことは切り捨てるような気持ちで書いたほうが、
 無駄な情報を読者が読む必要もなくなり、読者はすらすらと続きが読めます。


 小乱さんの小説を読んでみないと言い切れませんが、魅力的な冒頭や上手な文章を書くより、
 無駄な文章はないか探したほうが楽で、メリットもあるはずです。
 冒頭で引き込むことはプロでも難しい。
 なら、すらすらと読者が読めるように無駄を排除することをしましょう。
 あきらかに楽な作業だと思います。魅力的な冒頭が書けないで悩んでいるよりは、
 気軽にできることですし、難しいことでもないはずです。


>皆さんの思う「引き込まれる冒頭」とはどのようなものがありますでしょうか?

 私が引き込まれるなー、と思う冒頭は、
 その冒頭がこれからはじまる物語の布石だったりすることですね。
 ある程度読んでいるときに、天使の卵のように展開がかわったときなどに、
 「あの冒頭はこのキャラクターと恋をしていくことを、暗示してたんだな」
 とついつい振り返ってしまいたくなる冒頭なら、最高です。
 物語をあらわしている冒頭なら、「海がきこえる」という小説の冒頭は有名です。
 最後まで読み終わると、その小説のすべてを表している冒頭だと思いますよ。
 機会があれば、ぜひ読んでみてください。

 逆に、ライトノベルにありがちな、読者を引き込むためにか冒頭部分から物語が急展開して、
 読者に何の情報も与えないまま、いきなり戦闘シーンからはじまるような、
 平凡な冒頭でなければいいやみたいな勘違いな冒頭の作品は、ちょっと苦手です。

 最初の自論にもありますが、《冒頭は読者を引き込むための技術》にしか過ぎません。
 それ以上でも以下でもありません。
 小乱さんが《読者を引き込みたい》だけなら、そのような冒頭を書くことも大切だと思います。
 ですが、《おもしろい作品》を書きたい、と思うのなら、冒頭を読者を引き込むために使わず、
 《小説の内容をおもしろくするため》の冒頭を書かれたほうが、
 素晴らしい作品ができあがると思います。
 
 自分が好きな小説を語りたかっただけだろ、的な書き込みになったことをお許しください。
 普段から掲示板に書き込むときに長文になるのは、
 文章の練習のために掲示板に書き込みをしているからです。
 私的な理由で長文になったことも、深くお詫びします。

 最後に。
 
 《読者を引き込むための冒頭》か、《小説の内容を深くするための冒頭》か。
 どのような小説を書きたいか、とあらためて振り返り、
 あなたに必要だと思う冒頭を選択すればいいと思います。
 さまざまな状況や嗜好がありますから、
 そのときそのとき考えてから冒頭の種類を使い分けましょう。
 

脂さんの意見
 実はこのご質問のときちょうど冒頭書いていてわざとスレを見ないようにしてました(汗)

 さて。
 少し読者の視点から考えてみたいと思います。
 冒頭というのは、読者にとって物語的に記号度ゼロですね。何にもない更地なわけです。
(まあ好きな作家さんであるとか、続編とか多少の事前情報はあるでしょうけど)
 そこに現れる文章というのは、物語の第一印象となりますね。
 この時点では、読者の物語に対する判断基準はないわけです。
 なので、読者は直感的な判断によらざるを得ません。
 直感的ということは、嗜好性によるということでもあります。
 小乱さんの言うとおり、『その人の感覚によ』ってしまうわけですね。
 このことを踏まえて少し考えてみましょう。

 直感的というならば、同じ文学であるなら詩などは直感的ですね。
 少量の文章で読者の感情を想起させる。
 このことは峰さんやんぼさんの仰るような「一言のインパクト」ということになります。
 言葉が少量で、且つインパクトがあるなら、
 読者はその少量の言葉から様々な想像が可能です。
 想像の余白が大きいわけですね。
 原始的な、言葉の力というか。
 原始的である、より直感的である故、この技法は下のイメージ描写系よりも嗜好性が高くなります。
 ただし、誤解があるかもしれないので言っておきますが、
 詩的にすればいいというわけではありません。
 詩は詩、小説は小説です。読者は詩を読もうという前提ではなく、
 物語を読むために小説を読んでいるわけです。
 なので、この一言インパクト系は後ろの物語と強い関連性があることが条件になりそうです。

 次に、イメージ想起。
 これは、アクションシーンや会話で始まる、映像的なものが考えられます。
 アニメや映画などを考えるととわかりやすいでしょう。
 これについては、読者の客観性ということが重要になりそうです。
 例えばアクションシーンであるなら、
 冒頭だと読者はそれを傍観している立場から始まるわけですね。
 やじ馬根性というか。そこから物語に引き込むということになると思います。

 イメージということであれば、シーンではなく、静止画的、絵画的というイメージもありますね。
 絵画的というと、詩とは関連が深いですね。同じ直感系です。
 上の一言インパクト系と似た想起を、イメージによってもたらすということになると思います。
 言葉の力というより、それによってもたらされるイメージの力というか。
 ただ、一言、言葉が少量という条件がなくなってしまうため、
 詩的にシーンを描写してしまいがちなのですね。
 この技法が、上でも少し問題になっている
 「冒頭のうざい比喩」ということの温床になっているのかな、と思います。
 表現しているのはイメージであるので、読者は物語に対してまだやじ馬の場所で、
 そのイメージを見ています。
 詩というのは、言葉の力を考えなければ、作家は直感的、
 つまり主観的になってしまいがちですね。
 この作家の立位置と読者の立位置の齟齬が、クールミカンさんの仰る『苦痛の情景描写』、
 『うざい比喩』などとして表出してしまうわけですね。
 現代人のやじ馬というのは、
 街角で情感たっぷりに詠う詩人を非常に冷静な目で見てしまうものなのです。

 喩え話でいうなら。
・一言インパクト系は、言葉の力で読者を力づくで物語の中に引き寄せる。
・アクション会話シーン系は、読者をやじ馬として立ち止まらせる。
・静止画系は、絵画的力で読者をやじ馬として立ち止まらせる。
 こう考えると、本来やじ馬の立場にいるのに、
 たくさんの言葉の腕で物語に引き込まれそうになると、うざく感じるのは何となく理解できませんか?
 もちろんこれらを組み合わせたりすることは可能ですし、上の分類は一つの見方にすぎませんが。
 
 と、後だし投稿のメリットを生かして上の文章を私なりにまとめてみました。
 まあ私なりの考えでいうなら、冒頭というのは、読者も直感的、嗜好的であるゆえ、
 自分の嗜好を元に判断し、書くしかないんじゃないかな、とは思います。


一茶さんの意見
 これはちょっと極端な書き出しですが、私が引き込まれた冒頭に「デュラララ!!×2」があります。

「私は、人が好きよ。
 誰が好きかって?違う、違うわ!私は人間ががみんなみんなみんな好きなのよ!
 どこが好きかって?野暮なこと聞かないで!全部よ!全部!
 (中略)
 なにもかも、なにもかもが好きなのよ!わかる?
 そう、あなたの事ももちろん大好き。だけど、あなたを『愛する』事はできないわ。
 だけど、あなたは私を愛して」


 誰の台詞かはネタばれになるので伏せておきますが、
 この冒頭に引かれ、この本を購入し楽しく読ませていただきました。
 
 この寒気がするほどの強い愛の語りは、
 この冒頭にキャラクターの剥き出しの感情が表れていたからです。


 そして、これほどまでにキャラクターの愛の強さを表わせたのは、
 三人称ではなく、一人称で書きだされていたからです。
 かならずしも一人称の書き出しがいいとは限りません。

 その感情が物語を動かすほどのもの、もしくは行動の動機でなければ空回りしてしまいます。

 それでは、ここら辺で。

萌え・美少女・美形・BLについて
その他・創作上の悩み
世界観・リアリティ・設定についての悩み
タイトル・ネーミングについての悩み
やる気・動機・スランプについての悩み
作家デビュー・作家生活・新人賞・出版業界
上達のためのトレーニング・練習法について
読者の心理・傾向について
使うと危険なネタ?
恋愛・ラブコメについての悩み
ライトノベルについて
文章・描写についての悩み
人称・視点についての悩み
推敲・見直しについての悩み
コラム(創作に役立つ資料)
批評・感想についての悩み
ネットでの作品発表の悩み
ストーリーについての悩み
冒頭・書き出しの悩み
プロットについての悩み
キャラクターについての悩み
主人公についての悩み
セリフについての悩み
オリジナリティ・著作権・感性
テーマについての悩み
二次創作についての悩み

 携帯版サイト・QRコード
  
第4研究室は小説を書く上での質問・悩みをみんなで考え、研究する場です。
質問をされたい方は、創作相談用掲示板よりお願いします。
質問に対する意見も募集します!
投稿されたい方はこちらの意見投稿用メールフォームよりどうぞ。
HOME|  第1| 第2| 第3| 第5| 鍛錬室| 高得点| CG| 一押| 資料| 掲示板|  管理人| 免責| リンク| メール|