匿名さんからの質問　　
　崩した日本語を使っても大丈夫？

　どうも、ちょっと匿名で（汗
　質問なのですが、最近の日本語って、
　「ちがくな〜い？」とか、ら抜きとか、「力不足」の意味での「役不足」
　だとか、誤用が乱立してますよね？

　こういった言葉を、作中の人物に語らせるのは、よいのでしょうか？
　たとえば、一人称だったりすると、語りが描写になるわけですから、
　ともすれば（主人公のキャラによっては）変な日本語も使うことになります。
　まあ、本来の意味から外れた誤用はないにしても、ら抜きやらなんやらは、
　平然と使われていることもあります。
　昨今のエロゲーは（まあ、エロゲーにそういう文章的価値を求めるのも
　おかしいかもしれませんが）少なからずそういった風潮があります。

　つまり、私が聞きたいのは、
　小説において若者的な崩した日本語を使うのは、いいのか、悪いのか。
　それは、台詞や、描写など、場合を問わずです。
　ご意見、お待ちしております。


●答え●
　
　三人称の地の文に使うのはＮＧですが、一人称の地の文や登場人物の会話に使うのはＯＫです。
　
　これはプロの作品を読んできて得た結論です。
　例えば、市販の小説にも
「んなわけないでしょ！」
「おーもーい！」
「やってらんないわ！」
　などというような砕けた日本語のセリフがあります。もしこれを、
「そのようなことはありません」
「重いです」
「これ以上、続けられません」
　というようなきちんとした日本語のセリフに直してしまったら、いかがでしょう？
　キャラクターの印象がガラリと変わってしまいませんか？
　
　セリフ、口調は、その人物の性格を表す重要な要素なのです。
　そのセリフを紋切り型の正しい日本語にしてしまうと、
　キャラクターの性格が表現できなくなってしまいます。

　主人公の思考、独白としての一人称の地の文も、これと同様です。
　一人称の地の文は、主人公の性格的特徴が入るように作らなければなりません。
　すると、主人公の性格に合わせて、自然と砕けた口語体の文章になります。
　例えば、一人称小説として有名なライトノベルに、
　中村うさぎさんの「ゴクドーくん漫遊記」がありますが、
　この小説の地の文は、正しい日本語として見たらまず失格です（汗）。
　一人称の地の文が、あまりにも砕けた口語体だからです。
　しかし、主人公の性格が非常に上手く伝わってくる良作です。

　ただ、三人称の地の文に、崩した日本語を使ってしまうのはダメです。
　三人称の文章は、語り部としての作者の言葉なので、これが崩れていると、
　正しい日本語を知らないのか！？　と、作者の文章力が疑われてしまいます。
　　

DoZunさんからの意見
　どうも、DoZunです。
　結論から言ってしまえば、アリだと思います。
　ただし、使えるのは台詞や、地の文であれば一人称のみ。
　三人称であれば、地の文で使うのはタブーでしょう。

　ライトノベルなどの場合、主人公となるのは基本的に読者層と同じく中高生。
　中高生が正しい日本語を使っているか、といえば明らかにノーです。

　僕は現在高校生なので、自分の周囲に間違った日本語が溢れかえっているのがよくわかります。
　何しろ、現代国語の先生でさえおかしな日本語を使ったりするくらいですから……。
　ですが、それは言い換えれば、間違った日本語が中高生にとっての“標準語”となりつつある、
　ということです。
　
　そして、小説内において間違った日本語を使わせるというのは、
　一種のリアリティでもあると思います。

　ですから、中高生のキャラが台詞で言うのであれば、さほど違和感はありません。
　ただし、上にも書いたように地の文（特に三人称）で使ったりすると、
　「こいつは日本語がわかってないんだな」と思われても仕方ありません。


通りすがりeさんからの意見
　通りすがりの主張２００７。前は２００６でしたので。
　ちょっとだけ高校生の主張。

　ら抜きは標準的に使われているので、それくらいならいいのではないでしょうか。
　他には、「の」を「ん」にしているというものですね。
　
　例文　
「何をしてるんだ？」（ら抜き、「の」を「ん」に）
「何をしているのだ？」正確な文章。
　
　とはいえ、これは話し言葉で認められているものです。
　会話では好きなだけ使ってもよろしいかと思いますが、地の文ではマズイでしょう。