ラノベに王道ありさんの質問 2013年11月16日
なぜ大学生の主人公は少ないのか。
ラノベに限らず、漫画やアニメでも、主人公は高校生――たとえ学校に通っていないとしても高校生くらいの年代――であることがほとんどです。
竹宮ゆゆこ先生の『ゴールデンタイム』(大学生が主人公のラノベ)が現在アニメ放送中ですが、「なぜ『ゴールデンタイム』はとらドラになれなかったのか??」(http://trivianews.doorblog.jp/archives/34805319.html)というスレッドが立つように、その人気は芳しくありません。
大学を舞台にして人気を得ることはとても困難な道なのです。
この話題については2chで何度か議論されたりラ研でも「大学生が主人公のライトノベルはなぜ少ないのか?」に取り上げられたりしていますが、そこで出てくる答えは「作者が大学に行ってないから」のようなあからさまに学歴コンプレックスが見え見えなものや、「中高生の共感を得られないから」というトートロジカルなものであるかのどちらかという状況。
前者はともかくとして、なぜ「共感を得られないから」が説明になってないのかというと、理由を掘り下げていないからです。「中高生は大学に行ってないから主人公に感情移入できない」というのであれば、「中高生は異世界行ってないから異世界ファタジーを楽しめない」「中高生は戦国時代行ってないから歴史ものが楽しめない」という結論だって演繹できそうですが、実際にはそうならないですよね? ということは、結論に不備があると考えても差し支えないでしょう。
だったら、主人公を大学生にしない、大学を舞台にしない、その理由は何か。
別に難しい話ではありません。「ちょっと頭を使えば」すぐに出てきます。つい最近、「なんでラノベは大学でなく高校が舞台の方が多いのか考察しようぜ」(http://onecall.livedoor.biz/archives/6851722.html)でやっとその理由を書いてくれた人が現れたので引用します。
18:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/07(月) 11:51:24.62
大学を舞台にすることによるデメリット
・JDはBBA
・クラス・担任といった括りが緩くなり係や委員会等もなくなりキャラの属性付けやグループ分けが不便
・部活やクラブから爽やかさが消える
・受ける授業すらバラバラ
・制服が無いので私服設定面倒描き分け面倒。読者視聴者に覚えさせにくい
・定型的な学校行事やイベントをネタにするのが困難
逆に大学を舞台にすることによるメリットは特にない
38:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/07(月)
大学を舞台にすることでエピソードの種にするネタが激減するという デメリットをフォロー出来るメリットはどこにあるの?
中高舞台ならキャラ出し終えたら定型行事こなしてるだけでどんどん話膨らませられるのに?
「大学生活」は学部学科によって全然違うから大学生活経験者の間でも共通体験少ないよ?
48:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/07(月)
大学は地域とランクで格差っつーか環境に統一性なさすぎるから
一般視聴者への訴求力がどうしても低くなるのよ
52:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/07(月)
だよな
大学生活経験者なら「誰もがあるあると言えるような共通体験豊富な大学生活」を書けると思ってる奴って大学行ったことなさそう
84:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/07(月)
げんしけんやもやしもんが大学を舞台にすることの限界を示してると思うよ
学部学科ランクetcで生活スタイルバラバラだから、
「共通体験を描いて読者に共感させる」といった手法が使えず
「サークル以外の部分を極力省く」or「特殊なジャンルのウンチクをネタにする」
といった形になる
後者を採用したもやしもんはネタ切れgdgd状態だが
要点を纏めると、大学を舞台にするデメリットは
・授業以外に強制的なイベント(文化祭や体育祭や修学旅行)が皆無なので話を膨らませにくい
・担任も生徒会も委員会も、そして制服もないのでキャラが作りにくい
・クラスが存在しないも同然なため、ハチャメチャやってもスケールが小さい。「サークルの仲間内」の話が精々
・文理が違うと、学部が違うと、学科が違うと、専攻が違うと話が通じないので、「誰もが憧れる大学生活」を描写できない
・勉強内容が専門的すぎてネタにできない
・就活が関わってきてシラケる。大学受験のように扱えない
なのです。ラノベで大学を舞台にするメリットがあるだろうか。いや、ない。
「大学の学習内容は人によって違うから大学生活をイメージしにくい」ということはもはや自明だと思っていたのですが、今まで出てこなかったのが不思議です。
●答え●
日本人は昔から、幼いもの、可愛い物が好きな民族であるそうです。
なので、まだ未熟なかわいらしさのある中高生主人公が、中高生だけでなく大人にも好まれるのではないでしょうか?
逆にアメリカでは、ムキムキマッチョな元海兵隊などが活躍する話が好まれます。
また、世界に残っている神話や童話、伝説などは「大人への生まれ変わり」をテーマにした話が多く、人間は本能的に未熟な少年が試練をクリアーして、成長する話を好む傾向があります。
この大人への生まれ変わりの時期がちょうど中高生であり、大学生になるともう大人にカテゴライズされてしまうため、成長する話が書きにくくなるというのが最大のデメリットではないかと考えられます。
未熟な少年のほうが、未熟な分だけ成長する余地や可能性を秘めているので、主人公にふさわしいのです。
恋をするにも大学生より、中高生の初恋のほうが、初々しくて、新鮮な驚きや情動にあふれています。
中高生が異世界に迷い込む話は、少年が直面する試練として機能します。
しかし、大学生が大学生活を送る話は「試練」ではないので、それだけではおもしろくないのです。
何が言いたいのかよくわからないけど、
主人公が高校生に比べ大学生(の学校生活)は書きにくいというのは、出すまでもなくちょっと考えれば誰でも辿り着く結論でしょう。
そもそもラノベの読者層が中学生や高校生なんだから、その年齢から離れた場所に主人公を置くこと自体が不自然です。
実際の読者は大学生やそれ以上の年齢もあるというのは別として、想定する読者は中学高校の年齢層ですよ。
主人公が15~18歳くらいの年齢でないなら、その必要性が物語になければならないと思います。
そうでない場合は得てして憧憬という要素を孕んだ20代の主人公になったりします。昔のラノベに多いですね。
あるいは、王道ありさんが挙げたような「学校の要素」があまり出てこないタイプの話ですね。
『パパのいうことを聞きなさい!』 (大学生を主人公にして累計100万部以上を売り上げたラノベ。娘3人の面倒を見る家庭生活がメイン))なんかがそうなるでしょう。
大学生で学校生活はあまり出さず、というか出す必要がない話。
まあつまり、王道ありさんの主張は「学校生活を書く場合に限定した話」という前置きが必要かと思います。
大学生のメリットを挙げるなら、例に出てる『げんしけん』 がメリットを一部活用しています。
それは、「生徒が怪しげな事をしてても違和感がない」という部分です。ともすれば「異常」と言われそうな事でも自然に書けます。
『変ゼミ』なんかがまさにそうですね。この系譜は『動物のお医者さん』から始まって(もっと以前からあるかもしれないけど)、異常な度合いの変化はあれど、基本は変わっていない気がします。
また、優秀な高校生という設定はよくある事ですが、異常なIQとか特別な設定が必要になります。ですが、大学生なら秀才というだけで頭のいいキャラを書けます。
これは「専門的すぎて授業をネタにできない」を逆手に取ったネタです。要するに「専門的なことを習ってるから特殊な事を知ってても違和感がない」ということですね。
一部の作家にとってはとても心強いメリットになります。
「大学で民俗学を専攻してる」と書くだけで、作者は妖怪やマイナーな風習などあらん限りの知識を遠慮無く書くことができる。
物語への導入も「教授に付いて田舎へ来た」だけで済むし、妖怪や地方の風習に興味を置く作家さんにとっては、日ごろの趣味を遺憾なく発揮できる設定でしょう。
デメリットがあるとわかっているのなら、そこから少し思考を凝らしてデメリットを利用する事を考えてみたら如何でしょうか。
どこからツッコモうか迷うところなのですが、「高校生活」を描いた、いわゆる学園モノの枠組みを、むりやり「大学生活」にはめこもうとすると、たしかにラノベに王道ありさんが挙げたデメリットがつきまとってくる、か、も、しれません。
高校と大学とでは、学校の仕組みや教育の性質がまったく異なるからです。
しかし大学生は、高校生に比べて自由度が高いです。
全国の大学で共通するイベントが無いのなら、地元の夏祭りや文化祭、運動会に出ればいいし、下宿している安アパートの住人と一緒に、花見やバーベキューパーティーを開いてもいい。
たとえ実家住まいであっても、中高時代に比べればずっと交友関係が広がりますし、バイトも自由にできますから資金力も上がる。
近所の高校の学園祭に遊びに行って、そこで出会った美少女高校生ヒロインと恋に落ちもいいし、女子高生とデートしているところをサークルの仲間に見られて「ロリコンだ」とからかわれてもいい。
とくに大学1~2年生って、僕自身がそうだったんですが、受験戦争からようやく抜け出して、
就職活動という試練まで、まだ猶予が与えられている、とても気楽な身分なんですよね。
もちろん、現実には日々の生活と勉学の両立に苦労している苦学生もいますけど。
物語に「学生生活」から離れた非日常的なファンタジーやSFを持ち込んでも、「大学生」(場合によっては「成人」「大学院生」など)という、主人公の“身分”が持つポテンシャルを発揮させる余地は十二分にあります。
それに、ラノベに王道ありさん自身が、
> 「中高生は大学に行ってないから主人公に感情移入できない」というのであれば、「中高生は異世界行ってないから異世界ファタジーを楽しめない」「中高生は戦国時代行ってないから歴史ものが楽しめない」という結論だって演繹できそうですが、実際にはそうならないですよね?
とおっしゃっていますから、
「異世界に行ったことのない中高生を対象とした、異世界を舞台にしたラノベ」はもちろん、「大学に行ったことのない中高生を対象とした、大学を舞台にしたラノベ」が存在してもおかしくありません。
ハンディキャップは似たようなものですし、むしろ現実世界を舞台にしているので、大学モノに分があるようにも思えます。
実際にその作品がおもしろいかどうかは、このさい度外視します。
富野由悠季bot ?@tominobot 2013年8月24日 - 21:252
物事を「これもダメ」「あれもダメ」と決断できないのは、これまで自分ひとりで決断できるまでのことをやってきていない――つまり、あなた自身が駄目だから判断できないのです。怠け者は概して、あれこれ考えている内にただ時間が過ぎていくものです。
ゴールデンタイムが人気ないというか、とらドラが売れすぎたんだよ
声優ブーストがあったのはわかるけど、あの内容でなんであんなに売れたの?
大学生主人公が少ない理由は色々あるでしょうが、私はやはり共感が得られないからだと考えています。
この意見について王道さんは「異世界ファンタジーはー」「戦国はー」とおっしゃっていますが、この反論は根本的にずれています。
ここで言う「共感が得られない」は、世界観ではなく主人公の精神年齢の問題です。
異世界ファンタジーにせよ歴史モノにせよ、ラノベであればそのほとんどの主人公の年齢は、大体中高生当たりに設定されているはずでしょう。すると、彼らは、世界こそ違えど中高生の共感できる言動をします。
一方、大学生が主人公となると、彼らは中高生の枠を超えた言動をします。だから、中高生には共感ができないのです。
んで、大学生主人公のメリットを少し考えてみたら、中高生を大学生として大学に送り込んで、全然違う世界に戸惑いつつなんとかやっていく話とか、異世界召喚物っぽくて面白そうだなって思いました。あれ、大学生主人公じゃなくね?
大学が舞台でできることは、高校でも可能だと思っています。
すでに書かれているのですが、大学生活は中高生も大学生も想像しづらく。大きな欠点です。
そのうえで書くのであれば、鴨川ホルモーのような作品になるのではないでしょうか。
大学生という設定を活かしきれない以上、ラノベにする意味があまり感じられないです。
ゴールデンタイムは面白いですが、すでに少女漫画でたくさん見たような気がします。
とらドラはそれまでになかった独特の雰囲気があり。時代を先取りしていたように思います。
確かに声優パワーもありますが。仮にいま、とらドラが放送されたとしてもそれなりにヒットしてるのではと思います。
引用部分については、なるほどと思いました。
ですが、そこで語られている論点は、「大学生主人公にメリットが見当たらない」であって、「大学生主人公にデメリットがある」では無いようです。
そうであれば、以下の三つの疑問が派生します。
1・大学生主人公にメリットなしと見えるのは、中・高生主人公による既成ストーリーの枠に囚われて見ているからではないのか?
2・大学生主人公の採用に積極的なデメリット(メリットが薄いというデメリット以外に)が何かあるのか?
3・大学生主人公の、これまでの枠に囚われない新たなメリットを創出することはできないのか?
纏めると。
A。すでに整備されたメリットの多いエリアがある(中・高生主人公)。
B。敢てAをスルーして、メリットがあるかもしれないが現状では未開拓なエリア(大学生主人公)を模索することは有効なのか?
これが、導き出される問題の中心軸だと思います。
回答はすぐには出せないので、ちょっと検討してみますね。
多少欠如しているかもしれない私の思考力で考えたことは、こんなところですw
ではでは。