第4研究室 創作に関するQ&A 84P | トップへ戻る |
ゆいさんからの質問  2007年
 皇帝は良くても天皇は駄目なのか?
 
 こんにちは、ゆいです。皆さんにお聞きしたい事があるのですが、
 私の小説には皇帝が出てきます。ライトノベルにも、皇帝は出てきますよね?
 ではもしもの話です。もしもの話ですよ?
 皇帝のほかに、『天皇』という、称号をもったキャラクターを出したら、
 私は社会のバッシングを受けるのでしょうか?
 ……訳の解らない質問ですみません。


● 答え ●
 
鈴忌さんの意見
 こんにちは、鈴忌です。
 ラノベの場合は多分大丈夫だと思いますが、
 「天皇」については下手な扱いをすると色々と危険な場合があります。

 脅かすわけじゃないですが、15年ほど前に「悪魔の詩」という海外の小説を翻訳した、
 筑波大学助教授の五十嵐さんが暗殺される事件がありました(犯人は捕まっていないはずです)。


 この「悪魔の詩」という小説は「イスラム教」のマホメットをややスキャンダラスに扱った小説で、
 イスラム圏では冒涜的だとして相当バッシングされた作品です。
 で、当時の宗教的指導者の一人だったホメイニ氏が、
 「悪魔の詩」の作者に「死刑宣言」を出していました。
 しかも、出版に関わった人についても処刑することを認め、億単位の懸賞金をかけた上で、
 暗殺失敗で逮捕されたり死刑になっても、
 宗教的殉死としてイスラム法に則って手厚く葬ると宣言しました。
 で、結果として五十嵐さんは殺されました。
(作者は、イギリス人ですが国を挙げた護衛で守り通した上で、
 イスラム圏との和解交渉を行って現在は沈静化しています)

 現代日本人からみると過激で理解しがたい話かもしれませんが、
 キリスト圏やイスラム圏では基本的に「人間の法」より「神の法」が上位に位置します。
 つまり、宗教的指導者が認めた殺人ならば、
 たとえ「人間の法」で裁かれても怖くないということです。
 (特にイスラム圏では「イスラム法」というものが存在します)
 
 イスラム教は某風刺画問題でも騒ぎましたので、
 過激な宗教という印象があるかもしれませんが、基本的にはキリスト教も、
 そして「天皇を神とする昭和初期以前の日本」も同じなんです。
 宗教というのは大なり小なりそういう狂信的側面を持ちます。

 で、重要なのは「天皇を神とする」考え方を現在でも維持している方々が、
 日本にいるということです。


 そういった方々の中で表だって活動されているのが「右翼」と呼ばれる団体ですね。
 ラノベのように商業範囲が限定されているものならば、たぶん大丈夫だとは思いますが、
 一般文芸で「天皇」を侮辱するような内容を扱ったら結構ヤバイです。
 社会的バッシングを受けるかどうかはともかくとして、
 直接的に脅迫されたり本当に命の危機に晒されることもあるかもしれません。
 (過去に色々事例が……)

 まぁ、別にゆいさんがいわゆる「国辱的」な作品をつくることはないだろうと思うので、
 「天皇」という称号を使うこと自体はさして問題がないだろうと思います。
 でも、実際にこういった事例が過去にあるということを踏まえた上で、
 扱いは細心の注意を払ってとり行った方が無難だと思います。
 歴史上の人物の扱いは基本的に慎重にすべきですが、特に宗教がらみは危険度が高いです。
 つまり「マホメット」「キリスト」「天皇」あたりですね。
 特に「天皇」については日本固有の存在ですし、
 実在の誰を指さなくても「天皇」そのものが皇室自体を指すこともあるので注意が必要です。
 今でこそ天皇は「国の象徴」ですが、元々は「現人神」です。
 つまり「政治的指導者」であると同時に「宗教的指導者」でもあるんですね。い
 わゆる王族とはそういう面で一線を画しているわけです。ご注意下さい。

 と、まぁ、色々脅かしましたが基本的には「たぶん大丈夫」というのが鈴忌なりの結論です。
 よほどのことを書かない限り、そしてそれが大ヒットしない限り、問題は起こらないでしょう。


 では、失礼します。 


無用斎さんの意見
 アメリカやイギリスの新聞には、日本の天皇も「emperor」と表記されます。
 ですから、皇帝も天皇も意味は似ているといえます。

 ですが、私は天皇は使わない方がいいと思います。皇帝は、世界中にたくさんいました。
 秦の始皇帝にはじまり、
 神聖ローマ帝国、ビザンツ帝国、ピョードル1世、ナポレオンたくさんいました。
 ですが、天皇は日本にしかいません。固有名詞に限りなく近いものだと思います。
 大日本帝国憲法には、「天皇は神聖にして犯すべからず」とありました。
 これは何も憲法が制定さえた時に決まったことではなく、
 千数百年の昔からの日本国における当然のことでした。60年前にアメリカに変えられただけです。
 
 どこか架空の世界で天皇という称号のキャラクターが出てきたら、
 かなりマズイ気がします。もし、それが悪者だったら……。


 ライトノベルは、若い世代がターゲットなので、読者はあまり気にしないかもしれません。
 ですが、気にする人は確実にいます。

 特に、右寄りな方々は、非常に敏感でしつこいです。

 日本を舞台にすれば、もし天皇が出てきても大丈夫だと思います。
 事実に基づかない想像の話で、それが冒涜するような内容でなければ、ですが。
 ただ、異世界物だと……
 内容によっては、バッシングではすまないでしょう。


Neutronさんの意見
 こんにちは、Neutronです。

 称号として天皇を用いるのはちょっと危なげですね。
 皇帝という称号には、国境を越えた「王」としての意味合いがありますが、
 天皇とした場合それは日本を強く意識させます。
 現実で「日の丸・君が代」問題が大きく取り沙汰されていることからも分かるように、
 この手の問題は非常にデリケートです。

 特に天皇に関しては神聖化されている方も多いですし、
 そういった方々の気分を害する可能性は否定できません。


 他の小説・漫画・ゲームなどを眺めてみても、
 単なる称号として「天皇」が扱われていないことからもそれが推測できます。
 バッシングを受けるかどうか、という点から言えば、
 どんな内容でもバッシングを受けてしまう可能性はあります。
 ただ、天皇という称号を用いたキャラクターを出したら、その可能性は高くなるものと思われます。
 最も、想定する対象読者にもよりますが……

 私の考えとしては、どうしても「天皇」じゃなければいけない、
 という理由がない限り、用いるべきでは無いと思います。


あとりさんの意見
 こんにちは。私は、「天皇」という称号を使うのは避けた方が無難だと思います。
 やはり日本を強く連想させますし、外国っぽい世界観ならば、
 場合によってはちぐはぐな印象を与えかねません。
 ですが、もしも、ゆいさんが日本もしくは日本に酷似した世界観の小説を書かれるのなら、
 「天皇」ではなく「帝」と言い換えてみてはどうでしょう。
 また、余談ですが、天皇に「●●天皇」の●●の部分がつくのは死後のことだそうです。
 ですので、●●の部分を出さなくても、
 その天皇が生きているのならば、「今上の帝」という言い方で良いと思います。
 あ、「もしも」の話なのに、話がそれてしまいました。

 とりあえず、私は「天皇」という称号を持った人物は極力出さない方が良いと思います。

 補足ですが、古代日本を書くのなら、
 荻原規子作の「空色勾玉」「白鳥異伝」「薄紅天女」という本が参考になります。
 それでは失礼します。


黒椿さんの意見
 はじめまして。小説の内容によるでしょうが、ファンタジーの世界ではなく、
 現実の(過去・現在・未来全てにおいての)日本が存在する世界のお話であるならば、
 『天皇』の称号を使っても可だと、私は思います。

 架空戦記物(WW2物・戦国物等)などでは普通に使われていますからね。

 ただ、使われているからと言って主要登場人物ではなく、数行だけですけどね。
 それが異世界ファンタジー物なのでしたら使わない方が無難かなと思います。
 どうしても「日本の」天皇を意識させられますからね。
 そこにまぁいわゆる困った人が無茶苦茶な因縁をつけてくる可能性もすてきれませんしね。

おかしな例:
 「天皇は神=現人神」と聞くと現在の日本人の大半は、
 「一神教的な神」を無意識のうちに思い浮かべています。
 ですが、本来日本における「カミ」というのは一神教的な神ではなく、
 「人知を超えた神仏(八百万神と呼ばれる日本の神々は、
 他の国の仏でも神みたいなものと受け入れてきました。
 八百万もいるからその内の一つだろうと)」とか、
 「人のある集団での偉い人=守(カミ)」とか色々な意味合いを持っていました。
 ただ漢字導入の際に「カミ」という古来の言葉に「神」を当てただけで、
 日本における神には一神教的な神の概念は本来は無いのです。
 ですので天皇の「現人神」も「人の集団での偉い人」程度のニュアンスしか本当は無いのです。
 キリスト教伝来の時も伝道しは日本人に伝える際に、
 「神」だと上記のような日本の「カミ」と混同されるというので「天主」や「デウス」としました。
 ですので、天皇は神とか言ってバッシングしてくる人には上記の説明で十分対応できますが、
 それ以外のバッシングもありえますので、
 やはり「天皇」という称号の使用はファンタジーならば避けたほうが無難です。


竜宮城さんの意見
 久しぶりに現れました。竜宮城にございます。
 天皇についてすこし申し上げようと思います。
 天皇ですが、中国にも何人かいます。
 天皇(てんこう)と読ませることが多いですが、同じ字を書きます。

 一応、皇帝より上位の称号として使われていました。唐の高宗などは天皇と称しています。

 また、日本で天皇という称号を使い出したのは七世紀頃と聞いたことがあります。
 それ以前は大王(おおきみ)と称していたそうです。
 天皇といえば、日本のを浮かべる人がほとんどでしょうが、
 天皇家の全てが天皇と称したわけではなく。天皇は日本だけが使う称号ではないということです。
 使う際は細心の注意が要りますが、
 知っていた方が良いんじゃないかっという情報をお知らせしました。
 お役に立てれば幸いです。竜宮城でした。


魏延さんの意見
 「シグマ」と、この名を使っている魏延です。
 こっちの方が好きなので徐々に魏延になってきました。

 皇帝は良くて天皇はダメなのか、という質問ですが、
 個人的には、天皇でも問題はないけれどやはり皇帝の方が無難、と思います。
 右翼が怖い。

 また、やはり一般イメージとしては、
 「天皇は日本の象徴」という捉え方をされています。

 ここにあれこれ理由を通して「昔は違った名称だった」「外国にもある」として、
 反論することは可能ですが、読者は普通そこまで考えた上で読みません。
 先入観の促すがまま、イメージに流されるままに読んでしまうでしょう。
 あくまでも読む対象は少年少女を中心とした読者なんですから。
 考えるべきは右翼の解釈よりも若者世代の解釈の方でしょうね。

 例え右翼の人でも、よほど極端な右翼の方でなければ、
 あるいは天皇という存在が、無茶苦茶な人物・風評・立場と表現されてなければ、
 反論や苦情、批判はしないでしょう。
 でもこの場合の「無茶苦茶」も、もちろん一般的な感覚が基準です。

 そうならないための対策としては、
 天皇と名を語るキャラが現存する日本国天皇家とは全く違う、
 とハッキリ線引きされてある、ということでしょうか。
 愚生が考えるに、異世界モノなら「天皇」を語る王が出てきてもいいと思います。
 ……そこへ下手に現代の日本政府、天皇家への風刺を加えなければ、の話ですが。

 ……と言うことでやはり、
 加減を一歩間違えれば非難で火だるまになる危険はあります。


 どうせなら「帝王」「皇帝」「帝(みかど)」「キング」「王」等の方が
 遥かに無難で安心ゾーンではあると思うのですが……


阿波座泡介さんの意見
 結論から言えば『天皇を使わずに表現できるならば、使うのはよしましょう』

 と言うのは『天皇の定義が曖昧である』のが大元の原因で、
 その上多くの日本人が『天皇の定義をしっかり理解している』と誤解している点が、
 混乱に拍車をかけています。
 つまり、天皇に関しての統一見解が無いのです。
 しかも、みんな自分は理解しているつもりでいる。
 もし、どなたか一言で天皇を説明できる方がいらっしゃったら、お願いです!
 私に天皇が何かを教えてください。

 このような現状において『天皇』を扱うのがいかに危険かはお分かりでしょう。
 何を書いても、誰かに攻撃され。それを誰かが訳の分からないを批判して。
 そして、トンチンカンな擁護やら応援やらが飛び交い……

 もちろん『天皇』がメインテーマの作品なら仕方がありませんが。
 その時でも、以下の条件をクリアするのが望ましいでしょう。

1・明確なコンセプトがある
2・それを証明するに十分な知識と論理がある
3・世論との喧嘩の仕方を心得る


 それでは検討を祈ります。


クマ太郎さんの意見
 こんにちは、クマ太郎と申します。
 私自身、とても気になったので、このご質問にお答えしたいと存じます。
 まず、ご皇室が、この国にとってどのような存在であるのか。
 また諸外国にとってどのような存在であるのか。
 私が知っているかぎりのことを、ここにざっと述べさせていただきます。

 皇室は、世界最古の王朝であるということ。
 日本に数々残る伝統は、皇室の存在があったからということ。
 日本に独裁者のようなものが出現せず、
 また同国人による国民の虐殺がなかったのは皇室の存在があったからということ。
 日本のように小さな国か、諸外国と外交できるのは、皇室の存在があるからということ。
 日本が共産主義に飲み込まれなかったのは、ひとえに皇室のおかげであるということ。
 天安門事件で世界から非難されていた中国への風向きが、
 両陛下のご訪中がきっかけで一発で変わったこと。

 まだまだありますが、両陛下の存在は日本の国益と深く結びついているのです。

 あなたが何気なく暮らしている中でも、
 皇室によって守られている伝統、秩序があるのです。気付かないだけで。
 
 そのことをよくご理解なさった上で
 「天皇」という表現をお使いになればよろしいのではないでしょうか。

 
 コメントは以上です。ご参考になりましたか?


えにしさんの意見
 こんにちは、えにしと申します。

 質問の答えは、結論から言いますと「使わない方がいい」です。
 バッシングを受けるかも知れません。

 
 昭和の頃、皇族が殺されるというラストシーンの描かれた小説がきっかけで、
 右翼によるテロが引き起こされたという事件がありました。
 
 天皇というのは、若者世代からすると日本の象徴として認識しているのがだいたいでしょう。
 しかし、中にはそれ以上の存在として考えている人もいるのです。
 そういった人たちの目に触れて、それが明らかな侮辱ととらえられたら、
 バッシングどころじゃすまなくなる可能性もあります。

 もしも、の話ですが、ゆい様が天皇を扱うお話を書くようでしたら、
 「天皇」がどういう存在かを充分に調べておくことをお勧めします。


 本 だけじゃなく、ネットの情報も案外役立ちます。
 あるいは、近所のお年寄りの人たちに話を聞くとかね。

 繰り返しますが、「天皇を安易に使うのは、身の安全を考えると避けるべき」ということです。
 こんな意見ですが、参考になれば幸いです。ではでは。


しいなさんの意見 2012/09/10
 この質問についてなんですが、個人的におかしいと思うところがあるので指摘しておきますね。

>現代日本人からみると過激で理解しがたい話かもしれませんが、
 キリスト圏やイスラム圏では基本的に「人間の法」より「神の法」が上位に位置します。
 つまり、宗教的指導者が認めた殺人ならば、
 たとえ「人間の法」で裁かれても怖くないということです。
(特にイスラム圏では「イスラム法」というものが存在します)


 もうちょっと調べてから言ってもらいたい。よく知らない私でもこれはどこかおかしいと思った。

>で、重要なのは「天皇を神とする」考え方を現在でも維持している方々が、
 日本にいるということです。


 「神」をどう定義するかにもよりますが…
 現人神のことですか?


>そういった方々の中で表だって活動されているのが「右翼」と呼ばれる団体ですね。

 「右翼」は団体ではなく、思想です。


>特に、右寄りな方々は、非常に敏感でしつこいです。
>右翼が怖い。


 右翼=怖いってのもなんかおかしいと思う。
 一口に右翼と言ってもいろんな人間がいるだろうし。
 ひとくくりにするのは、私はあまり好きではありませんので。

>昭和の頃、皇族が殺されるというラストシーンの描かれた小説がきっかけで、
 右翼によるテロが引き起こされたという事件がありました。


 嶋中事件でしょうか?でも昭和の話ですしね。
 今はそんな大事は起こさないと思いますよ。


しいなさんの意見 2012/12/07
 以前「皇帝は良くても天皇は駄目なのか?」にて意見を投稿したしいなです。
 私としては、「天皇を神とする」の神って、皆さんがイメージする一神教の神ではなくて、多神教の神だと思うんです。
 実際日本神話は多神教でしたし。

 大日本帝国憲法第3条は、大日本帝国憲法第1章にある。この条文では「天皇の神聖不可侵」(天皇の尊厳や名誉を汚してはならない)を規定している。また天皇の尊厳や名誉を汚してはならない為に55条において「国政は各国務大臣が行い、その全責任を負う」となっている。
(天皇は国政に介入できない代わりに、その責任を問われない)

 法解釈としては、無答責の法理の根拠とされ、不敬や身体を害する行為が不敬罪として刑罰の対象になり、また、天皇はあらゆる非難から免れることを意味している。(wikipediaから引用)

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