第4研究室 創作に関するQ&A 548P | トップへ戻る |
もりさんからの質問
 癒し系の毎日、女性が作り出す空間を好む男性心理とは?

 閲覧ありがとうございます、もりと申します。

 長らく疑問に思っていたことがあります。
 私は、安らかな日々を彩る描写が好きです。
 家事をする手つき、服や装飾品、美味しそうな料理、居心地の良い場所、ささやかな恋愛、などなど。
 こういう、世界の行く末とか大きな決断、心意気とかから遠い毎日の細かい描写というのは、
 元来女性が好みやすいものだと思っていました。
 「おままごと」とか、女の子の方が好きだったりします。

 しかしながら、
 「マリア様がみてる」「ARIA」「けいおん!」「らきすた」「びんちょうタン」等など、
 癒し系の毎日を書いたものや、
 女性ウケしそうな細やかなアイテム・シチュエーションを多様に盛り込んだ物語が、
 男性人気も獲得しているのではないか?と感じました。

 勿論、作中の女性キャラクターが異性として魅力ある、というのはあると思うのですが、
 世界観や「女の子の作りだす空間」自体に魅力を感じている男性もいるのかな?と思ったのです。
 「萌え」と「カワイイ」は、意外と近いところにある気もします。

 ファンタジー系のゲームにも、可愛い世界観のものがありますよね。
 「マール王国の人形姫」とか「サモンナイト」など。
 こういう世界観を作りだしている男性クリエイターがいたりして、
 意外と「かわいい文化」が好きな男性は多いんじゃないか?
 と考えたのですが、男性の皆さん、どうなのでしょうか…。

・上記のような「かわいい系」や「癒し系」作品(うまく表現出来ませんが)が好きな男性の方は、
 そうした作品のどこに視点をおいて見ているのでしょうか。
・そういうものを好む心理は、男性一般にもある程度存在するのでしょうか?

 創作にすぐ必要な急場の質問、という訳ではないのですが、
 男性と女性の嗜好の重なりあいに大変興味をもっており、こちらに立てさせて頂きました。

 ご意見・反駁・真相などなど、お聞かせ願えれば幸いです!


●答え●

 外で戦って帰ってきたら、家で女性や子供の作り出すホッとした空間で癒されたい、
 という本能的な願望が男性にあるからではないでしょうか?

 
 四六時中、肩肘張って生きていたら疲れるので、たまにはかわいい物で癒されたいよ!
 といわけです。この欲求を叶えてくれる作品に人気が集中するのだと思います。
 
 心理学者のユングは、男性の中にはアニマと呼ばれる女性性があると語っています。
 「男性における女らしさ」です。
 例えば、猫を飼って、その子に「かわいいです、にゃー」とか言いながら、
 餌をやるような行為はアニマの発露と言えるでしょう。
 これが他人の見ている前だと、「ほれ、餌だぜ」くらいのぶっきらぼうな態度に変化します。
 他人の前では、男らしく振舞わないと、格好悪し、バカにされるし、女の子にモテないからです。
 
 男性も女性も社会に承認されるために、男らしく、女らしく振舞っていますが、
 その無意識下には、アニマ(男性の中の女性性)、アニムス(女性の中の男性性)を持っています。
 ときどき、それを解放してやらないと、精神の均衡を保てないのです。
 あまりに男性原理のみに従って行動し続けると、精神衛生が悪くなり、下手をすると病気になります。
 オラオラオラ! と血みどろの戦場を駆け抜けたら、
 家に帰ってきて、「●●ちゃんは、かわいいですにゃー!」とやらないと、心がギスギスするのです。

 漫画や小説、映画などは、普段、抑圧しているアニマ、アニムスの解放の場にはうってつけです。

 ヒロインの女の子などに自分のアニマを投影し、その子になったつもりで、
 普段抑圧されているアニマの欲求を満たすのです。
(女性の好むボーイズラブなどは、この逆パターンだと思います)
 この心の動きは、外からは絶対にわからない、秘匿性が高いからいいのですね。

 ある意味、「マリみて」や「ARIA」「けいおん!」を好む男性は、男性性より、アニマの方が強く、
 より女性に近いと言えるのかも知れません。


あざらしさんからの意見
 こんにちは、あざらしと申します。
 これは結構昔から出てきた現象、というより三十年ほど前に新たに構築された現象かと思います。
 ですが、それさえも新しくできたのではなく「そうだったのか、と気付いた」と言うべきかもしれません。
 元来、普通にあるものだと思いますよ。

 時代の流れを掴むには漫画作品が解りやすいと思います。

 あだち充氏が代表格だと思いますが、氏登場以前は
 少年漫画=汗臭い・努力・根性・目の幅の涙が作品の主軸です。
(異論はあると思いますが、代表格としてあげさせて頂きました)

 氏のデビュー当時作品を読んだことがありますが(さすがにリアルタイムでは知りませんヨ)、
 結構汗臭いというか絵のタッチも、『あしたのジョー』を代表作とする、
 ちばてつや氏を彷彿とさせるものでした。
 それが『ナイン』あたりで少女漫画っぽいタッチになり、
 内容もそれまであった野球漫画「甲子園目指すぞー、血の球投げろ〜、変化球命!」
 といった内容ではなく、「漠然と甲子園目指してるけど他にも大事なモノがある」に変化していきます。

 『タッチ』あたりになると、これはもう「甲子園目指しているけれど野球よりも人間関係、
 それを主軸として甲子園を目指す主人公とヒロイン」に完全に変化します。

 この頃と同年代の雑誌は、ラブコメが多くなり「少年漫画か少女漫画か解らない」と言われたそうです。


> ・上記のような「かわいい系」や「癒し系」作品(うまく表現出来ませんが)が好きな男性の方は、
> そうした作品のどこに視点をおいて見ているのでしょうか。


 もちろんストーリその他、特にこの作品に限らず他の作品と同じように作品全てだとは思います。
 が、最も重視されるのはキャラクターそのものではないでしょうか?


 アニメはほとんど見ないので(好き嫌いではなく時間制約、拘束時間の話し)、
 知らない作品もあるのですが、絵柄とおおよその雰囲気だけは知っています。

 あまり『事件性』や、序破急を重視したストーリーではなく、
 ほんわか見られる方が多いように認識してます。


> ・そういうものを好む心理は、男性一般にもある程度存在するのでしょうか?

 特に深く考えずとも、男性もかわいいものが大好きです。
 子犬や子猫なんて、大多数の人が可愛いといいます。


 ちょっと話しが離れましたが、架空のキャラクターだってあまり変わらないように思いますよ?

 元々これは『照れ』の話しかも知れません。
 ディズニーランドに行けば、天然記念物のような髪型をした、
 未だ生息していたのかと感動さえ覚える『不良』の兄ちゃんが、
 喜んでミッキーマウスと写真とったりしてますよね。
 オッサンだって、お爺ちゃんだってニコニコしてます。

 ああいう場所に行くと、周り全てがそうなので『照れる』必要さえないからかも知れません。

 元来、女性・男性関係なく面白い、可愛い、素晴らしい、楽しい、
 そういった嗜好はさほど変わらないのではないか? というのが個人的意見です。
 
 どちらかと言うと『男性ならでは』の、嗜好の方が女性に理解されないように思います。
 『プラモデルを作る』とか『いい歳した大人が泥んこになって遊ぶ』など。
 面白いと思われる女性の方が少ないのではないでしょうか?


愛戦史さんからの意見
 ども、愛戦史です。自分、男ですが、

 思うに「らきすた」や「けいおん」のようなほのぼの日常系は、好き嫌いが激しく別れます。

 今の社会に草食男子的な人は、社会的に抑圧されているのが多いから、
 (言いたいことが言えなかったり、女性と縁がなかったり)自然と癒しや甘えを求めてしまうんです。

 逆に激しく嫌う人は、単にストーリー重視か、萌えとかに興味が薄い、
 自立した言うなれば肉食系男子だと思います。
 実際に友人にヲタクの肉食系、
(オヤジにお祖父さんの遺産を引き継ぐ代わりに家を追い出され、
 オヤジは再婚、五歳と六歳の弟と妹をなかば押し付けられ、
 昼夜問わず建設業をしながら弟妹を養いさらには大学に通っている男がいます。)
 彼にに聞いたら、らきすたやげんしけんのようなヲタク的なのは、いまいち面白くない。と言っていました。
 
 ヲタク的なネタは、ある意味、癒しの延長線上にあるもので、
 二次的な女の子と自分が一番楽しい話をできそう。と、脳内補完できるからだと思います。

 マリ見ては、どこか別世界にある慈しみ合いの話しのようですし
 ビックタイトルで原作も取りやすい、ARIAは美しく世界観に癒しがあります。
 自分個人はARIAを少ししか読んだことがないのでストーリーはとやかく言えませんが、
 全巻読んだ半一般人の兄がARIAには、癒しがあると言っていました。
 けいおんは、理想の青春時代、夢に一直線だったと言うダークな要素のない。ポジティブなお話です。
 これは、ハルヒも同じで、目的は、あくまで遊び楽しむことそれに行動理由が一直線です。

 視聴者は、この世界のこの住人がお気に入りだと思いさらに、
 現実が舞台なので妄想に直接的な干渉をせず、
 より現実的な妄想がしやすいのも一つの要因だと思います。


 あくまで俺の考えた答えなので、参考になれば幸いです。 
 長文、駄文、最後まで読んでいただきありがとうございました。


回文擦過さんからの意見
 一応男として答えさせていただきます。回文擦過と申します。
 あざらし様と重なる意見ではあるのですが、少しでも参考になれば、と。
 
 可愛い系、癒し系、あのほんわかとした雰囲気の物でしょうか。
 視点は大体の部分で女性と似通っている部分はあります。

 可愛い物はやはり可愛いですから。自分は猫を見ながらず〜と和んでいるような人間でもあります。

 あ〜逆に、ですが、女性で熱血系が好きな人はいるのか? 
 男性ウケしそうなシチュエーションの物語でも女の子は魅力を感じるのでしょうか? 
 と聞いているような感じですねぇ。
 
 こう書かれると、女性でも熱血系好きな人いるよ! って言いたくなりませんか? 多分(苦笑
 そんなものです。ほんわか系が好きな人もいるよ! というのが意見でしょうか。
 自分は好きですが嫌いな人もいるかも知れないので曖昧な答えですが。

 参考になれば幸いです。


ツェーブラさんからの意見
 こんにちは。
 上記では「マリア様がみてる」「ARIA」が好きな男です。
 ちなみに二作とも男の同僚に薦められました(笑)。
 
 そもそも「かわいい系」や「癒し系」という印象を持っていませんでしたね。
 そんな分類が出来るほど、女性物を数多く読んでいないのです。
 
 私の場合、単純に面白いと感じるか否かで取捨選択しますね。
 
 波長が合わないと憎悪まで抱きます(苦笑)。
 だから趣味嗜好を論理的に説明するのは難しいですね。
 
 あえて言うならドロドロした汚い面が無い(あるいは少ない)事かな。

 少女系って男向けでは許されないような酷い作品があるでしょう、
 18禁指定されていない漫画でセックスシーンとか強姦から始まる恋とか、
 書く側も買う側も、正気を疑います。

 ある種の空想的な憧れを満たしてくれる作品なら、
 多少の違和感など無視して楽しめるのではないか……と思います、思うだけですが(苦笑)。
 他にも君に届けやひだまりスケッチなんかも男受けが良いようです。みなみけは……青年誌だったか。
 
 こうして例を挙げてみると成る程、ほのぼのとした作品ばかりが並びますね
(私は他にもスキップビートを定期購読しています)。
 かんなぎ騒動みたいな痛々しい騒ぎもありましたし、
 
 『穢れなき乙女の園』みたいな物を求める心は有るのかも知れませんね。


鳥ノ木さんからの意見
 どうも、鳥ノ木です。
 あぁ〜就職どうしよ〜〜〜。

 アル人にはアルんじゃないでしょうか。
 ただ、あんまり見る機会とかが無いだけで。
 幾ら授業とはいえ、家庭科とかでクラスの女子が料理するところなんて、
 じっくり見ることができないですし、まして女同士の秘密めいた話とかは
 男の耳に入ってくることはほぼ皆無です。
 
 女性は秘密を守れない人が多いと聞きますので、恋人でもいたらあるかもしてませんが、
 基本的に耳には入ってきません。
 見たことある作品は「まりみて」と「らきすた(アニメ)」くらいですが、
 
 そんな男には分からないところが見れる作品と言う形で人気があるのではと思います。

 女性向けの作品を読むのも良いですけど、男目線で読むと正直気持ち悪いと感じるときもありますし。
 だけど、女友達同士の話とかだったら、なんとなく不快感無しで読めるのですよね。
 そこにはただ大人な百合が好きな人もいるかもしれませんが、
 こういった作品を読む場合は、単純にエロい視点抜きで見てる人が多いと思いますね。私は。

> こういう、世界の行く末とか大きな決断、心意気とかから遠い毎日の細かい描写というのは、
> 元来女性が好みやすいものだと思っていました。


 「まりみて」で一番感動と言うか、衝撃的だったのが、
 キャラクタの生理描写みたいなのがあったところですね。
 自分は経験しない、できないものなので、イマイチどの辺が大変なのかわかんなかったですが、
 読んでみて純粋に「こりゃ保健室いくわ」とか思いました。

> 癒し系の毎日を書いたものや、女性ウケしそうな細やかな
 アイテム・シチュエーションを多様に盛り込んだ物語が、
> 男性人気も獲得しているのではないか?と感じました。


 逆に考えれば、女性にはなんかやたら「ジャンプ」が人気だったりしますよね。
 アマゾンとかの評価を見ると、女性って男性に比べて属性と言うか、性癖と言うか、
 そういったのが極端ですよね。一度見てみると良く分かりますよ。
 普通に興味ないなら読まなきゃ良いだろ、って思いますけど、
 女性って買うと読まなきゃ損みたいに思う人が多いんですかね。

> 勿論、作中の女性キャラクターが異性として魅力ある、というのはあると思うのですが、
> 世界観や「女の子の作りだす空間」自体に魅力を感じている男性もいるのかな?と思ったのです。


 私の周りでは、あまり異性としての魅力を重視してる人はいませんね。


まいちんさんからの意見
 おはようございます、もりさん。まいちんです。

 「家事の手つきのひとつひとつや、ささやかな恋愛などという形で、
 等身大の女性の人生の1コマを切り取る」作品なら女性の好物ですが、
 
 「家事への細かな気配りを描く」作品は、
 女性を家庭的な異性として見る男性のための作品だと思いますよ。


 「居心地のよい場所」も同じで、
 居心地のよい場所でほんわかとお茶を飲む女性を見て癒されるのは男性で、
 女性は自分のお気に入りの場所で好きなお茶を飲めば、
 リアルで居心地のいい場所に浸れるので、
 作品内のそういった描写にはあまり興味を持たないと思います。

 女性は、少女レーベル的な「等身大の女性が白馬の王子様を射止める」や、
 一般エンタメにある「等身大の女性が苦難を乗り越えていく」ような作品に共感して、
 自分の前に立ちはだかる苦難もそうやって乗り越えていけるような気分になる
 (元気をもらう、としばしば表現される)のが好きなのだと、私は考えています。


 「けいおん!」「らきすた」「びんちょうタン」は知っていますが、
 どれも男性をターゲットにしていると感じますよ。
 作中の女性は、女性読者が好むようなリアルな女性キャラではなく、
 男性にわかりやすいように都合よく記号化された、
 男性から見た女性像を投影されたキャラばかりだと感じました。

 これら作品の女性達は、外見こそ女性ですが、
 行動原理は男性のそれに非常に近いように、私には見えます。


> 世界観や「女の子の作りだす空間」自体に魅力を感じている男性もいるのかな?と思ったのです。

 逆に、男性がこれに全く魅力を感じないとしたら、結婚なんて文化が成立しませんよ。


 結婚すれば自宅は、主婦の作り出す空間になるのですから、
 それもまた魅力的だと思う感性の下地がある程度ないと、上手くいきません。

 大げさな言い方をすれば、それらの癒し系作品は、
 擬似的な結婚生活空間としての役割を持つのではないかと。

 
 そして、最近独身率が高くなってきて、結婚できるか不安に思う男性達を
 一時的に安心させる効果があるために、こうやってブームになっているのではないかと思います。

> 「萌え」と「カワイイ」は、意外と近いところにある気もします。

 男性の「萌え」と男性の「カワイイ」は近いところにありますが、
 女性の「カワイイ」は(男性から見ると)明後日の方向にあることも多いです……。

 以上、参考になれば幸いです。


城嶋さんからの意見
 はじめまして。以前らきすたの人気について言及していた方がいたので、その内容でお答えします。
 どんな方だったかとか色々流し読みだったので失念してしまっていますがご容赦ください。

 オタク男性には女性に対する羨望があるらしいです。
 それと同時に自分に対する嫌悪感も持ち合わせているそうです。

 
 ですので上記に挙げられている作品(余り知らない作品もありますが)に共通点として、
 女性が主人公であるということが挙げられます。
 (すみませんびんちょうたんは見たこともないのでわかりませんが)

 女の子の会話や日常に混ざりたいという「願望」
 しかし自分が入っては嫌悪されるという「自己嫌悪」
 それらが混ざり合い現実ではオタク男子は女子を恐れる傾向があります。

 けれども創作として感情移入できる女性主人公置くことによってこれらは解消されます。
 
 自分が女子ならば嫌悪される対象にはならない。
 なおかつ女子の日常が描かれることによって上記の「願望」が満たされる。
 以上の事柄からこれらの作品に人気が出たのだと、私は考えます。

 元となった理論は最初に記したらきすたの人気に言及した方の考えですが、
 もりさんが挙げている作品にも同じ傾向があることから私は理由の一つにこれがあると考えました。


鳴海川さんからの意見
 こんばんは。日常もの大好きな鳴海川です。
 久しぶりに来てみたら面白そうなスレが立っていたので返信させていただきます。

 さて……いざ答えようと思うと、意外に難しい話題ですね。
 さしあたって自分が日常ものを好む理由としては、
 
 「自分が体験出来なかった毎日を体験したい」という理由があります。
 
 細かいことは書いても仕方ないので書きませんが、
 自分は障害や性格のため「友達と楽しく毎日を過ごす」ということが出来ません。
 故に、自分は自分からしてみたら「非日常」である「日常」を体験したくて日常ものを好んでいます。
 勿論、登場人物たちの魅力ということもありますが、
 正直自分は日常もので楽しめるなら登場人物が男だろうが女だろうが関係ありません。
 理想は半々ですが。

 とまぁ、ここまでが自分が日常ものを読む理由。
 次は質問に答えたいと思います。

> そうした作品のどこに視点をおいて見ているのでしょうか。
 
 まず、どういう観点から「日常」を見ているのかということ。
 先にも書きましたが、自分は「日常」が普通の人とズレているため、
 普通の人はどういう観点から「日常」を見ているのかを知りたいな、という考えの下読んでいます。
 
 次に、「日常」はどう書けば面白くなるのか。
 何気ない「日常」の何処に魅力を見つけることが出来るのか、ということ。
 「日常」は身近ですが、それ故に非常に描き出すことが難しい題材です。
 少なくとも、自分にはとても書けない題材です。
 だから、どうやって描けば何気ない「日常」が魅力的な「日常」になるのか。
 それが知りたくて読んでいます。

>・そういうものを好む心理は、男性一般にもある程度存在するのでしょうか?
 
 では逆に尋ねますが、そういうものを好む心理は女性一般にもある程度は存在するのでしょうか?
 ……そういうことです。

 確かに男と女の間には、とても埋めることの出来ない溝……と言うか、距離があります。
 だけど、基本的には同じ生き物であるということを忘れないでください。
 これは一見、距離だけを見るととてつもなく遠く感じますが、
 視点を少し変えると実は自分のすぐ隣にあることが判ります。
 
 たとえば犬ですが、オスもメスも基本的には変わらないでしょう? 
 性格の荒い犬は性別がどちらでも荒いし、逆に優しい犬は性別がどちらでも優しい。
 別に犬じゃなくてもいいです、猫でも鼠でも鳥でも、何でもそうです。
 差し出がましいようですが、なんでも頭で理解しようとせず、
 たまには肌で感じてみることもしてみては如何でしょう? 
 そうすると、新たな世界が見えてくると思います。

 ……こんなところでしょうか。では、失礼。


風月堂さんからの意見
 いきなりで申し訳ないのですが、「マリア様がみてる」「ARIA」「けいおん!」「らきすた」「びんちょうタン」
 のうち、男性の間では「マリア様がみてる」は日常系の癒しというよりは
 百合モノとして評価されているので、以下、「マリア様がみてる」は除外して考えます。


○男性の「かわいい系」や「癒し系」作品をみる視点
 愛戦士さんや城嶋さんの意見を否定するわけではないのですが、
 個人的には、こうした作品の人気は、男性主人公のハーレムものの代替――――
 「二次的な女の子と自分が一番楽しい話をできそう」な想像や
 「感情移入できる女性主人公」といったような――――
 という見方だけでは説明が"不十分"だと感じました。

 「ARIA」「けいおん!」「らきすた」などの作品は、しばしば明確な主人公を持たず、
 強烈な恋愛もない(あっても隠微な恋愛)、こうした作品の男性人気には、
 「主人公男性目線で個々のヒロインを好む」のとは異なる別の要素もあるのではないかと思います。

 似たような話では、「空気系」という呼び方もあるようです。
 「空気系」の例としては「よつばと!」「あずまんが大王」「ARIA」「苺ましまろ」「ヨコハマ買い出し紀行」
 などが挙げられます。
 おおまかにいえば、ストーリーよりも日常や世界観、雰囲気を重視した作品である、とするようです。
 こうした作品は、自己を仮託する明確な主人公がいるかというと少々疑問です。
 個人的には、女性主人公に自己を仮託して
 「女の子の会話や日常に混ざ」る事を疑似体験するものというよりは、
 
 主人公の属するグループ全体の、ほのぼのとした雰囲気(あるいは"空気")、
 それ自体が好まれているように思えます。


※「空気系」に関する参考リンク
 4コママンガ等のアニメ化という観点から、
http://kiten.blog.ocn.ne.jp/kisouan/2008/03/post_1ace.html(「空気系」アニメ【奇想庵】)
 ARIAを例示に挙げた、
http://tangerine.sweetstyle.jp/?eid=571773(「ARIA」が描く「空気」以上の何か【なつみかん】)
 空気系の特徴をまとめつつも、ギャグマンガや4コマは異なるとする、
http://d.hatena.ne.jp/jo_30/20060906/1157504687
(「空気系」についての一考察【こころはどこにゆくのか?】)

 なお、"空気系"の発端となった記事、『空気系』とでも呼ぶべき作品群について、
 【樹海エンターテイナー】は、本文が検索しても見つからず、確認できませんでした。


 あくまで風月堂個人の印象なのですが、

 「男性向けハーレムもの」の場合、男性(主人公の)目線で個々のヒロインを見る目線はあっても、
 女性キャラ同士のつながりというのはあまり重視されないように思えます。


 そうしたことから考えると、定まった主人公も強烈な恋愛もない、
 ほのぼのとした雰囲気を楽しむ上記のような作品には、
 「男性主人公の目線で個々のヒロインを好む」のとは異なった要素もあるように思えます。

 以上を総合するに、男性がこうした「作品を見る視点」というのは、
 「キャラクターのかわいさ」はもちろん、それに加えて、

・キャラクター同士の、ゆったりとした人間関係
・「世界の行く末とか大きな決断、心意気とかから遠い毎日の細かい描写」による、ほのぼのとした雰囲気
・「家事をする手つき、服や装飾品、美味しそうな料理、居心地の良い場所」といったかわいさのある空間


 といった、ある種の「かわいい、ゆったりとした空間・空気」というものに、
 癒しを感じているのではないかと思います。
 また、そうした「かわいい、ゆったりとした空間・空気」は、
 後述のように男女に普遍の要素なのかもしれません。
 結論としては、男性の視点は、「男性目線のキャラクターのかわいさ」と
 「かわいい、ゆったりとした空間・空気」の二つにあるのではないかと思います。


○男性一般にとっての"かわいさ"
 については、あざらしさんの
>特に深く考えずとも、男性もかわいいものが大好きです。
>子犬や子猫なんて、大多数の人が可愛いといいます。

 といった指摘のように、男性にもかわいいもの好きな部分があるのだと思います。

 "カワイイ"には、二次元や女性向けファッションのように男女で内実の異なる"かわいさ"と、
 上記のような子犬や子猫といったペットや小動物、
 あるいはディズニーのキャラクターのように男女に普遍的な"かわいさ"もあります。
 また、4コマまんがは「日常」を得意とし、それが人気であることを考えると、
 
 案外「日常のゆったりした雰囲気・空気」は男女で普遍的に好まれる要素といえるのかもしれません。

 結論としては、「ARIA」「けいおん!」「らきすた」「びんちょうタン」といった作品の男性の人気には、
 二次元的キャラクターという「男性向けのかわいさ」という要素と、
 「日常のゆったりした雰囲気・空気」という男女に普遍性のありそうな要素の、
 両方があるのではないかと思います。


○まとめ
 冗長になってしまい、あまりまとまりが良くないので、結論だけいいますと、
・男性が見る視点は、「男性目線のキャラクターのかわいさ」と、
 「かわいい、ゆったりとした空間・空気」の二つがある
・男性でも「かわいい、ゆったりとした空間・空気」は好まれる

 といった点が指摘できるのではないかと思います。

○追記
 愛戦士さんや城嶋さんの意見についてですが、お二方の見方を否定するというよりは、
 「男性向けハーレムものの代替」以外の観点があるように感じられたということです。
 こうした作品が支持される理由の一つとして、
 「男性目線の女性キャラクターのかわいさ」があるという点については、同意します。

 それでは失礼しました。


世羅 悠一郎さんからの意見
 世羅 悠一郎と申します。

 まず、他の皆さんも仰っていますが、男性は可愛いものが好きです。


 ただし、女性の感性でのみ可愛いと評価できるものは除外される傾向にありますが……。
 昔は、可愛いものが好きなのに「男の癖に」発言で歪められたり押さえ込まれたり
 という男性も少なくないのではないでしょうか。

 さて、不吉な始まりにしてしまいましたが、ちょっと内容も不吉になります。
 多少穿った視点であり、事実ではあるが歪んでいるという内容を答えるべく
 書き込ませて頂いたからです。

 と、言いますのは。
 今回、もりさんが挙げられた作品群を好きな男性の中には、
 
 「無菌室を求めている男性」が少なからず存在するからです。

 癒しを求めているというのは、間違いないと思います。
 ですが、悪く言えば「都合のいい空間」であるのも事実です。

 例えば、最初に取り上げられた作品群に物語をかき回す役として男性が登場すれば、
 少なからず反発する男性ファンの存在が露呈しはじめます。
 ARIAなんかは、特にそれが起きましたね。
 アリシアさんに男性の影がちらついただけでネガティブな発言が集まったのは、割と有名なはずです。

 上記のような態度で臨む男性ファンの場合、都合のいい空間を求める心境は顕著です。
 多少、歳食った人間から言わせれば(私以外も含む)「若いなぁ」とか
 「何で物語を眺めるだけでは足りないんだろう?」という心境を感じます。

 そういう訳で、無菌室を求める男性というのもそういう作品群のファンには少なからず存在するのです。
 可愛いものが好きな事には違いないのですが、
 単に可愛いものが好きという訳ではないのが、結構大きな部分にもなります。

 対して、後に挙げられた「マール王国の人形姫」や「サモンナイト」を好む層になると、
 無菌室を好む男性ファンには変動があります。
 
 これらの違いは、「没入したい」のか
 「眺めて楽しみたい」のかのスタンスの違いによる所が大きいでしょう。
 

 ARIAのアリシアさん関連でネガティブな発言をした層は、「没入したい」ファン層の方です。
 サモンナイトの場合は、主人公=自分の視点で観られるが故に、
 没入してる方も眺めている方もその区別を必要とせず楽しんでいるのだと考えています。

 女性ばかりの可愛い系の作品で没入を望むファンは、処女信仰的な側面があります。
 
 そういうファン層に限って、望まない展開が見え隠れすると
 「これだから女性作者は!」なんて言葉を吐き散らしたりします。
 単なる可愛い物好きからすると、そういうのは痛々しくて見ていられないのですが……。

 ともあれ、もりさんの仰る「可愛いもの好き」の中には、そういう二種類の人間がいます。
 参考にされる場合は、その部分について気をつけると宜しいかと思います。

 それでは、失礼致します。


鳳翼天翔さんからの意見
「マリア様がみてる」
 コレ、連載当初こそ女性向けでしたが、結局支持する大半が男性となってしまい、
 もはや女性向けではありませんな。

「ARIA」
 コレ、疲れてうるさい騒がしいものを観たくない人向けですな。
 男女で差はなく女性向けとは言えませんぞ。

「けいおん!」
 コレ、未だ女性比率が少ないバンドに女性が進出してくるという設定であり、
 そのように進行しております。
 バンドの中あるいは単独のシンガーとしては女性は珍しくございませんが、
 メンバー全て、少なくとも引っ張っていくのが女性というのはまだまだ少数派なんですな。
 だからこそカッコイイのです。
 ぽよよーんとした雰囲気の中にそういうカッコよさがあるから受けておるのですな。
 ウチの会社、多数の長距離トラックが出入りします。若い女性のドライバーも目立って増えてきました。
 もちろん、まだまだ少数派ですがな。
 しかしそういう女性トラックドライバーに対する評価は、「カッコいい」なんですなあ。
 これは評価するのが男女問いません。

「らきすた」
 しばしばオヤジ臭いんですな。そこが意表をついて面白いわけで、女性「だけ」向けではございません。
 これが男に受けても「本来女性向けのカワイイものが男に受けた」とは言えませんぞ。

「びんちょうタン」
 これの「タン」なんですが、本来は男どもが言うセリフなんですな。
 オタク発祥の擬人化なんですがな、そもオタクなるものが男性発祥であることはご存知でしょう。

 てなわけで、例示と発言ご主旨にどうも差異があるように思えます。
 見ているものと感じているものと考えるものについて、もう一度確認されてはいかがでしょうかなあ。


皇月さんからの意見
 個人的な感想を言わせてもらいますと。
 たとえば「ARIA」や「ひだまりスケッチ」の登場人物は、
 一見男向けに記号化されている典型的な萌えキャラのように見えますが、
 
 女の作者が描いている作品なので、登場人物の何気ないセリフに強烈なリアリティと言うか。
 はっきり言ってしまうと女特有の弱さや醜さを感じることが何度もありました。


 「あずまんが大王」にいたってはメインキャラが教師の陰口を言ってる場面があったりして、
 日常系と呼ばれる作品はけっこう生々しい女の日常が書かれていることが多いです。

 俺の場合癒しよりも、そういった普段は見ることのできない女の日常に対する好奇心から、
 ドキュメンタリーを見るような感覚で日常系の作品を読んでいます。


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