第4研究室 創作に関するQ&A 251P | トップへ戻る |
因幡の白兎さんからの質問
 読者を驚かせるトリックのコツ
 
 どうも、因幡の白兎です。

 兎は記述トリックなどがどうも苦手です。
 というよりも、記述トリック云々を無しにしても、文面で「ああ、そうだったのか」と言わせるような、
 構図というか構成というか、そういったものがどうも思いつかないのです。
 なにかコツなどが、ありましたら、教えていただきたい次第です


● 答え ●

竹島一騎さんからの意見
 ある事件が起きていかにも犯人そうなヤツがいて。そいつを突き詰めたら意外にも犯人ではなく。

 犯人は意外なあの人…
(;´∀`)
 よくあるネタですな。

 事を二段仕込みにすることじゃないですか。
 あえて解きやすい謎を強いフラグにして、その中に僅かな本命の謎を織り混ぜる。

 分かりにくい言い方ですけど。つまり一つの事件の真相を様々な謎という名の幕で包んでしまって、
 クライマックスでその幕を取っ払う。

(;´∀`)……。
 すいません、言葉たりなくて。
 事件モノはこうした作りだと思ってるんですが。

 どうでしょう。
 脚本のジャンルにもよるんじゃないでしょうか。

 因幡さんがどんな小説を書いているのか聞かせてもらえませんか?


龍一さんからの意見
 はい、龍一です。

 どちらかというとミステリーを執筆する僕から言わせていただきますと、
 「大切なものを壊す勇気を持つ」です。


 これは、兎さんの大切なもの、という意味でなく、
 作中の友情だったり、信頼関係という意味です。

 例えば、ラストに犯人が指摘され捕まり、バス等で主人公たち生存者が帰還する途中、
 作品の冒頭に出会ってずっと主人公の手助けをしてきた人物が犯人の共犯者で、
 乗り物をジャックしてしまう……。
 ベタかも知れませんが、作中にゆっくり積み上げてきたものをラストに崩すのは、
 恐怖であり、快感であると思います。
  
 うまく説明できたかはわかりませんが、この辺で
(まとまりがなくてスミマセン><)


竹島一騎さんからの意見
 ファンタジーならあんまり小さい細工は効果ないですね。

 龍一さんの言われるような、大切なものを壊す。
 がとてもいいと思います。

 やはり大規模なトリックのコツは、それなりの時間をかけ、培ってきたものを正に壊すことです。

 例えば味方と思い、長年慕ってきた人物の裏切り。逆もまたシカリ。
 その後の設定は何なりと。

 ですがこういったトリックは諸刃のつるぎかもしれません。

(´∀`)
 それと全然フラグを立てないのはダメですね。
 読者にある程度は読める展開でないと意外過ぎて混乱しちゃいますからね。



Dr.ウニボンさんからの意見
 SAWという驚愕のラストシーンを持つシリーズものの映画があります。
 伏線の張り方がシリーズでほぼ共通していているんですが、

 その伏線の張り方は『重要な部分については語らない』というものです。

 例えば……密室に花が咲いていて、その側に人が死んでいるとします。
 死体は何処の誰で、死ぬ直前の行動まで詳しい説明があります。
 密室についても、部屋の間取りから何故密室になったか、というような詳細な説明があります。
 そして最後のオチとして、実は花は食人花で、死体はこの食人花に食われたもの、と判明します。

 つまり、重要な部分にはあまり触れず、他の情報を与えて重要な部分を隠してしまう。
 あるいは観客や読者の記憶を流してしまうわけです。


 SAWという映画の場合、惨殺シーンやショックシーンも多様し、
 見事真実から観客を遠ざける事に成功しています。
 ただ、小説の場合ですと、読む速度は読者の自由ですから、
 情報の洪水で押し流してしまうのは難しいかもすれませんが。

 ただ、何度も同じ手段を使うとさすがにバレます。

 SAWはシリーズ化している為、第一作目のパターンが分かれば、
 二作目・三作目の真実にも気付き易くなります。
 いくら凄い変化球を投げれても、同じ変化ばかりではホームランを打たれるのと同じです。
 もし何度も謎解きがあるのなら、たまには直球ストレートを混ぜてみると面白いと思います。


蒼さんからの意見
 私も龍一さんの「大切なものを壊す」という手には賛成ですね。
 ただ、この方法は1歩間違うととんでもないぐらい下手な作品となってしまいますので注意が必要です。
 
 具体的に言うと、「読者がそのキャラに感情移入しすぎて変化に対応しきれないのです」

 実際に発売されている本で例を挙げましょう。
 徳間デュアル文庫に清涼院流水の作品、「とくまシリーズ」と言われる三部作があります。
 この作品の1作目は比較的穏やかに終了します。

 しかし、2、3作目にて(個人的にですが)こじつけにしか見えない伏線から、
 いきなり物語のジャンルすら揺るがす展開を見せてきて、
 作者はそれでいいのでしょうが読者からすると許容範囲を超える物語が繰り広げられます。

 激しくネタバレになりますが、そのシリーズでは主人公格の人間が急にわけが分からないまま殺されます。
 
 私はこの3部作通じて出来た「大切なもの」がそのシーンにて一瞬にして「壊され」、
 驚きやスッキリより「何故そんなことをした」という怒りに似た感情を持ちました。
 好きなキャラでしたので。

 こういう感情を持たせるようにするのが作者の狙いなら別に言うことはないのですが、
 私としてははっきり言えば「ありえませんでした」。

 このように、「大切なものを壊す」というのは有効な手ではありますが、
 同時にそれ相応の伏線を用意しておかなければ読者を苦痛にしか導きません。


 そこに気をつけていただければ、良い作品が出来ると思いますよ。


湊さんからの意見
 裏切るの逆パターンもありますね。

 ある小説では、ひたすら残虐非道な者として書かれていた悪役が(実際に結構バッサリやってくれる)、
 実は自分の大切な物を守るために世界を変えようとしていたとか。
 己の命さえいとわない一途さに、ちょっとキたり。
 アニメでいうと「レイアース」もそのパターンのような気がします。

 どんでん返しは伏線の張り方が面倒なので頑張ってください。
 慣れた読者はフラグを見つけるのが上手いから。それを逆に使う手もありますが。


富士山さんからの意見
 『彼女は存在しない』という本をご存知でしょうか。
 以下、ネタバレしますのでご注意下さい。

※ネタバレ
 簡単に言えば、多重人格者の少女を題材にした本です。
 そして、その間に二人の主人公がいます。
 彼氏のいる普通の女性と、多重人格者の少女の兄です。
 二人は赤の他人で、面識も無し。ですが確実にその多重人格者の事件に巻き込まれていくのです。

 「彼氏のいる普通の女性」はその多重人格者に駅でひょんなことから出会い、唐突に彼氏が死にます。
 「多重人格者の兄」は妹が多重人格者だということを知り、
 いきなりいなくなったり帰ったりする妹を探します。

 妹が「彼氏のいる普通の女性」を見ると、その人に任せようと苦心の思いで帰路に立つ。
 しかしです。
 最後に明かされる作者究極のどんでん返しが、その二人の関係。

 「彼氏のいる普通の女性」こそが「多重人格者の妹をもつ兄」の妹なのです。
 ではその読者が多重人格者と思っていた娘は、ただの少女だったというどんでん返し。
 正確には、その仕掛けは物語の核ではありません。
 読者が勝手に勘違いして生み出した一つの偶像。
 よって、「彼女は存在しない」と言うのです。

 説明が下手でしたがこんな感じです。
 要約すると、

 読者に勘違いさせて偶像を生み出す。そして、最後にそれを壊し、一本道に正す。

 これが僕がこの本を読んで見つけたコツらしきものです。
 正直、簡単なものではないでしょう。
 仮に勘違いさせたとしても、それを壊し、一本道として通すなんてかなり難しいでしょう。
 安易ではありません。
 それでは!


虚十戈言遣さんからの意見
 こんにちは、虚十戈言遣です。
 かなり出遅れた感がありますが…それでも少し意見を。

 叙述トリックとかでも当然そうですが、≪どこに読み手をミスリードさせるか≫です。
 「ああ、そうだったのか」と思うのは、これだと思っていたのに、
 実は違ったという意識から来るものなんです(多分)


 例えば、
 答えが○だとしたら、白兎さんは●が答えだと読者に思わせるわけです。
 で、●に導く時に○のヒントを残していく。

 多くの叙述トリックにも使われる手です。
 まずは白兎さんが、どこにミスリードさせるかを明確に理解することが大切だと思います。
 作者が分からないことは読者も分かりませんからね。

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