第4研究室 創作に関するQ&A 358P | トップへ戻る |
橋本利一さんからの質問
 リストカットの描写
 
 現在リストカットする少女の小説を書いています。
 いまいちリアルな描写が書けません。
 無論実体験するわけにもいかないので、どうすればよいでしょう?


●答え●

時音さんからの意見
 こんばんは、時音です。リストカットをすると、冬になるとその部分が傷むそうです。
 というか手首より先の深い切り傷は古傷として残りやすく、痛みます(自分も指が痛いです 泣)

 さて本題。
 橋本紡さんの『リバーズ・エンド』に、リストカット常習犯の少女が登場します。
(主人公との触れ合いで多少は改善されますが)
 読んでいる側としても痛々しい気持ちが伝わってきたので、
 とりあえず参考にしてみてはいかがでしょうか?

 少しでもお役に立てれば幸いです。
 ではでは。


安眠妨害禁止区域在住の猫さんからの意見
 リストカットは、自殺未遂ではなく自虐行為だと思います。
 あれは死にたいからするのではなく、心の安定を図ろうとする。
 血が流れるのを見ると心が安定する。
 血を見るのが心地よい。
 あの痛みが良い。
 どくどくと出ている感覚が生きている気分にさせる。

 だから、上記に関連するものをリストカットの理由にして、
 そこに性格や行動を当てはめて肉付けをすればRealityは生まれるでしょう。
 逆を言えば、リストカットをする理由が漠然としている故にRealityがないのだと思います。


夜霧さんからの意見
 こんばんは、手首に深めの傷痕がある夜霧です。
 まぁちょっとした事故の産物なんですけどね。

 まず『リアル』と『リアリティー』は違います。
 そして娯楽小説で大切なのは『リアリティー』なのですよ。

 読者が納得できる『リアリティー(本物っぽさ)』があれば別に『リアル(本物)』じゃなくても良いのです。

 あとは『想像力』と『描写力』の問題ですね。

 どんなシチュエーションでリストカットするのか、それを想像すれば良いと思いますよ。
 場所・時間・何を使って切るのか・リストカットに至る経緯・手首の質感・
 血の色・血の温度・血の感触・血の流れ・切り傷の様子・傷の深さ・痛み・心理描写などなど。
 
 とにかく描写では『五感を意識する』のが重要だと思いますね。

 あとリバーズエンドに限らず、橋本紡氏は心理描写が上手いのでオススメですよ。

 私は経験至上主義ってヤツが大嫌いなのですが、
 『怪我の描写』って経験があるのと無いのじゃ大分違いますから、なかなか難儀ですよね。
 では、駄文失礼しました。


黒蟻さんからの意見
 こんばんは、黒蟻です。
 思い切って御友達とリストカットの話題を振ってみるとか。
 
 あとはどうしてその少女がリストカットに至ったのかという点を考えてみてみたらいかがでしょう?
 恐らくそのリストカットの理由が不明瞭なために「リアルな描写」というものができず、
 お悩みなのではないでしょうか?

 
 もしくは利一様が「こんな理由じゃ説得力ねぇな」と思ってしまっていることで、
 モチベーション(意味が分からずに使っているアホの黒蟻)が下がっているのでは?
 ま、黒蟻に言えることはこれぐらいです。


若竹さんからの意見
 こんばんは、若竹です。

 思い切って自殺サイトなんかを覗いてみるのはどうでしょう?
 それに抵抗があるなら、そのような体験をした人の著書なんかを読むといいかと。


にさんからの意見
 新潮文庫の
『卒業式まで死にません』
 南条あや・著/定価476円(税別)
 と言う本をお薦めします。
 これは、リストカット症候群に陥り、やがて18歳の若さで亡くなった著者の生々しい体験記です。

 軽い文体に惑わされずに、じっくり最後まで読んでみてください。
 そうする事で、初めて「リストカット」と云う行為が、
 如何に虚しさと狂気を孕んでいるのかよく分かると思います。


元ガス屋さんからの意見
 こんばんは。
 夜の街で遊んでますと、時々そういう人に出会います。
 彼女たちが口をそろえて言うのは、「本気で死ぬ気じゃない」これがほぼ100%でした。
 1人だけ、本気で死のうと思ったっていう女の子がいました。
「じゃあ、なんで首をつるとか手首を切り落とさなかったの?」
 って聞くと無言でしたが……

 こうしてリストカッターと(望まないですけどw)出会ってみてなんとなく感じたのが、
 オープン型リストカッターと閉鎖型リストカッターがいるってことです。

 
 前者は文字通り、タンクトップ着て傷跡も堂々と見せてるタイプ。
 後者は夏なのに商売柄そでのある服を着てるケースです。
 どっちにしても、「自分を見て」っていうか、かまってオーラが全開だったのが印象的でした。
 むしろオープン型の方が、リストカットをすることを含めて「これがわたし」って思ってる印象を持ちました。
 「こりゃ、間違って死ぬまでやっちゃうだろうな」と感じました。
 つまりは「処置なし」です。

 逆にオープンにしなくて、何気なく傷を発見したケースの方が、
 「なんで自分はこんなことやっちゃうんだろう」って言うパターンが多かった気がします。
 きっと彼女たちは別の「何か」没頭できるものがあるとそっちに移行するんだろうなあ、と思いました。

 えてして、リストカッターは精神的に不安定なので、
 こういう客商売には無縁ってイメージもありましたが、実は意外にそういう職業の方が多かった――
 少なくともリアルで出会った人は100%その商売の方でした。

 彼女たちを見て、話を聞いて思ったのが「現実感の喪失」でしょうか。
 浴びるほど酒を飲んでも、朝までお客さんと騒いでも「生きてる」ってことを実感できない。
 実感できないから過激な行動に走る。
 そんな気がしました。


風月堂さんからの意見
>リアルな描写
 ということですが、物理的な描写については、事故やバトルでの怪我など、
 リスカに限定されないと思われますので、心情や動機を中心にコメントします。
 ただし、以下は全て個人的な印象であり私見です。

 私は一頃、リスカしてる人の、エッセイ系のサイトを面白半分に見ていたものです。
(当事者には大変失礼ながら、私自身は全くの他人事として見てましたが)
 
 面白半分ながら見ていて思ったのは、リスカは死ぬためというよりは、
 むしろ"生きるため"にやってているのだろう、ということです。

 
 良く見かける言い回しとしては
 「(日頃は虚無感でいっぱいだけど、切って)痛みを感じることで生きてることを実感する」とか、
 「価値のない自分への罰」といったようなもの、
 あるいは「切ったときに痛みは感じなかった」といったようなものもあります。
 先の例に、相反する言葉を挙げましたように、リスカの動機や感覚は、"一様ではない"と思われます。

 リスカの感覚ですが、正直言いますと、私には、その感覚には"実感"が湧きません(とくに3番目のは)。
 また、インタビューなどを見ますと、リスカした瞬間は衝動的であったり漠然とした感覚で、
 後で冷静になったときに(自分で)理由を考えてみる、といったようなケースも少なくないように、
 個人的には思われました。
 どうも(「リスカは救われる方法である」といったような)確信に基づいてやっているようには見えません。

 こういった独特の感覚が見られますので、
 自分なりに考える「だけ」ではリアリティーにつながるとは思えません。

 
 まずは、リストカットしてる人のサイトや、インタビューした本に目を通してみることをお薦めします。
(エッセイ的な文章ですと、"TEXT系"とか"メンタル系"
 といったカテゴリーのリンク集で見つかるかもしれません)

 Amazonで「リストカット」で検索しても、様々な本があります。
 精神医学的観点からのもののほか、リストカットしてる人々にインタビューしたものも少なくありません。
 インタビューしたものでは「リストカットシンドローム/ロブ@大月」
 「魂の声 リストカットの少女たち -私も「リスカ」だった/小国 綾子」などがあります。

 ついでに言いますと、
 切ったときの実感(痛みを感じる、感じない)や、
 感情(生きてることの実感、自罰感情の満足など)には、かなり独特なものがありますし、
 また、他の人に言うか否か、といった周囲との関係もありますから、
 (友達にも言わない、親しい人にだけ言う、思い切って言ったら引かれた、など)
 物理的に切る描写だけでは、(症状・現象としての)リスカを描ききれないものと思われます。
 同じ理由で、自分で切ってみたとしても、リスカの理解には恐らく役に立たないと思われます。
(「実体験するわけにもいかない」のは大前提ですが)

 一頃のブームの影響か、リスカに関するサイトや本は沢山あると思いますので、
 生の声をさぐるのはそれほど難しくはないかもしれません。

 個人的な関心から、私見ばかりの上に、長くなってしまい、失礼しました。
 それでは。


■追記 元ガス屋さんの発言を受けて
 元ガス屋さんは、「オープン型リストカッター」と「閉鎖型リストカッター」の違いを挙げられましたが、
 私がエッセイ系のサイトで見たのは後者が多かったです。
 そういったサイトの文章では、ファッション感覚でやってる人、
 構ってほしくて(ネット等で)見せびらかす人とは一緒にしないでほしい、
 といった趣旨のコメントが少なからず見られました。
 
 一口に「リストカッター」といっても、動機や感覚について、
 (いくつかに類別できるとしても)様々なケースがあるようです。


 描写のため想像したり、自分で考えてみるのは、いろいろ知ってからでもぜんぜん遅くはありません。
(リストカットに限ったことではありませんが)
 それでは失礼しました。


紙さんからの意見

 水谷修せんせいのご本を読むとイイよ(´・ω・ )


若竹さんからの意見
 こんにちは、昨日も返信した若竹です。

 リストカットではありませんが、手首から大量の血が出てきたことはあるので、
 そのときの様子を参考までに。

 三年前の夏休み……
 私は近所の家の脱走犬に手首と脇腹を噛まれました。
 手首に至っては、あの太い血管の横です。今思うとぞっとします。

 そのとき、痛みはまったくありませんでした。
 必死で逃げて、家に帰り止血。

 タオルが血で染まるほど大量出血でしたが、やはり痛みはありませんでした。
 汗が大量に出て、呼吸を心臓の鼓動が乱れ、逆にこっちで死ぬんじゃね?
 みたいなことも考えました。

 しかし、なぜか結構冷静に状況を把握することはできてました。

 ……とまあ、こんな感じです。
 参考になれば幸いです


ユリハさんからの意見
 こんにちは。ユリハと申す者です。
 さて、リストカットを上手く書けないとのことですが。
 
 描写面(表現とか言葉の選び方とか)で上手くいかないのなら、
 そういう場面が出てくる小説を探して読むのがいいでしょう。
 何冊も読んでいると自然にそれらしいものは書けるようになります。


 次になんかよくわからないけどうまく書けていない気がする、
 という場合は他の方々も仰っているように、
 それを行う理由やらその際の心情やらはうまく固まりきっていないからでしょう。
 皆様も色々なアドバイスをなさっていますが、私からも少し。

>無論実体験するわけにもいかないので、どうすればよいでしょう?

 では何故実体験をするわけにはいかないのだろう?
 と考えてみてください。

 理由は思いつきましたか?
 ではそれを振り切ってまでリストカットする理由はなんですか?

 それがリアリティへの第一歩です。
 リアリティを求めるのならば、まず自分だったら……を考えられなければいけません。
 小説を書く者としての基本技能です。

 小説とは登場人物が大抵何人もいて、
 その何人もがそれぞれの人生を歩んできたということを忘れてはいけません。
 現実ですれ違う大勢の人々もそれぞれ頑張って生きてきたはずですね。
 実際に見て分かる部分以外にあるものの重みを忘れて人物を描写することはいけません。
 時には恐ろしいほど無意識にリアリティを失い、
 描写が上手くいかない理由がわからなくなることもあります。
 今回がそのケースなのかはわからないですが……。

 そして小説の登場人物は現実でただすれ違った人とは違い、多くが物語に関わってくるはずです。
 わざわざ描写するのですから当然ですね。
 つまりそれだけによりリアリティが重要だというのは言うまでもありませんが、
 それを上手く書くことこそが小説の醍醐味であり作者の腕の見せ所なわけです。

 リストカットの描写を上手く書けたら、それに伴う周りの反応の微細な変化にも気を配りましょう。
 そこでリアリティを失っては意味がありません。
 そして周りの変化にも、もしこんなことをする人が知り合いにいたら……などと考えるとよいでしょう。
 それでもその描写が不安なら、他の人に不自然でないかなどを聞いてみましょう。

 決してやってはいけないのは、自分で考えもせずに他人から聞いた意見を採用することです。
 今回ならば「私だったらこう思います」「こう行動しないのはおかしい」
 などと誰かが言ったのをそのまま採用するのはいけません。

 もしかしたら本当におかしいこともあるかもしれませんが、自分がこの立場ならこうする、
 と自分の小説のために悩んだ結果の感情や描写に
 他人のちょっとした意見が完全に勝ることは普通ありません。
 仮に勝ったとしても、それはリアリティが欠けた文章です。
 リアルかもしれませんが、リアリティとは違います(これも他の方が仰っていますが)。
 何故ならあなたが考えたことをもとにしていないからです。

 特に今回は小説の全文が掲載されているわけでもなく寄せられた意見ですので、
 あくまで参考にとどめたほうがよいかと。

 どのように参考にするかというと、どうしても違和感を覚える時や推敲のときに用いてください。
 意見として聞いた考え方とそれまで、その人物が歩んできた人生とそれによって形成された性格、
 その出来事が起こる(起こす)状況を照らし合わせて、
 元から少しずつ変えていくことで近づけていくのです。

 ずいぶんと長くなってしまいましたが、これもあくまで私の一意見です。
 要領を得ない点もありますし、行き詰った時にほかの皆様の意見と一緒に眺めて参考としてください。

 それでは。


亜梨栖さんからの意見
 私はリストカットを三回しているのですが(つけた傷は九本)、
 リストカットをした次の日は傷がかゆくなります。 ものすごく。

 私が最初にやったとき、一時間ぐらい自分の部屋にこもってました。
 私の部屋は二階なので、窓から飛び降りようとしたりしましたが勇気が出ず、リストカットにいたりました。

 実は数週間前からリストカットをしようとしていたのですが、
 力が入らなくて切れず「ああ、今日も切れなかった……」と思っていました。

 その日はかなりキレていたので、何回もカッターを手首に当てて引くとようやく切れて、
 泣きながら笑いました。

 「やっと切れた」。 そのとき、こう思ったのをよく覚えています。

 そのとき、友達に送ったメールを抜粋。 ちょっと狂った感じがするので怖い方はスルーの方向で。

 私ついにリストカットできたよ。 
 笑いが止まんない。 
 あんまり血は出てないけど。
 あんまり漫画と架みたいに深く長く切れなかった。 
 今ミミズ腫れになってる。
 切ったところがかゆいよ。

 そのあとの二回はもう衝動的に。
 だんだん切る本数は少なく、その分深くなってきました。

 と、言うのが亜梨栖の実体験です。 
 ご気分を害した方、すいませんでした。 これで、小説の参考になったらな……と思います。

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