帽子さんが答える 2011年3月
おはようございます。
ラノベ新人賞の下読みをしている帽子です。
もう一度、スレを建て直させて頂きます。
以下、読みに関して私の得意不得意を書いておきます。
女性向けラノベについては下読みをした事がないのでアドバイスは期待しないで下さい。
ジャンルはラブコメからSFまでなんでも可です。
(ただし新人賞に関連する作品のみでお願いします)
一般 エンタメ◎
純文学○
ラノベ 男性向け◎
女性向け△
また、メールで特に質問が多かった事について追記をしておきます。
Q1:
作品をメール添付可な公募でもプリントアウトして送った方が印象が良いですか?
A1:
関係ありません。
綴じ方に自信がない方はむしろメール添付の方が良い位です。
Q2:
新人賞はどれでもいいと聞きましたが、難易度の高いレーベルを選ぶメリットはありますか?
A2:
優秀な編集者が多く、その編集者の知識を利用出来る。
ヒット作のついでに買って貰える可能性がある。
注目度が高いので新人賞受賞作はある程度は確実に売れる。
ただし、受賞が極めて難しい。(特に電撃)
読書に関して結構な数の質問があったので書いておきます。
*注意*
*この解答は新人賞を目指す方にのみ当てはまる事です。*
Q3:
帽子さんの考えで教えてほしいのですが、ラノベ作家デビューするには大体、何冊(生涯通算読書量)ぐらい読書するべきなのでしょうか?
量より質なのは承知なのですが量と質を併せて作家デビューする作家は何冊ぐらい読むのか気になりました。
A3:
数ではなく、誰のどの作品を読むかが大事です。
例えば長編の間には100件以上投稿されていますが、それらをすべて読んだとして、創作者の方にとってはそれほどプラスになる事はないでしょう。
それよりもプロの書いた本を2、3冊読んだ方が絶対に為になります。
これと同じ事がプロの作品間でもいえます。
読まなくても良い作品は数えればきりがない程膨大な数存在します。
・何を読むべきか
1・文章のお手本(ラノベを書く方用)
文体にあまり癖が無く、筆力に定評のある作家を選ぶ。
ラノベのみを書く作家をお手本にするのは危険な場合もある。
(例)
・宮部みゆき
・有川浩
・桜庭一樹(おすすめ)
・小野不由美
2・文章を似せてはならないという意味で読んでおくべき作家
・西尾維新
・奈須きのこ
・舞城王太郎
・伊坂幸太郎
・京極夏彦
3・各ジャンルのお手本
具体的に聞かれた場合に答えていますが、例えばミステリーを書きたい方の場合
・本格ミステリーを書きたい→刀城言耶シリーズ
・新しいミステリーを書きたい→魍魎の匣
・トリック重視で書きたい→島田荘司全般(特に占星術殺人事件)
・叙述トリックを書きたい→葉桜の季節に君を想うということ
・トリックよりもドラマ性重視で書きたい→容疑者Xの献身
・特殊状況下でのミステリーを書きたい→七回死んだ男
・ミステリーと他のジャンルとの融合作品を書きたい
SF→新世界より
恋愛→イニシエーションラブ
ファンタジー→折れた竜骨
4・どんでん返しを書きたい→押さえておくべきパターン(全て映画)
・シックスセンス(最近だとシャッターアイランド)
・パーフェクトストレンジャー
・インセプション
・オールドボーイ
・ハイドアンドシーク
では、よろしくお願いします。
こんばんわ、前田なおやと言うものです。
帽子さんは、ライトノベルの中には「萌え」が必要で、無ければ厳しいとおっしゃられていました。
ところで、電撃文庫の「君のための物語」を御存知でしょうか?
数年前に電撃で金賞を受賞した作品です。
これを読んで思ったんですが、「この話、萌えがねえぞ?」と。
そんな萌えの無い作品が受賞した、特別な理由はあるのでしょうか?
たんに電撃だったから、「おもしろい」だけで通ったのでしょうか?
こんばんは。
萌えがなければ敷居が上がります。それでも尚、受賞する作品はあります。
特に大手ですと萌えがなくとも作品としてレベルの高いものが数多く送られて来ますので、萌えなし受賞という事も往々にしてあります。(ミミズクなどもその例)
特に電撃大賞という賞はその傾向が非常に強く、おすすめ出来ないのはこの部分によるところが大きいです。
萌えなしでも構いませんが、これから新人賞を目指す方はそうは思わない方が良いと思います。
なので萌えは必ず入れましょうと言ってしまいますね。
又、私から言わせれば「君のための物語」は作品としても、作者としての評価も同年の大賞である百物語よりも遙かに上です。
では何故百物語が大賞なのかというと、やはり萌えという要素はラノベでは強いのです。
再び幾つか質問させて下さい。
・帽子さんは作品の批評でグロ系も評価していますが、グロはラノベで評価を下げる要因にはならないんですか?
また、エロの場合はどうですか?
・ヒロインの一人が敵勢力に寝返る(あるいはそこのスパイだった)という展開がある場合、そのヒロインが魅力的であってもヒロインとして評価せず、作品内で萌えが少ないと扱われることはありますか?
・群像劇のような形式はラノベではマイナス評価されるでしょうか?
・大学生、社会人主人公は中高生が感情移入し難いので評価が低いそうですが、それは年齢が上がる毎に理知的になってくるからということですか?
例えば、高校生なのに合理主義なキャラが主人公になっている場合、それは感情移入し難いと評価されますか?
また、大学生でも直情的なキャラが主人公になっている場合、それは感情移入出来ると評価されますか?
よろしくお願いします。
グロはヒロイン限定で評価が上がる可能性があります。
ヒロインでない、例えば道尾秀介の書くような純粋に気持ち悪いだけのグロ描写はラノベではプラス評価にはなりにくいです。
エロの場合は売りにくくなる場合があるので評価が下がる可能性はあります。
> ・ヒロインの一人が敵勢力に寝返る(あるいはそこのスパイだった)という展開がある場合、そのヒロインが魅力的であってもヒロインとして評価せず、作品内で萌えが少ないと扱われることはありますか?
ラノベでは無いですが、クリムゾンの迷宮が真っ先に頭に思い浮かびました。
上手く描ければ逆に評価が上がるかかと思います。
ただし、寝返った際に完全に向こうにつくのではなく、葛藤は必ず描きましょう。
> ・群像劇のような形式はラノベではマイナス評価されるでしょうか?
そんなことは無いです。
> ・大学生、社会人主人公は中高生が感情移入し難いので評価が低いそうですが、それは年齢が上がる毎に理知的になってくるからということですか?
単純にそれだけではありません。
中高生にとっては大学生も大人も割とどうでも良い存在なのです。
彼らの興味は同世代ですからね。
又、中高生は当然に大学生も大人も経験していませんので、感情移入が難しくなります。
高校生の場合、なんらかの欠点を持たせられれば大丈夫です。
こんばんは、黒蟻です。
各ジャンルのお手本で、例えば歴史小説、ラノベではあまり見かけませんが、メディアワークス文庫から観阿弥の話を描いた(未読です(汗)話があったと思います。
歴史の場合はどんな小説がお手本になるのでしょうか?
では失礼します。
司馬遼太郎
「国盗り物語」「関ヶ原」「夏草の賊」「新史太閣記」
今更紹介するまでもない名作ばかりですが、挙げない訳にはいかないので挙げておきます。
歴史小説は司馬遼太郎だけおさえておけば良いと言っても過言ではありません。
田渕久美子
「江~姫たちの戦国~」
大河ドラマの原作ですが、女性の心理描写が非常に優れています。
こちらは女性を描く際に参考に出来るかと思います。
文章は読みやすい反面、他の歴史小説に比べると軽いのは欠点と言えるかもしれません。
しかし、歴史小説を普段読まない人にも手軽に読めるという意味では私はこのような歴史物も肯定したい所です。
歴史小説の場合、後はこれに加えて資料を読みこむ事が非常に重要になります。
質問者さんの文章を読んでいないので何ともですが、北方謙三は歴史小説を書く上で参考になる文章かと思います。(司馬遼太郎の書き方は少し古いと言える)
では、頑張って下さい。
回答ありがとうございます。
特に二つ目、四つ目の質問が気になってたのですが、それほど作品に影響が出ないようなので安心しました。
まだ聞きたいことがあるのでもうしばらくお付き合いいただけたらと思います
・一方の作品では一人のキャラを複数のヒロインが好きになるパターン。
もう一方の作品では複数のヒロインが出るが、それぞれ別のキャラとカップルが成立するパターン。
この二作だとやっぱり前者の方が有利になりますか?
有利になるなら具体的な理由も説明して欲しいです。
・前回の質問で、大学生の主人公に感情移入出来ないのはどうでも良い存在だからだと言っていましたが、女性視点の一人称が評価されないのも同じ理由からですか?
その場合、三人称なら良いのは何故ですか?
・隻腕、盲目、麻痺などの身体障害や、ガンなどの死に関わる病気が作品に絡むのはまずいですか?
・既存の宗教が作品に絡むのはまずいですか?
よろしくお願いします。
こんにちは。
質問の内容を見ると、群像物を書きたい感じでしょうか?
群像物でしたら一番上は問題ないです。
一視点で主人公を中心に描くのであれば、一般的には前者の方が有利です。
読者はヒロインには主人公とくっついて欲しいと思うものです。
女性の一人称に感情移入し難いのは、単純に性別が違うからです。
又、大抵の場合ヒロインは視点人物にするよりも外から見ていた方が魅力的になります。
> その場合、三人称なら良いのは何故ですか?
ある程度外から見ている事になるからです。
> ・隻腕、盲目、麻痺などの身体障害や、ガンなどの死に関わる病気が作品に絡むのはまずいですか?
大丈夫ですが、書き方に注意しましょう。
こんばんわ。
新人賞に関する質問ではないのですが、下読みさんは一日にどれ位の本を読んでいるものなのでしょうか。
よろしくお願いします。
こんばんは。
私の場合、自分の仕事の為に読んでいる部分が大きいですが、1日2-4冊は読みます。
最低1冊は絶対に読みますね。
すごい伸びのスレですね。
できるだけ目を通していこうと思っていたのですが、ちょっと小休止して書き込んでいます。
応募作には一人称が多いと聞きますが、これは事実でしょうか?
よろしければ割合を、そして通過率に影響(有利か否か)が出ているかどうかも知りたいです。
全体を見て、こういったミスをしている人が多いなあ等、投稿者の陥りやすい失敗があれば教えていただきたいです。
あらすじの扱いを知っておきたいのですが、やはりあらすじは先に読まれるものなのでしょうか?
どの辺りまで選評に関わっているのかなども教えていただけるとありがたいです。
以上、多くなってしまい申し訳ございません。
主観、客観、入り混じった回答をいただけたら幸いです。
こんばんは。
確かに一人称の方が多く感じますが、極端に偏っているようには思いません。
数えた事は無いので正確には言えませんが、一人称が6-7割位ではないでしょうか。
通過率に人称は基本的には関係ないですが、
女性主人公の場合は以前にも書いた通り三人称の方が有利になります。
投稿者の陥りやすい失敗についてですが、
大ざっぱに言えば作者だけが面白がっているような独りよがりの作品が多いです。
書きたい物を書くのではなく、自身が読みたいと思えるような作品を書いて欲しいように思います。
以前にも書きましたが、あらすじの使い方は下読みによって全くちがいます。
最初に読んでしまう人もいれば、最初に読んでしまうと読み進めるのが辛くなってしまうと言って、最後に確認として読むという人もいます。
あらすじは上手く書けていれば加点要素になるので推敲はきちんとする事をおすすめします。
ただし、あらすじだけで落とされるなんて事はまずありえませんので、必要以上に気を揉む必要はありません。