第4研究室 創作に関するQ&A 54P | トップへ戻る |
あかねさんからの質問  
 実在する商品を物語に登場させても大丈夫?
 
 はじめまして。あかねと申します。いきなりですが質問をさせてください。
 「車」についてです。
 具体的な既存の車を、いわば「登場人物」として扱うのは「いけない」のでしょうか?
 例えばその車に人格があったら? 擬人化していたら? という問題です。
 そのようなストーリーがおもしろいかではなく、「許されるか許されないか」を知りたいのです。
 質問文じたいが判りにくいですがよろしければご回答お願いいたします。


●答え●

 私は著作権法や商標登録の問題に関して詳しいことは知らないのですが、
 一つこういった例があるのでご紹介します。
 バーズコミックス連載・PEACH-PIT原作の『Rozen Maiden』という漫画があります。
 この漫画の第一巻では、敵として『クマのブーさん』というぬいぐるみ人形が登場します。
 
 名前でピンと来た方もいると思いますが、
 有名すぎるほど有名な『クマのプーさん』のパロディ的なキャラです。
 クマのプーさんはイギリスの劇作家A・A・ミルンが、
 息子のクリストファー・ロビン・ミルンの為に執筆した童話集および、
 その主人公のクマのぬいぐるみを指す名前です。
 その後、このキャラクターの商品化権は、アメリカのディズニー社に買われ、
 ディズニーのキャラクターとして、ぬいぐるみ化されたり、映画などに登場するようになりました。
 
 『Rozen Maiden』に登場する『クマのブーさん』は、
 涎を垂らして二本の包丁を構え、凶悪そうな目つきをしている他は、
 ほとんどクマのプーさんにそっくりな外見をしています。
 主人公を包丁で斬りつけ、ヒロインの真紅に襲いかかったりするので、
 凶暴なキャラクターという擬人化がなされています。

 でも名前が違うので、クマのプーさんとは違うという論理が成立します。
 
 ただ、アニメ化された際は、さすがに『クマのブーさん』では、問題があると思われたのか、
 ピエロの人形がブーさんの代役として使われてました。
 私はクマのブーさんの密かなファンだったので、ちょっとがっかり(笑)。
 
 車の擬人化という問題も、おそらくこのケースと似た解釈がされると思います。
 例えば、トヨタの車を実名で登場させ、
 主人公達に敵対する凶暴なキャラクターとして擬人化した場合、
 トヨタから名誉毀損、営業妨害などで訴えられる可能性があるでしょう。
 企業にとって、不利になるようなマイナスイメージを世間に流布されるからです。
 でも、名前をちょっと変えてしまえば、その車とは違うという論理が成立しますので、
 おそらくセーフだと思います。

 ただ、危ない橋であることは間違いないので、できればやめておいた方が無難です。
 
 補足しておきますと、ディズニーは著作権問題には世界一うるさい企業でして、
 ミッキーの名前を使っただけで訴えられたりすることがあるようです。 
 だから、ディズニー商品のパロディはかなり危険な行為です。


元村さんの意見
 ども。副管理人の元村です。
 ご質問の要諦は「実在する商品(車)を擬人化するような手法は、法律上大丈夫なのか?」
 ということで返答させて頂きます。

 基本的に、この場合は「NG」と思って頂いて結構です。

 作中に、普通に登場させる場合(擬人化などさせず、アイテムとして出す場合など)は、
 基本的にはオーケーなのですが。
 一つ一つ、説明していきましょう。

 まず、なぜ「擬人化させたり、性格を持たせたりしてはいけないのか?」というと、
 この場合「企業や、その商品に対するイメージを変更させられてしまう可能性があるから」です。


 例えば「爽やか系の清涼飲料水」を擬人化させたキャラが、
 平気で煙草を吸ったりガラが悪かったりしたら、
 本来その商品が持っている・持たせようとしているイメージが変えられてしまいます。
 これは「イメージ」を重要視する企業にとって、大きな痛手です。
 無論今の例は極端かもしれませんが、
 大なり小なり「イメージを変えられる」のは企業として好ましくないので「NG」です。
 この場合「プロ」「アマチュア」は関係ありません。十分気をつけてください。

 ただ、これには「抜け道」があります。
 「実在する商品名」がダメなら「限りなくそれに近いけど、実在しない商品」を
 擬人化させるという手法です。
 他にもいくつか抜け道があるのですが――
 それ以前に「実在する車を擬人化させなければならない正当な理由」がなければ、
 自分で創作した方が手っ取り早いし、安心です。
 絶対に! どうしても! そうしないと「作品」として成立しない!
 という場合は、直接会社に問い合わせてください。

 そして、蛇足になりますが「普通に商品名を出すのはオーケー」という理由ですが、
 例えば主人公がコンビニに行って「コカコーラを買った」という一文を本文に入れた場合など、
 こういう場合は「オーケー」です。事前に許可を取る必要はありません。
 またプロになった場合は、こういう手続きは全て「編集者」が行ってくれるので、
 特に指摘されない限りは気にしなくて構いません。
 ただし、いくら「平気だから」とはいえ、その商品や会社を貶すようなことを書いてはいけません。

「ンだよ、この“○○茶”。クソマズイ」
 なんてことを書いたら、間違いなく訴えられます。


 あるいはミステリなどで「○○(実名)という商品に毒が入っていた」
 といったような使用法も厳禁です。

 いま思い出したんですけど、近い例が一つあります。
 たぶん元村世代には有名だと思うんですけど、
 「魔法騎士レイアース(CLAMP)」という漫画・アニメが存在します。
 実はこの作品。作品中に登場するカタカナ表記の固有名詞の殆どが、
 人物名・ロボット名・魔法名・武器(兵器)名・地名等問わず乗用車の名称であることで有名です。
 魔神ウィンダム、異世界セフィーロ、魔法金属エスクード、などなど……
「プロもアマもダメなら、なぜこれは良いの?」
 というツッコミを受けるかもしれないので補足しておきますが、

 実は「名前“だけ”なら、許可が必要ない場合があるから」です。
 例えばこのアニメの場合も、作中で「某社の車の名前だ」などとは一言も述べていません。

 無論そんなのは「言い訳」に近いんですけどね。
 また現実には、アニメ化・コミック化する際に、周辺の誰かが予め許可を取っている可能性が、
 非常に高い上に、作品自体が「高視聴率」を獲得し、
 結果として商品の広告に繋がったというような側面もあるので何とも言えないのですが。

 いずれにせよ「石橋を叩いて渡る」か「君子危うきに近寄らず」をとるか「火中の栗を拾う」かは、
 ご自身の判断にお任せします。
 元村としては「避けた方がいい」とは思いますけどね。以上です。


飛車丸さんの意見
 はじめまして。飛車丸と申します。いきなりですが返答をさせてください。

 ええっとですね。基本的には「避けた方が無難」です。
 擬人化とか人格とかになると、殆どの場合は許可無く使用したらアウトです。
 でも無許可なのに許されたり、見逃されたりする時は結構あります。
 まず第一に「宣伝に繋がる」場合ですね。相手は企業ですから、商品を売りたいです。
 そうなると「無料で宣伝」してくれるってのは、かなり美味しいわけです。
 イメージダウンにならないという条件付きですが、そういった事例は数多くあります。
 
 次いで「影響が無い」場合です。購買層の95%ほどが小学生である商品の悪口でも、
 閲覧者の95%が高齢者であるHPであれば、見逃される場合が殆どです。
 また、閲覧者そのものが極端に少ない場合も同様です。
 そもそもが企業ですから、許さないほどの不利益がある場合にしか動きません。
 
 しかし、です。
 自業自得、という言葉があります。
 少しでもイメージダウンに繋がる表現をした場合、
 どこでどのように自分に返ってくるか分かったものではありません。

 で、もっと小さな視点で見た場合。
 あかねさんが登場させた車の持ち主や、その車が好きな人から見た時に、
 その人達がどう思うのか? という点が問題になります。
 「自分の車がこんなのだったら嫌ですが」程度ならあまり問題は無いのですが、
 人によっては「許せない」とか「最悪の作者」と思うでしょう。
 こちらは企業と違いますから、損得勘定抜き。感情がそのまま直結します。
 つまり、です。

 まず「企業に不利益を与えない」ことを念頭に置く。
 可能ならば「企業に利益を与える」ようにする。
 そして「個人に不快感を与えない」ことを念頭に置く。


 この3点を守れば、例え商業作品であっても許される場合が多々あります。


ミッペルテルトさんの意見
 「人名に使われている」程度ならいいのでは?

 「魔法少女リリカルなのは」というアニメシリーズでは、登場人物のほとんどが、
 実在の車から名前が取られています。
(テスタロッサから、エリオ・ゼストなど。果ては、黒幕までスカリエッティです)
 実際、幾つかの車名は人名でもありますし。

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