第4研究室 創作に関するQ&A 237P | トップへ戻る |
匡さんからの質問
 テーマを薄っぺらにしないためには?
 
 はじめまして。ラノベ研究所をいつも参考にさせていただいている匡と言います。
 今までラノベ20Pくらいの短編しか書いた経験が無く、
 長編(ラノベ一冊分くらい)を書こうとプロットを組んでいるのですが、その中で思ったことで一つ。
 
 小説のテーマを「規則を守れ」というものにしようと考えているのですが、
 これは自分自身の信条のようなものでもあるんです。
 公共の場所のコンセントで携帯充電している人とか、
 集会中にコソコソ話をしている人とかを見ると、
 一瞬で脳が沸騰するとか虫唾が走るとかそういうタイプの人間です。
 
 しかしここで、このテーマの対極に位置するキャラクターや、
 テーマがそれに膝を屈するような展開を考える(ex:愛の前では規則などどうでもよい、etc)と、
 自分の信条ということでひいき目に見てしまうのか、
 どうもメインのテーマと比べて薄っぺらなものになってしまい、
 ちょっとプロット作成が袋小路状態になってます。
 
 『自分の信条』のようなものをテーマに持ってくるのは難しいのでしょうか? 
 皆さんは小説のテーマを『自分の信条』から作ったりしていますか? 
 お時間ある方、返信をお待ちしています。


● 答え ●

みつきさんからの意見
 匡さま、はじめまして。

 テーマを「規則を守れ」などの言い切り命令型にしてしまうと、
 どうしてもそういう問題が出てきてしまいますよね。
 だって、最初からバランスが偏ってしまっているんですもの。
 私の場合は、自分の信条とやらをテーマに持ってきて作品を作ることはあまりしないです。

 「なぜ、規則を守らなくてはいけないのか」という疑問形ならば、テーマにしやすいんですけどね。

 そうすれば、規則を守る人、規則を守らない人、
 時と場所によって守る守らないを決める人、規則というものにそもそも感心のない人、
 規則を作る人、規則を作る人を監視する人、規則によって拘束される人や物事、
 規則によって守られるもの、規則によって侵害されるもの、
 といった沢山のものを同じ土俵に上げて、
 各々の存在に同じような重さを持たせることが出来ますから、
 ストーリーがとても作りやすくなるんですよ(^^)。
 
 正しいものと正しくないもの、良いものと悪いもの、プラスとマイナス、
 そういったシーソーの両端に乗せるものは、
 似通ったような重さをを持っている方が、面白い動きをしてくれるものだと思います。

 
 自分の中にある、『近しい重さを持った、両極に位置するもの』を見つけて、
 それを他のものに当て嵌めたりできる応用力を身に付けてからでないと、
 何かがぶつかり合うお話を面白く書くのって難しいですよね。

 それではこれにて、失礼させていただきますね。


匿名希望さんからの意見
 どうも、匿名希望です。
 私は自分の信条をテーマにすることはよくあります。

 ただ、信条=正義と思ったことはないですね。
 私は贔屓目に見て偽善者、普通に見れば悪人だと自負しているので。
 失礼、話が逸れました。

 規則を守ることが本当に正しいことかどうかを主人公に考えさせる物が必要なんだと思いますよ。

 規則を守ることが正義だ、になってしまっており、相手側が完全に悪にされてますからね。
 これだと、信条では無く、マナー違反、わかりやすい悪に怒っているだけに見えてしまいますよ。

 そうですね、よく医者の間で問題になりますが、規則を破らないと死んでしまう患者がいる、
 それでも規則を守るかが正しいかどうか、とかそんな感じです。

 当たり前の悪に、当たり前の正義で勝つ、
 では信条とは言えないんじゃないかな、と私は思いますね。
 真面目か正義感が強い、それだけで悪とは戦えますので。

 自分とは違う正義に、自分の正義を貫けるか、疑問が浮かびますし、
 だからメインのテーマと比べて薄っぺらいんだと思いますよ。

 しょうもない悪に、当たり前のように正義が勝つ、になってしまってないでしょうか。
 とはいえ、作品を見た訳ではなく、予想でしかないので、
 違うなあ、と思うならば、軽く聞き流してください。
 それでは、駄文を失礼しました。


Veilchenさんからの意見
 メインテーマに対するアンチテーゼを設定する際、メインテーマへの思い入れ故に、
 アンチテーゼが軽いものになってしまう、ということでよろしいでしょうか。

 私の場合ですが、テーマというよりも「こんな場面が書きたい」「こんな雰囲気の話にしたい」
 というイメージから始まります。
 そこからそれを表現できるキャラクターやストーリーを考え、整合性をつけていきます。
 なので、私の場合は必ずしも私自身の信条とテーマが一致するとは限らないです。

 しかし、いわゆる主人公マンセーに陥ってしまうことや、
 地の文などから私の考え方がにじみ出てしまうのは感じる時があるので、
 気付いた場合は、状況に応じて排除しています。

 対処方としては、視野を広げること、自分と対極の思想について、じっくり考えること、でしょうか。

 例えば私が死刑反対論者だとしたら、賛成意見や、反対論者への反論についても勉強する。
 心から支持することは出来ないとしても、自分と違う考え方の人がどんな意見を持っているか、
 そのバリエーションをつけることができるでしょう。

 匡さんが挙げたような例(携帯充電・コソコソ話)なら、
 そういった言動をする人を観察するのもありかもです。
 私は接客のアルバイトをしていますが、非常識な客の言動を観察して、
 反面教師にしたり作品中の「厭なキャラ」に反映させたりしています。

 また、主人公と敵対するキャラや陣営の背景について、掘り下げます。
 私の場合、主人公を先に考えるので、敵キャラは最初はテンプレ的な悪役にしかなりません。

 それを何故そういった思想を持つに至ったか、何故主人公と対立するのかを考えるのです。
 そうして、「こっちの言うことももっともかも」という位までいけたら、説得力も出てくるかと。


 質問の件と少しずれたかも知れません。何かの参考になれば幸いです。


ワルプルギスさんからの意見
 私は『自分の信条』といえるほど立派なものは持ち合わせておりませんので、
 それをテーマに小説を書いたことはありません。
 
 また、作者の思想や嗜好はある程度作品ににじみ出てくるものでしょうが、
 「これが正しいんだ」と押しつけると作品そのものが、
 説教臭くなってしまうのではないかと危惧します。


 みつきさんが既に言われているように、
 「規則を守れ」という命令形では魅力的なテーマとすることは難しいでしょう。

 それ以前の内容についてですが、無礼と思われることを承知で言わせていただくと、

 「テーマの対極が薄っぺらならば、テーマそのものが薄っぺらだ」と私は考えます。
 
 テーマが最も強く輝くのは、そのテーマが危機にさらされている時です。
 ならば、テーマを強く訴えるにはそのテーマをよく考察し、
 それが窮地に陥る状況を作るべきでしょう。
 
 『規則』というテーマを押し出すには、
 規則を守ると大切なものが失われる状況を作るのがよいと考えられるわけです。
 
 歴史の話になりますが、「悪法もまた法なり」と毒をあおったソクラテスや
 戦後に闇物資を口にすることを拒んで栄養失調死した山口良忠判事などは
 『規則』を守ると『自分の命』が失われる状況でなお『規則』を選択したという意味で
 良い例になるのではないでしょうか。


岩倉珪衣さんからの意見
 テーマから逆算して作品を作ると、大体薄っぺらな作品になりますよ。書きながら考えないので。
 書いている内に初めのテーマが段々と相対化されていくのが普通では?


エェルディアさんからの意見
 匡様、とお呼びすることをお許しください。
 エェルディアと申します。
 僭越ながら、私的に同調する文があったため、こうして筆(……キーボードですね)を執りました。
 何処が、は伏せておきますのであしからず。

 さて本題に入りますが、わたしの場合、やはりというべきか、
 自身の信条は必ずと言っていい程に入っています。
 
 勿論、信条や信念から創った物語もあります。
 しかしそのキーワードはあまり気にしていません。
 自分の信条を入れた物語というのは、根幹が既に出来上がっているものだと思っているので、
 ある程度は意識せずとも大丈夫なのです。
 それを鑑みれば、これ程楽なテーマはないでしょう。

 しかし物語という世界は、それだけでは成り立ちません。
 そのテーマ(ここで言うなれば「規則を守れ」)に見合うだけの反存在、
 対になる何かが必要ですよね。


 まあこれが一番の難題であり、キーが上等であればある程膨れあがってしまうのですが……
(もしかして「規則を守れ」は典型ですか?)
 そこでわたしはこう考えます。

 何故、守らなければならないのか?
 ……そもそも自分は、何故、規則を守らない人間に腸を煮えくりかえらせるのか?

 切っ掛けは些細なこと、という言葉もありますのであまり参考にはならないかもしれませんが、
 御一考してみては如何でしょうか。
 長くなってしまい申し訳ありません。

 ついでと言っては何ですがこちらも。

 そしてこの先、今以上に規則を守らない天上天下唯我独尊の無法者が現れたとき、
 一体、自分はどうするのだろうか。

 お粗末様でした。

萌え・美少女・美形・BLについて
その他・創作上の悩み
世界観・リアリティ・設定についての悩み
タイトル・ネーミングについての悩み
やる気・動機・スランプについての悩み
作家デビュー・作家生活・新人賞・出版業界
上達のためのトレーニング・練習法について
読者の心理・傾向について
使うと危険なネタ?
恋愛・ラブコメについての悩み
ライトノベルについて
文章・描写についての悩み
人称・視点についての悩み
推敲・見直しについての悩み
コラム(創作に役立つ資料)
批評・感想についての悩み
ネットでの作品発表の悩み
ストーリーについての悩み
冒頭・書き出しの悩み
プロットについての悩み
キャラクターについての悩み
主人公についての悩み
セリフについての悩み
オリジナリティ・著作権・感性
テーマについての悩み
二次創作についての悩み

 携帯版サイト・QRコード
  
第4研究室は小説を書く上での質問・悩みをみんなで考え、研究する場です。
質問をされたい方は、創作相談用掲示板よりお願いします。
質問に対する意見も募集します!
投稿されたい方はこちらの意見投稿用メールフォームよりどうぞ。
HOME|  第1| 第2| 第3| 第5| 鍛錬室| 高得点| CG| 一押| 資料| 掲示板|  管理人| 免責| リンク| メール|