第4研究室 創作に関するQ&A 80P | トップへ戻る |
馬野鹿麻呂さんからの質問  
 科学と幻想(魔法)の同居について
 
 馬です。一身上の都合で、どうしてもお久しぶりになってしまいます。
 さて、わたしはファンタジー派の人間なのですが、
 そんな世界にめちゃくちゃすごい科学文明があったらどう思いますか?
 たとえば……

「キッピー、そこ押して」
 真由が言うと、ペットの不死鳥が瞬間移動スイッチを押した。

「うーん……今日はもう治癒魔法使えないなぁ」
「じゃあ万能薬(←科学によって生まれた物)で代用するか」

 ……みたいな(汗)
 要するに、科学とファンタジーが同居していいんでしょうか?
 そもそもこの二つは相反する物のような気がしてならないのですが……いかがでしょうか?


● 答え ●
 
すすさんの意見
 相反するからダメということはないでしょう。
 むしろ相反するものを無理やりにでもくっつけて物語を作れるのが創作の醍醐味だと思います。


 作者がどこまで妄想をはたらかせて、極力無理の無い世界観を構築するか、
 または無理を通して面白い物語を創作するか、かと。


DoZunさんの意見
 ファンタジーと科学は確かに相反する物です。
 ですが、かといってそれが同一の世界に同居してはならない、ということにはならないと思います。
 取り敢えず、馬野鹿麻呂さんの例にもありますので、ファンタジー=魔法と仮定します。

 そういった、魔法と科学とが同居した作品は実際幾つか存在します。

 ライトノベルですと電撃文庫の「とある魔術の禁書目録」、
 ゲームだとスクウェア・エニックスの「スターオーシャン」シリーズとかですね。
 まあ、後者の場合、文明レベルが地球の中世くらいの星が舞台になってたりするので、
 難しいところですが。探せばもっとあるのでしょうが、ぱっと思い付いたのがこの二つでしたので。
 
 前者は魔術と科学(超能力)が相容れない物として扱われていますが、
 後者は紋章術と呼ばれる魔法と科学が完全に融合しています。

 「スターオーシャン」の最新作では、紋章術を基に科学を発展させていたりしますし、
 遺伝子操作という科学技術により紋章術を自在に扱えたり
 (通常は刺青のような物を体に彫るそうです)と、科学と魔法が融和しています。
 ですので、一概に科学と魔法が同居する事が出来ない、とは言えません。

 しかし、科学が発展してしまった場合、
 ある程度ファンタジー的な要素が排除されてしまうのは事実です。逆もまた然り。
 というのも、魔法も科学も、一つの文明を形成する重要な要素であり、
 その根幹となる物であるためです。
 
 魔法で火をおこせるなら、ライターはいらない、という話になってしまうかもしれませんので。

 魔法と科学を全くの別個の要素としてしまっては、それらが相殺してしまいますが、
 それらを融和させる事が出来れば、広大な世界観を構築する事も出来るでしょう。

 でわでわ。


鈴忌さんの意見
 こんばんわ、鈴忌です。

 違っていたら申し訳ないのですが、いわゆるスチームパンク世界観や、
 サイバーパンク世界観は「科学」と「魔法」の融合した世界じゃないでしょうか?


 それらの作品を見る限り、別に相反するわけでもないような気がします。
 というか、割と親和性は良いと思いますよ。

 たとえば、スチームパンクの代表格の「ギアアンティーク」だと、
 いわゆる剣と魔法の世界がベースです。
 でも、蒸気機関が異常に発達して列車が走っていたりします。
 妙にハイテクな面もありますが、大体は産業革命ぐらいの科学技術ですかね。
 
 馬野さんのイメージだとテクノロジーはもっともっと高度なのだろうと思いますが、
 要するにスチームパンクの延長線上にある世界のような気がします。
 延長線といえば、超有名ゲーム「ファイナルファンタジー」の世界観も、
 スチームパンクの延長線上ですよね。4、6,9が特にその傾向が強いと思います。

 あと、サイバーパンク世界観だとややSF要素が強くなりファンタジー色は薄れますが、
 やはり「魔法」と「科学」が融合した世界観ですよね。
 有名どころだと「シャドウラン」とかがあります。あの世界だと、人間が強くなる手段は大きく
 2つあって……

1,身体に機械を埋め込んでサイボーグ化する。
2,魔法を身に付けて超人化する。

 なのですが、身体に機械を埋め込むと「生物らしさ」がどんどん失われ、
 最後にはただのロボットに成り果てます。
 一方、魔法は「生物らしさ」が「=魔力」なので、魔法使いはできるだけ生身を保とうとするわけです。
 ここのバランスが絶妙で、

1,極限まで「生物らしさ」を捨てたサイボーグ。
  (主に銃などの火器で戦う)

2,完全な生身だが強力な魔力を持つ魔法使い。
  (主に魔法を使って戦う)

 以外にも、

3,ある程度、機械で反射神経などを補強した上で、
  身体能力を魔法に生かす戦闘専門の魔法使い。
  (銃も使うがメインは魔法タイプや、魔法は補助でメインは銃タイプ など)

4,かつては大魔法使いだったが、大怪我を負って
  機械の身体となり魔力を失った魔法使い。
  (魔法知識は豊富だが、現在は魔法は使えない)

 などの中間的なキャラも多く登場できるわけです。
 それに、別に戦闘だけが目的じゃないので、
 魔法使いといってもある程度は機械化して便利な能力を持っていることが多いみたいですね。
 (非常にキャラクター造形のバリエーションが豊富な世界です)。

 それに、「シャドウラン」の世界は近未来ベースですが、
 エルフやドワーフ、オークやトロールなども出てきますしドラゴンなどもいます。
 しかし、それらのファンタジー風な要素が、
 近未来の高度なテクノロジー世界に違和感なくマッチしているんですよ。
 MATRIXみたいなコンピュータ世界まで設定にはあります。
 しかも、ネット世界に強い種族がエルフだったりします。

 馬野さんの参考になればと思い、「ギアアンティーク」や
 「シャドウラン」関連の書籍を調べてみました。
 馬野さんの目指す世界と合致するかどうかは分かりませんが、
 魔法とテクノロジーの融合方法や詳細な世界設定などは、
 ご自身の創作活動を行う上で役立つ可能性も高いので、もし興味がありましたらどうぞ。

 『シャドウラン〈ルールブック〉』

 なお、\5,000以上とやや高額な商品ですが個人的には、
 それ以上に勉強になる部分が多い本だと思います。
 いわゆるTRPGのルールブックです。小説や漫画ではなく、
 いってみれば世界設定資料の塊みたいな感じです。

 ということで、鈴忌的には……

> そもそもこの二つは相反する物のような気がして
> ならないのですが・・いかがでしょうか?

 については、全然問題なく融合可能な要素と思われる、という
 解答になります。何かの参考になれば幸いです。


 では、失礼します。


猫の盛りさんの意見
 通りすがりの野良猫です。
 オイラなりの答えを残します。

 魔法や錬金術等々もそうですが、その行使には理論と法則が存在します。

 そうした部分のコアとなる部分は専門家には説明可能ですが、門外漢にはブラックボックスで、
 大雑把に「科学技術」や「魔法」と言う箱から何かの力が出ているとしかわかりません。
 昭和の初期にあった実話では、中東から観光に来た人達が、
 蛇口を捻ればどこでも水が出る事に驚いて、大量に蛇口を買っていったそうです。
 地下の水道管を知らなかった訳です。

 科学も万能ではなく、19世紀頃は聖書の影響も強かったですし、
 オカルトとの区別も難しい部分もあります。


 口は鴨で、モグラのような爪、後足には鰭を持ち、大きく丸い尻尾があって、
 卵を産んで袋で暖めて育てる哺乳類がいると言ったら
 「そういうのがいたら研究室に連れてこい」と誰も本気にしなかったそうです。
 そのため、研究の遅れたカモノハシは未だに生体がよくわかっていません(2006年現在)。
 ビックバンについては最初学会の笑いもので、
 「そんな火の玉で宇宙が出来るわけがない」とか言われていたのに、
 いつのまにやら神の一撃とかなんとか主流の学説になっています。

 要は作品の中で、どういう線引きを引いていくが重要だと思います。

 余談ですが、サイバーパンクはどちらかと言えば科学とハードボイルドの融合ですw
 シャドーランとかマトリックスの原作のシナリオがありますね。
 ではでは。


風月堂さんの意見
 見方の問題ですが…

 もし、この現実で魔術と称されるものがあったなら、その世界では一種の自然現象といえます。
 となれば、それは追求されるべき自然現象として、分析・研究の対象とされるでしょう。


 錬金術はその化学的な試みといえます。
 (神秘を検証以前の大前提としてしまったがために、結局は化学に取って代わられましたが)
 ニュートンもまた、科学者というよりは錬金術的な側面が強かったといいます。
 もしかしたら、光の回析現象も万有引力も神秘現象として理解していたのかもしれません。

 精神の介在する物理現象として理解されるならば、
 『科学の一分野』として理解されるのではないでしょうか。

 
 物質やエネルギーの変化は物理学的に考察されるでしょうし、
 精神との関わりなら心理学や大脳生理学、
 呪文との関係なら精神上の機能(や、あるいは情報科学的)に理解されるかもしれません。
 そして、魔法には無数の学術論文が蓄積し、魔術も理論的に設計されることでしょう。
 遺伝子研究により遺伝子を操作する技術も発達して、
 遺伝子組み換え食品が出来るようになったり、
 物理学・化学でも原子・分子の特性を生かしたナノテクノロジーが発展したように。

 せいぜい精神介在現象(いわゆる魔法)を使うか、
 純粋物理現象(いわゆる科学技術・物理化学)を使うかの、
 経済的、時間的、労力的なコスト問題に落ち着くのでしょう。
 魔法と科学が断絶したものというより、
 精神の介在や急激な物理反応などで区別されるのかもしれません。
 そこまで行くと「魔」と名乗るかも疑問ですが…

 もっとも、これでは"科学とファンタジーの同居"という雰囲気を出せませんが。
 あくまで、一つの見方として、参考になれば幸いです。


ペットボトムさんの意見
 全然OKだと思います。
 魔法的な物と科学が混在する作品は数多くあります。


 例えばアニメでは「聖戦士ダンバイン」。
 海と陸の狭間に存在する世界「バイストンウェル」という異世界の物語ですが、
 この世界には妖精の様な生物「フェラリオ」や、
 恐竜と昆虫のキメラの様な怪物「強獣」といったファンタスティックな生物が存在します。
 召喚術みたいな魔法的な物も存在します。

 しかし、この世界には地上(私たちの地球)からもたらされた科学技術を使った人型機動兵器
 「オーラバトラー」が存在します。
 上述した「強獣」の外骨格や筋肉と、
 電子機器・センサー・フレームなどといった科学の産物を融合させて造られます。
 ミサイルやマシンガン等の近代兵器で武装しながらも、
 その概観は大変有機的でファンタジーを感じさせてくれます。
 「オーラバトラー」は物語の極めて重要なキーファクターとなっています。

 この作品は「ガンダム」をはじめとするSFロボット物と、
 「ロード オブ ザ リング」「ハリーポッター」のような
 ファンタジーを融合させた作品の原初となるものでしょう。
 
 科学とファンタジーが同居した作品は全然おかしなものではありません。

>そもそもこの二つは相反する物のような気がしてならないのですが……いかがでしょうか?

 と言われましたが、相反する物が混在する世界ってエキゾチックな感じがしませんか?
 そういうイメージはむしろ魅力的な世界観作りに一役買ってくれると思いますよ。



DOさんの意見
 こんにちは〜、ノベルゲーム制作に入っているせいで掲示板の住人と化しているDOです。

 さっそく回答します。
 「同居」というのは不自然な気がします。「融合」なら納得できますね。


 仮にファンタジーというものが、主に「魔法」というものを指しているとします。
 そうすると、魔法と科学のどっちが利便性が高いか、というのが問題になってきますね。
 簡単な詠唱で超常現象が起こせるのなら、魔法が進歩します。
 逆に、魔法を行使するのに複雑高度な何かが必要、
 または魔法を使える人間が少なすぎるのならば、科学が進歩します。
 両者が同等レベルならば、融合するのが自然ですね(融合できるのならば)。
 まあ、なんにせよ、現代科学で不可能なことを普及させるのは危険です。
 なんでもアリになりかねませんから。

 結論。一定の制限を入れるのならば、アリだと(作者の自由、というのはおいておきます)。
 とにかく、明らかに不自然な点が生まれないようにすることが大事かと。
 では。ファンタジー万歳!!!


馬野鹿麻呂さんの返答(質問者)
 思った以上に皆様が盛んに意見を出してくださって、とてもうれしい気持ちになりました。
 あぁやっぱりいい人達だなぁ……と思って。ありがとうございました。
 にしても、みなさんすごいですね……
 自分の背丈がどれだけ小さいかが浮き彫りになったような気がします。
 知らない小説とかその他諸々がバンバンでてきて、
 「もっと精進しなきゃなぁ・・」と、深夜一人のリビングで嘆息しています。

 ま、それはともかく。
 要は、決定的にメチャクチャなところが出なければ、むしろ、イイ! というやつですね。
 参考になります。ありがとうございました〜。

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