第4研究室 創作に関するQ&A 250P | トップへ戻る |
紫さんからの質問
 昔の日本を舞台にした小説が書きたい
 
 久しぶりの投稿になります。無駄に時間を捨てていた紫でございます。。。
 早速本題に入らせて頂きますm(_ _)m
 私は今、日本の時代物を土台にしたお話しを書こうと思っています。
(年代ははっきりとは決めていないのですが……)

 雰囲気で言えば、あくまで昔の日本を土台に、
 不思議な術が使えそうな人達とかが居そうな感じなのです……
 なので、背景もちょっと不思議な時代物の雰囲気を出したいのですが、
 なかなか上手くいかず、挙句の果てに時代物の雰囲気さえも出なくて……

 なので、何か読み手に時代の背景描写が伝わるような表現や雰囲気の出し方など、
 アドバイスが頂きたいのです!
 厚かましいお話しですが、どうかお力をお貸し頂けると嬉しいです!
 駄文失礼致しました。


● 答え ●

飛車丸さんからの意見
 ずばり単純に。

【該当する時代を知ること】

 これ以外にありません。
 平安が書きたいなら平安時代を調べ、幕末が書きたいなら幕末時代を調べる。
 言葉遣いもさることながら、何よりもその時代における風俗を知ることが必要です。

 例えば平安であれば、弓削・阿部・賀茂・清原といった陰陽道の最盛期で、
 荘園制などの国策によって貧富の差が広がってしまい、
 また遣唐使の派遣と政治の安定により国風文化が大きく発展し【倭が日本に】なった時代です。

 服装や小物などに関しても、この時代は一つの節目ですね。
 十二単などの優雅なものや、束帯などの礼服もこの時代のもので、小物としては雛人形の原型や、
 屏風・蒔絵といった伝統工芸もこの時代に発展してきました。
 
 そして建築。
 唐建築の模倣の時代を過ぎ、和様と呼ばれる日本独自の建築様式が広まったのがこの時代です。
 また、中尊寺金色堂や平等院鳳凰堂も平安時代の建築物ですね。
 そして何より、平安時代は闇が夜を支配する【鬼の時代】でもあり、
 日本各地で様々な鬼伝説が記され陰陽師が名を残した時代でもあります。

 とかまあ色々と出ましたが、これらは元から持っている知識と、ちょちょっとNETを徘徊して得た知識です。
 こうした時代背景を文章で描写する――それが最良の方法であるかと存じます。


風月堂さんからの意見
 時代物というなら前近代、非現代であることを読者に(違和感なく)分からせることが必要だと思います。

 また、言葉遣いは、こだわり過ぎると読者に理解されづらいので、
 (少なくとも)私的な会話なら基本的に現代語でよいと思います。


 私の手元にあるものでは「長人鬼/高橋克彦/角川春樹事務所」。
 これは、あんごさんが仰るように、語尾などを部分的に、古めかしく見せるような工夫がみられます。

・私の場合
 私の場合、一つは近世以前ということで山間非定住民、鬼、都と里などを作中でストーリーに組込み
 事前の説明なしに見せたら、きちんと近世以前と理解されました。言葉は全て現代文です。
(また、個人的な考えなのですが、作中では近代的な観念である「人権」的な考え方――
 差別は無条件に悪い、など――を"意図的に"避けました。これはあくまで私の場合ですが)。

 もう一つは戦前を舞台に主人公を国家公務員としたもので、逓信省や商工省、陸軍省などの戦前の役所、
 漢字カナ書き文語調の公式文書(「従ツテ……セラルベキト信ズ」といったような感じ)、
 徴兵制度のある社会、自動車の未普及、電気の通らない集落といったものをストーリーや
 描写に組み込んでます(そういえば「帝都物語」や「サクラ大戦」も、戦前を舞台にしていましたね)。

・時代劇、時代小説
 江戸時代あたりなら「時代小説」というジャンルがありますし、
 江戸期の都市生活などの歴史の本も沢山あると思います。
 また、時代劇では、道具や言葉遣いなどは時代考証がなされているようです。

・民俗を知ること
 小説に頼るだけでなく、当時の社会を知るのも無駄ではないでしょう。
 (教科書的な政治史だけでなく、貴賎の生活などに触れた)
 歴史や民俗の本を読んでみるのも良いと思います。

 個人的な趣味で読んでるものを以下に例示します。
・近代の民俗、里や離島、山村などの庶民の生活 (代表的なのは宮本常一の著作)
・中世の非農業民(職人や行商人など)の世界、観念 (代表的なのは網野善彦の著作――職能民――)
・民俗的な資料としての「日本霊異記」  
 平安初期成立の「日本霊異記」は、歴史学の専門書*でも、
 (単なる仏教説話集としてだけでなく)
 当時の生活や観念を知る資料としてもよく引き合いに出されます。

*木簡の運用や生活、物や施設の利用の実態などに触れる研究など。
 教科書的な"英雄・政治家の業績"だけが歴史(学)ではありません。


 一応、ここでは時代物の作品名や、"民俗"、"網野善彦"、"日本霊異記"
 などの参考になる用語を挙げたので、そこから先、
 ネットや図書館で探してみるといろいろ見つかると思います。

 また歴史・民俗の項は、半分は個人的な思い入れです。
 無理に専門性の高いものを読むことはありません。
 自分の興味の出てくる範囲で十分だと思います。

 長文、済みませんでした。


但馬晴さんからの意見
 えーっ、時代設定が分からないことにはなんともコメントがしづらいのですが……

 平安時代なら夢枕獏先生の『陰陽師』シリーズが参考になると思います。
 平安時代より前や後になると、そのような作品を知らないのでなんとも言えません。


あんごさんからの意見
 どうもこんばんは。歴史大好きのあんごです。

 一番いいのはもちろん、歴史ものや時代ものの小説を読んでみることです。
 きっちりと歴史の勉強もできればなおグッドです。
 でも、時代考証など細かいところを気にせず雰囲気だけ出したい場合は、
 言葉遣いを主に、いくつか特徴的なものだけを盛り込めばいいと思います。

例:
 現代の場合
「やっぱりそう思う?」
 言って、彼女はいたずらっぽく微笑んだ。
  ↓
 平安の場合
「やはり、おぬしもそう思いやるか?」
 おんなは口元を袖で覆い隠し、ほほほ、と笑った。
  ↓
 戦国等、武士の時代の場合
「やはりそう思われますか?」
 言って、女はいたずらっぽく微笑んだ。

 とまぁ、雰囲気が出ていればいいのですが。
 個人的に、戦国以降の武士の時代なら、現代のものとほとんど同じ書き方でいいと思います。

 また、個人的に時代ものを書く場合、
「月が、中天にかかっている」
 これよく使います。
 中天って単語で一気に時代ものっぽいですし、なんとなくキレイなので。
「日が、山の端にかかろうとしている」
 などなど、冒頭でそれっぽい単語をとりあえず使うというのはいいと思います。
 こおろぎが鳴いている、とかりんどうの花が咲いている、とか。
 さりげなく自然を感じさせるのもいいと思いますよ。

 あとは固有名詞でしょう。

例:男は東海道を西にゆく。霞の関を越えて、京へゆく途中なのだ。

 この固有名詞は超☆適当ですが、ほにゃららの帝、うにゃらら納言、うんたらの入道、
 とかそれっぽいと思います。

 なんかまとまりがありませんが、これにて。


湊さんからの意見
 昭和も昔になりにけり。

 大ざっぱにでも、この辺の時代と決めてしまった方がアドバイスもしやすいと思いますが。

 大和朝廷確立以前から、戦前、昭和まで、
 政治体制、風俗、言葉遣い、不思議に対する人の認識まで様々で、
 そこにいわゆる魔術的なものを使う存在があっても、時代によって人の反応も様々です。
 架空の時代を設定するなら、なおのこと、風俗等でそれらしさを醸さなければなりません。

 明治以前なら、カタカナを使わないだけでもそれらしい雰囲気は出るわけですが。

 時代を大ざっぱにでも決めて、
 その時代を描いた小説を何冊か読む方が雰囲気をつかめると思います。



オレンジさんからの意見
 こんにちわオレンジです。

 時代背景とは演劇の舞台の大道具みたいなものです。
 よりよい材料を集めないと、それらしくみせることすらできないと思います。


 雰囲気が出ないということは、材料が足りていないんだと思います。
 まずは自分の興味のおもむくままに多種、多様な資料を読んでみたらいかがですか?
 歴史、時代小説を書かれる作家さんも資料を読み込んでいるからあのような話を書けるのです。

 後、私が読んだことがある時代小説で、不思議な力を使う人々が出てきた話を紹介します。

『陰陽師』夢枕獏
 いわずもがなですね。連作短編の形式で書かれているので非常に読みやすいですし、
 史書などからの引用を文章の中に組み込んであるので、その点でも参考になると思います。

『震える岩』宮部みゆき
 霊能力を持った少女を主人公とした江戸時代ものです。
 実際におこった事件を組みこんだ物語構成はさすが・・・・・・・

『花と火の帝』隆慶一朗
 戦国時代末期、不思議な力を操る「天皇の忍」と、
 朝廷の力を空洞化させようとあの手この手を使う江戸幕府との暗闘を描いた物語です。
 この作者は、風月堂さんのおっしゃっていた網野善彦氏の史学観を精力的に作品に取り込んでいます。
 ただ、作家生活わずか5年で急逝されていまい、この作品も未完のままです。

 あとは、TVの時代劇を参考にするのもいいかと。
 「視聴者に意味が通じる古めかしいセリフ」が使われています。



葉月さんからの意見
 伝承や伝説なども役に立ちますよ!

 有名なのが青森県の杉沢村伝説です。
 これは「ひぐらしのなく頃に」や「サイレン」という作品の元にされているのですが、
 仮説や伝承がたくさんあるので組立て易いかも知れません。
 杉沢村伝説の内容が気になったら調べて見て下さい。
 怖い話になってしまいましたが失礼。


沈丁花さんからの意見
 まずは、漠然と『昔の日本』として書くよりも『※※時代の日本』と、
 しっかり的を絞って書いたほうが良いと思います。
 同じように思えても日本は時代ごとにかなり服装、食事、軍事、政治、日常生活などに違いがあります。
 ですからまずは一つの時代に的を絞りその時代のことをしっかり調べて、
 世界観を統一するべきだと思います。
 
 偉そうなことを長々と書いてしまいましたが創作活動がんばってくださいm(__)m

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