ライトノベル作法研究所
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  4. 暗黒ライトノベル公開日:2012/11/15

暗黒ライトノベルについて語ろう!

 バカモンさんの質問 2012年11月08日

 こんばんは、バカモンです。
 皆さんは「暗黒ライトノベル」なるジャンルをご存知でしょうか?Wikipediaによると

>鬱展開や残虐な描写、悲劇的・絶望的な結末などが盛り込まれている作品

 の事だそうです。
 特に論題らしい論題は無いのですが、暗黒ライトノベルを愛読されておられる方、また今現在書いておられる方、ここで色々語ってみませんか?
 お待ちしております!

●答え●

純金さんの意見2012/11/08

 そんな得体の知れないジャンル名で鬱ラノベが呼ばれていたことを知って驚愕を得ている僕ですが、『Fate/Zero』とか、『されど罪人は竜』と踊るとかじゃないですかね?
 フェイトの方はアニメしか知りませんし、され竜に至っては手に取ったこともないのでよく知りませんが。

うっぴーさんの意見2012/11/08

 こんばんは。
 電撃文庫の『小さな魔女と空飛ぶ狐』(刊行・2010/9/10)がお勧めです。戦闘機による空中戦です。

 序盤から中盤、後半まで、人の臓物がぶちまけられます。
 美少女のヒロインがルンルン気分でお買い物をしていたら、テロに遭遇して一生物ののトラウマを負います。主人公のライバルとなる女パイロットがかわいそうすぎます。
 と、とにかく明るく前向きだった美少女が精神的に苦しい目に合うので、そういった物が好みの人にはお勧めです。

特産ロデオさんの意見2012/11/08

 どうも特産ロデオと申します。
 今手に取って読んでる『ストレイト・ジャケット』(刊行・2000/8)なんかまさにそれですね。

『ギャグもコメディも特に無し。シリアス一色のハードボイルド系。人もポコポコ死にます。グロあり。だがエロは無し。(ちっ!』
 とは著者の言葉。

 作中世界では魔法が一般技術として普及していますが、数ある魔法ラノベのような夢のある代物ではありません。何しろ一度でも生身で魔法を使った人間は“魔族”という異形の怪物になってしまうのです。

 魔族になったが最後。
 理性は消え殺人衝動と嗜虐の快楽のままに動く化け物へ。
 人を生きたまま切り刻み抜き取り内臓を弄りまるで人形のように遊びます。

 それを抑制するための作業服的な物があるにはあるのですが、整備不良のような単純な事故からテロリストの工作による魔族テロなど様々な原因から魔族化が止むことはありません。
 魔族は災害と認定されており、余りにも強力な個体が現れた場合は燃料気化爆弾で街一つ吹き飛ばすのも辞さない。

 さらには魔族化した人間の親族というだけで迫害され、魔族に暴行された女性が産んだ子供は中身は普通の人間でありながら外見に魔族の体型を一部受け継いでいるがためにリンチの対象となる……

 魔法から始まる破綻した世界観。
 もう救いようもないし、修正のしようもない、どうあっても悲劇にしかならない物語。

 その中でかつて自ら師であり命の恩人だった義父を殺した主人公が、やはり自分が両親を殺した少女に見守られながら、己の咎に相応しい死に場所を求めて魔族と戦う──というストーリーです。
 かなりテーマ性の強い作品ですが、良い意味でも悪い意味でも人間の真に迫る良作だと思います。

ツキワさんの意見2012/11/09

 こんばんは。

 自分が知っている暗黒ライトノベルは『されど罪人は竜と踊る』(刊行・2003/1/30)ですね。
 
 咒式と呼ばれる、森羅万象を統べる力が存在する世界です。
 主人公は常に経済的な問題を抱え、主人公の相棒は良く言えば武神、悪く言えば猟奇的な殺人鬼。
 彼らは残酷な面倒ごとにいつも見舞われ、その度に心を歪曲させられています。

 一巻はまだ暗黒色は濃くなかったのですが、二巻からが物凄いです。
 四、五巻は筆舌尽くしがたい残虐さと救いのなさで満ち溢れています。

 読了後は気持ちが地の底に沈む事間違いなしな、人間の汚さがこれでもかと言うほど盛り込まれている作品です。

底辺 従助さんの意見2012/11/09

 こんにちは、底辺 従助です。
 され竜、いいですよね。僕は虚淵玄も好きです。

 暗黒ライトノベルの源流にあたる、かもしれない作品に心当たりがあります。
 それはジュブナイル作家の西谷史が書いた『デジタル・デビル・ストーリー 女神転生』 (刊行・1986/3)です。人気ゲーム「女神転生」シリーズの原作に当たります。

 原作のアイディアと設定を元にアトラスが築き上げたものとはいえ、この小説が書かれなかったら、過去の名作である真・女神転生シリーズはおろか、ペルソナやデビルサマナー、デジタルデビルサーガやデビルサバイバーもなかったと思うと、功績は大きいです。
 概要を簡単に言うと、オカルト系の伝奇物で、日本神話の神々を前世に持つ人々が、異能の力を用いて悪魔と戦っていく、という感じです。
 コンピューターで悪魔を召喚し使役する、というのが特徴と言えます。

 内容の抜粋ですが、結構ダークです。
 まず、主人公が悪い意味で人間的すぎます。苛めの報復に悪魔を召喚し、加害者たちを殺してしまい、悪魔の絶大な力で学園の影の支配者に収まるなど、色々黒いです。
 一応その後正義に目覚め悪魔と戦い始めるのですが、時すでに遅し、という感じでした。

 その他、ヒロイン一人を救う為に人類全体を危機にさらす、自らの悪魔召喚がきっかけで大異変が起こり、無関係の人間達が殺されていく、そのせいで民衆が暴徒化して主人公達を迫害し、身を守る為に主人公が市民を殺めてしまうなど、何というか暗黒ですね。

 結局人々は、責任を取らせる形で主人公を裁判にかけ、絞首刑を宣告します。しかも公開処刑です。悪魔に呪われ過去の罪に葛藤していた主人公は、いざという段階になって逆上し、自分を罵る市民たちを悪魔と思い込んで、異能の力で切り捨てていきます。
 その際、味方の女神に体を支配されたヒロインが、主人公を止める為に殺してしまうという、何とも言えぬ悲劇的な展開で第一部が幕を閉じます。

 また性描写も濃厚で、美貌の女教師が悪魔の生贄に捧げられ、身も心も悪魔に魅せられて子供まで生んでしまったり、未遂に終わるもののヒロインが何度か凌辱されそうになったり、女神を悪魔が犯そうとしたりと、色々過激です。

 強姦や殺人を含む暴力描写も充実していて、モブや脇役が次々と被害にあいます。残虐描写には事欠きません。裏切りや狂気を通じて人間の暗黒面を描くなど、心理描写もやや鬱です。
 悪魔に憑依された不良達の話が印象的でした。
 仲間内で一番良識のある元優等生の青年が、暴徒に妹を殺されてしまったことで何かが壊れ、慟哭しながら最愛の妹の亡骸を食べ始めるシーンは、読んでて泣きました。

 第二部では新ヒロインが悪漢にレイプされたり、脇役の中性的な美少年が暴漢に犯されてしまったり、合法ロリ女神の女性器がちらっと見えてしまうシーンがあったりと、何とも言えぬ気分にさせてくれるイベントが目白押しです。

 第二部も面白いのですが、最後がやや投げっぱなしジャーマンでした。欲を言えばもう二、三巻は刊行して欲しかったのですが、とりあえず面白かったのでよしとします。

 自分なりに分析すると、当時はまだライトノベルが古風なジュブナイルの影響下にあったので、やや硬質の作品が生まれる土壌があったのではないか、という結論に至ります。
 また、あの富野監督が制作した機動戦士Zガンダムのような、悲劇的な結末を迎えるアニメの残り香が消えていない頃の作品でした。ひょっとすると、時代の影響もあって独特の雰囲気が生まれたのかもしれません。

 時代が隔絶しているので、現在の暗黒ライトノベルの書き手に直接影響を与えたことはないでしょう。命脈が細々と保たれてきたマイナーなジャンルを、結果として新進作家が拡大してしまっただけで、直接のつながりはないと思います。
 しかし、個人的にはやはり源流となるものはいくつか存在していたのだ、と考えています。

 虚淵玄や浅井ラボや西谷史のように、僕も名のある作家になって暗黒ライトノベルを書いてみたいです。その為には、頻繁に長文を投下しては、掲示板に新しい書き込みがないか何度もチェックしていないで、やることをやって執筆に移らないといけませんね。
 長文乱文失礼しました。

トータスさんの意見2012/11/09

 私が知る限りで最古のモノを・・・
 冴木忍の『星の大地』 (刊行・1993/06)ですね。

 偶々手に取り、この人のだからと読んで見たのですが・・・
 救いが無かった・・・

 主人公は、女王に仕える女騎士。
 ある日、女王が自殺を図った。
 助かるのかどうか判らないまま、何日もただ助かる事を望むのだが・・・

 帰って来た女王はまるで別人としか思えない程、人が変わっていた。
 その事を女王自身に問い詰め、自分達しか知らない筈の事を知っていたり、意外な事実を知ったり・・・
 本人である事は間違いないのだが、人格が変貌していた!

 恋心を抱いていた育ての親に、実は愛人と隠し子が居たとか・・・
 その育ての親は、恋仲になった相手が殺していたり・・・
 絶望的な状況から脱出する為の大脱出艇に乗り込む時、自分より他の子供を優先し、乗れなくなっても健気に見送ったのだが・・・

 その脱出艇の中で暴動が興り、墜落・・全滅・・・
 辛うじて災害を免れ、生き残った主人公は、一人彷徨う・・・
 きっとみんな生きていると思いつつ、その事実を知らぬがままに・・・

トータスさんの意見2012/11/09

 もう一つ、ライトノベルと言えるかは判りませんが・・・

 『導きの星』(刊行・2002/01) :著者・小川一水はご存知ですか?

 こちらも中々に暗黒な展開でしたね。
 最後は大団円に収まりますが、それまでの展開を鑑みると・・・
 十分に暗黒だと思えたので上げさせて貰おうかと。

 主人公は、その都度入れ替わります。
 人で在ったり、獣で在ったり・・・
 では最初の主人公は、

 恋人をその手の中で失い、絶望に暮れた男。
 そのまま厭世的な仕事に着き、生涯をその仕事に費やす事を決めたのだが・・・
 アシスタントとしての相棒達三人の内の一人が、死んだ恋人そっくりであった・・・
 その事に戸惑いつつ、仕事を全うし様と考えるが・・・仕事が手につかない。

 定期的に眠りに着き、数百年の時を流されて行く・・・
 起きる度に様々な変化を見取りながら、人類以外の種族を育て上げる仕事。
 その為に暗躍するアシスタント、それを促す為の裏方仕事を専門とするモノ・・・

 自己を持ち、優れた者に成るモノ・・・
 相争い、殺し殺され、相手を滅ぼす事を目的にした者・・・
 明かされた真実・・・残酷な現実・・・隠されていた事実・・・
 そして、意外な結末・・・

 途中で読むのをやめたくもなったのだが、引き込まれていた・・・
 愛読はしていないが、偶々取った本がそんなだった。
 続きが気になる事に関しては、相当だったので・・

UNIさんの意見2012/11/16

 こんにちは、UNIです。
 自分が思いついたものは、麻生俊平著:『ザンヤルマの剣士』(刊行・1993/03)です。
 作家の乙一さんが大好きらしいですが、出版されていた当時はスレイヤーズ、オーフェンの全盛期であんまり目立ってなかったです。

 『ザンヤルマの剣』という古代文明の道具を手に入れた少年が同じ文明の道具を手にした人間と戦うというストーリーですが、悪事を働く人間の動機が兄弟へのコンプレックスだったり、親からの虐待だったりと、現代社会に通じるものがあり、描写がとにかくリアルです。
 宗教団体が絡む話では、マインドコントロールの手口が凄く丁寧に書いてあり薄ら寒くもあります。

 敵がどんなにどうしようも無い悪人でも殺さず、救おうとする主人公、ハッピーエンドはほぼありません。
 それでもキャラクター、設定は非常に魅力的で読む価値はある作品だと思います。

ランドさんの意見2012/11/17

 暗黒ライトノベルと聞いて、まっさきに思い浮かんだのは『絶望系 閉じられた世界』 (刊行・2005/04)でした。

 谷川流さんの作品なんですが、なんというか、とにかく欝になります。
 序盤はドタバタコメディーっぽく始まっておいて、後半に行くにつれてだんだんと狂っていく感じがすごかったです。何の救いもないようなラストに、読んだ時はかなり圧倒されました。
 何より主人公が無力なのが特徴的です。色々と抵抗しようとするんですが、それがことごとく無駄になってしまうという……。主人公が必死に希望にすがりつこうとしているのに、熱い展開などはまったくなく、読んでいてこみ上げてくるのは虚しさだけだったりします。

 なかなか難しい作品でした。深いテーマがあることは分かるんですが、それがどういう形をしているのか、読んでいて混乱しました。
 機会があったら読んでみてください。他の作品には無い、独特の雰囲気を味わうことが出来ると思うので。

芦原毛糸さんの意見2012/11/17

 こんにちは!
 はじめまして。

 毛糸と申します。
 私的には、入間人間さんの『トカゲの王』 (刊行・2011/07)などもそのジャンルの端っこに引っかかるのではないかなーと思っています。
 中学生が主人公なのに血なまぐささがハンパない。

 あとこの間完結した長谷敏司さんの『円環少女』 (刊行・2005/08/) は確実にはいると思います。

 でもやっぱり、私の一押しは「脳R(のあーる)ギュル」全三巻(刊行・2007/07)です。夢野久作さんの作品群をライトノベルとして翻案した作品で、実にえげつない。ただ王道の暗黒ライトノベル(?)ではないので評価は分かれるところです。

アンタレスさんの意見2012/11/19

 そうですね……。
 『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』(刊行・2007/06)とかですか。癖のある文体が興味深いです。名前通り、ダークですよ。

 自分もいつか書きたい……。
 ダークな小説や重い話題が大好きな人なんで。

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