REOさんからの質問
　許せるHなシーン
　
　コチラで質問するのは二回目の、REOと申します。
　宜しくお願いします。

　不躾ですが、さっそく質問させて頂きます。
　タイトルにもありますが私が悩んでいるのは『許せるHなシーンとはどういうシーンなのか』という物です。
　Hなシーンは、上手く使えば中高生やオタクの心をガチッと掴める強力な武器。
　中高生の頃からオタクの私からすれば、どんなシーンも許せる――
　というより、むしろ望んで読み漁るほど好きなシーンなのですが……
　一方、真面目な作品を好きな方や、女性からは好かれない傾向にあるのが現状です。
　やり過ぎた末にせっかくの読者を手放してしまうのは『もったいない』と思ったので質問させて頂きました。

　皆さんは『ここまでは許せる』もしくは『これは許せない』というHなシーンはありますでしょうか？
　もし宜しければ、お答え願えれば幸いです。

　ちなみに、私が駄目なシーンはレイプなど、女性が不幸になるHなシーンです。
　これだけは絶対にやらないように心に決めています。


●答え●

峰しずくさんからの意見
　こんにちは。

　描写として、「どこまでは許せて／どこからは許せない」というのは、特に無いと思うのです。
　大切なのは、その作品の雰囲気にあっているか、どうか、ですよね。

　Ｈ以外の要素で語るのなら、学園ラブコメで、バンバン人が死んだらどうしたっておかしいです。
　けどスペオペ宇宙戦争で宇宙戦艦がひとつ撃破されてしまえば、
　おそらく１００人単位の死者が出るし、その最後の死にゆく様子を描写することで、
　物語を成立させる、という手法もあるわけです。
　
　一方、ミステリだったら、「適切に死人」が出なくてはなりません。
　それは俗に言う「綺麗な死に様」であることもあろうし、「猟奇的な」ものであるかもしれません。
　
　全て作品の雰囲気、すなわち、作者の演出にかかっていると思います。

　随分古い話ですが、コバルト文庫に「はだかの青春」シリーズ３部作があります。
　これは読者投稿Ｈ体験記集なのですが、
　コバルトですから、投稿者層も読者層も想像はつきますよね？

　内容は凄かったですよ。
　描写も（手直しはされているにしても）いわゆる官能小説的な表現ではなくて、
　そのまんま（どこそこをどうしたとか）の表現が主流だったように思います。

　内容も中には、輪姦されたあとに、優しくしてくれた人（輪姦した一味の１人）と
　「現在つきあっています」なんてのがあったり。

　もちろん読み手によって、「そんなものを読みたかったんじゃない」とかいうのは、
　特にラノベの場合は出てくるでしょう。
　また、「シーンそのものを描写しなくても、２人がどういう関係なのかを読者に悟らせることはできる」
　という意見があれば、その通りです。

　自分のＨＰに書くとか、そういうレーベルに投稿するというのならともかく、
　新人賞に応募する場合は、あまり大きな冒険をしないほうが無難だと思います。
　傾向を掴んで、それより少しだけ突出した程度、がいいのではないですか？

　ちなみに、フランス書院の美少女文庫は「ライトノベル」を標榜していて、
　１８禁でもないですが、結構なＨシーンがありますよ。
　つーか、Ｈシーンが無ければ、美少女文庫じゃないですもんね。

　ちなみに、個人的に「それ、勘弁してよ」なのは、スカトロ系と、極端な鬼畜系。
　「こんなん好き」っていうのは、描写そのものはともかくとして、
　最後にはハッピーエンドで、ハートが暖かくなって、思わずホロリとなるような内容のものです。
（雑破業さんの作品、とかね。代表作の「ゆんゆんパラダイス」は人気あるよね〜）

　それと、Ｈシーンは女性に好かれない傾向にある、というのは、必ずしも正解ではないと思います。
　
　何しろボクは「女性読者を対象とした携帯用のＨ小説を書いてください」と依頼を受けて、
　書いてるくらいですから。

　ただし、男性が好むＨシーンと、女性が好むＨシーンには、もちろん違いはあるでしょうが。

　もひとつ付け加えておきますと、ジャニーズのアイドルに全く興味を示さない女性は少なくありませんが、
　Ｈに興味の無い女性はほとんどいないのでは？


REOさんからの返信（質問者）
　作品の雰囲気に合っていなければいけない、という意見は心にしっかりと刻んでおきます。
　コバルトにH体験記集なる物があったとは初耳でした。
　少々興味がありますので探してみる事にします。

「そんなものを読みたかったんじゃない」
　確かに、こんな思いをさせるような作品だけは書かないように気をつけます。

　あと、女性の意見に関しては、フルメタルパニックの温泉回ですら苦情が来た事が、
　少々神経質になる原因になっています（『この程度の描写で！？』と驚きました）
　
　作品や女性意識に関する貴重な意見ありがとうございました。


みつきさんからの意見
　みつきと申します、こんにちは。

　ちょっと気になるところがありましたので、蛇足と思いつつ書かせて頂きますが……。
　女の子向け雑誌などでたまに特集されたりする、
　『赤裸々告白・女の子のＨ体験記』とかいう類のものに掲載されいている記事のほとんどは、
　読者投稿などではなく、編集部から依頼されたライターさんが女の子向けに執筆した、
　『フィクション』が大部分を占める……というか、はっきり言って、丸ごと全部作り物です。
　
　なので、ああいうものをあまり真に受けないよう、気を付けていただきたいと思いまして……。
　
　ひところ人気を博して、いろんなところで同じような企画を目にしましたが、
　今ではあのような、あまりにも現実味のない記事を喜ぶような中高生は少なくなってしまい、
　かなり下火になってしまっています（＾＾）。

　ちなみに、男性向け雑誌にある、『女性読者からのＨ体験記』とかいったものも、
　ライターさんが書いているものがほとんどです。

　ああいったものを本気にして、「女性からこんな投稿があるくらいだし、
　小説でもここくらいまではＯＫなんだ」、とか簡単に思っちゃったらダメですよ〜ってことで。

　実は、私も、コバルトのあの本をリアルで読んでいた世代でして……。
　ですが、あれ読み物としてはあまりレベルがよろしくないというか、
　今でしたら、実際に十代の女子からこんな投稿が来たら、
　正しい大人としては警察に話を持って行くべきなのでは？
　というようなものが実話として書かれて、
　しかも中高生（小学生だってコバルトは読みますし）に向けて出版されていたんですよね。
　
　当時の私はあれを読んで、大層気分が悪くなったものです。
　で、ああいうものを、もしまかり間違って「お手本」にされると、
　それはエンターテイメントを目指す上では良くないなあと、
　そう思って蛇足を付けさせていただいた次第です。
　官能小説なら、別にいいと思うんですけどね。

　それと、これも蛇足の蛇足なんですが……。
　かなり前のことになりますが、こちらの掲示板で、少女漫画の性描写がとても過激であることを上げ、
　それをもって、『女性は性的に成熟するのが早い』と発言なされた方がいらっしゃいました。

　私はそれに対し、『十代の性の入り口に立ったばかりの少女達が性行為に興味を持たない訳がない。
　最近の少女漫画の性描写の過激さは、その興味を利用して、
　質の悪いポルノを少女達に提供し、お金儲けをしているだけに過ぎない』
　という意見を寄せさせていただいたことがあるのですが……。
　
　年若い男性がそういう類のものを読んで、万が一、
　女性に対してこういう勘違いを抱いてしまったりすると、それこそとても良くないことだと思うんですよね。
　で、実際はどうなのか、ということを、峰さんのレスに便乗して書かせていただいてしまった、
　という次第でして……。
　……本当に失礼致しました。


馬やんさんからの意見
　えーと、この質問は「ライトノベルにおいて」という限定つきでよろしいでしょうか？

　その場合ですと、「どこま〜でも」という回答になります。
　私的なライトノベルの定義は、（おそらく一般のそれより）幅広く、
　美少女文庫やパラダイムノベルも入りますので。
　まあ歯止めをかけておくなら、発禁を喰らわないレベルで、ということになりましょうか。

　それとも法律的にとかそういう問題ではなく、
　ある意味でのマーケティング的とか作風的にという意味合いで？

　その場合、まあ峰しずくさんの語っていることに近いのですが、
　作品の雰囲気に合うか、読者がその作品にそういうことを望むかどうかだということだと思います。

　具体例を挙げると、最近ご愁傷さま二ノ宮くんを読んだのですが、あのシリーズならば、
　「未遂」まではOKですが「本番」に入ったらアウトですね。
　あのシリーズはあくまでラブコメであり、性描写はむしろコメディのネタとしての範疇です。
　コメディのネタである以上、事故として済ませられる範囲が限界で、
　本番まで行ってしまうとそれはもう事故でも何でもありませんので笑えません。

　そのほかにGOSICKでもアウトです。GOSICKの場合ならば、事故の範疇でもアウトでしょう。
　GOSICKは拡大解釈をすれば主人公とヒロインの恋愛小説と読めなくもありませんが、
　このシリーズは、恋愛関係の描写は主人公の精神的な成長と、
　ヒロインの心情の変化の描写によってなされており、直裁的な描写は非常に興を殺ぎます。

　古い作品ですが、ロードス島戦記であれば、ねちっこい描写でなければ本番でも許容されます。
　ベースが非常にシリアスなゲーム小説、特にRPGの冒険を主題にした小説で、
　登場人物も大人が多く、政治などの現実的な要素も付加されています。
　ベースにシリアス性がありますので、そこに冒険仲間の人間関係の醸成と成熟という、
　物語に奥深さを与えるためのエッセンスをかもし出すための材料として本番を描写するのも許容しえます。

　がらりと方向性を変えると、読者の購買目的もありますね。

　Amaz○nの某H系ライトノベルのレビューで、
「戦闘描写が多く、Hシーンが少ない。この作者は読者がこの作品に何を望んでいるか分かってない」
　という主旨のレビューを見たことがあります。
　この場合、読者自体がまず「ソレ」目的ですから、まず入ってないと話にならないことはもちろん、
　それなりの頻度と濃度でいれることが求められます。
　
　それと方向性も大切です。
　たとえば「暴淫暴色」（本当にありそうなタイトルだな……）というタイトルに心惹かれて買ったのに、
　中身がちょっとコメディな純愛系のH小説だったりしたら、私ならキレますな。
　次の日にはBOOK○FFに持って行きます。

　こんなところで参考になりましたでしょうか？
　ちなみに私はプロ作家を目指すのならば、美少女文庫とかの新人賞も悪くないと思いますよ。
　まず競争率が低いですし、読者のニーズを掴みやすい。
　念のため言っておきますと、私の職業はプログラマーで、フランス書院とは関係ありません。


黒外套さんからの意見
　現時刻ではこんにちは。黒外套といいます。
　早速、私の考えを。

　まず、思うのは不特定多数の許容や共感を把握できれば、
　名前の売れた書き手さんになれるでしょう。
　はい。天邪鬼です（笑）

　意地悪は置いて、不特定多数の価値観を母体収集したいものとしてお答えします。
　最初に考えるのは、男性と女性についてですね。
　男性は男根主義です。えぇ、悲しいほどに（苦笑）
　如何に自分の情報を多く残せるのかに命を懸けている生物です。
　女性は、そうはいきません。
　集まる情報を選び、どの情報に自分の情報を上乗せして残すのか。
　また、情報が軌道に乗るまでの世話もします。
　それが私の考える男女の差ですね。

　で、男性はその本質から行為を遂行するためなら、妥協しますよね。個体差は別としても。
　なので、表現として行為のみを具体的に表現しがちです。
　女性は心身ともに認めないと行為には移行しないと思います。
　
　つまり、「行為」が描写されている小説で女性が嫌うのは、
　行為が主に描かれており、心の描写が希薄なものなのかなと私は思っています。

　いわゆる、心がない行為≒レイプに近い感情を抱くのではないかなと。
　そこに嫌悪感を感じるのかなぁと思ってます。
　逆に、心を描きすぎると基本「やり逃げ」が本能の男性としては
　相手を気に入っていない限り、人間として責任を重く感じて、疎遠になる可能性も秘めています（苦笑）

　なので、プロの人たちはマーケットを絞り、男性用・女性用と住み分けているのかなぁと推察してます。
　一番感覚として理解しやすいのが、ＢＬや百合と呼ばれるものを
　自身に当てはめてみると異性が感じる嫌悪感に近いのかなと思ってます。
　私自身、そういうのは余り読まないのでなんともいえませんが、
　男性女性から大絶賛のそういう小説をしりません。

　これを言う為の説明が長くなりましたね（苦笑）
　私なりに思うこと。
　
　本能行動に近ければ近いほど、読み手の価値観の根幹に当たり、好き嫌いがはっきり分かれる。
　
　万人受けを狙うのであれば、そういった要素を排除し、テーマや表現として
　根幹から生まれる二次生産物的なものを表現する。
　というのがいいのではないかなと。
　強い武器ほど癖があるということですね（笑）

　･･･かなり、自分語くさいですが、わかって貰えるかなぁ・・・（汗）


アキラさんからの意見
　携帯から失礼します。アキラです。

　ストーリーやジャンルにもよると思いますね。

　あと、意味なくHシーンを入れるのは好みません(私が)
　それが後に繋がるとか、人物の心情や関係を表していたら読みますけど、
　ただ単にそういう要素を入れたいがために入れるのは･･･
　うーん、まぁそういうのをウリにしているのもありますし、何とも言えません･･･。

　やっぱり、ストーリーとかジャンルが関わってくるのかな。


　ぐだぐだとすみません。答えになっていないかもしれませんが、参考になれば。
　ちなみに私も、女性が不幸になるものは好みません。(それが後で幸せになる布石とかなら許します)

　あと、あんまりリアルなのはラノベにもってくるべきではない気が。
　夢を忘れないことが大事じゃないかと思っています。

　では、これにて。


富士山さんからの意見
　レイプはたしかにエロ方面ですが、男の僕からしても全然欲情しないので、
　レイプはエロシーンではないかと思いますよ。
　というか、レイプをサービスシーン♪　とか思って書いてる方は頭が狂ってるかと。
　レイプは悲劇であり頭がおかしい男の狂劇あって娯楽ではありません。断言しておきます。
　
　自分的にダメなサービスシーンというのは基本的にありません。
　しかし論点がずれた「ダメ」なら実に簡単。

　作品のイメージに合っていないのにサービスシーンを入れる。
　物書きとして致命的です。作者として、でもいいですが。

　「合っていないのに入れる」ということは作者が自分の作品についてかけらも愛着がないか、
　理解していないとしか思えません。
　人気がかなりあるキャラクターの死（デスノートのＬなど）ならば十二分に読み手としても理解できますが、
　この人物にこんな意味不明な露出はいらないと読み手が感じたならば、
　その作者の作家生命は三分の一終わってます。

　わかる人にしかわからない例えでいえば、
　話題沸騰中の「空の境界」で両儀式が頬を赤らめながら
　「いやんエッチ（はぁと）」とかほざきはじめたらいやでしょう！　濡れ場ではなくサービスシーンですよ！　
　そんな空の境界読みたくないですよね!?　想像できませんよね!?　
　これを書いているのは絶対に奈須きのこじゃないと思いますよね!?

　露出がダメとはいわないんですよ。
　一般書は例外なくサービスシーン禁止なんていわれたら生きる希望も失いますよ。
　ちょっと全裸のヒロインが出てきちゃうのなんて状況によってはいくらでもわかります。
　
　問題は、無駄なサービスシーン。
　物語にまったく関係ないどころか、
　作品の質を落としかねる最悪のサービスシーンだけはもう論外ですね。


馬やんさんからの意見
　馬やんと申します。
　遅ればせながら、自分的な好みを一つ。

　Ｈなシーンは無理に入れる必要ないと思いますけどね。
　サービスにもなれば嫌悪の対象にもなるので、一瞬考えてしまうのはよくわかりますが。
　ま、書き方次第だとは思いますけど。

　といいつつ、私もこの前批評していただいた作中にちょっと微妙なシーンがあり
　「もうちょっとソフトにした方が」と釘を刺されましたが、
　一方では「テーマと比較して少し物足りないかも」という意見もいただきました。
　お断りしておくと、話の流れとして必要不可欠な描写だったのですが、
　あからさまな行為は書いてません。寸でで止まる感じです。

　まあそのへんの線引きは個人の好みに任せるとして、
　提供する側としてはやっぱり節度は守りたいですよね。
　
　エロいものを求めるなら官能小説や１８禁パソコンゲームという担い手がありますので、
　ライトノベルで意味も無くそこまで書かなくても……というのが私の考えです。
　
　洋画なんかでもありますでしょ、やや強引なキスシーンとか、
　ラブロマンスでもないのに無理矢理入ってるベッドシーンとか。
　なくてもいいんじゃないの、と思うことがよくあります。
　避けては通れない意味があるなら別にいいんですけど、大抵はそうじゃないので。
　そこに力を入れる前に、書くことが他にあるだろうと。

　どちらにせよ、そういった事をうまく「ぼかす」のも一つの技術なのではないかと思います。
　自分的な好みを言えば、思わずニヤリとしてしまう程度が一番いいです。
　そのほうが受け入れられやすいんじゃないかなとも思って自分はそうしてますよ。

　読者の想像に任せられるところはお任せしておかないと、無駄に枚数食うだけですからね（笑）
　そんなところです。あとは、ＲＥＯさんの好みですね。
　それではこれにて御免。