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  4. 中華風ファンタジーはなぜ受けない?公開日:2013/01/27

中華風ファンタジーは少年向けラノベでなぜ受けない?

 ひのきのぼうさんの質問 2013年01月26日

 ラ研、大変勉強させていただいております。
 中華風ファンタジーというジャンルは、少女向けでは花盛りですが、少年向け(いわゆるラノベ)では、ほとんど見ません。
 歴史をベースにした物語ではなく、あくまでも「中華風」、実際の中国の歴史を参考にはしますが、完全に創作の国や登場人物が出てくるものです。いわば、十二国記や彩雲国物語のような作品です。

 なぜ、本屋さんでは見かけないんでしょうか? 需要がないのでしょうか、それとも未踏の金鉱脈なのでしょうか?
 読み手として、書き手として、中華風ファンタジーをどう思われるか、ご意見をお聞かせくださいませ。よろしくお願いいたします。

●答え●

トータスさんの意見2013/01/26

 一寸前、と言ってしまえるかは疑問ですが・・・
 十数年ほど前(1990年代前半から2000年代前半)は割と在ったのですが・・・
 央華封神だったかな?
 他にも色々とありましたね。

 一時は中華風ファンタジーブームにもなりましたが、そのブームが去ると、殆どが未完のまま終わってしまったり・・・
 後は下火になってしまいましたね。

 それからは、西洋風のモノや和風のモノが主になってきました。
 後は色々と組み合わせ、混ぜ合わせた世界が多くなったかな?
 描き易さ、と言う点では、洋風化したモノの方が判り易いと見られがちかと・・・

 漫画であるならば、その絵から様々な事柄が読み取り易いのですが、それらを良く知らない相手が、文章化したそれを見て理解し辛くなってしまう事も・・・

 中華風、と言うモノの下地か育ち辛かったのではないかと思われます。
 あとは、そのブームの後くらいに多くなっていった外国人による様々な事件などによる印象により、忌避される様になったのでは?

 少女向けに関しては、その中華風の華美な衣装や、芸術性などが受け入れられ易かったのでは?

 私の印象としては・・・
 需要は十分?に有りますが、未踏の金鉱脈には成り得ないかと・・・
 掘り尽くされ掛った、砂金拾いに近いかな?
 更に掘り下げれば、更なる埋蔵は見込めるかもしれませんが・・・

 読み手としては、好きな方ですが、圧倒的に書き手が少ない。
 少なくとも、良いと思える書き手は・・・
 泣かず飛ばずで終わってしまいがちになっているかと・・・

 その割に、西遊記や封神演義、三国志などの根強いモノのパロディに関しては、その下地が理解され易く、人気も高いかと・・・

 まぁ、少年向けを狙うよりは、その一寸上《二十代位?》を狙った方が理解され易いかな?
 今の中国の印象(尖閣諸島の領土問題、反日デモなど)から鑑みると、少年受けはし辛い様な気がします。
 悪い印象の方が強いかと・・・

 少女の方は、衣装が華麗で華美である事の方が重要なのかな?
 目立ち、判り易い印象。西洋風よりは、中華風の方がエキゾチックで魅力的な印象なのでは?

 長くなりましたが、これは私が考えて見た印象なので、一概には言えませんが、参考になればと思います。
 思い浮かぶがままに、思い描けるがままに、述べさせていただきました。

純金さんの意見2013/01/26

 西洋ファンタジーなら、魔獣だの貴族だの帝国だの皇帝だの奴隷だのと、ありふれた設定を流用するだけで、それらしい雰囲気作りが出来ます。

 しかし、中華風となると中々難しいですよね。時代によってものの呼び名とか通貨とかも全く違うので、かと言って適当に呼称をこしらえると、半端に馴染みのある音だったりして混乱します。

 造語を作りにくいってのと、後異国人を出しにくいからじゃないですかね。
 西洋ファンタジーにファンだのワンだのという謎の東洋人がいても違和感ないですけど、中華ファンタジーに西洋人が出てくると、もう三角貿易のイメージしか想起しないですよね。

smanさんの意見2013/01/26

>中華風ファンタジーというジャンル

 漫画であれば「封神演義」が有名ですね。
 いや、元をたどれば小説だけど、コレも一応は歴史ベースか。
 ……しかしラノベとなると、確かにパッと思いつく少年向けのタイトルは浮かびませんね。

>需要がないのでしょうか、それとも未踏の金鉱脈なのでしょうか?

 「十二国記」や「彩雲国物語」は有名ですし、中華風という見た目自体が悪いわけではないでしょう。
 未踏の金脈なのかもしれませんが、それは、「上手く扱えて」こその金脈である気がします。

 というのは、漫画やアニメなら絵があるので良いですが、文字だけの小説で「中華風」と「和風」の区別がつくよう書けますか、という事です。
 たいして違いがないなら、読者にとって馴染みやすい和風でいいじゃないか、なんてことになりそうな。
 まあ、日本ではないどこかの和風ファンタジーってのもあんまり見ない気がしますが。
 江戸時代とか戦国時代といった歴史を下敷きにしたファンタジーならわりとあるけども。
 また漫画になるけど、蟲師とかが完全な和風ファンタジーになるのかな?

 ジャンルとしての中華風ファンタジーは、読者視点から考えて嫌いではないけど、ひのきのぼうさんが仰っているように「少女向け」のイメージがあるので、進んで手を伸ばすのは躊躇われます。(ふしぎ遊戯とか…これも漫画だなぁ)
 書き手視点から言うと、中華風、いやここはあえてオリエンタルと言いますか、そうした神秘的な雰囲気が難しそうで、下手を打てば週刊漫画の10週打ち切りくらい残念な結果になる気がして手が出ません。

 十二国記の小野不由美さんは、本来は少女向けホラー作家だと記憶しています。有名所だとゴーストハントとか。
 ホラー作家が「ファンタジーを書いてくれ」と言われ、頭のなかにあったファンタジーのイメージが中華風だったので十二国記を書いた、と何かで語っていたような。
 銀河英雄伝とか水戸黄門を参考にしたとか書いてあった気がする。

 上では否定的なことを書いてますが、舞台がどこであろうと、ちゃんと書ければそれで良いと思います。世界観もキャラもジャンルも、需要なんてものは面白ければ自然と生まれるもの。
 問題なのは、それをどう表現するか、ではないでしょうか。
 知っての通り、銀河英雄伝はSFです。水戸黄門は時代劇です。小野不由美さんはホラー作家で、十二国記はファンタジーです。

 SFや時代劇を使ってホラー作家がファンタジーを表現した結果が十二国記という名作なわけです。

雷さんの意見2013/01/26

 こんにちは、雷です。
 『十二国記』は、僕の愛読書のひとつです。

 「中華風ファンタジー ラノベ」でググってみたら、いくつかのタイトルがすぐ見つかりました。
 『DRAGON BUSTER』(電撃文庫)や『封仙娘娘追宝録』(富士見ファンタジア文庫)、『天仙物語』 (集英社スーパーダッシュ文庫)あたりは、レーベルを基準にすれば、少年向けラノベと考えられるでしょうか。どれも未読ですが(爆)
 小説全般に目を向ければ、数はさらに増えるでしょう。

> なぜ、本屋さんでは見かけないんでしょうか? 需要がないのでしょうか、それとも未踏の金鉱脈なのでしょうか?

 “未踏”ということはないと思います。
 たしかに西洋風や和風のファンタジーと比べれば、絶対数は少ないでしょうが。
 “需要”が無いわけでもないはずです。
 『十二国記』や『彩雲国物語』の成功がそれを証明してくれています。

 世界観の広がりや、物語づくりの参考になる資料の量と質は、西洋風・和風ファンタジーのそれと比べて何ら遜色は無いでしょう。神仙、妖魔、神法道術などのファンタジー要素はもちろん、歴代中国王朝の政治や軍事についての資料も豊富です。

> 読み手として、書き手として、中華風ファンタジーをどう思われるか、ご意見をお聞かせくださいませ。

 技術的な問題としてぱっと思いつくのは、使用する“文字”と“語感”の問題ですね。同じ漢字であっても、中国と日本、同じ中国でも時代ごとに語感や語義が異なりますから。“剣”と“刀”のカテゴライズなんかが好例ですかね。常用漢字以外の特殊文字も多いので、苦労は絶えません。でもそれを踏まえて作品に取り組めば、世界観や設定、独自の専門用語も、物語に魅力を添える有用な道具になると思います。

 あとは世界観の背景に、中国らしさを反映させたいですね。宗教や思想は中国神話や道教に、政治体制や文化も実際の歴史に取材しながら決めていきたいです。結果、日本人に馴染みの無い用語が氾濫したりするかもしれませんが、それは西洋風や和風のファンタジーも同じことですしね。

飛車丸さんの意見2013/01/26

 簡単に言えば、需要が無いです。

 供給されたものを受け入れる、という土台はありますが、率先してそれを求めてはいないんですね。
 また、供給するのも難しい。

 完全なオリジナルで勝負する場合、軍事なら三国志、冒険なら西遊記、異能バトルなら封神演技、武侠なら水滸伝、という強大な壁が立ちふさがっています。

 さらに、西洋とちがって中華という舞台は「世界」よりも「国・地方」を連想させるため、世界観の設定とその伝え方もまた大きな壁となります。
 また、これらを乗り越えても今度は言葉のイメージと認知度の壁が待っています。
 なまじ漢字を使うだけに、たとえば武器一つとっても、鞭のように同じ言葉でも意味合いが変わってしまったり、刀や剣という記号だけでは別のものをイメージされたり、鏢のようにそもそも漢字を使うこと自体が困難だったり、拐や牌のように漢字で書かれてもわかんねーよなものが多かったり、ほんともう作者泣かせなんですよね。

 人物の名前も同様で、ただ漢字表記するだけでは、訓読みと音読みと北京語と広東語でそれぞれに違う。
 他の、ちょっとした小道具でも何でもそう。
 さらに、これら全ての読み方を統一した方がいいのか、はたまた、認知度や固有名詞などの区分によって使い分けるのか、単純なだけに難度の高い判断を迫られる。

 それだけに、この壁を乗り越えて世に出る作品は、ハズレが少ないんですけどね。

 とはいえ、私も中華風に関しては門外漢なので、あまり詳しくはいえませんし、的外れかも知れません。実際これも、思いついたものをざっと列挙したに過ぎないです。普段のように要点をまとめることも出来ない始末ですね。
 なのでこの意見は、適当に流し読みして、ふーんへーあっそう、くらいに思っておいた方がいいんじゃないでしょうか。

ドラコンさんの意見2013/01/26

 中華風ファンタジー好きの一人として、私見を申し上げます。
 まず、「ライトノベル」の定義を、「表紙・挿絵がアニメ絵である」「レーベルが『ライトノベル』と名乗っている」のいずれか一方に該当する小説とします。

 確かに、文庫本の少年向けライトノベルのレーベルでは、あまり見掛けません。あっても十数年以上前の作品も多く、新刊書店よりも、古書店を回ったほうが手に入りやすいのではないでしょうか。
 ただ、新書本のレーベルまで視野を広げると、近刊でもあることはあります。手元にあるものを2作挙げておきます。いずれも「少女向け」に特化したレーベルではありません。

『天山の巫女ソニン』(講談社ノベルス、菅野雪虫、ノベルス版既刊2巻、2011年~)

『華国神記』(中央公論社C★NOVELS、九条菜月、本編5巻、『躍進 C★NOVELS大賞作家アンソロジー』収録外伝1作、2011年~2012年)

 両作とも、中国史の実在の人物が、セリフを含めて登場しませんので、ひのきのぼうさんのご質問の通り、「完全な創作」の世界です。

 ただ、『天山のソニン』は、元は「第46回講談社児童文学新人賞」受賞作です。また、出てくる地名・人名の響きの中には、韓国風・モンゴル風のものもあります。男性の服装・髪型は明代以前の中国風ですが、ヒロインの服装は神社の「緋の袴」とチマチョゴリを足した感じです。ですから、「ライトノベル」や「中華風ファンタジー」の枠から、少々はみ出ている印象もあります。

 少し脱線しますが、『躍進』収録の、『災獣たちの楽土』(尾白未果)外伝「燼灰を薙ぐおろか者」を読んでいますと、登場人物名の響きから、和風の架空国が舞台のように感じます(本編は未読。挿絵も扉絵1枚のみで、世界観を判断するには不十分)。

 人様に読んでいただくことは考えておらず、自給自足ですが、実は私も、「中華風架空世界が舞台の小説を書いてみたい」と、漠然ながら考えております。
 そういった目で、中華風ファンタジーを読んでおりますと、挿絵どころか、表紙すら付かず、純粋に文字だけで世界観を伝えるのは、並大抵のことではない、と感じます。

 実在の世界であれば、その元号・人名・地名を出せば事足ります。しかし、架空世界であれば、その世界に存在しないものを出すわけにはいかないでしょう。中華風世界と、和風世界とでは、用語がどうしても共通してきます。特に、和服と漢服は「ボタンを用いず、帯を用いる」という大きな共通点があります。そのため、絵も「中国」という語も使えないとなれば、「和服」と認識されないためには、相当の苦労を伴うのではないでしょうか。

 また、作中の地名・人名の響きも重要でです。人名なら姓は漢字1字、名は1字~2字、地名は漢字2字で、共に音読みないし中国語読みとします。
 世界観を伝える上で、作中の住人たちの衣食住を描写するのは、大事なことと考えております。特に「食」は手っ取り早い方法ではないでしょうか。

 中華風ファンタジーであれば、「とにかく、肉まんを食わせろ」です。

 手元の中華風ファンタジーを読んでおりますと、登場人物が肉まんを食べるシーンがよく出てきます。西洋風ならパンとスープ、和風ならご飯とみそ汁ないし、おにぎりです。

 肉まんは誤認される恐れはないのですが、注意が必要な場合もあります。和風と中華風とで、用語が混乱する例として「饅頭」があります。日本語の「まんじゅう」なら、「中に甘い餡が入った菓子」です。中国語の「マントー」なら、「小麦粉を練って、発酵させ、蒸した丸いパン」(『広辞苑』)です。「中華風蒸しパン」書ければよいのですが、「中国」が存在しない架空世界では、それはマズいでしょう。「小麦蒸し餅」と言い換える必要があります(「餅」の字には、「もち米、その他の穀物を蒸してついた食物」のほかに、「小麦粉をこねて円くのばし、焼き、または蒸した食品」の意があり〈漢和辞典『新漢語林』〉)。

 このように、「和風」と誤認されないために、どうしても注釈がうるさくなってしまうことは避けられません。

 また、作中で直接出すか、絵や像、セリフとして出すかは別として、龍や麒麟などの、中国の聖獣・怪物、西王母などの神を登場させるのも、一つの方法です。

 こちらの「創作相談掲示板」に、中華風ファンタジーの書き方について質問させていただいたことがあります。その際のご回答を拝読していますと、現実世界と架空世界の橋渡し役として、現実の中国を知る人物を架空世界にトリップさせるのも、「一案ではないか?」と感じました。そのトリップ者に説明させるのです。なお、先に挙げた『天山のソニン』と『華国神記』は異世界トリップモノではありません。

smanさんの意見2013/01/26

 感心してしまったので、ちょいと横レス失礼します。

>完全なオリジナルで勝負する場合、軍事なら三国志、冒険なら西遊記、異能バトルなら封神演技、武侠なら水滸伝、という強大な壁が立ちふさがっています。
>なまじ漢字を使うだけに、たとえば武器一つとっても、鞭のように同じ言葉でも意味合いが変わってしまったり、刀や剣という記号だけでは別のものをイメージされたり、鏢のようにそもそも漢字を使うこと自体が困難だったり、拐や牌のように漢字で書かれてもわかんねーよなものが多かったり、ほんともう作者泣かせなんですよね。

 私も「中華と和風の違いが書き分けられるか」と似たようなことを書いたのですが感覚的なものでした。
 しかし、なるほど。

 それで「少女向け」が多いのかと妙に納得できました。
 少女向けだと恋愛メインな部分もあるし、戦闘にしても多種多様な武具が出てくるわけじゃないしね。

ギアッチョさんの意見2013/01/28

 正直そういう中華風ファンタジーって、たいてい長いし、重いから好きじゃありません。かっこいいけど、なんか爽やかじゃない。そもそも中国が「易姓革命」の国で歴史が血みどろだからって言うのもあるのかもしれません。やるなら社会制度は中世西洋風にすべきだと思います。

かの あきらさんの意見2013/01/28

 かなりあいまいな意見で申し訳ないのですが、ちょっと感じたことだけ。

 中国、日本でもそうなのですが、西洋風のそれと比べてバトルが地味だなあって思ったことがあります。

 少年向けものって、男同士のぶつかり合いバトル、結構重要ですよね?
 加えてファッションの持つイメージが、弁髪に月代とかとか………

 ここらへん、大衆ウケを狙ってつきつめてくと漫画版封神演義のように、中国風なんだか西洋風なんだか訳のわからないものになってしまう。

 じゃあ、西洋風でいいじゃんってなってしまうんじゃないかなあ?
 と思いました。

高海さんの意見2013/01/28

 ミニスカートや水着のようなコスチュームの馴染まない風俗や「七年男女不同席」のイメージから、ライトノベルに男性向けの色情要素を求める読者には敬遠されているかもしれません。どことなく、主人公が誰であれ中華ファンタジーのヒロインは女官か妓女に限るというステレオタイプがあって、美少女剣士のような華のあるキャラを自由に出しにくい雰囲気は感じます。巫女やくノ一や大名の姫君といったモチーフを自在に駆使できる大人向けの和風ファンタジー(伝奇小説)の方が、その手の読者からの受けはよいかもしれません。

 話は変わりますが、私個人の体験を述べると、2009年に『恋姫無双』(萌えアニメです)と『北方水滸伝』に触れるまで、いかなるジャンルであれ中華風の世界(現実の中国を含む)を舞台とした文学作品に意識的に手を出すことはありませんでした。

 三国演義も水滸伝も、あれは一部のマニアが好むものであって自分とは生涯無縁の作品という認識でした。西遊記や封神演義、あるいは『十二国記』などは今でも読もうという気になりません。ただし、「中世ヨーロッパ以外をモデルにした異世界ファンタジー」と「近世以前の社会史・文化史」には昔から関心があり、聊斎志異のような志怪小説や東京夢華録のような一種の風土記には馴染んでいました。それが結果的に『恋姫無双』や『北方水滸伝』の世界観を受け入れさせる下地になったのかもしれません。
 なお、私が『北方水滸伝』に次いで読んだ小説は『桃花源奇譚』です(これも異世界ファンタジーではありません)。

カズトさんの意見2013/01/30

 封神演義もいいけど。
 もう一つ。マンガに有名な中華風ファンタジーがありましたね。
 ドラゴンボールってタイトルです。

ドラコンさんの意見2013/01/30

 高海さん、横から失礼します。ドラコンと申します。

 >どことなく、主人公が誰であれ中華ファンタジーのヒロインは女官か妓女に限るというステレオタイプがあって、美少女剣士のような華のあるキャラを自由に出しにくい雰囲気は感じます。

 この点についてです。少女向けのレーベルの表紙を見ている限りの印象では、同感です。しかし、少年向けレーベルでは果たしてどうでしょうか。
 私が読んだものでは、ヒロインが「技女」「女官」というのは、案外少なかったです。

 ライトノベル中華風ファンタジーの「女官」ヒロインは、少女向けレーベル以外での近刊の例として挙げた、『天山の巫女ソニン』くらいです。ただ、『華国神記』も正ヒロインは元神様ながら、主要キャラに技女も登場します。

 「剣士」を含めて、「武闘家美少女」は、実はけっこう居ます。完全な「中華風架空世界」が舞台の作品で、以下に例を挙げてみます。

『悠久の翼と蒼き巫女』(大原信弥、ファミ通文庫、2008年)
 ヒロインは剣術使いの巫女。「中華幻想絵巻」と名乗っているわりに、その格好は神社の「緋の袴」。

『武林クロスロード』(深見真、小学館ガガガ文庫、2007年~2009年)
 美少女道士で拳士。

『龍盤七朝 DRAGONBUSTER』(秋山瑞人、電撃文庫、2008年~)
 剣士志願のおてんば皇女。

『虎が踊り、龍が微笑む』(嬉野秋彦、ファミ通文庫、2007年~2008年)
 全寮制の武術学校が舞台。正・副2人のヒロインは、パチンコ使いと鞭使い。

『央華封神』(友野詳、電撃文庫、1996年~2001年)
 武闘派仙人。RPGなら魔法使い+武闘家。

『チャイニーズ・ドリーム そして炎は天を突く』(雪村智史、富士見ファンタジア文庫、2002年)
 武術をたしなむ勝気な商人の娘。

雷さんの意見2013/02/01

 また来ました、雷です。
 他の方々のレスに触発されたので、蛇足ながら追記します。

> (純金さん)
> 西洋ファンタジーなら、魔獣だの貴族だの帝国だの皇帝だの奴隷だのと、ありふれた設定を流用するだけで、それらしい雰囲気作りが出来ます。
> しかし、中華風となると中々難しいですよね。時代によってものの呼び名とか通貨とかも全く違うので

 魔獣は“妖魔”や“魑魅”、貴族は“王侯”や“諸侯”、帝国はたんに“国”ないし“大国”、奴隷は“奴婢や“下人”というふうに、「それっぽい」語を当てることは可能なはずです。もちろん時代によって意味が異なる語はたくさんあるので、注意が必要であることに反論の余地はありませんけどね。

> 異国人を出しにくいからじゃないですかね。
> 西洋ファンタジーにファンだのワンだのという謎の東洋人がいても違和感ないですけど、中華ファンタジーに西洋人が出てくると、もう三角貿易のイメージしか想起しないですよね。

 歴史をひも解いてみれば、歴代中華帝国は古代ローマ帝国に比肩する多民族国家といえます。遼、金、元、清のように、漢民族以外の異民族による王朝も存在しました。中国を初めて統一した秦も、もとをたどれば西戎と呼ばれた異民族です。
 また、中国史には西洋人も登場します。漢代に使者を送ってきた大秦国王安敦はローマ皇帝アントニウスといわれています。唐代に安史の乱を起こした安禄山も異民族の出身で、本来の名はアレクサンドロスと同根と考えられます。元を訪れた馬可波羅(マルコ・ポーロ)は、『東方見聞録』の著者として、あまりにも有名です。明代の宣教師・利瑪竇(マテオ・リッチ)は、中国に西洋文化を伝えた功労者として知られています。別の視点から述べれば、アラビアの『千夜一夜物語』の「アラジンと魔法のランプ」の舞台は中国です。
 シルクロードを通じて、中国には様々な異国の文化と人々がやってきたことが想像できます。

> (ドラコンさん)
> 中華風世界と、和風世界とでは、用語がどうしても共通してきます。特に、和服と漢服は「ボタンを用いず、帯を用いる」という大きな共通点があります。そのため、絵も「中国」という語も使えないとなれば、「和服」と認識されないためには、相当の苦労を伴うのではないでしょうか。

 服については「袍」や「袴」「裳」など、たしかに日本と共通する用語が多いですが、上着は「袍衣」、スカートは「裙子」という具合に二字熟語を使えば、和風っぽさが薄まるかもしれませんね。

 > 作中の地名・人名の響きも重要でです。人名なら姓は漢字1字、名は1字~2字、地名は漢字2字で、共に音読みないし中国語読みとします。

 人名については、おおむね姓が一字、名が一字となるように思われます(例、劉・備)。ただし二字の姓も少ないですが存在しますね(例、諸葛・亮)。字は二字が多そうです(例、玄徳、孔明)。親や師や主君は姓名で、それ以外は姓字で人の名を呼ぶのが礼とも聞きますね。
 地名が二字というのは、おおむねそのとおりだと思います。ただし一字や三字の地名も無くはないようです。逆に国名は、一字が多そうですね。

> (高海さん)
> 主人公が誰であれ中華ファンタジーのヒロインは女官か妓女に限るというステレオタイプがあって、美少女剣士のような華のあるキャラを自由に出しにくい雰囲気は感じます。

 ラノベについてはドラコンさんが実例を挙げてらっしゃるので、中国の歴史や伝説を見ていってみましょう。すると、舞闘派のヒロインが少なくないことが分かります。
 病気の父親に代わって男装し従軍した花木蘭は、のちにディズニー映画「ムーラン」のヒロインとして描かれました。平陽公主は娘子軍を率いて父を助けた、唐建国の立役者です。穆桂英は『楊家将演義』を題材とする京劇で、主人公すら 負かしてしまう女傑として描かれています。
 『西遊記』に登場する鉄扇公主(羅刹女)は孫悟空と対等に渡り合った大妖怪、『水滸伝』の扈三娘は梁山泊でも指折りの強さを誇る女剣士、『封神演義』の鄧(偏が登、旁がおおざと)嬋玉は投石の名人で主人公たちを苦しめました。
 こうした実例を見ていくと、中華風ファンタジーにも美少女剣士が登場する下地が十分にあるように思えてきますね。

 ……誰に向かって話してんだか分かんない文章になっちゃったな(汗)

ドラコンさんの意見2013/02/01

 雷さん、ご丁重なお返事をいただき、恐れ入ります。ドラコンです。

 >服については「袍」や「袴」「裳」など、たしかに日本と共通する用語が多いですが、上着は「袍衣」、スカートは「裙子」という具合に二字熟語を使えば、和風っぽさが薄まるかもしれませんね。

 「二字熟語」とは気付きませんでした。「和風」ぽっさがいくらか薄まるような気がします。とはいえ、難しさがあることは変わりありません。やはり、「衣」より「食」ですかね。

 >人名については、おおむね姓が一字、名が一字となるように思われます(例、劉・備)。ただし二字の姓も少ないですが存在しますね(例、諸葛・亮)。字は二字が多そうです(例、玄徳、孔明)。親や師や主君は姓名で、それ以外は姓字で人の名を呼ぶのが礼とも聞きますね。
 地名が二字というのは、おおむねそのとおりだと思います。ただし一字や三字の地名も無くはないようです。逆に国名は、一字が多そうですね。

 拙見を補足していただき、恐縮です。ご指摘の点は私も承知しております。ただ、手元の中華風ライトノベルでは、人名は姓1字、名2字の例が多かったのでそれに倣いました。また、1字だと選択肢が狭ばる気がします。
 そして、字(あざな)と諱(いみな)(本名)と、二つの呼び名があると、リアルさは増すものの、書く側・読む側両方が混乱するのではないでしょうか(姓と名であれば問題ないでしょうが)。
 確かに、『三国志演義』の登場人物の男性はほとんどが名1字ですね。名が2字の人物は黄・承彦(諸葛亮の舅)くらいです。ただ、登場する数が少ない女性の場合には2字が多いようです(王・元姫〈晋の初代皇帝・司馬炎の父、司馬昭の妻〉)。

 それに、現代中国人の名は2字という印象を強く感じます(習・近平〈中国共産党総書記〉)。
 おっしゃる通り、国名は1字でないと雰囲気が出ませんね。

飛車丸さんの意見2013/02/01

 気に掛かったので少しだけ。
 まず知っておくべきは、漢という時代です。
 この時代は、項羽と劉邦で有名な劉邦が起こした前漢、それが王莽によって一度は簒奪された新、再び劉秀こと光武帝によって再興した後漢、という3つの時代からなっています。有名な三国志は、この後漢末期の戦乱時代ですね。
で、ですね。

 前漢末期の頃には、人口の増加によって既に一字名では間に合わなくなっていたのか、それともただの流行り廃りなのか、二字名が相当多かったようです。
 であるのに、私達がもっともよく知る古代中国、つまり三国志の時代ではなぜ一字名が多いか、というと、これは実は王莽が「二名の禁」を発したためなんですね。つまり、名前は一字だけにしなさい、と。
 この影響によって、晋代半ばまでは殆ど一字名だったのですが、その後徐々に増えていき、南北朝の頃には再びかなりの数になっていたようです。
 また、外敵によって国が滅び新たに国が興る、ということを繰り返した中国では、姓名ともに「新しく増える」ことが往々にしてありますが、まあこれはまた別の話ですね。
 ただ、それらによって「一字や二字どころか三字四字の名が発生することもある」ということは覚えていていいかも知れません。

 ともあれ、時代背景によって氏姓名字そのどれも扱いが大きく変わってくるわけですが、さてではどうするべきかという答えはありません。なんせフィクションですし。
 ただ、こういうことがあったのだと知っていると、創作の幅が増えるかなーという程度でした。

雷さんの意見2013/02/02

 こんにちは、雷です。

> であるのに、私達がもっともよく知る古代中国、つまり三国志の時代ではなぜ一字名が多いか、というと、これは実は王莽が「二名の禁」を発したためなんですね。つまり、名前は一字だけにしなさい、と。

 そうだったのか!
 お恥ずかしいことに、「二名の禁」のことは知りませんでした。僕が知っている中国の物語の登場人物のほとんどが一字名だったので、漠然と「そういうもの」と思っていたのですが、やっぱり何事にも根拠はあるものですね。
 たいへん勉強になりました。ありがとうございました。

> 手元の中華風ライトノベルでは、人名は姓1字、名2字の例が多かったのでそれに倣いました。また、1字だと選択肢が狭ばる気がします。

 僕が読んできた中国の物語や中華風ファンタジーでは、逆に、男女ともに、姓一字、名一字が多いです(笑)この原因のひとつである「二名の禁」については、飛車丸さんが言及してくださいましたので、そちらも参考に。
 一字だと選択肢が狭まるとはそのとおりで、姓に限っても、歴史に登場する姓はおよそ12,000種類で、現代でも使用されているのはその半分程度だそうです(Wikipediaで調べました)。日本の姓が10万種類を超えるのに比べると、ずいぶんかわいい数字ですね。

> それに、現代中国人の名は2字という印象を強く感じます

 僕は仕事柄、中国人の姓名と接する機会が多いのですが、ドラコンさんのおっしゃるとおり、現代中国では二字名が普通のようです。たまに一字名を見かけると「おお、古風だな」と思いますね。

> 字(あざな)と諱(いみな)(本名)と、二つの呼び名があると、リアルさは増すものの、書く側・読む側両方が混乱するのではないでしょうか(姓と名であれば問題ないでしょうが)。

 たとえば『十二国記』では、登場人物の呼び名は字と姓名を明確に使い分けています。主人公の親友は、姓名を「張清」といい、字は「楽俊」、のちに登場する別字(通り名)を「文張」といいます。ふだんのやりとりでは「楽俊」で通し、目上の人間などに対しては「張清」と名乗り、師からは「文張」と呼ばれる、という具合です。

 物語の途中では、登場人物のひとりが姓、名、字(さらに氏)の使い分けについて解説してくれますが、おかげで主人公はさらに混乱したようです(笑)。
 しかし、僕自身はすんなりと理解できましたね。登場人物ひとりひとりの姓名と字が、しっかり頭に入っています。おそらく物語中ではおおむね「字」で通しつつ、いざという場面で「姓名」が登場するので、印象に残りやすかったのでしょう。(一方『十二国記』では、字は分かるけど姓名は不明、という人物が多いです)
 文章や演出に気を配れば、姓名と字を読者に覚えさせることは十分に可能だと思います。

ドラコンさんの意見2013/02/02

 飛車丸さん、雷さん、興味深いご意見、ありがとうございます。ドラコンです。

 >文章や演出に気を配れば、姓名と字を読者に覚えさせることは十分に可能だと思います。(雷さん)

 やはり、作者の力量次第ですか。
 ある西洋風ファンタジーを読んだときのことです。これの登場人物には、「通称名」と「正式名」の二つの名がありました。世界観から考えると当たり前ですが、名前がカタカナな上に、やたらと長くて覚えられず、往生しました。いちいち巻頭の「登場人物一覧」を見なければならないほどです。誰が誰だかよく分からなくなりました。

 ゆえに、人名は簡潔なほうが良いかと考えました。

 「ライトノベルのレーベル」「中華風架空世界」の2条件を満たし、登場人物が諱と字とを持つのは、私が読んだ中では雷さんが挙げられた『十二国記』くらいです。高海さん宛ての返信で挙げた作品では、字はありませんでした。ただし、『央華封神』では「敵に本名を知られると、術にかかりやすくなる」という理由で、「字」とは言っていませんが、全員「仮名」を名乗っていました(ヒロインを除いて本名は登場せず)。これを字と見なすことはできますね。

 もちろん、現実の中国を舞台にした場合には、舞台の時代に合わせて、諱・字の両方を用いるのも当然です。
 中華風世界なら、当然漢字ですし、そんなに長くならないので、西洋風よりは覚えやすいでしょう。

 現代日本が舞台でも、呼び名は「姓」「名」のほかに、「役職」「愛称」もあります。主に使うものを一つに決めておき、それ以外を使う場合には、丁寧な説明すれば問題は起こりません。私の懸念は、杞憂でしたかね。

 なお、最初に「名は1字~2字」と記したように、私も名を2字にはこだわっていません。念のため申し添えます。まあ、2字だと熟語から名付けることもできるので、選択肢が広がりますね。
 日本語の語感として、訓読みならともかく、音読みで名が1字だと、据わりが悪くなってしまうのではないでしょうか。現に、「三国志」ゲームでも「名」だけだせばよい場面でもフルネームを使っています。

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