第4研究室 創作に関するQ&A 508P | トップへ戻る |
凱聖ゲルドリングさんからの質問
 ノベルゲームを小説の参考にすることについて
 (研究所の掲示板に書き込まれた文章を一部修正して転載しました)

 以前、『良いノベルゲーム』というスレッドをたてた時、こんな意見をいただきました。

 「小説書くのにゲーム参考にしてはいけない」、「ノベルとノベルゲームでは方向性が違う」

 一方で、「シナリオの書き方と、表現において長けている部分が違うだけ」、
 「小説の参考にしてはならない創作物など存在してはならない」という意見もいただきました。

 私としては当然、ノベルゲームは小説を書く際に参考にしていいものと思っています。

 『良いノベルゲーム』のスレッドにも書かせていただきましたが、
 その根拠を改めてまとめたものを、以下に書かせていただきます。


1、文章面でノベルゲームにも学ぶものがある。
 ノベルゲームは『絵があるなら字は書くべきではない』というセオリーがあるらしいです。
 なので、多くのノベルゲームは風景描写や、容姿の描写などの文章面でいえば、
 参考にして小説を書くべきではないと思います。
(もちろん優れた風景描写や容姿描写を書く作品もあります。あくまで全体的にです)
 
 しかし、心理描写や会話のやり取り、戦闘描写が秀逸な(素人視点で)ものも多く、
 参考にするのに申し分はないように思える。

(個人的には、心理描写で『君が望む永遠』、『アノニマス』、『StarTRain』、『メモリーズ・オフ2nd』など。
 会話のやり取りでは『パルフェ』、『つよきす』、『それは舞い散る桜のように』。
 戦闘描写では『Phantom』、『月光のカルネヴァーレ』、『Fate』)

 
2、ノベルゲーム出身の作家、または、ノベルゲームを書いているプロ作家もいる。

 虚淵玄氏(『Fate/Zero』、『アイゼンフリューゲル』)
 田中ロミオ氏(『人類は衰退しました』、『AURA 〜魔竜院光牙最後の闘い〜』)
 涼元悠一(『あいつはダンディー・ライオン』、『青猫の街』)
 我孫子武丸氏(『かまいたちの夜シリーズ』)

 特に涼元悠一氏は元は小説家の方ですが、
 ノベルゲームの面白さに魅せられてシナリオライターになったという経歴の方です。


3、方向性が違うとは思えない。

 完全にエロ重視のゲームではこの限りではないです。
 しかし、いわゆる純愛系や鬱ゲー、戦闘系のゲームなどは当てはまらないと思います。

 なぜなら、こういったゲームは、濡れ場がエロ重視のゲームに比べて極端に少ないことが一つあります。
 また、明らかに、ストーリーやキャラの掛け合いの方に力が注がれているのが、読んでいてわかります。
 
 濡れ場があるために、十八歳以下の中高生がプレイできないだけで、
 濡れ場以外の内容は、中高生にも十分楽しめるのではないでしょうか。
 でなければ、ノベルゲームの移植版は発売されないはずですし、アニメ化もされないはずです。


4、ノベルゲームは商業用の作品にも負けていない。
 
 個人的にはこの理由を一番に推します。
 ノベルゲームは、立ち絵、キャラボイス、BGM、キャラクターへの感情移入を促す日常描写や会話が
 かなり長い、などの点を差し置いても秀作は多々あります。

 例えば、実写映画化もされた『ひぐらしのなく頃に』。

 小説作法に詳しいこのサイトでも話題にあがっている『Phantom』や『デモンベイン』。
 (いずれもニトロプラス作品ですが)

 また、これは入谷さんからの情報ですが、「モバゲー小説大賞」という賞では、
 受賞作がノベルゲームの『CROSS†CHANNEL』を盗作したのではないかとの疑惑が出たそうです。

 私が言いたいのは、盗作の有無ではなく、盗作疑惑が湧いてしまうほど似た作品が、
 小説大賞の優秀賞を受賞しているということです。

 つまり、ノベルゲームは小説大賞の優秀賞レベルの内容を有している、ということではないでしょうか。


 私は以上の理由から、ノベルゲームは小説(特にライトノベル)を書く際に参考になり、有用だ。
 と考えているのですが、この考えについてみなさんはどう思われるでしょうか?

 いろいろな意見を聞きたいです。よろしくお願いします。


●答え●

聖☆おじいさんさんからの意見

 はじめまして。
 僭越ながら、書き込ませて頂きます。
 では、早速。

 恐らく、技術面で参考にならない、という意味ではないでしょうか。
 自分はノベルゲームなど「かまいたちの夜」しかやってませんので、深いことは言えませんが。
 映像と音があるノベルゲームは実写と同じで、小説の技術にはあまり向いていない、と。

 ですが、「こういうのを書きたい」という、
 動機付け、方向性の決定などでは有用なのではないのでしょうか。

 
 こう言って良いものか分かりませんが、
 所長のうっぴー様もノベルゲームに影響を受けたと紹介されていますし。

 まぁ、要するにインスピレーションを得るための一手段としては有効なのでは、
 という話です。では、これにて。


みやびさんからの意見

 参考にはなるかもしれませんが、そのまま小説に流用すると痛い目を見ますよ。
 試しにお気に入りの作品を丸写ししてみてはいかがでしょうか。
 たぶん意味の分かりづらい文になると思います。

 
 あくまでノベルゲームは絵を見ながら、音を聞きながら文を読むもの。
 例えるなら漫画と小説の中間にあるものです。
 経験則から言わせてもらいますと、ノベルゲームに染まりすぎると描写力がヘタレてきます。
 ゲーム会社のライターならば絵とすりあわせる事も出来ましょうが、私らはそうもいかないw
 
 私らは文字だけで相手に伝える力を身につけなきゃいけないので、
 アッチにはまり過ぎると変な癖ついて痛い経験をしますよw


雨城さんからの意見

 はじめまして。

 色々書かれていますがそこまで理屈はいらないのでは。
 必要なルールは作品をきちんと伝わるものにする、というだけだと思います。
 もちろん媒体が変わればその為に気を付けることも変わります。
 ノベルゲームから小説なら絵と音が無いことを意識していればそれでいいと思います。


みすたンさんからの意見

 ども、みすたンです。

 僕はノベルゲームというのをほとんどやったことがないのでイメージだけで話させてもらいます
 。合わない意見ならスルーOKです。

>1
 文章面でどの程度参考になるかは分かりませんが、
 少なくともストーリーの構築としては参考になると思います。


 これについてはノベルゲームに限らず、アニメ、マンガ、映画、ドラマ……何にでも言えることですが。
 それこそ歌や漫才、コントにいたるまで。
 ノベルゲームのいいところを小説に生かすのはありだと思います。
 逆に小説に生かせそうにないところをいかに小説へ移植するか、というのも挑戦だと思います。
 ただ極端な話、ノベルゲームの全文を書き出したら小説になりますか?という話です。
 あ、凱聖ゲルドリングさんが言ってるのはそういうことじゃないのは分かってますよ?

 だから結局は、いかに「ノベルゲーム」ではなく「小説」らしくできるか、
 という作者さんの努力次第なのでは?

>2
 芸人出身の作家もいる。品川祐、劇団ひとり……。あ、話が違う?><

>3
 方向性ってのはイラストと文章のバランス的意味合いでは?
 最終的に目指すところについては突き詰めれば文字だけの表現を是とする小説と比べてみれば、
 確実にイラストがある前提のノベルゲームはまるで違ってくると思うのですが。

>4
 まぁあるとは思いますが、モバゲーの小説大賞が相手だとちょっと比べる対象が低くないですか……?
 それと負けていないというのはシナリオ的意味合いではないでしょうか?
 作品全体としてであって、文章についての話とは別物の話かと。

>結論
 まずシナリオ的意味合いで言えば参考にならない媒体はないと思っています。

 また同じ文章を操る媒体同士確かに文章的意味合いでも参考になる部分は多いと思います。
 ですが絵がない小説と絵があるノベルゲームは文章にかかる比重がまるで違ってきます。
 ですからその差を無視しては参考になりようがありません。
 やはりあくまでノベルゲームと小説は別物であるということを理解した上で、
 いかに小説として参考にできるか。そこがそれぞれの作者の腕の見せ所では?

 基本的に「ノベルゲームは参考になる。
 けれど小説との違いは認めなくてはいけない」という意見です。


 うーんうまく伝わっただろうか?(汗
 ではでは。


真砂さんからの意見

 参考にするのは全然問題ないと思いますが、
 小説とノベルゲームの違いはきちんと理解しておくべきだと思います。
 たとえばゲルドリングさん自身が挙げられている例の他にも、
 小説とノベルゲームでは構成面でも結構大きな違いがあったりしますし……
(ノベルゲームの多くは導入部分が冗長であったり、テンポよく話を進めることよりも、
 キャラに愛着をもたせるためにキャラクター同士のかけあいなどに、
 結構たくさん時間を割く傾向があったりしますよね)。

 まあ要するにノベルゲームの特性を何でもかんでも小説に取り入れようとするのではなく、
 きちんと吟味したうえで取り入れるのであれば何の問題も無いかと。


雷徒さんからの意見

 こんにちは、おはようございます雷徒です。

 えーと、まず一つ。
 奈須きのこさんのデビュー作は「空の境界」なので、
 あの人は正確にはノベルゲーム出身者ではありませんです、ハイ。
 よく勘違いされてますが、あの人は根本が新伝奇小説家です。

 で、本題ですが。
 ノベルゲームで参考にならないならマンガやアニメを参考には絶対できなくなりますよね?
 
 文章を書くための参考にはならなくても、設定や発想を参考にできます。
 小説を書くために参考にならないものなんて逆にないわけで。

 
 ただ、文章そのものを参考にするのは難しいということでしょう。
 ノベルゲームと小説では確かに書き方が違うので。
 とはいえ、シナリオ重視のノベルゲームの中にはイラストを除いても読めるようなものもありますし、
 優れた描写力や感情表現などは参考にしていくべきでしょう、と私は思うのですけどね。
 とはいえ、真似しようとして真似るのは難しいですけども。
 あくまで、自分なりの文章や世界観を作る上での糧にしていく、ということで。


みつきさんからの意見

 凱聖ゲルドリングさま、こんにちは。

 私もノベルゲームが創作の参考にならないとは思いません。
 だから、好きなら好きで、胸を張ってたくさん見たり読んだりすればいいと思いますよ。
 
 私も舞台芸術や美術が好きで、よく劇場や美術館に行きますが、
 それが「小説の勉強にはならない」と言われたことはありません。
 多分、ノベルゲームより歴史が古く、芸術的価値を認められているものがいくつかある、
 という理由だけで、そういう扱いをされるのでしょうね。

 ただ。
 (他のどの表現ジャンルでもそうですが)小説には、小説で出来ること、小説でしか出来ないこと、
 小説だから出来ること、小説では出来ないこと、小説だから出来ないこと――
 が厳然として存在していますから、それをよく知り、上手くコントロールして創作していくことは、
 小説を表現ツールとして自分のものにするための必要不可欠の条件です。
 そういったことをよく知るためにも、(あくまでも、小説を自分の表現ツールにするならば、ですが)
 ノベルゲームだけではなくて、小説もちゃんと、
 出来ればノベルゲーム以上に読むようにしたほうがいいですよ、
 と以前のスレでノベルゲームに否定的な書き込みをなさった方々は、
 そういった老婆心ながらの忠告していたのだろうと思います。

 というわけで。
 ノベルゲームは三つ四つ進められて読み始めたものの、
 小説とはあまりにも勝手が違って途中で読むのを挫折してしまった者からの書き込みでした。

 それではこれにて。


飛車丸さんからの意見

 さて、前にも書いたので一応。

 勿論、参考になる作品というのはあります。
 ライターを厳選すれば、むしろ下手な小説を読むより価値があるでしょう。

 が、そうではない作品が多すぎる。

 例えばノベルゲームで大人気のクラナドのような、
 正直、殆ど参考にならない作品が横行しまくっているんですよね。
 あの作品において参考になるのって、ぶっちゃけことみシナリオの構成くらいで、
 (調べてみたら、ここだけ涼元氏がシナリオライターのようです)他は、
 幼稚なキャラ・破綻したシナリオ・矛盾だらけの文章・テーマぶち壊しの結末、などなど、
 なんていうか本当にもう滅茶苦茶なんですよね。

 クラナドに限らず、全体的に言って『男の妄想に都合のいい作り』が基礎で、
 おざなりワンパターンな感動しか得られないところなんて、
 それこそ、男性版ケータイ小説のような印象です。

 それにそもそも、文章だけで成り立つ小説と、
 絵・映像・声・効果音・BGMと様々な要素を盛り込んだノベルゲームでは、
 表現の手法がまるっきり別物ですしね。

 『これ』の『ここ』は参考になる、という風に、いいところだけを取り出せて、
 なおかつそのいいところを小説に変換するには何を足さねばならないか、
 自分でしっかり考えられるだけの基礎を持っていればともかく、
 そうでない人がノベルゲームを参考にすると、確実に痛い目に遭う。
 しかもノベルゲームは、なまじっか文章を扱っているだけに、危険性が大きいんですよね。
 特に昨今では、ノベルゲームはいっぱいやってるけど小説は殆ど読んでない、
 という作家志望も結構いますし。

 それぞれの違いを把握した上で参考にするというなら、
 ノベルゲームだろうがアクションゲームだろうが漫才だろうが、参考にならないはずはありません。
 さんざこき下ろしたクラナドにしても、
 幼稚なキャラをブラッシュアップして幼い精神性を伴った年齢相応のキャラを作ったり、
 最後の最後でテーマをぶち壊しにしなかったり、
 ギャグ的なやり取りを小説読者向けに変換するなどできれば、かなり参考になる面がありますし。

 ただ人によっては、それで益を得る以上に害を得てしまう危険性が高い、
 ということだけは注意なわけです。


ひすいさんからの意見

 どうも、ひすいと申します。

 うーん、そうですねぇ。確かに、私もノベルゲームは小説の参考になると思いますよ。
 ただ、正直なことを申し上げますと、凱聖ゲルドリングさんの仰っていることは、
 なにもノベルゲームじゃなくてもできることなんですよ。
 というより、小説で十分参考になるようなことばかりなんですね。
 心理描写や戦闘描写が逸脱なものがある。それは確かです。
 シナリオライター出身の小説家もいる。それも確かです。

 しかし、「あえて」ノベルゲームを小説の参考にするには、まだそれだけじゃあ弱すぎるんですね。
 凱聖ゲルドリングさんも、ほかの方も仰っているとおり、ノベルゲームは小説とは大きく違います。
 絵がある。音楽がある。小説とは違った演出もできる。
 だから文章的な面では小説に大きく劣る場合が多いし、
 ノベルゲームではできるのだけれど小説ではできないなんてことも存在します。
 当然ながらノベルゲームを小説に生かすには、
 「小説でも可能なこと」を厳選して活かさなければならなくなります。
 では、はたしてそこまでする必要性があるのでしょうか?

 小説の参考になる部分とならない部分の両方を併せ持つノベルゲームより、
 一から十まで参考になりうる小説のほうが、参考にするには圧倒的に適しています。


 凱聖ゲルドリングさんは「ノベルゲームは小説大賞の優秀賞レベルの内容を有している」
 と仰いましたが、そんなんだったら実際に優秀賞をとった小説を読んで参考にすればいいんじゃないか、
 という話になります。
 
 ノベルゲームはあくまでも「小説大賞を受賞するほどの内容である可能性」を
 有しているのに過ぎませんが、実際に優秀賞をとった作品はその事実から、
 もう絶対に小説大賞を受賞するほどの内容であると銘打ってあるも同然なわけです。
 どちらのほうが確実性があるかと訊ねられれば、一目瞭然ですよね?

 確かにノベルゲームのなかには小説よりも優れている要素を持つ作品があるかもしれない。
 まったく参考にならないわけはありません。視野を広げるのにも有効かもしれませんし、
 プレイしてみて、「あ、ここなんかは小説にも活かせるんじゃないか?」
 って思った部分があったのならそれを参考にしてみるのも良いでしょう。
 しかしながら、「あえて」ノベルゲームを小説の参考にするよりも、
 小説を参考にしたほうが良いという可能性が高いのではないか、私はそう考えます。

 では。


上倉コウさんからの意見

 ノベルゲーム(エロゲー)は私も好き、上倉です。
 今まで様々な作品をプレイしてきました故、
 それらから学んだことを元に意見を述べさせていただきます。

1、文章面でノベルゲームにも学ぶものがある。 
 まあ、確かにそういう面もありますね。私自身、プレイしていて
 「うまい言い回しだな」と思ったことも結構あります。
 「それは舞い散る桜のように」のシナリオライター・王雀孫さんなんかがいい例でしょうか? 
 某大手レビューサイトで「テキストが良い」の評価をもらっていましたし。
(まあこの人は腹筋が痛くなるほどのギャグセンスがメインなんですが)
 
 でも凱聖ゲルドリングさんもお気づきのとおり、
 ノベルゲーム(ギャルゲーエロゲー)は正直絵がメインの気がある作品がほとんどです。
 特にエロゲーはエロですから、下手くそな絵のキャラのあんなシーンを見たって
 プレイヤーは嬉しくないですからね。
 
 そうじゃなくても、キャラの立ち絵とか背景とかはエロ問わず絵で表現されています。
 ですから、そういった描写(情景描写・外見描写)などの面では参考にならないですね。
 既に絵で表現されているんだから文章でやる必要性がありません。
(つまり凱聖ゲルドリングさんと同意見)
 でも戦闘描写はどうなんでしょうねぇ……。
 最近の作品は戦闘描写もCGで表現が重視されている気がありますから、戦闘描写もボツかと思います。


3、方向性が違うとは思えない。

>  完全にエロ重視のゲームではこの限りではないです。しかし、いわゆる純愛系や鬱ゲー、戦闘系のゲームなどは当てはまらないと思います。

 ええ、まったくそのとおり。私も同意見です。
 私の中では「車輪の国、向日葵の少女」がこの類に値します。
 
 切実な問題で「エロ」ゲーでも創作ですからね。
 相手(購買者)が楽しめなければ、彼らからは良い評価を得られずに見捨てられます。
 その結果つぶれていくのも悲惨でしょう。
 まあ、ストーリーやテーマなど二の次で、完璧にエロだけに特化しているメーカーも結構ありますけどね。
 そういうメーカーは「創作」としてではなく「エロ」で稼いでいるんでしょうかね……?


4、ノベルゲームは商業用の作品にも負けていない。
>  個人的にはこの理由を一番に推します。
 うん、確かに。これも同感です。
 というのも、良い物は内容が濃密な物が多いんですよね。
 個人で創る小説と、複数で創るゲームの違いでしょうか。
 
 これも上で挙げた「車輪の国、向日葵の少女」がいい例でしょうか。
 社会とか法とかそういうヘビーなジャンルについてみっちりストーリーが組まれています。
 でもそれらについて説教するのではなく、
 あくまでエンターテイメントよりの作品を完成させているというのが素晴らしい。
 私は勧善懲悪や完全なエンターテイメントは正直飽きていますから、
 車輪の国のような、なにかを考えさせてくれる作品のほうが好きだったりします。
 で、評価の高いノベルゲームにはそういった作品が結構選ばれているんですよね。
 これも私がノベルゲームから離れられない理由のひとつです。


 長々と書いてしまいましたが、私もノベルゲームを参考にすることには賛成な方です。
 ただし他の方も仰っていますが、全てを真似するべきではないかと。
 現に、経験している創作の9割がノベルゲームだった昔、
 そんな時に書いた創作はもの凄い酷評を受けましたから。
 参考にできるのは、ストーリー・(舞台)設定・キャラクターの中身・
 ひとつの考え方(自分とは違った価値観)ぐらいでしょう。

 既に終わってしまったスレのような気がしますが、
 少しでも凱聖ゲルドリングさんの参考になれば幸いです。それでは。


紅月知花さんからの意見

 こんばんは、小説のネタと資料は小説以外の媒体から掻き集めるのが常の紅月です。

 ノベルゲームのシナリオを参考にするのは有用か否かということですが、
 ゲームをプレイしてシナリオを読んでいくだけならば、
 漫画やアニメと同様、ビジュアル的なインスピレーションを刺激するに留まるのではないかなと思います。

 実際にノベルゲームのシナリオを書く。
 これは私自身経験しましたが、かなり勉強になりました。
 文章力がどうとかいう観点ではなく、構想を練るという点においてです。

 ますはジャンル(世界観を含む)・テーマを決定し、全体の分量
 (ゲームですので1周当たりのプレイ時間やフルコンプまでの所要時間などですね)の目安を決める。
 そこから登場人物の必要人数を割り出し、キャラ設定をする。
 キャラの役回りが決まったらエンディング数と分岐の種類や数を決める。
(恋愛がテーマならカップル成立がエンディングになると思うのでその組み合わせとか、
 推理ものならミスリードによるバッドエンドを用意するかどうかとかなど)

 物語本編を書く前に外枠をきっちり決めておかないと絵師さんやプログラマの方が動けないので、
 まずは全体の流れを最後まできちんと構築するという作業が必須になるのです。

 これをやるようになってから、原稿作業がかなり楽になりました。
 見通しがつけやすくなったので日常業務(家事とか仕事とか)と執筆時間の折り合いもつけやすく、
 「時間がない~~><」という妙な焦りからも開放されました(笑)

 あと皆さんがあげておられる絵で見せてしまう部分が多いので……という点ですが、
 登場人物の容姿や背景を描写しない分、
 セリフだけでそのキャラらしさを発揮させなければならないんです。

 ゲームによってはセリフの横に顔グラがついていてセリフに合わせて表情を変えたりもしますが、
 それを指定するのもライターの分担である事が多いと思います。

 つまりノベルゲームに限らずシナリオを書くという事は、
 小説執筆において全体の構造を組み立ててから書く方法や、
(どなたかがトップダウン形式とおっしゃってましたね)
 登場人物を立たせる効果的なセリフ回し(ラノベでこれはかなり強力な武器になるのでは?)を
 身につけるのにとても有用であると思います。

 文章面では、規定の文字数に過不足なく情報を盛り込むのが上手くなりますよ。
 ゲームの画面って一度に文字を表示できる領域には限りがありますので。
 背景画像やキャラの立ち絵が目立つ形式だと、
 テキストって画面下のウインドウにちまっと表示されるだけだったりするので、
 あそこにきりのいい、印象的な文章を入れるって結構大変です。
(あくまで当社比ですけどね^^;)

 ゲームをプレイするだけだとしても、自分が書きたいジャンルの既存小説を読み漁って
 「うわ、設定かぶってる……どうすべか」と悶々とするより、はるかに有用だと思いますよ。

 シナリオのレベルがどうというのは問題ではありません。
 ゲームは文と絵と音楽とシステムのすべてが高いレベルに到達していなければ。
 総合的な評価は得られませんので。

 あ、ちなみにゲーム画面に出てくるシナリオの文章だけを模写しても意味ないですよ。
 あれは絵と音楽が挿入される事を前提として書かれた文章ですから。
 どこを省いてどこを強調して文章を書いているかは
 シナリオ原本のト書き部分にまで目を通さなければわかりません。
 参考にするならば、むしろ攻略用の分岐チャート表の方が構造がわかっていいかもしれません。

 結論としては、自分でシナリオを書いてみるのが一番勉強になる、ということでしょうか。

 ご自身の作品でエンディング候補が複数あってラストを決めかねている小説とかありませんか?


結城 ゆうきさんからの意見

 広義で言えば創作をする際、ノベルゲームを参考にすることは有用かと。
 ただし。
 
 ゲームって基本、小説よりも値が張ります。
 加えて凱聖ゲルドリングさんが挙げてるノベルゲームのメリットって
 「~にもできる」って感じなんですね。言ってみればノベルゲームでなくてもできる、てこと。
 参考にできるものは他にいくらでもあるのに、
 わざわざノベルゲームを選ぶのはちと授業料としてボリすぎなのでは、と。そう思いますね。

 それでは。


ととさんからの意見

 参考にしよう! ええもう、是非に。
 理由は一つ。とてつもなく有用だから。


 何でかっつーと、ゲームは複数のライターや企画原案・製作進行などのプロが
 一つのものを共同で作り上げている創作物なんさね。
 つまり、基本的に単一視点(自分のみ)の創作に慣れた小説家とは、
 別の視点を労せずして感じられる表現媒体なわけ。


 映画とかもそうなんだけど、こっちはそもそも媒体のメインが文字じゃないからね。
 似て非なるもの、そう言うジャンルがいい刺激になると思うんだな。

 前スレでも言ったけど、創作の参考にしてはならない創作物なんてありえていいわけはない。
 インスピレーションはあらゆるものから獲得すべきだ。

 「小説書くのにゲーム参考にしてはいけない」っつー……信仰? 
 も別に個人で抱く分には悪かないが……ちょいと視野狭すぎだと俺は考える。
 だって、表現や方向性違うものを参考にすんなってんなら、小説以外を参考にできなくなるっしょ?
 そんなのつまらんよ。

 問題点の例として、ノベルゲームっぽい書き方に引きずられるかも、ってことなら、
 参考にするのが小説でも引きずられることはありうる。文体とかキャラとか。
 その危険はいつでも、何にでもあるのだから、
 ノベルゲームだけを問題とするのは随分、恣意的だと考える。

 音や絵がないから、書き方が違うってんなら、その通り。
 でも、実体験を参考にしたとしても音や映像があるもの(記憶や経験)を、
 ない媒体に落とし込む作業だよな、小説にするって。
 その過程に、なんも問題ないと思うが、どうだろうか。

 まあつまり……
 細かい問題なんて気にせず、バンバン参考にしよう、と。

 小奇麗な完成形だけを追っかけて、自分のインスピレーション小さく縮めるなんて下らんよ、実際。

 つーか、そんな小綺麗なだけの作品なんて心に残らんよ。
 問題だの矛盾だのがあろうがなかろうが、究極的にエンターテイメントの目的はただ一つ。

 面白いかどうか。

 じゃないか。
 そりゃ、その面白さがパクリ(盗作疑惑上がるようなもの)っつーのは正直萎えるけどな。
 面白いと感じたものは誰に恥じることもないし、誰に諭される謂れもなく面白かったってことだし。
 好きなものを参考にして悪いことなどあるもんかね。

 そもそも……いい作品に触れてテンション上がるだけでも有用じゃないか?

 そんなとこ。


バルカンぴじょんさんからの意見

 「小説の参考にしてはならない創作物など~」
 インスピレーションとか思考法とかは、何を参考にしてもかまわないと思うし、
 その元がノベルゲームでも問題ないと思います。
 しかし、当人が参考になったと思っていても、本当に参考になっているかは神のみぞ知るです。
 実際はぜんぜん参考になってなかったり、
 あるいは知らないうちに内容を丸写ししていたりするのはよくある話です。

 小説内でキャラクターに言わせたセリフが、
 自分がやり込んだゲーム(ノベルゲームじゃないけど)のセリフと
 一字一句違わない事に気づいてしまった時の絶望感は、言葉では言い表せませんでした。


 話は変わるけど、ノベルゲームで遊んでいるだけなのに
 「小説家になるための勉強をしているんだ」と言い訳に使う人が多いので、
 そういうのと一緒にされないように気をつけてください。


 というか、自分がそうなってないか、時々自己確認しましょう。無理だけど。
 ファンタジーのネタ探しだ、って言って、かなりの長期間ネトゲやってた人からの忠告です。

 ふと思うと、ノベルゲームって学園物が多いですよね。
 ファンタジーとかSFとかはあんまりない。
 ゲームの形式上、そういう複雑な設定はやりにくいのかもしれませんが。
 そして、最近のラノベも学園物が極端に多いような……
 本格ファンタジー読みてぇ……

PS
>また、これは入谷さんからの情報ですが、「モバゲー小説大賞」という賞では、受賞作がノベルゲームの『CROSS†CHANNEL』を盗作したのではないかとの疑惑が出たそうです。

 あれは盗作ではありません。既に発表され有名になった作品を盗作する事は物理的に不可能です。
 単にアイディアをパクっただけです。
 でも、あのゲームが小説にパクられたのはこれが最初というわけでもないので、凄くどうでもいいです。
 元々ノベルゲーム、興味ないし。そんな小説、読まないし(マテ)

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