ライトノベル作法研究所
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  4. 下読み経験者によるラノベ新人賞攻略Q&A公開日:2013/07/31

下読み経験者によるラノベ新人賞攻略Q&Aその3

須賀透さんの質問2013/07/26

 厚かましくも二度目の質問をさせていただきに参りました。
 下読み経験者さまのお時間が許せば、お答えいただければと思います。

【質問1】
 一次通過する作品とそうでない応募作には大きな差がある、と下読み経験者さまはおっしゃいます。
 具体的にいうと、その差とはどのようなものなのでしょうか?
 これは面白いと手放しで褒めることのできる作品は、最終候補にのこるレベルの作品だそうですね。
 ですから最終候補にのこる作品とその他の応募作の差は、なんとなく想像ができます。
 しかし、一次通過する作品とそうでない応募作の差というものがいまいち分かりません。

【質問2】
 こういう作品は下読みしていてつらいなあ、という作品はありますか?
 また、そういった作品に共通する特徴とはどんなものですか?
(逆説的に、気をつけるべき点をみいだせればと考えています)

【質問3】
 下読みをされる方は、ひとりあたり何作品くらいを、どのていどの期間で読まれるのでしょうか?
 また「あなたが担当する応募作の中で、二次にあげるのは何作品以内にしてください」といった制限はなされているのでしょうか?

【質問4】
 読書愛があればあるほどに、下読みというお仕事はつらいのではないかと思うのです。
 それでもつづけようとお思いになる、その原動力とはなんでしょうか?

下読み経験者さんの回答2013/07/26

●質問1
 1次選考を通過できない作品というのは小説として問題がある作品である場合が多いです。
 ただし1次選考で作品数を絞るレーベルにおいてはそれ+αも考慮するので必ずしも小説になっていないとは言い切れません。
 ただ、少なくとも1次に通過出来ているのであれば最低限必要な部分はクリア出来ていると考えて良いでしょう。
 1次選考は倍率も高いのですから、通ったのであれば自信を持つべきです。

●質問2
 既存の作品そのままという作品は読むのが辛いです。
 こればかり言っていますが、本当に辟易するくらい多いのです。
 ただ、同じ人間がつくるものですから、似てしまうこともあるでしょう。

 そういうことも考えて工夫は1つではなく出来るだけ多くの部分に凝らしましょう。

●質問3
 新人賞によって異なりますが、3桁読むことも結構あります。
 2次にあげる作品数は大体の目安を伝えられる場合が多いです。
 良い作品であれば言われた作品数を超えたとしても通します。

●質問4
 良い作品に出会えることがあるということですね。プロ顔負けの作品に出会うこともあります。
 自分の通した作品が選考を勝ち抜いていくのは何とも言えない嬉しさがあります。

須賀透さんの質問2013/07/26

 二度にわたる丁寧なご回答、ありがとうございました!
 複数のアイデアを盛り込め、というのは分かりやすい指針になります。
 応募作品を3桁よむこともあるとお聞きし、驚嘆しております。
 はたして一作品あたりどのくらいの速度で読まれるのか、そのことを想像するとそらおそろしくもなります。
 ありがとうございました。

【質問】
 もしよければ、いま下読み経験者が今おすすめする作品(ライトノベルに限らず)を何冊でも教えていただけませんか?
 ぜひとも読んでみたいと思います。
 ちなみに、わたしが最近読んだ中では今村夏子の『こちらあみ子』がおもしろかったです。
 ほかには、直木賞を受賞した桜木紫乃著の『ラブレス』など……。ちょっと古いですね。

下読み経験者さんの回答2013/07/26

 文章のお手本という意味で良くおすすめするのは女性の直木賞作家なので、まさに桜木紫乃はおすすめです。桜庭一樹も良くおすすめしたりします。
 文章の面においてはやはり一般小説くらいを目指すのが丁度良いと思います。何事においても大抵目指しているものの一段下に落ち着きますので。

 最近の新人賞関連ですと「明日、ボクは死ぬ。キミは生き返る」 「エスケヱプ・スピヰド」 は共に電撃ですが面白かったです。
 この2作ですとどこでも新人賞をとれる水準です。

「夜は短し歩けよ乙女」森見登美彦
「ジェノサイド」高野和明
「ビブリア古書堂シリーズ」三上延
「図書館戦争シリーズ」有川浩

 一般小説ではぱっと思いついたところがここらへんです。
 気になったものがあれば是非読んでみてください。

 著作物に広くあたるのは勿論、専門書を読むのも良いと思います。
 私は科学や医療、特にクローン技術や宇宙に関するものが好きで良く新書の薄っぺらいのを買って読むのですが、小説でも使えるんじゃないかなというネタが多く書かれています。
 読み物としても純粋に面白いので、興味があればこちらも是非。

豊文さんの質問2013/07/26

 質問失礼します。
 下読みの方が過去に盗作を行った例などはありますか?
(目を引く設定の作品を見て、自身の作品に転用するため故意に落としたなど)

 スレッドを拝見してたらふと思いついてしまい、お聞きしたくなりました。
 作家志望の人は下読みに誘われない、などの決まりはあるのでしょうか?

下読み経験者さんの回答2013/07/26

 作家の方が下読みをすることもあります。
 信頼出来る新人賞に応募しましょう。

豊文さんの質問2013/07/27

 はじめまして。
 滅多とない機会ですので、質問させてください。

1.装丁について
 「40文字×34行」など、規定の書式でプリントアウトするとき、別の下読みさんのご意見で、フォントは12ptが望ましいということが書かれていた記憶があります。
 下読み経験者さん周囲のご意見ではいかがですか? 文字サイズは大きい方が下読みの行程で役立ちますか?

2.装飾について
 装飾、といっていいのか判らないのですが……
 シーンや視点が変わるとき、「*」とか「***」とかで区切りをつける場合があると思います。
 その記号はどんなものでも(*だと無難なので、☆とか、恋愛ものだとハートマークとか)許されるのでしょうか。
 あるいは、1章2章の章立てで「☆1章」と飾ってみたり。
 それともそれは出版するときの装丁によりけりなので、不必要なノイズと見なされるのでしょうか。
 当方は「*」で済ますことが多いのですが、どこまで余計な遊び心を持ってもいいのか気になりました。

3.ルビについて
 難しい漢字にはルビは振った方がいいという指摘を受けました。
 そのときに指摘を受けた漢字は「馬芹」でした。
 なにかで下読みさんや編集者さんになら読めるだろう文字にルビを振るのは心証が悪くなると読んだ記憶があるのですが、実際そのようなことはありますか?
 異世界ファンタジーだとどこまでルビを振るか悩みます。
 たとえば「市」をバザールと読んでほしい場合、わたしは最初にバザールとルビを打つに留まってますが、以降「市」だけでは読みづらいのだろうかと心配です。

4.主人公の年齢について
 個人の作品についての相談になって申し訳ないのですが……
 個人的には20代としたい主人公でしたが、やはり10代の方がいいだろうと指摘を得て、17歳に設定し直しました。
 メインのヒロインが幼く(行動など)、ヒロインの子どもっぽいかわいさを出したくて、掛け合いの際、主人公が親っぽいというか兄っぽいというか、目上の人間の応対になっています。
 読者層を考えたとき、そういう掛け合いや主人公は17歳としてどうなんだろうと少し引っかかります。
 ほかのキャラクターとの掛け合いでは違いますので、ヒロイン相手にはそうなる、という程度なら許容されますか?

 長くなってしまって、申し訳ありません。
 お時間のあるときで結構です。お答え頂ける範囲で教えてくださると嬉しいです。

下読み経験者さんの回答2013/07/26

【1】
 特に指定がなければ読みやすいと思うもので構いません。ですのでフォントは12で問題ありません。大きさは私もそれくらいが読みやすいと思います。

【2】
 許されますが、使わなくても問題ないのであれば使わないほうが望ましいです。
 新人賞に応募する方に良くいうことですが、文章だけで勝負してください。

【3】
 難しい漢字にはルビをふりましょう。
 特殊な読み方をしてもらいたい場合にもルビをふってください。
 ただしルビをふらなければ読めない漢字が続くと読みにくくなってしまうので、そこは注意してください。
 応募作の中にはそのような作品が案外多いのです。
 読めるかもしれない、程度の漢字でしたら大抵読めるのでルビはふらないでも大丈夫です。
 仮にふったとしてもそれだけで心証が悪くなるということもそうないでしょう。

【4】
 全然問題ないと思いますよ。
 主人公を10代にした方が良いというのはまさにその通りで、それを受け入れたのは賢明な判断です。

兎美味しいさんの質問2013/07/27

 兎美味しいです。
 簡単な質問ですが、主人公の名前が六文字なのですが、三人称で書いているので毎回毎回主人公の名前を書いています。
 これは読む側にとっては鬱陶しいですか? 一応省略できるような名前なので、省略した方がいいですか?

下読み経験者さんの回答2013/07/27

 6文字でも特に問題ないですよ。
 3人称をフルネームで書く作家もいますし、そのような場合主人公の名前が6文字の場合もあります。

お願いします。さんの質問2013/07/27

 一次、二次、最終、受賞作品はそれぞれ、投稿室の平均点数で言えばどのくらいのものですか?
 評価する人の感覚で点数が入るので、言いにくいかもしれませんが、こじに、平均点数で面白さはハッキリ解ると思うんです。出来ればお願いします。

下読み経験者さんの回答2013/07/27

 長編で2作品程読ませて頂きましたが、平均が15点前後というのが改稿して新人賞に応募したほうが良いかどうかの一つの目安になるのではないでしょうか。
 点数を強引に結びつけるとすれば1次15~20、2次20~25、最終30、受賞30~35でしょうか。

イシバシセンパイ。さんの質問2013/07/27

 イシバシセンパイです。
 起きたら、非常にありがたいスレができていました。下読みの方の話を聞けるのは中々ないですから、私も質問させていただきたく存じます。

1,下ネタは入っていても大丈夫ですか? 下ネタをこよなく愛している私にもある程度の良識はあるので性差別的なものや人に見せられないような過度な表現は控えていますが、そもそも下ネタ自体がアウトな人もいますよね……。

2,一部ではもう廃れたとまで言われているらしいですが、男の娘ってどうですか? 私は男の娘フェチなので、たいていの場合はヒロインに据えてているのですが……廃れたの……(´;ω;`)?

 今のところ質問したいことはこれだけです。もしかしたら再びお世話になるかもしれません。
 何卒よろしくお願いします。
 それでは。

下読み経験者さんの回答2013/07/27

【1】
 過度に使っていないのであれば大丈夫です。

【2】
 男の娘をメインのヒロインに置くと女性ヒロインに比べて需要が狭まってしまうため厳しくなります。
 サブに置くのであれば問題ありません。

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