第4研究室 創作に関するQ&A 317P | トップへ戻る |
ヴィルアスさんからの質問
 既出のアイデアを使っても良い?
 
 掌編小説の難しさをつくづく思い知らされたヴィルアスです。どうも。
 今回もまた下らない質問をさせていただきますが、ご容赦くださいませ。

 さて、いきなり本題にはいります。
 私の認識では、書き手は読み手に面白いとか感動したとか、
 その手の類のことを感じてほしいから書いているのだということになっています。
 いや、単に書きたいという衝動で書いている人とか、それ以外の感情で書いている人もいるでしょうが、
 それでも面白い、といってもらったときの感情は同じだと思っています。

 そこでちょっと気になるんですが、『じゃあ結局面白いといってもらえばいいんだから、
 ちょっとくらいのアイデアを使ってもいいよね?』と思ってしまうのは間違っているのでしょうか。
 今までもこんな質問があったと思いますが。

 少しくらい既出のアイデア・展開を使ってもいいから、とりあえず楽しんでもらおう! 
 と思うのは外道なのでしょうか。

 私の認識では『その作品にしかない独自性』というのは、
 楽しんでもらうための方法のひとつでしかない、というものなのですが……。
 どうも私の友人は、この考え方は外道だと言っておりまして……

 やっぱり賞とかを意識しだすと、独自性は必要になるのですか?
 まとまっていない質問で申し訳ございません。


●答え●

夜霧さんからの意見
 私は「書きたいから書く」タイプの物書きですが、出来るだけ読者を意識はしますね。

>少しくらい既出のアイデア・展開を使ってもいいから、とりあえず楽しんでもらおう!

 良いと思いますよ。

 いわゆる誰もしたことの無い「完全なオリジナル」など存在しません。
 既存のアイディアと展開を混ぜ合わせ・捻じ曲げ・組み替える事で新たな物語と独創性を作るのですよ。


 まぁ限度にもよりますが「パクリ」「盗作」「劣化コピー」とか言われなければ大丈夫だと思いますよ。


たくあんさんからの意見
>『じゃあ結局面白いといってもらえばいいんだから、
 ちょっとくらい既出のアイデアを使ってもいいよね?』と思ってしまうのは間違っているのでしょうか。

 とりあえず、断言しておきますが、

 『間違いじゃありません』

 作家のオリジナリティとは、目の付け所のことです。
 それが凡百と異なっていれば、独創性があると言うことになります。


 作家の眼差しこそが、作家性というのです。
 それが作品にしっかりと反映されていれば、
 既存のアイデアを使おうが、異なるメッセージを持つでしょう。


フライエさんからの意見
 ただ面白いといってもらえれば良い。

 少なくとも私は、そういう考えで物語を描いたりはしないので、
 ヴィルアスさんの理論は必ずしも正しいとはいえません。

 しかし外道というほど間違っているとも思いません。
 要は作家個人の思想次第です。

 ただ一つ、一つだけ私なりの青臭い心情を挙げさせてもらえば。
 ただ読者が楽しければ良いという作品の中に、ヴィルアスさんはどういう思想を込めるのでしょう。
 
 その作品に対して読者が言う「面白い」は、
 本当にヴィルアスさんの作品に対して言う「面白い」なんでしょうか。

 
 皆知っています。作品が面白いのではなく、アイデアが面白いのだという事を。
 そしてそのアイデアは、他の誰かが昔考えたものだという事を。
 私は、そんな感動は求めません。

 まぁ、これはあくまで私の極個人的な意見なので、
 「面白いの意味とか興味ない」もしくは「お前の面白いと、自分の面白いは解釈の根本が違う」
 と言われてしまえばそれまでです。
 
 しかしそう言い切ることが出来れば、それがヴィルアスさんのエンターテイメントに対する姿勢であり、
 胸を張るべきこととなるはずです。否定する人間など蹴り飛ばしてしまえば良いと思います。
 賞への応募など関係ありません。応募を考えているなら、無くはないですが。

 つまりは、自分の信じる道で読者に認められればいいというわけです。
 他人のスタイルを否定する事はないし、自分のスタイルを否定される筋合いもない。
 友人に対しては、こういうスタンスで構えていれば良いのではないでしょうか。


 少々感情的な文章になってしまいましたが、結論としては「問題ないと思います」と言った感じです。


咲さんからの意見
>やっぱり賞とかを意識しだすと、独自性は必要になるのですか?

 新人賞では、「既視感」のある作品は真っ先に落とされる対象になります。
 つまり既出のネタを使えば当然、落選する可能性は高くなるでしょう。

 ただし、プロになれば、そういった既出のネタを使っても(特に凝ってもないネタ)
 その作者らしく面白く書けていれば、わりと編集者からOKサインが出るそうな。
 良い例は西尾維新の『化物語』とか『刀語』ですね。

 はい、そして「楽しんでもらうためなら、少しくらい既出のネタを使ってもいい」とのことですが、

 そのネタを知っている人がそれを読んだとき、どう思うと思いますか? 面白いと感じると思いますか? 

 うん、これは結局、書き手の力量次第なので、明確な答はありません。
 美味しく料理できれば十全、なんでしょうね、多分。

 でまあ、結論です。

 新人賞は、独自性のある作品で頑張りましょう。
 それ以外のシーンでは、既出ネタを使ってもいいと思いますよ。


 以上。咲(さく)でした。


世羅 悠一郎さんからの意見
 そういえば、最近パロディ80%くらいで構成されていながら、結構面白かったアニメがあったな……。
 そう思い出した、世羅 悠一郎です。

 結論から申し上げますと、行為自体には問題が無いと思います。
 ただし、流用しただけとか、露骨にそのアイデアや展開の味が残っていた場合は、
 悟られて興醒めになり、その結果として面白く感じないという結果に繋がる事もあるでしょう。

 なんていうか、作品の臭みを抜きつつ、
 自分の味として使う事ができればOK……みたいな感じですかね。
 要は消化吸収量ですね。

 アイデアや展開が、その元々の作品の味を感じさせない……
 変に色々な味が混ざり合ったように感じさせない程度まで消化できれば良いのではないかと。
 ただし、これは手前味噌には出来ない行為だと思いますよ。
 しっかり読み込み、自分で感じ取ってこそ出来る行為ですから。

 それと、ちょっと引っかかった点が。
 
 別に悪く取っているつもりはないのですが、面白いネタを見つけてきて使えば、
 面白く思ってもらえるってのは違うのではないかと。


 言葉尻を取るつもりはないですが、それだけ聞くと、
 「読者の事を侮ってないか?」という思いが過ぎります。
 読者って、そんな単純なものだと思われているようで。

 もう一つ言えば、他人の味しかしない、ちゃんぽんなものが必ずしも美味しいとは限らないし、
 味が所々で変わったら読者も困惑するのではないでしょうか?

 ネタを流用する際にも、自分というものは必要だと思いますよ。
 ネタに対する『慣らし』が必要でしょうから。それが独自性というものの一つだと思います。
 それこそが、抜き出してきた作品独自の味を抜き、美味しく読んでもらうための工夫になるわけですから。

 ……とはいえ。
 独自性がないものが創れるのかは疑問ですけどね。
 自分を出さないで構成できるというのは、ある種の才能でしょうし。
 ……往々にして良くない方向への、ですが。

 賞を狙うなら、やはり避けて通るか、少しくらいネタの出所を悟られても気にしない程度まで、
 作品を昇華する必要があると思いますよ。

 それでは、失礼致します。
 ちなみに、そのパロディ80%の作品は、『天元突破グレンラガン』と言います。


hatoさんからの意見
 既存のアイデアをどの程度遣うかが問題でしょうね。
 ちょっとしたたとえ話で説明します。

 「神に選ばれた英雄が火を吐くドラゴンを倒してお姫さまを救う」
 って話があるとします
 コレから「ドラゴン」と戦うって部分に焦点を当てて参考にするとして

 「神に選ばれた英雄が吹雪を吐くドラゴンを倒してお姫さまを救う」
 って話にしちゃうと完璧にパクリですよね?

 「竜騎士見習いが、最高位のドラゴンの一体である「ヴリトラ」を戦って一人前に認められる」
 って話になると、ぱくりと言えなくは無いけど、二番煎じだよねって感じになります。

 最高級のパクリでも二番煎じでもない、新しい視点としては榊一郎の『ドラゴンズ・ウィル』でしょうか。
 そっちの方はググってください。

 一番いいのは新しい視点なのですが、
 二番煎じまでならまだパクリが理由で落とされることは無いと思います。
 まあ、結局のところ味付け次第なんですけどね。


ぽろろさんからの意見
 ちわっす、ぽろろです。

 先に言えば、既出のアイデアを使うことは賛成です。

 今自分は「現代ファンタジー(?)」なるジャンルを書いてます、
 簡単には「現代には魔術が隠されていた」ってな設定です。
 
 もちろんこれはどんどん世界観を変えて別物にするつもりですが、
 結局、根本のところでは他の作品と繋がっている節があります。
 ただ、これは他の作品でも同じ事が言えるんじゃないでしょうか?
 
 たとえば「灼眼のシャナ」と「涼宮ハルヒの憂鬱」、話なんて全く違うように見えますが、
 結局話を極端に簡略化すると『主人公が普通じゃない状況に巻き込まれる』という根本なところで
 繋がっているように見えます。

 色々な方の作品を見てますと「魔術」や「超能力」など、誰が考えたのかは分かりませんが、
 そんな単語が簡単に出てきています。
 でも好きな作品を例にすると「Fate/stay night」と「とある魔術の禁書目録」では、
 同じく「魔術」単語を使っているにも関わらず、作風が全く違うようにしか見えません。
 どこからか既出のアイデアである「魔術」を取ってきた両作品は、
 結局独創性溢れるオリジナルへと昇華しているように見えます。

 結局は既出のアイデアを使っても、面白ければ良いとは思います。
 ただ「灼眼のシャナ」が面白い方は「灼眼のシャナ」を読みますので、
 全くそのままか、それにかなり近いアイデアを自分の作品に出すというのは、
 またちょっと違うと思います。
 「モナ=リザ」の背景を違うものにしてもモナ=リザはモナ=リザですので、
 書き方は真似て良いと思いますがそこら辺のさじ加減は気を付けるべきだと思いますよ。

 まあそんな感じで。

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