第4研究室 創作に関するQ&A 56P | トップへ戻る |
薔薇燐火さんからの質問  
 主人公が嫌な奴だとダメ?
 
 はじめまして、薔薇燐火と言う者です。
 早速ですが、質問させていただきます。
 質問とは、題名の通り主人公が嫌な奴でも、萎えずに感情移入できるかと言うことです。
 私の書いている小説で、主人公がヒロイン(吸血鬼)に突如血を吸われるシーンがあります。
 当然主人公は恐怖に慄き、その後もヒロインから距離を取ります。
 問題は『その後』です。
 
 距離を取ると言っても、主人公は露骨にヒロインを避けたり、化け物扱いします。
 布石として必要なんですが、主人公は私の目から見ても嫌な奴です。
 もっとも、吸血されたら当然の反応のようにも思えます。誰も化け物と一緒には居たくないですし。
 このような描写が中盤続くのですが、読み手の人は萎えたり、飽きたりするのでしょうか?

 いかに布石といえども、途中で飽きてしまったら意味がありません。
 皆様の意見をお待ちしております。


●答え●

 薔薇燐火さん、はじめまして。

 主人公が嫌な奴でもまったく問題ないと思います。
 むしろ、極端に嫌な奴だと、それがおもしろ味になることがあります。


 嫌な奴なら嫌な奴で、中途半端にしないで、
 とことん嫌な奴にしてみるという手もありますね。

 例えば、だいぶ昔の作品になりますが、私の好きな作品に
 中村うさぎさんの『ゴクドーくん漫遊記』というライトノベルがあります。
 漫画化、アニメ化までされた人気作品です。
 この小説の主人公である『ゴクドー・ユーコット・キカンスキー』は、
 名前を見ても、だいたい想像できるでしょうが(笑)、 
 ワガママかつ傍若無人な性格で他人の迷惑などお構いなし、自己中心的な最低の主人公です。
 
 仲間になった女の子を売り飛ばそうとしたり、老人の財布をすったり、
 武器屋に炎の魔剣を高値で売りつけて、それを魔法で取り戻して私服を肥やし、
 故郷の国で指名手配にされています。
 彼の行動はすべて欲望と打算が動機になっており、
 誰かを守るためとか、愛や正義のために戦うことはありません。
 ラストは結局、結果オーライで、人に感謝されたりする羽目になりますが。
 (彼の行動が善行と誤解されて解釈される点も、おもしろさの1つ)

 ゴクドーは、それまでの小説、漫画、アニメに出てくる品行方正な正義の主人公の
 アンチテーゼ(反定立)として生まれたのだと解釈しています。
 そういうありふれた連中なんてつまらない、
 悪人が主人公でもイイじゃないかというテーマを追求した作品です。
 
 誰から見ても、おそらく嫌な奴でしょうが、不思議と憎めないキャラです。

 戦いたくない、殺したくないと、うじうじと葛藤しながら、結局、自分の主義主張のために、
 他人を殺して正義面している主人公とかいますが、そういう人間より好感が持てると思います。
 どこにでもいるような無個性な正義漢より、圧倒的にインパクトと個性の強いキャラです。
 なので、悪人や嫌な奴が主人公でも問題ないと思います。
 むしろ、極端に嫌な奴に仕上げると、それが魅力になる場合もあります。
 もちろん、調理の仕方が悪ければダメですけどね。

 ただ、作者から見て嫌な奴だと、作品を書き続けるのが苦痛になってきて、
 結局、途中で放り出してしまう可能性が高いです。


 主人公とは、執筆中ずっと付き合っていく宿命ですので、
 同性なら友人にしたい人間、異性なら恋人にしたい人間、
 好感の持てる人間を選ぶことをオススメします。
 

水面夕貴さんの意見
 はじめまして、こんにちは。

 人間という生き物はどれだけ奇麗事を並べようが所詮は自分の命が大切です。
 人間は恐怖心には勝てません。これは一種の人格として当然な行為と思います。

 しかし問題は、作者自身が見て"嫌な奴"と思えることだと思います。
 
 読者が云々以前に作者である薔薇燐火様が嫌いになられるのは問題ありかな……と。
 自分の嫌いな人間を書き続けるのは苦痛だと思いますし。
 作者に"嫌な奴"と思われているキャラは薄っぺらになってしまうのではないでしょうか。
 私の友達はそうでした。余計なお世話ですが……

>最も、吸血されたら当然の反応のようにも思えます。誰も化け物と一緒には居たくないですし。
>このような描写が中盤続くのですが、読み手の人は萎えたり、飽きたりするのでしょうか?
>如何に布石といえども、途中で飽きてしまったら意味がありません。


 私は多分萎えたりしないと思います。
 最後までそんな状況が続く訳じゃないみたいですし。

 ただ、それも作者が愛情を持って書いたキャラであればの話だと思います。

 偉そうな事を散々言いましたが私も初心者なので間違いがあると思います。
 どっかの誰かがこんな事言っていた、という風に思っていただければ。
 それでは。


しろさんの意見

 昨年出た某大作RPGの主人公は、序盤、プレーヤーがドン引きするほど、
 ワガママで無責任な発言を繰り返します。
 ですが「本当は優しい」「本当は頑張れば出来る」とフォローする設定も入れられています。

 作者が主人公に対し「嫌な奴」としか評せないのなら、
 読む方も「嫌な奴」以上の主人公像がつかめず、苦痛になるかもしれません。


鈴忌さんの意見
 こんにちは、鈴忌です。

 主人公が中盤まで読者にも「嫌われる」可能性が高いならば、
 別のキャラの魅力でそこまで引っ張ってやれば大丈夫だと思います。
 たとえば、そのヒロインでも構いませんし第三者でも構いません。
 そして、中盤で主人公を魅力的に展開させるわけです。

 「嫌い」というのは上手くすれば「好き」に転嫁できる感情なので、
 毒にも薬にもならない主人公で読者からの印象がゼロになるよりは、
 嫌われるぐらいの方が面白い作品になるんじゃないでしょうか。


 ただし、読者は嫌になったら途中でも投げ捨てることができるわけですから、
 何らかの形で興味を維持しないとダメです。
 もちろん、ストーリーの魅力や、文章力で引っ張るのもアリですが、
 上に書いたタグボートみたいなキャラを用意するのも一案だと思いますよ。
 作者にとってどんなに必要なシーンでも、面白くなければ読者は投げ捨てます。
 だからといって、必要なシーンを削ったのでは小説が成り立ちません。
 そこで、必要なシーンを面白くするための要素を混ぜ込むわけですね。
 平坦な日常シーンに、ギャグを混ぜて起伏をつけたりするのと同じような手法だと思われます。

 何かの参考になれば幸いです。では、失礼します。

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