第4研究室 創作に関するQ&A 576P | トップへ戻る |
大福さんからの質問
 起承転結は絶対に必要か?

 おはようございます。
 私は常々疑問に思っていることがあるためこの場をお借りして質問します。
 疑問というのは「小説に起承転結はぜったいに必要なのか?」というものです。

 特に短編や掌編の長さの小説ならば文字数にも制限があります。
 どうあっても「起承転結」の全要素を入れなければ「小説として成り立っていない」のでしょうか?
 極論を言えば「起結」でもいいと思うんです。
 物語が始まって終わるという部分さえあれば、良いのではないでしょうか?

 長編においての「起承転結」は読者を飽きさせないで物語を盛り上げるための工夫だと思いますが、
 なにがなんでも「起承転結」でしか小説をおもしろくできないというわけではないと思うのです。
 
 私自身はまともな小説も書けないのですが、
 他の人が書いた小説にされていた批判を読む中で疑問に思いました。
 たとえば「起承転結がなってないから小説としてダメ」という意見のことです。
 
 読み手目線でいえば、起承転結になっていなくたって面白ければいいと思うんですよ。
 書き手目線でいけば起承転結を使わずに小説を面白くするのは難しいってことかもしれませんけど。
 それなら「面白くない。なぜなら起承転結がなってないから」という順序じゃないかな。
 どう思われますか?
 素人の浅知恵なので皆様のご意見をおねがいします。


●答え●

ヒロさんからの意見
 おはようございます。

 物語の構成を表す概念には、起承転結の四段構成だけではなく、
 序破急という三段構成、起承鋪叙結という五段構成もあったりします。

 
 詳しい事は調べればすぐわかると思います。
 まぁ、これは質問に対しての答えではないので、流して構いません。

 自分の場合ですが、起承転結を一つの長編小説で四つに区切るのではなく、
 その時のやりとりの中に含める事があります。
 例えばですが、戦闘シーンで、
 起(お互いに小手調べ)承(技の出し比べ)転(主役のピンチ)結(逆転で勝利)
 といったストーリー内の出来事にメリハリを付けるために起承転結を使うこともあります。
 毎回使ってるわけではありませんが。
 
 面白い、面白くないという基準は人それぞれです。
 起承転結がなってないから(ダメ)面白くないという人がいるのならば、
 それはその人にとっての面白いの基準の一つが、起承転結だったのでは?
 もしくはメリハリがないのをそれらしく言いたかったのか。

 面白い、面白くない以前に起承転結が入ってないから
 小説として成立してないという意味だったとすると、それは間違いだと言えると思います。
 
 最近は起承転結の転であるヤマがない物語も増えてると思います。
 ただ、ヤマがない物語を面白くするのは難しいかと。

 以上の事から、「小説に起承転結は絶対に必要なのか?」という問いに対して、

 絶対にという言葉に対してはNO
 必要という言葉に対してはYES


 という答えでどうでしょうか。

 自分も素人の浅知恵なので、答えの一つになっていれば幸いです。


九郎さんからの意見
 どうも、九郎です。

 敢えて言わせていただくと、中編以上の文字数の小説では絶対に必要、と言わせて頂きます。
 
 確かに短編、掌握だと一発ネタでうまく書ければ、
 起承転結の流れに沿わず面白くなる作品もあるかもしれません。
 しかし、中編以上になると比重はさておき、
 起承転結のどれを引いても作品は面白くなりえないと自分は考えます。

 理由としては、単純に
 「これをしていないで面白い作品を読んだことが無く、また自分で書ける気もしない」からですね。

 日常系と言われるアニメ、マンガでさえも結局はこの流れになっています。
 おっしゃる通り起承転結ができていなければ「面白くない。なぜなら起承転結がなってないから」か、
 おそらく人により「小説として成り立っていない」と見られて仕方ないかなと思います。


文長さんからの意見
 どんな物事でも「絶対に必要か?」「絶対に不要か?」と言われると
 「そりゃもちろん例外もあるけれど」と返されるものですが……

 この場合、内容がおもしろければ起承転結は必要ない、
 起承転結を“使わなくても”おもしろければいい、というのではなく、
 
 どこかできちんと起承転結(あるいは序破急など)になっているから、
 お、これおもしろい展開だな、と感じられるのではないでしょうか?


 例えば楽曲だってイントロからAメロBメロときてサビ、間奏挟んで二番、
 最後にサビをもう一度やってアウトロ、とくるから最後の一秒まで楽しめるわけです。
 中にはサビらしいサビがない曲もありますが、
 どこかでサビに相当する部分は作っていることがほとんどです。
 演奏面で強烈に主張するとか、歌詞に変化がついてるとかですね。

 主旋律にも演奏にも工夫なく延々A・Bメロ……みたいな曲だとさすがに聴いてて退屈ですし、
 AメロBメロCメロDメロサビ、とか、一曲でサビが5回も6回も来るみたいな展開はくどすぎて萎えます。
 
 大きく盛り上がる場面があるからこそ、
 動きのない場面も作品全体の中できちんと活きてきます。逆も然りです。
 その一番ベーシックなパターンが「起承転結」だと僕は思います。


 一見すると「ヤマなしオチなしイミなし」の作品だってありますが、
 それらにしたって完全に「ヤマもオチもイミもない」というわけではないでしょう。
 作品として形にする以上、一流の書き手さんは必ず何らかの意図を持っています。
 こんなの書く必要がない、書いたっておもしろくない、と感じることならまず書きません。
 日常会話ですらヤオイなことばかり言ってると「あいつ全然おもしろくねーな」ってなりますから。

 そもそも僕は「起承転結を使う」という主さんの表現(あるいは捉え方)にどこか違和感を感じます。
 小説として作品を書く以上、どうしても「異変」や「事件」や「恋愛」、
 もう少し深く見れば「自分自身の成長」や「変化」、「悩みや葛藤の解決」といった、
 何らかのイベントに沿ってストーリーを展開する必要があります。

 そのイベントの顛末をなるたけおもしろく書こうとすれば、
 自然と「起承転結」や「序破急」などの流れに落ち着かないでしょうか。

 ですがそんなことよりも重大で本質的な問題は、
 「起」「承」「転」「結」の各パートがうまく書けているかどうかです。
 「起」がつまらなくて読む気が起こらないとか、
 「承」が長すぎてダレてるとか、無駄に思える場面があるとか、
 「転」を盛り上げようとするあまり、話の流れとの整合性や説得力に欠けているとか、
 「結」がご都合主義に思えるとか、重要な伏線が回収されてないとか、
 結局問題は未解決のままとか……。

 多くのもの書きさんや読者さんは「起承転結は必要か否か?」ではなく、
 その次の段階で悩んでおられるのではないでしょうか。



ボギーTさんからの意見
 初めまして。ボギーTです。少し意見を。

 一例ですが、絵画で有名なピカソの絵。あなたはどう思いますか? 
 子供でも書けるんじゃねえか? とちょっと思っていませんか? 
 
 ところが初期のピカソは、普通に人物画、風景画を描いていたのですよ。
 決して幼児並の絵しか描けない、てわけじゃないのですね。

 まず絵をしっかり描ける基礎があった上で、一見幼児が描くような、しかし、いやいや描けないぞ!
 と思わせる、あのような抽象的で独特な絵が描けるから評価されるのです。

 何をやるにもそうですが、まず基礎が出来ていないと応用に移れませんし、
 そうでなければ評価もされません。違いますか?


 小説や映画にしても、話を崩してくる、投げっぱなしで終わる作品もありますが、
 魅力的に思えるのも多々あります。
 さて、その作り手は、はたして起承転結の話が作れない、苦手な方々なのでしょうか?
 どう思いますか?

>たとえば「起承転結がなってないから小説としてダメ」という意見のことです。

 そういう意見が出るということは、読み手からすれば、
 この作者が元々起承転結の話を作れる基礎が出来ているのか?
 その作品からは感じられないからではないでしょうか?
 投げっぱなしで終わったとしても、基礎があれば作品から自然と滲み出てきますし、
 そうでなければ批判されます。

 基礎が出来た上であえて定石を崩した書き方と、
 出来ないのに定石を崩した書き方は全然違いますので、その辺は勘違いしないでください。


 では何かの参考になれば幸いです。


二階堂さんからの意見
 まぁ、面白くできるなら必要はないでしょう。
 起承転結は物語を面白くする王道テクニックであって、小説の絶対条件ではありません。
 そもそも最近のライトノベルでは「起承」で終わっている作品が数多く見受けられます。

 また「起承転結がなってないから小説としてダメ」という意見は私も疑問に感じます。
 しかし、その意見は言ってみれば建前であって、本音は別のところにあったのではないでしょうか?

 何が面白いのかわからない作品を読んだ時、あなたはその作品を厳しく評価しようと思うでしょう。
 しかし批判する要素すらみつからない作品が中にはあります。
 ヤマがなくオチがなくイミがない作品です。
 そういった作品に厳しい意見を言う必要があったとき「起承転結がない」と言うことはあると思います。

 本当に面白いものが書けていれば、評価する際に「起承転結」なんて単語は出てこないはずです。
 ようするに第一声で「面白かった」と言わせることの出来ない作品だった、
 そう考えるべきではないでしょうか。

 
 起承転結という「展開の問題」以前のところに原因があったのでは、そう考えてみてはいかがでしょう。


元新次さんからの意見
 お前には足りないものがある。
 それは見聞だ。
 もっと小説にまつわる文献を漁るのだ。
 そうすれば起承転結などは小説とほぼ無関係である事が分かる。
 「転起承結こそ物語を大いに盛り上げる正しい形だ」とか、
 「小説には序破急こそ適任。起承転結など邪法」と説く文献もある。

 俺の名は元新次だ。
 じゃあな あばよ。


大福さんからの返信(質問者)
 スレ主です。たくさんの回答をありがとうございます。
 少し補足をさせてください。
 
 例にあげたような言葉を言われていた作品はどれも私の書いたものではなく、
 他の方が書いたものです。
 そして私の目から見れば、まあまあ面白い小説でした。長さは掌編や短編程度とお考えください。

 すごく面白かったわけではないですが、まあまあ面白かったのに
 「起承転結がなっていないから駄作」と言われていることに違和感があったのです。
 面白い面白くないの前に、起承転結ができていなければ
 小説としての評価に値しないかのような言い方でした。

 それでも私は素人なので、小説の世界では「起承転結が小説としての前提なのか?」
 と疑問に思ったのです。

 実はまだ皆様のレスをじっくり読めてはおりません。
 時間ができましたら、ひとつひとつのご意見を理解できるようにしながら
 読ませていただきたいと思います。
 まずは取り急ぎ、お礼と補足のみで失礼いたします。
 皆様、ありがとうございました。


リコさんからの意見
 他者の言葉でしたら、

 読者の心にあまり響かなかった。
 なんか盛り上がりに欠けた。
 読んでてフーン、またはいつの間にか作品が終わってしまった。
 短調。

 こういう感想を起承転結という便利なそして、当たり前の言葉を使ったのではないでしょうか?
 逆にこれらのことを避ければ起承転結が多少なっていなくてもそういうことは言われず、
 別の感想になると思います。


スペクトラさんからの意見
 こんにちは。いつもはチャットにいますが、最近掲示板にも顔を出すようになりました。
 最初に私の意見を述べますと、

 「起承転結信仰は日本で根強い。しかし不必要だ」と言うものです。


 起承転結は、四行または八行の漢詩を区切る際に良しとされていた手法です。
 つまり、そもそも小説の手法ではありません。
 それを日本が取り入れ、勝手に拡大解釈して使っているにすぎないのです。
 一説には、古くは短歌も起承転結を取り込もうとしていたようです。
 大福さんもおっしゃる通り、短い作品に起承転結を応用するのは不可能ですよね。

 また、何かのハウツーで、古典的なドラクエ風作品に起承転結を当てはめた物を見た事があります。

起……魔王討伐に旅立つ
承……順調に仲間を増やす
転……魔王に思ったより苦戦する
結……討伐に成功、凱旋する

 これ、不自然に思いませんか?
 転の所、どう転なのでしょうか?
 討伐が楽々と進むものでないのは、誰でも想像する、順当な「承」のように思います。
 「旅の途中で魔王軍が反乱。勇者が戦うまでもなく魔王がやられる」となれば転でしょうが、
 そんな作品では誰も見向きもしませんよね。
 「面白い作品には必ず起承転結が……」という人もいますが、
 起承転結なんて当てはめようと思えば大半の作品に使えるのです。

 私もそうだったのですが、起承転結信仰には二種類あって、
・気にいった作品に無理やり起承転結を当てはめる。
・気にいらなかった作品を「起承転結がない」と批評する。


 です。「起承転結がない」→「ダメ」と言っている人も、
 感じる順番としては「つまらなかった」→「起承転結がないと批判する」だと思います。
 ちょっと感情的になってしまいました。話題を変えます。

 個人的には、話を作る段階で起承転結を作ろうとすると、ややムダが多くなってしまうように思います。
(私個人の意見なので大福さんには当てはまらないかもしれません)
 馬鹿の一つ覚えのようにあちこちで言ってますが、

 私が「優れていて過不足がない!」と信仰している構成は、
 「日常の世界から非日常へ行き、何かを体験して、日常に帰ってくる」
 と言うものです。


 人によっては「起承転結、序破急の変形じゃないか」と言うかもしれません。
 それには、「これが私の起承転結です」と答えましょう。
 あるいは「起承転結さえあれば、そんなものはいらない」と。
 それには、「あなたが起承転結を信じるように、私はこの構造を妄信しています」と。

 長いうえに感情論ですね、ごめんなさい。
 まとめると「物語に構造は必要ですが、私の場合、起承転結とは別の構造が好きです」。
 こんなところでしょうか?

 参考の一助になれば幸いです。駄文失礼。


ひより。さんからの意見
 ラ研の批評は書き手目線のものですからね。
 そういった「~じゃないからダメだ」
 というフレームに当てはめたような批評が出てきてもおかしくないかもしれません。

 ぶっちゃけて言ってしまいますと、それは完全に読者側の力量不足から来る問題です。

 読者が『面白くない原因』の本質が分かっていない、見えていないために、
 『起承転結がなっていないから面白くない』といったような型にはめた批評になるのです。
 読解力がないために、いくつかあるダメなところで一番大きくてつつきやすいところをつつくわけですね。

 個人的にはそれは批評と呼ぶよりかは、感想と呼ぶべきレベルのものじゃないかと思います。
 あまり深く受け止めないほうがいいでしょう。
 取り入れれるほど正しいことを言ってないのですから、それで十分です。

 そういう純度の低い批評に惑わされないようにするには、
 作者側としては、どれが感想で、どれが批評なのかを見極める能力――
 リテラシー能力をもつ必要があるかと思います。


ぷりんさんからの意見
 ご質問は「批評上の安易な起承転結論ってどうなの?」という事でいいでしょうか?

>読み手目線でいえば、起承転結になっていなくたって面白ければいいと思う

 私もそう思います。
 起承転結という規則に添っていなくても、面白い作品はたくさんあります。
 昔の文豪の作品でも起承転結がなくてもじっくり書かれた面白い作品はいくつもありますし、
 小説とはいえないもの、起承転結の規則になってないものでも、
(例えとして相応しくないかもしれませんが、某巨大掲示板のスレッドの有名なものなど)
 心を打ついい作品があったりします。

 もちろん「面白い」と思うのは私個人の感じ方なので、他の方が「面白くない」と言う事も当然あります。
 それが「起承転結」という作品の構造の問題なのかどうかは、一概には言えません。
 「ヤマもオチもないのでつまらない作品」という事なら、
 作者の伝えようという思いが上手く表現されていない、未熟な作品だからかもしれませんし、
 批評する方が読解力や感性のないせいで、ステロタイプな批評というだけの事かもしれません。

 どなたかがリテラシーの事を言ってらっしゃいましたが、
 ここでの一読者サマの意見が絶対でないのは、みなさんご承知の上での事と思うので、
 そこはあくまで受け取る側の問題で良いとは思います。


 アマ○ンなどのブックレビューを見ると、プロの作品ですら賛否両論ですから。

 ただ、プロを目指すなら、マニアックな一部の人のみに理解されるのではなく、、
 大多数を納得させる作品でないとならないので、
 そこは自分でしっかり判断しないとならない所かと思います。

 ここで発表される作品は『ラノベ』なのですし、ここの読者サマは『ラノベ』の読者層なので、
 その一人の方に作品の真価が伝わらなかったという所は、
 自分なりに反省点としておくべきではないでしょうか


 大前○一さんが何処かで書いてました「書いた事の半分くらいしか理解しないのが読者」
 そのつもりで、伝える事に全力で立ち向かうのが作家のお仕事ですね。

(と言いつつ解りにくい文章ですいません)


 私個人的には『起承転結』は一番解り易いストーリー作りの基礎の基礎! とは思うのですが、
 そうやって構造化する事で誰でも解り易く読んだり書けたり、
 教えたり教えられたり出来る利点はあっても、
 構造でオチつけられてしまう欠点があるな、と感じる場合がままあります。
(「ヲイヲイ、ここまで来てそりゃねーだろお前ッ!」
 とツッコミたくなる急展開に萎えたり…というような場合)

 ストーリーを魅力的に輝かせるのは別の要素という気がしてなりません。
 青臭いですが「ハートがなくっちゃね!」です。
 起承転結以前に、作品から作者の思いがしっかり伝わって来る、
 キャラクターが生き生きしている作品には引き込まれます。

 私見ですが、何かお役に立てば幸いです。


赤髭さんからの意見
 起承転結は漢詩から来た言葉でしょう。

春眠不覚暁
処処聞啼鳥
夜来風雨声
花落知多少


 こんな感じ。
 調べれば四コマ漫画が例にされたものもあると思います。

 共通しているのは、絶句も四コマも各要素の長さ(大きさ)が同じところです。
 では、小説は? 大福さんのおっしゃるように長編には4つの要素があるかもしれませんが、
 当然長さはバラバラのはずです。
 ですから短編では殆ど消えてしまう要素があっても不思議ではありません。
 
 なお、個人的にはハリウッドの三幕構成や日本の序破急を意識したほうが書きやすいと思います。


まいちんさんからの意見
 おはようございます、大福さん。まいちんです。
 質問に少し疑問を感じたので。

> たとえば「起承転結がなってないから小説としてダメ」という意見のことです。
 小説の定義なんて人によって違うので、この意見の主の定義では
 「小説とは起承転結に則った形であること、もしくは起承転結の要素を含まなければならない」
 なのかもしれませんね。

> 読み手目線でいえば、起承転結になっていなくたって面白ければいいと思うんですよ。
 これは、読み手に共通する目線ではなく、読み手である大福さんの価値観に過ぎないと思いますよ。

 小説とは何かという絶対的な定義を(少なくとも私の知るかぎりでは)誰も示していない以上、
 小説とはどうあるべきか、「小説である」と「小説ではない」の線引きもまた、
 人によってばらつきがあるのは当然のことで。
(ケータイ小説は小説か否か、という議論もこれと同じで、
 小説とは何かという絶対的な定義がない以上、個人的な意見を言い合うことしかできないわけです)

 「起承転結がなってないから小説としてダメ」という意見の主はもしかしたら、
 起承転結という形で展開されている物語しか楽しいと感じられない感性を持っているので、
 起承転結がなっていない→自分は楽しめない→ダメ、と言いたいのかもしれません。

 意見の主の真意は闇の中ですけれど、
 『「起承転結がなっていないから小説としてダメ」という意見は感想としてダメ』
 と決め付けるのでは、意見の主の決め付けと同じだと思いませんか?


> 素人の浅知恵なので皆様のご意見をおねがいします。
 起承転結が本当に物語を面白くするか否かについて、きちんと考察できていないので、
 現時点では回答できません。ごめんなさい。

 余計なお節介失礼しました。


あまくささんからの意見
 起承転結は、絶対に必要なものではないでしょう。

 ただ、ストーリーの流れが例えば起転承結になっていたら、
 かなりの確率で後半ダレるだろうと思います。


 だから、起承転結の方がいいよと。そんな程度の話だと思います。


ひすいさんからの意見
 私個人的には、小説とは書いていくなかで必然的に起承転結に近い構成になるのではないか、
 と考えます。


 長編は長編なりに、短編は短編なりに、掌編は掌編なりに、始まりがあり、それを受ける部分があり、
 話が膨らむ部分があり、全てが落ちて終了する部分がある。
 短ければ短いほどそれらを「見分けることができるほど起伏をつける」ことは難しくなっていきますが、
 それは決して起承転結のいずれかの部分が消滅したわけではなく、存在はしているのだけれど、
 ただ読むだけでは気づかない、ただそれだけではないかと。

 そう考えれば、「起承転結がなってないから小説として成り立っていない」
 というのは当たり前のことです。


 ただし、この場合は最後まで書ききってない(結の欠如)だとか、
 本来始まりの部分を受けている部分がすっぽり抜けて、
 いきなり始まりからまったく関係ない場面に飛んでしまう(承の欠如)とか、
 支離滅裂で文字通り作品として不完全なものになっているからです。
 
 おそらくは大福さんが紹介なさっているような
 「起承転結がなっていないから小説としてダメ」とは違う次元の話になってくるわけですが。

 そう考えると、大福さんがおっしゃっている「起結の作品」は、
 承転の部分をなるべく平坦に、短くした作品ということになり、
 その作品を面白くするのがなかなか難しい芸当であることは自ずとわかるでしょう。

 評論や意見文が自然と自分の主張を述べるところと、
 それをわかりやすく説明・証明する部分で構成されるように、
 小説もまた、自然と起承転結の部分構成でできあがっていくのだと考えます。


鶫さんからの意見
 起承転結でよくわかんなくなったら序破急で考えちゃえばいいじゃない。
 ……とか単純に思ってみました。

 やまなしおちなしいみなし。であるなら、同人までで許される範囲。
 ここまでは萌えたり面白ければOK。
 読者と近い(というか同じ)感覚で書いているから共感が持てるんじゃないかと思います。

 起承転結とかの言葉を用いるなら「物語として面白いかどうか」でしょうか。
 「この先どうなるんだろう」という期待感を持たせるというか。
 確かに「小説としてダメ」と押し付けられるように言われると、言われた側も戸惑ってしまうかも。
 単調で脈絡が無く面白くないだけということかもしれません。

 文字数に限界があるなら、1シーンで細かく区切ってしまえばいいかな、と。
 短く纏められちゃう昔話にも起承転結はあります。
 読み切り漫画とか雑誌掲載小説とか参考になるかも。

>極論を言えば「起結」でもいいと思うんです。
 「どうしてこうなった」タグをつけられるような感じになるかな。
 この感覚が好きな人には受け入れられやすいけど、そうでない人は物足りなさを感じてしまいます。


風鈴さんからの意見
 結論から先に言いますと、明確な起承転結のない小説というのは存在しますし、
 それでも名作と判断されている作品は世の中に数多くあります。
 私の読書幅の中でぱっと起承転結――
 つまりストーリーに主眼を置かない小説家ととして思いつくのは、保坂和志氏です。

 保坂和志は、著作『書きあぐねている人のための小説入門』 の中で、このようなことをいっています。
 少し引用させていただきます。

『さて、そこでストーリーなのだが、
 ストーリーとは、読者の興味を最後までつなぎとめておくためのひとつの方法なのだと思う』
『私の小説観というのは、とにかく途中でだらけてしまったら読者は先を読まない、というものだから、
 だらけさえしないで続いたのなら、どこに結末をもってきてもかまわない。
 最後の行まで読者が来たということがそれだけですごいことで、
 それが最後の行で次にもう行がないのだからそこが終わり、ということなのだ。』


 そのような考えの下に、保坂和志氏は新人賞の上限枚数オーバーについて、担当編集者に言われ、
 「だったら上限枚数のところで切ってもらっていい」と答えた、という話です。

 保坂和志氏の理論に従えば、起承転結、序破急、ストーリーなどというのは
 読者に読ませるためのただの手法の一つです。


 例えばキャラやギャグなどで読者を引っ張りこめるなら、
 ストーリーなんてなくても構わない、ということです。
(もちろん、起承転結を含むストーリーを作るうえでのテクニックが
 一番ポピュラーで簡単なのは、確かでしょうが)。

 ライトノベルで言えば、西尾維新氏の化物語シリーズなどは、
 最初の、ストーリー的に全く進展がないまま会話――
 つまりコメディーパートだけで原稿用紙100枚分を余裕で使ったりしますが、
 それでも人気のシリーズです。


 きっと西尾維新氏は、ストーリーを一切挟まなくとも、
 そうやってコメディパートだけで読者を終わりまで読ませることもできるでしょう。
 そう考えると、起承転結というのは、便利な手法ではあるけれど、
 絶対に必要である、までは言えそうにないです。


 余談ですが、上記の保坂和志氏の『書くあぐねている人のための小説入門』は、
 小説を書く上で、ライトノベルに浸っていると忘れがちなこと、知らないことを
 数多く教えてくれる名著ですので、読んでみることをオススメいたします。


土木の日さんからの意見

 こんにちは。

 最近、今書いている小説のプロットを見直していて、
 構成がきれいに起承転結になっていることに気が付き、
 もう一つ山場を設けて起承転転結にしようかしら、などと考えて、やっぱりやめた者です。

 やめたのは、これ以上下手にいじらない方がよさそうだと思ったからですから、
 起承転結にこだわったわけではありません。


>「小説に起承転結はぜったいに必要なのか?」

 「絶対に」と言われると、つい、「例外のない規則はない」と言い返したくなります。
 ですので、「絶対に」という前提は外します。

 では、一般的に、小説に起承転結は必要なのでしょうか。

 私の意見は、なくても小説は成立する、です。
 というのは、小説は、極端な場合、結末を書かずに読者に委ねるという手法だって使えるからです。
 それでも上手く書けば言いたいことは伝えられると思います。

 
 例えば、志賀直哉の「小僧の神様」は作者がわざと途中で筆を置いたため結末がありませんが、
 傑作とされています。
 異論があるかも知れませんが、この小説は承で終わっていると自分は思っています。

 ですから、起承転結になってない=小説としてだめだ、という公式は成り立たないと思います。


 他の方がおっしゃっているように、そう言って批判した方は、
 起承転結という形式を問題にしたのではなく、「小説の体をなしていない」、もしくは、
 「構成が下手だ」とか「筋が練り込まれていない」ということが言いたかったのではないかと思います。

 もしかすると、「起承転結らしいものはあるがきちんと作れていなかった」とか、
 「山場はあるが盛り上がらず山場として機能していない」ということかも知れません。

 いずれにしろ、起承転結がないと小説ではないというのは間違いでしょう。
 ですが、これも他の方がおっしゃっていますが、

 面白い物語には起承転結に近い形式で書かれたものが多いことは事実だと思います。

 ですから、小説を書こうという人が起承転結を一つのモデルとして
 構成を考えるのは間違いではないと思いますよ。

 とりわけ、転の部分は重要で、これがないとただの紀行文みたいになります。

 つまり、あれをして、これをして、それをして、おしまい、という形で、
 同程度の重要度の出来事を列挙したものになってしまうのです。
 下手な人がこれを書くとだらだらしてしまりのない話になります。

 その点、転を入れると物語がそこから急速に動き出すのでメリハリがつきますし、
 承も転を意識するとその準備として目的や書いておくべき内容がはっきりするので締まってきます。

 下手な小説というのは、ここをちゃんと考えて作っていないので、転が機能していません。
 ここが上手くできていれば、面白いかどうかはともかく、形にはなります。

 ですから、事実を淡々と書くことを目指した小説ではなく、
 読者を先の読めないストーリーで物語の世界に引き込みたいという人は、
 転に当たるような「驚き」「意外な展開」「流れを一変させる要素」を入れることは大切で、
 起承転結という形式は参考にする価値があると思います。

 もちろん、起承結の物語でも面白いものはあります。
 例えば、「狼と香辛料」の短編集にある話のいくつかは、山場がありません。
 町の中を散策して、誰と会って、どこの店に行って、ふたりでいちゃいちゃして、それで終わりです。
 でもあのシリーズのファンなら面白いですよね。

 あの短編の目的は、ロレンスとホロのその町での一日を紹介することであって、
 二人を大活躍させることではないのです。

 そういう物語を書きたいのなら、転を作る必要はないわけです。

 それと、上には結のない例を挙げましたが、こういう手法の使用には注意が必要です。
 
 特に長編の場合、ずっと主人公の運命を見守ってきたのに、最後に結論を保留されると、
 大きな不満が残ったりします。
 そういう意味では、形式を守り、
 必要とされる要素をきちんと書き込むということには意味があると思います。

 ところで、この文章を書きながら、起承転結とはプロットの流れではなく、
 ストーリーの流れだという、ごく当たり前のことに気が付きました。

 つまり、文章の始めの部分が起なのではなく、ストーリーの始めの部分が、
 たとえ文章全体のおしまいに書かれていたとしても、起なのです。
 同様に、クライマックスの一部が冒頭におかれていたり、物語の進行した状態から書き起こされ、
 途中で物語の発端を回想したとしても、その部分はやはり転の一部や遅く書かれた起なのです。

 そう考えると、少なくとも起だけは必要なのかな、と思いました。
 目立った事件が起きなくても、例えば長い会議の途中から書き起こされ、
 読み進む内に話し合われている問題が明らかになるような作品でも、
 とにかく物語の発端はどこかにあるように感じました。

> 読み手目線でいえば、起承転結になっていなくたって面白ければいいと思うんですよ。
 書き手目線でいけば起承転結を使わずに小説を面白くするのは難しいってことかもしれませんけど。


 全くその通りだと思います。
 ですが、それが特に長編では難しいということは事実であり、
 物語全体でメリハリのついた流れができているかどうかは、
 作者の力量を測る物差しの一つとして有効だということです。


> それなら「面白くない。なぜなら起承転結がなってないから」という順序じゃないかな。
 どう思われますか?

 そうですね。
 ただ、構成の下手さがつまらなさの主な理由ということはあまりないと思います。
 というのは、構成の基本ができていないのに他の要素は素晴らしい、
 なんてあり得ないと思うからです。
 
 構成を批判されるということは、その他の要素も大したことない、
 もしくはだめだと考えるのが現実的ですね。


 ですから、正確には、「面白くない。その原因の一つは構成が下手なことだ。」となると思います。

 以上、参考になると嬉しいです。

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第4研究室は小説を書く上での質問・悩みをみんなで考え、研究する場です。
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