第4研究室 創作に関するQ&A 44P | トップへ戻る |
レディマンさんからの質問  2007年
 ファンタジーに出てくる現実(名詞編)

 こんにちは、レディマンです。
 ずっと疑問に思っていたことがあり、ちょっと皆様のお知恵を拝借したく質問させていただきます。

 かなり前に投稿室のほうに異世界ファンタジーを投稿させてもらった際、
 「異世界なのに現実にある物の名前が出てくるのは違和感がある」といわれました。
 例を挙げますと、「ピーマン」「ターバン」などです。
 想像の動植物も一緒に出てきていたので、
 「なるほど、そういわれればそうかもしれない」とその場では納得したのです。
 が、「じゃあ、どこまで出していいんだろう?」と悩むことになってしまいました。
 想像の名前を作って当てはめるということも考えましたが、
 その場合、そのものの説明をつけなくてはなりません。
 
 例:フランシス
  唐辛子の変種。実が大きく、辛味の代わりに苦味のある野菜。

 じゃあ、ピーマンじゃん(笑)、何だよ「フランシス」って……そういうことになってしまって、
 逆に読みづらくなってしまうのではないかと。
 しかも、説明の中で「唐辛子」という現実の野菜(野菜?)の名前まで出てきてしまって、
 堂々巡りです。

 皆さんはどうされていますか? 
 あるいは、「こうすれば」というアイデアをお持ちであれば、お教えいただきたいです。
 では、よろしくお願いします。


●答え●

 これは少し気にしすぎかなと思います。
 私は異世界ファンタジーで、ピーマンという単語が出てきても特に違和感は感じません。
 プロ作家も異世界ファンタジー小説で、
 卵、鶏、ウィンナー、キノコ、ニンジン、小麦などの名称はふつうに使っています。

 例1 ベニー松山作「司星者セイン 魔都胎動」
 
 で包んで蒸した豚肉の塊にを醗酵させたソースをかけたもの、
 羊肉の焙り焼きに甘みの強いたれを塗り葉野菜でくるんだ品に、
 湖で獲れるをこの家で捌いて用いたパイも焼かれ、
 冷やした鴨肉を肝を裏漉ししたソースで仕上げたものまで用意されている。


 例2 榊一郎作「スクラップドプリンセス 異端者達に捧ぐ鎮魂歌」

 卵と野菜、そして豚肉の炒め物が彼の前に置かれているが、
 彼はちまちまと、その中から嫌いなキノコをより分けていた。
 

 逆にピーマンをフランシスと名付けて、本筋から離れた説明にページを使ったりする方が、
 リスクが大きいでしょう。

 
 多くの読者にとって野菜の名前など、どうでも良いことです。
 早くストーリーの続きを読みたいのに、どうでも良いことを説明されては、
 ストレスを感じてしまいます。
 味も外見もピーマンとしか思えない野菜があったら、
 それをピーマンと呼ぶことに何の差し支えもないでしょう。

 例えば、ニンジンは英語ではキャロットと言います。
 イギリスやアメリカを舞台にした小説を作った場合、ニンジンをキャロットと書いたりするでしょうか?
 登場人物同士の会話を英語で書いたりするでしょうか?
 日本人向けの小説であるならば、舞台の言葉は日本語に直すはずです。


hiroyaさんからの意見
 12国記の読者の誰だかさんがこういう悩みを持っていたらしい。
「椅子って出てくるけど、椅子って表していいものなの」
 そこでその有名作家は考えた。
「日本語で訳されたものと考えればいいんだ」

 というわけで、思うんですよ。
 その批評家が悪い。
 確かにあまりにも現実世界を連想させるような名称はだしてはいけない。

 けれど、ちょっとした名詞ならば無理もない。
 全て、そして、細かい名詞をその世界に表していくと無理と限界がくる。
 ターバンはグレーゾーンだとしても、ピーマンはセーフ。……と思う。
 その世界でそういう食べ物があるなら、ね。
 でも、ターバンでアウトならシャツもギリギリだなぁ。
 というように、そこは自分で考えて線を引く部分ですよ。


無用斎さんからの意見
 それは気にしすぎだと思いますけど……。
 そこまで細かいことに気を使っていても、多くの読者には、どうでもいいことです。

例:フランシス
  唐辛子の変種。実が大きく、辛味の代わりに苦味のある野菜。

 ピーマンと書いてくれればそれで済むのに、こんなに長い文章を書かれては、
 読むほうも大変です。しかも、これがピーマンのことだと気が付かないかもしれません。
 説明文は、少ないに越したことがありません。
 その感想を書いた方が、たまたま細かい人だった。と考えて大丈夫だと思います。


DoZunさんからの意見
 以前あった「ファンタジーで英語の略称は可能か」という質問でも書かせて頂きましたが、
 ある種究極的なコトを言ってしまえば、現実にその作品中の世界があるとして、
 その世界の人は“ピーマン”という単語を使うことはないでしょう。
 そもそも、我々が理解出来る言語を話しているとも思えません。

 ファンタジー小説というものは、すべからく異世界の言語を翻訳した物であるワケです。

 たとえば、作中のキャラが何か喋ったとします。
 小説ではそれを「」で括って表現するわけですが、
 それはその世界の言語を我々の言語に翻訳してありますね。
 ……こんな書き方をするのはかなり意地が悪い気もしますが。

 かなり論点がずれますが、ファンタジー世界というのは、
 大抵は中世ヨーロッパないしは砂漠地帯、
 中国といった現実の世界をデフォルメしたりして描かれています。
 その世界に住んでいる人々の姿は我々と酷似していますね。
 人間が現在の姿に定着したのは、進化の過程においてです。
 環境に適応し、種を存続させるため、とも言えるでしょう。
 我々と同様の姿の人々が住んでいる以上、
 現実世界と同じ動植物があっても不思議ではありません。
 ピーマンがあってもおかしくはないのです。

 そして、最初にも書いたようにそれらは我々の言語に翻訳されているのであり、
 その小説内の世界があると仮定した際なんと呼ばれているかにかかわらず、
 我々の言語に翻訳された際には、ピーマンでしかないのです。

 ターバンは“頭に巻いた布”とでも表現出来ますが、ピーマンは難しいですね。
 レディマンさんの書かれたフランシスという名称ですが、
 読者がそれをピーマンに結びつけられるかはわかりません。
 漫画やアニメでは、ビジュアルイメージが付属するため、
 フランシスという名称でピーマンを呼んでも、
 それの形状や食べた人間のリアクションなどからピーマンみたいなものかと容易くわかるでしょう。
 しかし、小説ではそうはいきません。
 長々と説明したところで、ピーマンだと理解出来る人は少数でしょう。
 余計な説明や描写は読者にとっては退屈なだけです。
 
 大半の人は、ピーマンという単語自体に違和感を覚えるということはないと思います。

 勿論、“和服”やら“英語”なんてのは明らかにアウトですが、
 そういった特定の文化に基づく名称でなければ平気でしょう。
 
 毎度毎度、長文・乱文で失礼しました。


蒼葉さんからの意見
 初めまして、蒼葉と言います。初カキコです。
 ドが付くほどの素人ですが、参考までに自分なりの意見を……

 ここで問題となるのは、その世界でピーマンを何と呼んでいるのか、ではないでしょうか。
 極端な話、ピーマンを「ピーマン」と呼んでいたり、
 呼称が全く変わらない異世界があってもいいのではないでしょうか。
 異世界だからといって、呼び方が同じではいけない、ということはないと思います。
 まあ、呼び方が違う方が異世界っぽいというのも事実でしょうけれど(汗)

 「パートタイムプリンセス」というライトノベルの異世界では、ドラゴンのことを「馬」と呼んでいます。
 そんな風に、何をどう呼ぶかを決めるのも設定の内ではないでしょうか。

 ええと、何を言いたいのか不明瞭な文章ですみません。
 要するに、異世界に「ピーマン」という野菜が存在してもいいのでは? ということです。
 乱(駄)文・長文、失礼しました。


松本美衣さんからの意見
 こんにちは。松本美衣です。
 わたしは、『ピーマン』ぐらいなら問題ないと思われます。
 読者が、異世界から現実に引き戻されない程度の言葉を使えばいいと思います。
 わたしの場合、『ピーマン』という言葉が出てきたぐらいでは、現実に引き戻されたりしません。

 細かいところまでこだわっていると、すべての言葉を異世界語で書く羽目になってしまいます。
 すべてを異世界語で書くなんて、100%無理です。


 また、異世界の単語にいちいち説明をつけていると、読みづらいとともに、
 分かりにくい文章になってしまいます。
 『フランシス』の説明を見ても、わたしはすぐに『ピーマン』だと分かりませんでした。
 しかし、明らかに現実に引き戻されてしまう言葉を使うのはNGです。
 どんな言葉が大丈夫で、どんな言葉が違和感があるか……。難しいです。
 まず、自分が現実の世界に引き戻されないと思う言葉を入れてみればいいと思います。
 それから、他の人の感想も聞いて改善していけば、違和感はなくなってくると思います。
 
 それから、プロのファンタジー作家の小説を読んでみたりしてみればいいと思います。
 プロはどんな感じで区別しているのか、研究してみてはいかがでしょうか。
 そういうわたしも、このことで頭をかかえている人間です。……難しいです。
 それでは、失礼しました。


緑葉さんからの意見
 覚えてる方は居ないと思いますがお久しぶりです、緑葉です。
 既にレディマンさんの方でも結論が出てしまっているかと思いますが、
 少々気になったため書かせていただきます。

 ※皆様の書きこみはしっかりと読んだつもりですが、
 こちらが意味を取り違えている可能性もあります、その時はご容赦を。

 私の意見としては、ピーマンは完全にアウトです。シャツは全然オッケーです。
 それを踏まえたうえで。

 まず、「ファンタジー小説とはその世界の言語を翻訳したものである」と考えておられる方々へ。
 その通りです。現実的に考えれば。異世界に日本語があるって不自然ですもんね。
 でも、そんな事を読者は考えるでしょうか。あ、勘違いしないでください。言語云々ではありません。
 もっと具体的に。「異世界もの小説の中に“ピーマン”という単語が登場した時、
 読者はそれを「その世界の野菜の名称を翻訳されたものだ」などと考えるでしょうか」
 私だったら絶対にありえません。ピーマンはピーマンです。
 そんな名前が出てくれば、即違和感に直結です。
 じゃどうするか。あくまで解決策の一つと思ってお読みください。
 私ならそれを木の実にします。これは個人的な偏見ですが、
 野菜よりは「創造した名前」をつけても違和感が薄れると思うので。
 それとも野菜でなければいけない理由があるのでしょうか。
 もしそうだとしても、やはり名前は変えます。
 味と見た目を伝えれば、それが現実世界での何になるのかなど加える必要がないと思うからです。
 要するに、「その野菜がピーマンであったとして、
 それをピーマンであるとはっきり伝える必要性はあるのか」に尽きると思います。
 私だったら味と見た目だけで十分です。

 次に、シャツ。これはセーフでしょう。
 この世に「シャツ」という名の服はありません(あったらごめんなさい、詳しくは後述参照)。
 老若男女問わず身に着ける薄手の(?)上着、これを総称して「シャツ」と呼ぶはずです。
 「ワイシャツ」「ポロシャツ」など、特定の物のみ連想させてしまうワードは完全にNGと考えますが、
 「貨幣」「町」「着物」等、ある種同族の物たちをまとめたうえでの総称、
 あるいは俗称でしたら一向に構わないはずです。
 ちなみに、
 
 シャツ[shirt]
 (1)上半身に着る洋風の下着。
 (2)中衣として着る襟とカフスのついた衣服。普通ワイシャツをいうが、
 開襟(かいきん)シャツ・ポロ-シャツなどをもいう。
 だそうです(参考:goo辞書)。
 
 このように、固有名詞でないものは使っても特に問題は無い、
 むしろそれを使わないと表現できない場合も少なからずあるのではないでしょうか。

 最後に、ターバン。
 これはすごく微妙なところだと思いますが、世界観とマッチしていればOKだと思います。
 理由としては、説明不要で輪郭を連想できる点が便利だから。
 頭に巻いた布、ではハチマキやバンダナ等他のものと被りますし。
 そして、このターバンというものは、世界観にもよりますがあってもおかしくはないですよね。
 少なくともワイシャツよりは(笑

 結論としては、明確にどこまでがダメ、どこまではセーフと線を引く事などできるはずがありません。

 「その世界にあって本当におかしくないか」ではなく
 「現実と全く同じ名前で存在する事が違和感に繋がらないか」
 という点を見るべきだと、私は思います。


 最後にこれは「ロックスミス カルナの冒険」というラノベで使われた手法です。
・現実世界での名称をもじる

 上記した「ロックスミス」では、メートルの事を“メル”と表現しています。“メ”ート“ル”です。
 また、キロメートルは“キルトメル”でした。
 このように、単純なアナグラム、もしくは言葉遊びのような形で名称を決めると、
 読み手に伝わりやすいなぁと思い、私も1つの作品で通貨の単位を“ゴルド”としました。
 “ゴ”ー“ルド”です。

 レディマンさんの「ピーマン」でいうなら、さしずめ“ピマン”といったところでしょうか。
 あまり深く考えたり、不必要なまでにアイディアを捻りすぎなければ、
 方法というのは結構あり、且つ簡単なものだと思います。
 

峰しずくさんからの意見
 こんにちは。峰しずくです。

 ご質問の件ですが、ピーマン、ターバンは個人的にはOKだと思います。
 それでファンタジーに違和感を感じる方、というのはやはりどうしてもおられると思うんです。
 でも、それなら「どこまでアリ」で「どこからダメ」かというのは、
 何が基準かというと、作者の気持しだいではないでしょうか。
 私がファンタジーを書いてて、自分で許せなかったのが、実は「単位」です。
 メートルとかキロメートルとかいうやつですね。

 ここで「キロメートル」と書いて距離を現すと、なんだかその世界観が崩れてしまうような、
 あるいは、現実に戻されてしまうような気がしたからです。

 
 朝とか夕方とかは許せましたが、○時、というのもダメだよなあ。
 時計なんかない世界だしな。とか。
 しかし、1日はアリだな。太陽が沈んでのぼったら一日、
 うん、これはファンタジーとしてはアリだろう。

 てなことで、結局、距離を測る単位は、大人の男で3日とか半日とか、そういうふうに表現しました。
 また、もっと小さな単位では、大人の男が両手を広げたくらいとか、3人分の身長くらいの高さとか。

 そうして、時分もメートルも使わずに作品を終わらすことができましたが、
 読んだ人にはこんなこだわりは伝わってはいないでしょう。
 でも、妙に現実的な単位の登場で現実に戻される、というのは避けられたのではないかと。


三毛招きさんからの意見
 例えば異世界迷い込み系ファンタジーの場合です。
 異世界にやってきた主人公が、ピーマンと似たような食べ物と出会ったとします。
 その時、異世界の人間がそれを指して「ピーマン」と堂々と言うのは、
 違和感があると思います。
 前に読んだ小説では、異世界の人間が、ある食べ物の名前と特徴を言って、
 主人公が「へ〜、ピーマンみたいなものか」と反応していました。
 異世界迷い込み系ファンタジーの場合なら、このように対処すると良いと思います。


blue dreamさんからの意見
 こんにちは。初カキコのblue dreamと申します。よろしくお願いします。

 名詞に関しては僕も悩みどころです。
 それで、プロの書き方も参考になるかなと思い、手持ちの本を見てみました。
 いくつか例を挙げてみます。

「ヴェンツェルは、カッシア城の守りを固め、牢獄に捕らわれていた人々を解放した。
 城の糧食庫を開いて、民衆に小麦、ジャガイモ、ワイン等を配給した」
 田中芳樹著 「マヴァール年代記1 氷の玉座 第七章 氷上の決戦」より

 ここで氏は躊躇なく小麦、ジャガイモ、ワインといった名詞を使っています。
 
 しかも、ジャガイモに関しては、あとがきによると、
 モデルとした中世ハンガリーには存在しないにもかかわらず、
 大軍を動かす設定上加えたもののようです。
 でも、僕はここを読んでも違和感は感じませんでした。
 なぜなら、小麦―主食となる穀物、ジャガイモ―野菜の一つ、ときには主食となる、
 ワイン―アルコールの一つ、飲み物として一般的という大雑把な理解で読んでいるからです。
 もう一つ上げます。

「サームどののおっしゃること、分からぬではありませぬが、王族[ワースプフスラーン]、
 貴族[ワズルガーン]、騎士[アーザーターン]、自由民[アーザート]、
 奴隷[ゴラーム]と連なる身分制度は……」
 田中芳樹著 「アルスラーン戦記1 王都炎上 第3章 王都炎上」より

 この引用箇所で[]で囲まれている部分はすべてルビになっています。
 漢字で書いてカタカナで読ませるという時折見かける手です。
 田中氏はこの手法をよく使い、このアルスラーン戦記の中でも、
 葡萄酒[ナビード]、琵琶[ウード]、金貨[デーナール]、
 戦士[マルダーン]など上げればきりがありません。
 氏はマヴァール年代記では現実の名詞を直接使っていますが、
 アルスラーン戦記では一つ一つに細かく名詞を設定しています。

 しかし、どちらにおいても名詞の意味は伝わっています。
 ですから、必要なのは細かな名詞と設定ではなく、大雑把なイメージと呼び方だと考えます。

 研究室にあった一文ですが、読者が読みたいのは設定ではなくストーリーですから、
 ストーリーの流れを崩さない程度にイメージがつかめればいいと思います。


 レディマンさんの作った「フランシス」にしても、
 必要がなければ「野菜の一つの名前」という扱いでいいと思います。
 もし、必要になれば、そこで「緑色」とか、「苦味がある」とか、
 「皮だけで中身がない」とかピーマンの設定を明かせばいいと思います。
 そこまでいって読者がフランシスとはピーマンの事、
 と気づいても気づかなくてもストーリー上は問題ないですよね。
 その程度の大雑把な扱いでいいと思います。

 初カキコにして乱文、長文失礼いたしました。


鏡さんからの意見
 自分でも一種の極論ではないかとは思いますが、
 私たちが現実世界の言葉を使い、その言葉で架空の世界を描こうとする以上、
 固有名詞である程度の現実世界の名前が出てくることは避けられません。
 まずは割り切る事です。

 今回話題になっているものは「ピーマン」なので、
 これは「緑色の野菜」として味の描写を入れておけばそれで済むでしょう。
 その名前がフランシスであるとしても何ら問題ないと思います。
 フランシス=ピーマンとは他人にはわかり難い、との意見もありますが
 そもそもフランシスという野菜を現実世界のピーマンと結びつける必要性とは?

 フランシス=フランシスである、それで良いように思います。
 緑色の野菜で子供が嫌い、そんな感じの描写をすれば良いでしょう。
 名前を変えてまで、あえてピーマンという特定の野菜を描写する必要があるとすれば、
 現実世界との関連性をアピールする場合に限られると思います。
(主人公が現実世界の人間であったりとか…)

 ただ、私が気になるのは人名についてです。
 距離や貨幣の単位など、もろもろの名詞については、
 まず発明者を作ってその人の名前を使えばよいのですが、
 肝心の人名ばかりは現実世界の呪縛からはなかなか逃れ難いものです。
 現実世界のあらゆる言語系統からも外れたオリジナルの名前、
 これを使用している小説というのはなかなかありません。

 さすがに、現代風の英語名前は避けているにせよ、
 日本人は英語を始めとするラテン語モデルの言語に慣れ親しんでいるせいで、
 自然と連想しやすい名前というのは西欧風のものになってしまうはずです。
 (オリジナルであってもアルファベットでスペルが作りやすい)
 人名でなくとも物をあらわす単語を人名として使ったりもします。

 某漫画家のようにメタルバンドの名前を片っ端から変形させて使っている人や、
 有名サッカー選手の名前を使っている作家もいるようですが、
 私たちも、ある程度割り切っていくしかないんじゃないでしょうか。

 上で例示として挙がっている「フランシス」にしても、
 私は西欧語圏の男性名(女性系はフランシスカ)を連想します。
 このあたりで現実感に引き戻されるという方もいらっしゃるでしょうが、
 そんな事まで気にしていては何も描けないと思います。

 完全オリジナルの名前を作った場合、読者の頭に入り難くなってしまい、
 それを作中に大量に出した場合、読者が覚えきれないという事にもなります。
 そうなっては本末転倒という物です。
 スパイス程度にいくつか突飛な名前を使うというのは有りだと思います。

 なお、田中芳樹氏のアルスラーン戦記で使用されている単語は
 ほぼ全てが中世ペルシャやイスラム語圏のものをそのまま使用しています。
 元々、世界観のモデルにペルシャの叙事詩である「王書(シャーナーメ)」を用い、
 そこに十字軍のエッセンスを持ち込んだものですから、
 これをオリジナリティの例として挙げるのは不適当であるように思います。

 貨幣のデーナールは、古代ローマの通貨デナリウスを由来とする
 中世イスラム通貨のディナールですし、挙げていけば切りがありません。
 人名も容易にモデルを想像することができるものが多いですし。
 ペルシャ語のように日本での認知度が低い言語の場合は、
 そのまま使用する事がオリジナリティに繋がるのかもしれません。


ひろっさんからの意見 2013/03/17
 名前や設定で悩み始めると長いんですよね。
 その苦労はよくわかります。
 本来これは、『自分ならその世界のものをどう表現するか』っていう話になるので、結局のところ大抵の人が言うように、すべて和訳されていると考えるのが自然だと思います。

 では、なぜ和訳されていると考えなければならないのか。
 簡単な話なんです。
 ファンタジー世界で、そもそもそこの住人が、人の形をしている理由なんてないんです。
 指の数が一本多いとか、目玉の数が一つ多いとか、そんなレベルならまだいいんですが、アメーバ状の生物だったり、蛇みたいな体が基本だったり、色々と考えられるんです。
 そんな世界で小説が書けるのでしたら、書けばいいと思います。
 ですが、そんな小説は今までには存在しないんです。
 結局は自分が想像できる範囲内の生物しか、人は想像することができません。
 名称についても同じ話で、例えばこちらで『ピーマン』という名前だったのに、あちらでは『プルトニウム』って発音するのだとしたら、どうなりますか?
 読者にわかりやすく説明する自信がありますか?

 結局、自分がわかりやすく説明するためには、ある程度意図的に『作る』必要があるんです。
 読者が理解しやすいように、登場人物を人間の形にする。
 これも意図的に『作った』設定です。

 そして最も重要なのが、ある程度リアリティを持たせるためには、その世界の法則を考えて、その世界の住人がどのような性質を持つのか、考える必要があるってことです。
 このとき、人間型なら特に難しくないんですよ。
 現実には実際に人間がいるわけですからね。

 大体こんなところです。
 何かの参考になれば幸いです。

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