第4研究室 創作に関するQ&A 560P | トップへ戻る |
サッパーさんからの質問
 ご都合主義について。「運」が絡む事象

 今回相談させて頂きたいのは、「運」が絡む事象の、作者による強引な展開についてです。

 例えば、1億円の宝くじの1等が当たる確率なんて万に一つよりも低いわけですが、
 物語として「主人公は宝くじを3万円分買ったが、結局1万円分しか当たらなかった」
 では何の物語にもなりません。
 作者による「運の操作」をして、
 主人公が1000円の投資で1億円当てた事による喜悲劇にすれば「物語」になります。

 しかし、次のような場合はどうでしょう。

 主人公は18世紀のヨーロッパ(あるいはそれをモデルとした架空世界)の貴族の男で、
 立会人や介添人の監督の下で別の男と拳銃(ライフリングの無い古式拳銃)を使って決闘しています。
 拳銃を使った決闘といっても西部劇のような早撃ちではなく、
 お互いに十数メートル離れて相手を狙った状態からいっせいのせで引き金を引くか、
 先攻後攻が決まっている形式です。

 ここで、片方か両方の銃が「不発になった」とか「命中しなかった」という結果になったら、
 何か釈然としません。
 この頃の銃は銃自体の設計や火薬の質の問題で不発率が高く、
 100回撃てばそのうちの10回くらい不発になる可能性もありました。
 特に雨上がりで湿気が多かったりすると尚更です。
 
 また、ライフリングの無い銃から発射される球形弾は弾道が安定しないので、
 どんなに狙いが正確でも外れる可能性があります。
 ライフル銃だと「狙いが正確だと当たってしまう」ので、
 「決闘にライフル銃は使ってはいけない」というルールもあったくらいです。
 狙いが不味かったというような射手の不手際による失敗ではなく、
 完全に「不運」で結果が左右される事が現実的にありえた訳です。

 例えば、『主人公は後攻だったが、先攻の相手の弾が外れた。
 それに対して主人公は相手を撃たずに空を撃って相手を許した。めでたしめでたし……』
 という展開になった場合、凄く作為的な感じがします。
 なんで相手の弾が都合良く外れるんだよ! と。
 確率的には宝くじの1等が当たるよりもあり得る話なのに、物語上で行われると興醒めします。

 宝くじの件も決闘の件も、どちらも「作者の都合で運を操作」しています。
 しかし、宝くじよりも決闘の方が予定調和な感じがするのです。

 このような「劇的な偶然」をご都合主義っぽく見せないためには、どう工夫すれば良いでしょう。


●答え●

H-jinさんからの意見
 ちょっと小説風にしてみましょうか。
 A(主人公)とB(相手)の決闘シーンで。

 Bの弾丸が、Aの足元で砂埃を上げた。
 先攻が外したのだ。
「な、なんでこの距離で当たらないんだ!?」
 先攻をとり、勝ち誇っていたBが狼狽する。
「君は拳銃の決闘は初めてか?」
 Aは落ち着いた声で、拳銃のトリガーを引いた。銃口をBに合わせる。
「ライフリングの無い銃から発射される球形弾は、弾道が安定しない。
 どんなに狙いが正確でも外れる可能性がある」
「そ、そんな。これほど近い距離なのに……」
「それに君は運がいいほうだ。火薬の質の問題で、拳銃は十回撃てばそのうちの一回くらいは不発になる。特に今日みたいに雨上がりで湿気が多い日はな。発射できただけでも、幸運というものだ」
 AはBの心臓に照準を合わせた。
「諸々の条件を考えると、命中率は六十パーセントというところだろう。神に祈れ」
「ろ、六十パーセント……」
 Bがゴクリと唾の飲み込んだ。
 
 要は「外れた」と一行で済ませてしまうのではなく、
 外れた理由を(こじつけでもいいので)描写することだと思います。

 
 ご都合主義とは往々にして、他の選択肢もたくさんあるはずなのに、
 作者がそれに気づかず一本道のごとく歩んでしまい、読者の気持ちを萎えさせることなのですから。


マイヤーさんからの意見
 作者は万能な神様なので、神様にはだれも逆らえません。
 しかし予定調和は、確かに頭が痛い。
 姿の見えない読者に馬鹿にされそうで。
 先読みする読者に退屈と言われそうで。

 質問は決闘をしても双方とも殺したくない。しかし予定調和と思われるのは嫌だ。と理解します。
 質問は決闘であるので、決闘前に読者をドキドキハラハラさせる事が必要です。
 読者は作者の提供する情報により先を考えるので、
 決闘前夜、決闘当事者の心理描写をしておいて、その中で、決闘の全ての可能性を提示します。
 読者には「どれになるかな〜」を暗示的に考えさせ、結末を考えさせます。
 そして作者の先に書いた予定調和でない別の結末、読者の予想を裏切る意外な展開をお勧めします。
 作者様は決闘当事者同士の予定調和で悩んでおられるので、

 想定外の第三の選択肢を提示します。

 第三の男。立会人が決闘を回避する案(立会人1名)
 立会人は双方が納得する人物=立会人にとっても決闘当事者は旧知の人物ですので、
 「殺したい」はずがありません。
 立会人が武器を用意するので不正のやり放題です。
 
 18世紀(1700年代)ならばフリントロック式かな?
 火打石を不良品に替えておいて発火させない。
 点火薬を入れなかった。
 推進材の火薬の量を減らした、または不良品にした。
 弾を込めてあると言って、鉛弾を入れなかった。鉛の代わりに紙を詰めた。
 火薬だけ2倍詰め込んで、肝心の鉛球をいれなかった。
(決闘当事者を驚かすって方法もある)

 立会人が複数いたら、考えてください(爆)


ソラリスの海さんからの意見
 屁理屈をつけてしまうのも1つの方法かもしれません。
 最初の方に習い文章で書くなら、

 介添えであるアルベールが開けた箱には宝石で飾られた2丁の銃が入っている。
 我がアイシャー家の家宝でもあるその銃には1つの秘密がある。
 ドラゴンの彫り物の方は右に、獅子の彫り物方は左にほんの僅かそれるのだ。
 別にインチキじゃない、その辺りの銃器店で買うものよりずっと精度は高い。


オキナさんからの意見
 以下、持論です。

 事実として勝負が運に委ねられるからと言って、その通りに書いてしまうのがいけないのだと思います。
 ギャンブルを題材とした物語をいくつか見比べると、
 面白い作品ほど勝負が運に左右されていないことが分かるはずです。

 勝負を決するのは、論理的な戦術、気勢をつかみ取る強いメンタリティ、
 イカサマを含むルールには記載されていない場外戦、と言ったものです。

 
 そうした運ではない要素が勝負を盛り上げることで、
 勝利の必然性を生み出し、決着に納得感をもたらします。

 物語においては、例え運の勝負だろうとも読者に承認され、勝つべくして勝つのが勝者の条件なのです。

 その決闘にも、これと同じことが言えるのではないでしょうか。


毛玉さんからの意見
 こんにちは、毛玉です。以下レス、

 外させたいのなら、その人に何か負の要素をつければ良いと思います。
 前の決闘の傷が残ってるー、見たいな。


 運については、ギャンブルフィッシュというマンガをご存知ですか?
 この漫画では、永遠とブラックジャックというゲームで、ブラックジャックを出し続けます。
 電気椅子をくらっても奇跡的に生き残り、頭の眉間を銃で撃っても死にませんw
(ブレインスルーショットとか言われている、右脳と左脳の間にある溝を狙うという事らしいですが)

 この作品でわかる事は、作者が運をコントロールしているのではなく、
 登場人物が運を決めている、という事です。

 「絶対的」な運を壊す登場人物は魅力的だと思うのですが、どうでしょう?

 頑張って下さい!


かずらさんからの意見
 納得できる理由を読者に提供すればいいんです。

 世の中には某サナダさんのように「こんなこともあろうかと」で済む場合もあります。
 とはいえ、ライフル銃がどうの、命中率がどうのとくどくど説明するのはやらない方がいいでしょう。
 如何に短く、さらっと説明しつつ、ご都合主義に見えないようにするか。
 あとは筆者の力量しだいです。

 もしくはおばか(あるいは無知)キャラを用意して、そいつに説明してしまうと言うのも手ですね。
 あるいはウンチクキャラを用意して、説明を全て任せてしまうとか。
 よくある手法で、とっても楽です。不自然じゃありませんからね。


ベルフレアさんからの意見
 ご都合主義でなくする、またはそうと思わせない展開のベルフレア的考察。

予想を裏切る】
 『ダイヤのA』という野球漫画で、
 「主人公が甲子園にいきそびれた」と弟から聞きました(結構前の事なのですが)。
 野球漫画なら「まあなんだかんだいって甲子園に行っちゃうんだろう」と思ってましたが、
 こういうこともあるんだなと感心していました。

 俗にフラグを折るとか予想を裏切るとかいいますが、この銃は絶対に外れない、百発百中だぜ! 
 と、敵が勝っちゃうフラグを立たせておいて実際の決闘で不発。
 何故? それは湿気のせい。
 百発百中でも不発だと意味ないな→勝利。みたいな。

 読者は(やべー、敵の銃、百発百中らしいぜ。主人公ピンチじゃん)と『命中率』に注目します。
 決闘シーンで『命中率』とは関係無い『不発』という予想外の理由に、
 主人公の敗北予想を裏切られつつ、(何故不発?)と疑問を抱きます。
 そこでびしっと論理的理由を突きつけられると(なるほど)と納得します。
 ある種のミスリードかも知れません。


【伏線を張っておく】
 風が強くなりそうな、伏線。
 最近ツイてるんだよねーという、伏線。
(相手が)不発するかも……な、伏線。


【それっぽい理由をつける】
 アメリカの警察は拳銃を持った犯人を捕まえる際、
 銃撃による怪我をさけるため『Snake Walk』という歩き方をします。
 名前の通り、蛇のように右左と上体を動かしながら近寄るのです。
 銃弾は直線的な軌道をしているので『Snake Walk』をすればまず当たりません。
 この動きは中国の少林寺で学ぶ『蛇歩』に非常に似ており、ルーツはこれだと言われています。

 ――嘘です。ごめんなさい。
 創作です。それっぽくないですか?
 読者にバレなければいいんじゃないでしょうか。バレたら悲惨なことになるのですが。
 99の真実に1の嘘を入れても、誰も気づかない。というのは持論です。


 以上です。参考になれば。


雷さんからの意見
 こんにちは、雷です。
 とある漫画で、こんな場面があります。

 物語の舞台はイギリス近世。

 あるとき、貴族である主人公が、同じ貴族である青年と喧嘩を始めてエスカレート。
 殴り合いは貴族らしくないから、正々堂々、銃で決闘することになります。

 当日、第三者である立会人が用意した2丁の拳銃を使い、決闘が始まります。
 お互い交互に銃を撃ち、弾が相手に当たるまで撃ち続けるというルールです。

 まず先攻と後攻をどうするか決めようとして、
 主人公が、決闘を申し込んできた青年に先攻を譲ります。

 しかし、先攻の青年がいざ銃の引き金を引くと不発。

 銃を撃って相手に弾が当たらなければ、次は相手に撃たせる、とルールで決めていましたが、
 不発だった場合のことは決めてありません。
 そこで主人公が「もういちど撃て」と言いますが、青年は拒否します。

 そして後攻の主人公。相手の青年に狙いを定め、銃の引き金を引きます。





 ……結局、主人公の銃も不発。

 その後も交互に銃を撃ち続けて、6回連続の不発。
 バカらしくなって、主人公と青年は互いの無事を祝い、立会人や仲間を巻き込んで宴会になります。

 この場面で描かれるのは、主人公たちの生死や運などではありません。
 実際、主人公も決闘相手の青年も、
 自分たちの生死を度外視し、自ら運を捨てるような言動をとっています。

 主人公は相手に先攻を譲り、相手が不発になった時は、もういちど撃つように言います。

 相手の青年は、主人公から絶好のチャンスを与えられながら、それを自ら拒否します。

 そして最後は、生死をかけた決闘をしていたことすら水に流して、ふたりは和解します。

 この場面で描かれているのは、主人公の度量の深さと、青年のいさぎよさ。
 いわば彼らの美学です。


 この段になると、読者は銃が不発になった原因とか弾の命中率はどうでもよくなり、
 登場人物たちの人となりに目が向いています。

 僕は、“物語”としては、こちらのほうがおもしろいと感じます。
 小説と漫画では表現方法が違うといわれるかもしれませんが、

 読者に何を感じてほしいのか、何に注目してほしいのか、
 それを考えた上で物語を描き演出を考えるというスタンスは、
 小説にも漫画にも共通する部分だと思います。


 参考にしてもらえれば幸いです。


緑海さんからの意見
 私なら、相手に負ける理由を作ります。

 例えば、『勝つのが当然』と理不尽な事を言われると、
 読者は逆に負けるのを不自然と思わなくなります。(使い古された手ですが・・・)

『俺は生涯初めて戦った決闘の当日、正午丁度に教会で祈ってから決闘に向かったら、
 到底生きては帰れないようなシチュエーションだったのに生き残った。
 それ以来、正午に教会に祈ってから戦った日は、掠り傷ひとつすら負ったことはない』

 と相手が得意げに周囲に吹聴するわけです。
 これで読者は、彼の『必勝のジンクス』を死亡フラグの一種と認識して、
 後で彼が死んだ時に、むしろ『当然』と思うようになります。

 で、当然今回も正午に教会に祈ってから主人公と戦うわけですが、
 対峙したまさにその瞬間、彼は自分の時計が狂っている事に気付くわけです。
(時計が狂った原因は、彼が殺した主人公の親友の銃弾が掠めたせいだったりします)

 結果、動揺した相手は狙いを外し、主人公の銃弾に倒れるのでありました。めでたしめでたし。
 まあ、何度も使える手ではないのですが。

 それ以外だと、相手が女性関係でいざこざを起こしていて、
 主人公との決闘時になぜか不発になった銃(相手の女性が、前日に細工していた)に
 全てを悟った相手が、『これがお前の復讐か・・・』とか言いながら息を引き取るとか。

 要するに、主人公側に勝つ理由がなくても、相手側に負ける理由があれば良いんじゃないでしょうか?

 最後の決戦は、相手の弾がどうのとか描写せずに、
 主人公と相手が拳銃引き抜いた瞬間でシーンを切って、
 次のページで朝日をバックに主人公が帰ってきてスタッフロールで良いでしょう。
 オリジナリティの欠片もない。これがジャスティス。これがマカロニウェスタン。(違)


真っ平御免さんからの意見
 はじめまして最近出没し始めた真っ平御免と申します。
 さて、質問はご都合主義っぽく見えなくする方法とのことですが、それはひとまず置いておいて。

 そのような場面は内面を重視して書く場合はともかく、
 少なくともラストの山場――勝敗が物語を結ぶ場合としては書きづらいでしょうね。
 まず、その勝負方法は、先行を取れるか、弾が正常に発砲されるか、
 っていう運の要素を二つもあります。

 さらに、その要素をクリアしても動作は引き金をひくだけ、
 そして、当たるかどうかは根性でも知力でも策略でもなく、運を多分に含んだ実力だけですからね。
 
 私の実力では面白く書き切れる自身が無いのでおそらく諦めます。

 とはいえ、実力によっては幾分かはご都合主義を誤魔化すことも出来るんじゃないかと思います。
 ここからが本題。
 思い付くのは二通りですかね。

 まず第一は伏線を張りまくる。
 草履の緒が切れる系。
 前日を曇りにして、一雨来そうだな系(湿度が上がっても主人公も同じ条件ですがね)
 敵役の銃の管理、手入れ、保管がずさんな描写。


 そして第二は無理やり精神的なものにしてしまう作戦です。
 この場合ですと不発になった原因を、
「お前に勝てる気がしなかった時点で弾が出ないのは当然か……」とか
「正直、お前を殺さずに済んでホッとしてうる自分がいる。
 こんなんじゃ弾が出たところで当たるはずもないか……」とかですかね。


 それにしても、自分でも驚くほどの駄文かつ乱文で申し訳ない。


まいちんさんからの意見
 ほとんどの読者は、読んでいる間中ずっと、期待を込めて先読みしながら物語を読み進めています。
 そして、物語は読者に対して次の3つの振る舞いのうち、どれかをとることになります。

1.読者の期待通りに進んでいく
2.読者の期待を切った、読者により面白いと感じさせる展開になる
3.読者の期待を裏切った、読者に興醒めだと思わせる展開になる

 つまり「作者の都合で運を操作」すること自体が問題なのではなく、
 運を操作したことで物語が読者に対してどう振舞うことになったかが、問題なわけです。

 「運」ではなく「展開」という言葉を使うと、よりわかりやすいかもしれません。
 物語の中に運なんて存在しないのです。
 
 例えば、主人公の怪盗がお宝を盗める確率がどれだけ低かろうと、
 読者は主人公がほぼ確実にお宝を盗むと期待して読み進めます。
 ヒーローが悪を倒すのがとても困難で、シビアな一発勝負の賭けに頼るしかない場面でも、
 読者はヒーローの勝利をほぼ確信しています。
 
 このように、読者の期待は現実的確率としばしば乖離するわけです。

 なので、現実の確率や運を意識するよりも、
 
 「この段階で読者はどういう期待を抱いているだろうか」と考えて、
 物語が読者の期待に対して前述の2番か、せいぜい1番のように振舞うように書く、
 という考え方をした方が上手くいくんじゃないかと思いますよ。

 以上、参考になれば幸いですー。


サッパーさんからの返信(質問者)
 沢山の回答ありがとうございます。
 色々、検討させていただきます。

> H-jinさん

 「十分狙っても、弾が当たらない事はありえる」というのは、確率的な理屈の上では解るんですよ。
 でも、幾ら「こういう理由で、昔の銃は結構当たらない」と説明されても、
 「理由をこじつけている」と感じてしまうんです。
 「とにかく、結果は結果だ!」という力技な展開は、あまりスマートな気がしないと。


> マイヤーさん

 場を仕切る司会者の立会人が1人。2人分の同じ型の銃を用意します。
 そして、決闘する2人が確認する前で、火薬と弾を込め、2人が納得してから決闘は開始されます。
 なので、弾を入れないというのはバレるので出来ませんね。
 わざと質の悪い火薬を入れるとか、火打石を不良品にするとか、そういうのは出来るかもしれません。


> ソラリスの海さん

 確かに、わざと軸をずらして狙った所に当たらなくした「決闘用の銃」はあったらしいです。
 そういう手もありましたね。


> オキナさん

 前提として、この決闘にイカサマはありません。
 また、戦術と言える程のものもありません。
 正確に狙って、反動に負けずにしっかり撃つ。
 というだけですし、狙いが完璧でも弾道特性上、外れる事があります。
 逆に、狙いが良くなくても、弾が上手くカーブしてくれれば当たる事もありえます。
 なので、運ではない要素の比重はどうしても少ないです。

 ギャンブルで例えて書きますと、カジノのルーレットで主人公が赤に全額賭けたとします。
 ディーラーは狙いを付けないために目隠しして投げます。
 そこで、運良く赤に入って主人公が勝ったという事実に対して、
 ご都合主義っぽく見せない方法は何か無いかという事です。

 赤に入る確率は9/19だから、決してありえない数字ではないのですが、
 かといって100%で無いからにはそうではない結果になる可能性もあるわけです。
 黒に入る確率も同じだけあった筈ですし、少ないですが0か00に入る可能性だってあった筈です。
 なのに、作者は意図して赤に入れた訳です。

 現実のルーレットであれば、どの数字に入ろうがそこに理由や意図はありませんが、
 物語の場合は読者はそこに作者による作為を見てしまい、
 それによって物語から醒めてしまう場合があります。
 私の場合、自分で書いていて自分で醒めてしまったので、こりゃ他人には見せられないなと。


> 毛玉さん

 古傷が残っているので、銃の操作が上手く行かずに外れる。
 という事でしょうか。
 それならば、確かに解りやすい納得できる理由になりますね。

 運の操作に関して、件の漫画は知らないのですが、
 さすがに、そこまで強運(?)だと色々不都合なので、参考程度ですね。
 ギャグ作品ならば、イカサマ無しで何万回連続で勝利したって良いのですけれど。


> かずらさん

 はい。
 ライフルがどうのとか、くどくど説明はしたくないので、
 そうすると弾が外れる理由が余計に見えてこないんです。
 主人公や立会人等の登場人物にとって、
 銃があまり信頼性の高い武器ではないというのは既知の事実なので、
 「何であの距離で外したんだ!」→「実はそれは……」という解説役を出すのも不自然ですし。


> ベルフレアさん

 決闘というそれなりに盛り上がる場面で、いざ引き金を引いたら不発だったり、命中しなかったりすると、
 「そりゃ無いぜ。興奮を返せ!」と思ってしまいます。
 そもそも火薬を詰めていなかったのならば発射されなくて当然ですが、
 火薬を詰めているのに発射されないとか、どんだけご都合主義なんだよ……と。
 幾ら理由を説明したところで、そういうのは「悪い予想の裏切り方」に思えてしまうんですが、
 そう思うのは私だけなのでしょうか。

 例えばアクション映画で、ザコ敵の撃つ銃が主人公に当たらない! 
 というのは殆どお約束の展開で、それに対して怒りは湧いてきませんが、
 敵の親玉との対決シーンで、親玉の銃が突然ジャムった事で主人公が勝利した……
 なんて展開になったら、怒りを覚えます。


> 雷さん

 良い漫画の紹介ありがとうございます。
 目指していたのは、まさにこのような展開でした。

 ただ、自分の中に何か引っ掛かりを感じていたんです。
 「美しい展開に持って行くために、
 作者が望むように運を操作する場面が表に出てくると不味いのではないか」と。
 例えば野球漫画で、主人公達のチームが9回裏に逆転サヨナラホームランを打って勝ったら、
 凄く「作者がドラマを演出した」ような気分になりませんか?


> 緑海さん

 死亡(失敗)フラグを立てるわけですね。
 解りやすくて、理屈ではないので失敗した理由をくどくど説明する必要も無いですから、
 良い方法だと思いました。


> 真っ平御免さん

 ラストの山場ではなく、序盤の重要場面として、決闘を入れたいと考えています。
 これから物語を動かしていく人物による決闘なので、お互いに傷付かれては困るわけです。
 また、勝敗をハッキリさせたくないので、掠り傷程度であっても命中されると困ります。
 弾丸の軌道よりも当事者達の内面を重視したいのは山々なのですが、
 結果が不自然だと人物の内面以前に読んでいる方が物語りから醒めてしまうかと思い、
 相談させていただきました。

 諦めるというのも手ですか。
 剣の決闘の方が実力勝負の感じがしますが、そうすると勝負が着いてしまうんですよね。


> まいちんさん

 運や確率を操作する事自体を問題にしてナシにしたら、
 実話を忠実に描いたノンフィクション以外成り立たなくなりますから、それ自体は問題とは思っていません。
 物語の中で主人公に宝くじの1等が当たっても、それだけで「ありえねー」と本を投げ捨てはしません。
 それは、「1」か「2」の展開だからです。

 この決闘シーンの場合、運を操作する事によって展開が私の中で「3」になってしまうんです。
 命懸けの決闘という場面で、相手が引き金を引いた瞬間、銃が不発だったら本を投げ捨てたくなります。
 上手く発射されても、相手がちゃんと狙ってるのに主人公が無傷だったら、それはそれで興醒めです。

 しかし、その後の物語の展開上、ここでは決闘はしても両者に傷付いてもらっては困ります。
 どちらかが傷付いたりすると、話の土台が変わってしまうので。

 そうすると、ここは運の操作とか以前に、自分で納得できない物語を書こうとしているのが間違い……
 という別の話になってしまうのでしょうか。


かずらさんからの意見
 ザッパーさんの話を聞いていると、全ての物語がご都合主義に思えてきます。

 お姫様がドラゴンにさらわれました。
 「さらわれる必要ないじゃん。ご都合主義だ」
 王子様がドラゴンを倒して助け出しました。
 「ドラゴン倒せるとか、ドンだけ強いんだよ。ご都合主義だ」

 そうじゃないと思うんですよ。

 ご都合主義。いいじゃないですか。
 私たちはそれが読みたいんです。


 世の中には万に一つも成功しないようなことを、やすやすと何度も成功させる主人公がいます。
 それでいいんです。
 失敗することを望んでいる読者なんて、よほどのひねくれ者でもない限りいません。
 
 要は、そのご都合主義にもっていくまでの過程が気持ちよければそれでいいんです。

 両者が傷ついてもらっては困る?
 なら、傷つけなければいいじゃないですか。
 命がけの決闘で無傷はおかしい?
 なら、おかしくならない設定をすればいいんじゃないですか。
 剣の勝負だと決着がついてしまう?
 実力差があればあるほど、無傷で終結させることが可能ですよ。
 同程度の実力でも、引き分けに持っていくことは可能です。
 様はそれを如何に表現するか。
 筆者の力量しだいです。

 弾の命中率の説明なんか、説明文で説明する必要ないと思います。
 銃は決闘の場でしか出てこないんですか?
 それ以前の場面では出てこないんですか?
 そこで実際に銃の命中率がどんなものかを読者に分からせるように書けばいいのでは?
 何も「弾が狙ったところに当たる確率はn割だ」とか説明文や説明台詞を入れる必要はありません。
 実際に撃たせてみて実感させるとか、色々方法はあります。

 弾が当たる確立が1/100だったとしても、外れるのはご都合主義だって言ってるようにしか聞こえません。
 0/100じゃないと納得できないと言っているようにも聞こえます。
 なら、確率に頼らない弾が外れる方法を考えるしかないのではないでしょうか?
 小細工もダメ。確率もダメ。不慮の事故もダメ。
 ならあとは登場人物の技量でしょうか?


まいちんさんからの意見
 再度来ました、まいちんです。

> この決闘シーンの場合、運を操作する事によって展開が私の中で「3」になってしまうんです。

 ならば、どちらも傷つかない展開が読者にとって1or2になる、
 「これはこれでアリな展開かな」と受け止めてもらえるよう、
 それまでの描き方で調整しておけばいいんじゃないかと思いますよ。

 調整することによって「そうだよね、今回の決闘で決着がついてもいいような仲じゃないよね」
 とまで思わせられれば、決着がつかないことの方が読者にとっての最適解になるので、
 読者の期待を裏切ることも興醒めに感じさせることもなくなると思います。

 というか、
> 命懸けの決闘という場面で、相手が引き金を引いた瞬間、銃が不発だったら本を投げ捨てたくなります。

 決着がついてはいけない、いわゆる「承」の1エピソードが、
 物語が決定的に動く大イベントに見えてしまうよう演出されていることこそが、
 今回の問題を引き起こす根本の原因ではないかと感じてしまうのですが……。
 
 なんかこう、「外れることこそが予定調和」な雰囲気をどこかでそれとなく作っておくことで、
 ここではまだ物語が動かないと読者に認識させるのがいいんじゃないかとか、
 個人的には思ってみたりします。

 ベタな例としては、物事を達観視してる脇役が決闘のことを聞いても慌てもせずに
 「彼らは死なないよ。こんなところで死ぬような子達じゃない……たぶんね」とか言わせてみたり。

 以上、参考になれば幸いです。


マイヤーさんからの意見
 サッパー様の「殺したくない」とまいちん様の「展開」の言葉で思い出しました。
 中世フランスを舞台にした名作、「三銃士」では、主人公は序盤早々に決闘を三件申し込まれます。

 決闘するはずが、
 外部要因の襲撃、
 決闘当事者同士が力を合わせ、
 外部要因との戦闘。

 戦闘後、決闘の原因であるプライドを傷つけられた/侮辱されたと思う感覚よりも、
 相互理解/信頼/互いの力を認める事で、
 和解する→決闘をやめる。の流れ。

 サッパー様と考え通り死なない、傷つけない、友情が結ばれる。
 しかし同じシナリオで書くとパクリと言われるのが辛い。。。

 古典的名作でも決闘を回避しているので、
 サッパー様が決闘を回避しようとする考え方は間違いではないと思います。
 よいアイデアが思いつきますように。


ゲソさんからの意見
 ご都合主義をどうやってご都合主義に見せないかなんて考えるのはあなたの仕事ですよ。


オキナさんからの意見
 公正、公平な条件で戦う決闘なのだから、戦術戦略は使えない、というのはよく分かりました。
 が、俺の言いたかったことは「戦術戦略を駆使する勝負にせよ」という意味ではありません。
 分かりにくかったことを謝りつつ、もう少しつっこんで話します。


 まずは例を一つ。

 二人の男がコイントスで勝負をします。
 賭けるものは互いに気のある女性へ、優先的にアプローチする権利。
 二人でアピールが過熱して潰しあっては元も子もないから、
 先手を取った奴が失敗するまでは静観する、という約束です。
 
 コイントスは一回。当然、コイントスできる人間は一人きりです。
 こういう約束を他人に明かすのもアレなので、
 協議の結果、男の一人(仮にA)がトスすることに決まりました。
 コイントスを終えて、手の甲に乗せたコインをもう片方の手で覆ったAは、こう言います。

「実は、俺にはコイントスの表裏を自由に操る特技があるんだ。
 だから公平をきすために、お前に表か裏を選ばせてやる」

 Bは考えます。
 Aは日ごろどんな奴だったのか。
 自身のことをどう思っていて、自分ならどんな風に答えを選ぶと考えるか。
 難癖をつけて自分がトスしなおすべきなんじゃないか。
 「読み」の効く現状の方が有利なんじゃないか。
 あらゆることを思い出し、Aの表情を観察して考えに考え抜きます。
 結局、表なのか。
 それとも、裏なのか。
 延々と悩み抜いたBは、絞りだすように「裏っ」と答えます。

 手の中に隠されたコインは――裏でした。

「はあ。無念。俺の負けだな。せいぜい失敗することを祈っておく」
 そう言って潔く去ろうとするAに、Bは聞きます。
「何で裏にしたんだ?」
「バカか。コイントスの表裏なんて操れるわけないだろう」
「は?」
「……お前の悩む顔、面白かったぜ」



 お目汚し失礼。

 つまり何が言いたいか、と言うと「オチが「運任せ」だとしても、
 そこに至る展開までで十分に「勝負」を演出できる」ということです。

 上の例では、結局勝負は運任せです。
 しかし、Aは自分に戦術があるかのように見せかけてBを揺さぶります。
 そこに意味があるか、というとまるでありませんが、
 Bの思考や心理を描写し、彼の中にある葛藤、戦術への考察などを描くことで、
 上手にやれば面白く描くことは可能です。

 簡単に言えば「宣告ジャンケン」です。
 「俺はグーを出す」と何の保障もない一言をあえて口にすることで、
 擬似的な戦術とメンタリティの戦いを演出します。


 これを決闘の例に置き換えるなら、まず決闘が始まる前に主人公にこう言わせます。

「僕には、この銃で百発百中で目標を射抜くテクニックがあるんだ。
 銃を見れば、弾がどんな風に曲がって飛ぶかがわかってしまうんだよ。
 だから――まずはあんた(対戦相手)に撃たせてやる。当たればあんたの勝ち。
 外せば僕はあんたを必ず撃ち殺す。手間がなくていいだろ…?」

 もちろん嘘です。対戦相手も疑うでしょう。
 そんなことが本当に出来るのか。
 いや、できるわけがない。
 でも本当に出来たらどうする。
 この一回で決めればいい。
 しかし当たるのか。当てられるのか。
 当たったとしてもそれが足や左腕(主人公の利き腕は右)だったらどうする……。
 
 その後の展開は、精神的に参ってしまって大きく狙いを外すのでも、
 恐怖に負けて勝負を不戦敗で降りるのも、ちゃんと狙って撃つけども外して、
 主人公に撃たれる前に土下座して許しをこうのでも、どれでもいいでしょう。

 ルーレットの例にもこれは当てはまります。
 「ディーラーは自在にポケット狙う絶技を持っている」というのは、真偽のほどはともかく、
 良くある設定だと思います。

 こんなんでました。いかがでしょうか。

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