キロ・ウィスルさんの質問 2012年10月01日
こんばんわ。キロ・ウィスルです。
現在、先生方の作品を読んで文章鍛錬を積んでいます。
プロの方の文章は参考になっているのですが、疑問に感じる部分が点々とあります。
文章力を根底から改善したい自分としては、心に引っ掛かるのです。
ですので、それらについての意見を皆様から頂きたく思います。
できる限り、質問対象・内容を明記します。一度に多くの質問はいたしません。どうか、よろしくお願いします。
※全て『ゼロの使い魔』 から抜粋しました。
1)ツェルプストーの女に、使い魔が取られるのは我慢できない。
キュルケは、拳に握り締めて叫んだ。
この二つは、助詞の使い方です。「使い魔が取られるのは」の「が」と、「拳に握りしめて」の「に」です。小学生レベルの質問ですが、色々と調べてみてもしっくりときませんでした。
2)埃ともカビともつかぬ、妙な鼻をつく異臭が漂っている。
「妙な鼻をつく異臭」です。これでは、「妙な鼻」と誤解されてしまうのではないでしょうか? それとも、「妙な」等の形容動詞は主語の前につくものだから、これでいいのでしょうか?
3)才人はあの日、艦隊を吹き飛ばした魔法の光を思い出した。
話の流れから、今現在才人は思い出しています。
「あの日艦隊を吹き飛ばした魔法の光を、才人は思い出した」
「才人は、艦隊を吹き飛ばした魔法の光を思い出した」
等のようにすれば、すんなりといくと思うのですが……。
まだまだあるのですが、自重します。もう一度、じっくり練ってから質問したいと思います。
ご返事、解説、批評等、重ねてよろしくお願いします。
●答え●
出版の際に編集や校正を通るとは言え、プロ作家も編集者も校正者も人間ですし、心ゆくまで推敲できるアマと違って〆切もあるため、チェックの目をすり抜けた推敲ミスや誤字脱字、悪文が見られることはあります。
そもそも文章面に関して言えばさほど上手いと思えない作家もいます……。
リスペクトはすべきですが、だからと言って過信や盲信しすぎるのもあまりよくありません。
「ん? これはおかしくないか?」と思った部分は、ご自身が執筆される際にそうならないように気をつけるようにするといいかと思います。
普通に読んでいて違和感や突っかかりがある場合、読者の無知や浅学ゆえに、って場合もあるかもしれませんが、やはり執筆側の問題であることの方が多いと思います。
文法的には問題ないとしても、より読みやすく伝わりやすい書き方をする方が結果的にいい文章になると思います。
例については、1はちょっと状況がよくわからないので何とも言えないですが、「使い魔が取られてしまう」という意味でなら違和感はあまり強くないです。
「拳に握り締める」は何かを握りながら拳を作った状況かと思いますが、あまりスマートな印象はありません。
ただ精読しているのでもなければ気にせず読み流せるので、推敲の見落としかもしれませんね。
2と3は意図的にそうしているというよりは、単にあまりよくない文章だと個人的には思いました。
1)上は普通。下はその前後まで読まないと不明。
2)妙に鼻をつく異臭、鼻につく妙な異臭、など、改善の余地あり。
3)同上。
というか、文章の勉強をしたいのであれば、もっともっともっと上の人の文章を参考にしましょうよ。
池波正太郎でもいいし、芥川龍之介でもいいし、村上春樹でもいい。
あるいは、貴志祐介や大沢在昌などの現代作家だっていいし、宮本輝だっている。
なんなら、ネットで名文と検索して出た中から適当に選ぶのも手でしょう。
名の知られた名文家も隠れた名文家もあちこちにいて、その作品は星の数ほどあるというのに、なのに、なぜ、よりにもよって、自分が「あれこれ間違ってるんじゃね?」と思うような相手の文章を参考に、勉強しようなどと思ったんですか。
回答となるものは、他の方が書いているので省いて、ちょっとした小ネタ程度をば(小ネタにもならないけど)
通常は重版されるようになると、そのつど校正していたそうです。
辞書なんかだと表紙に何版とか書いてるくらいですし。
ライトノベルとかの娯楽書籍だと、大人の事情がからんでほとんどしないようですが………。
とある漫画に、意識不明で数週間病院で点滴生活していたヒロインが主人公に助けられて目覚めるシーンがあったのですが、雑誌掲載時ではお肌つやつや健康そうなヒロインでした。
ところが、コミックス掲載時には描きなおされていて、げっそりやせたヒロインが描かれていいました。
プロってこうあるべきよね、って思ったものです。
とはいえ、意図して書いた部分もあり、編集さんも直す必要なしと判断した部分もあるでしょうから、この人はこういうものだと割り切るのが良いかと思いますよ。
前後の文脈によって文章の意味は変るので、例示された部分だけでは判断しきれません。
……ですが、せっかくなので文脈については私の想像で補完して回答してみます。
(1の上)
ツェルプストーの女とやらに使い魔を奪い取られそうになっている、という状況でしょうか?
その場合は「使い魔を」の方が文として綺麗だと個人的には感じますが、これは感覚の問題なので例示した文章でも間違いではありません。
(1の下)
キュルケが拳に何かを握りしめているのならマル。体に力を込めるために拳をぎゅっと握ったという意味なら「拳を」でなければ間違い。後者なら誤字だと思います。
(2)
「妙な」が「鼻」にかかるわけではないことは常識で判りますから、問題ありません。ただ、人によっては少し悪文気味だと感じるかもしれませんね。
(3)
文脈が説明の通りなら、「、」の打ち方に疑問符がつきます。例文では、才人が「艦隊を吹き飛ばした魔法の光」を、「あの日」思い出したと読まれてしまっても文句は言えません。質問者様が修正した文章の方が正しいです。
質問にかこつけてプロの文章にイチャモンをつけるってのも、けっこう気持ちよかったですw
ただまあ、長編の中から気になった文章だけ抜粋するのは気の毒ですよ。上の例文も、長い文脈の中の一文としてならさほど気にならないのかもしれません。
また、そこだけ取り出すと多少違和感のある文であっても、前後の文章の流れの中でリズムをつけるためにわざと崩している場合もあります。
こんにちは。
> 1、>ツェルプストーの女に、使い魔が取られるのは我慢できない。
「使い魔を」でしょうが「が」でも許容範囲?
> >キュルケは、拳に握り締めて叫んだ。
文脈いかんでは(「何を」の部分があれば)問題無し。
> 2、>埃ともカビともつかぬ、妙な鼻をつく異臭が漂っている。
「妙に」の方が違和感はありませんが、「妙な」と「鼻をつく」という二つの感じの異臭ということなのかもしれません。
> 3、>才人はあの日、艦隊を吹き飛ばした魔法の光を思い出した。
この文だけだと「才人は、あの日」でしょうが、文脈によっては「あの日に思い出した」という可能性もあります。
他の人も似たことを書いていますが、間違いが気になるなら違う本で勉強すればいいと思います。
「間違っている」と疑問を持ちながら読んでいて本当に勉強になるのですか?
今回、例に挙げられているのはライトノベルですが、文章力を向上させるには不向きでしょう。どちらかといえば、発想力、斬新さ、そういったものが重視される世界です。
それに作家さんそれぞれに癖があります。ある人にはすんなり読める文章でも、違う人からしたら違和感の激しい文章ということもありえます。
たとえ文法的には間違っていなくてもです。
実際、1,2、3、どれもはっきりと間違いとは言えません。改善の余地があったり、文脈の流れで解釈の変わるものはありますが、間違いではないのです。
もっと色々な作品に触れて、ウィスルさんにあった作家さんを見つけましょう。「この人の文章は素晴らしい! どこを読んでも勉強になる!」そんな人がきっといるはずです。
他の方も仰っている様に、別のお手本となるモノを捜して見た方が宜しいかと・・・
割と最近のモノには、そう言った誤字の類が目についてしまったりもします。
私も・・・
私の場合は、「消火器」が「消化器」に・・・
消火器を叩き付けたが、消化器を叩き付けたと・・・
ガンガン叩いているイメージの筈が・・・
キャべジンの胃袋でポコポコ叩いているイメージが浮いて来た覚えが有りましたね・・・
今は、出版スピードが速く、その辺りの見直しが疎かになってしまっている様にも思えますが・・・
文章力と言う意味では、古典と思われるモノをこそ、お手本にするべきなのでは?
売れると言う意味では、昨今のモノを・・・
その様に思う次第です。