ライトノベル作法研究所
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  4. ラノベ新人賞の疑問に現役下読みが回答公開日:2014/04/01

ラノベ新人賞の疑問に現役下読みが回答。その4

ジジさんのコラム2014/03/26

 プリキュアなどは顕著ですが、女子向けアニメには男子向けにはない制約が山のようにありますので、ラノベの参考にはなりにくい気はします。あの方法論で文章作品を作ると、やけに観念的になったり理屈っぽくなったり、単純に盛り上がらなくなったりします(経験上)。

 そういう意味で、成人女性向け以外の小説媒体では常に男子向けを意識するほうがよい気はします。

45さんの質問2014/03/26

 ジジさん、先ほどはありがとうございました。
 また質問したい事ができてしまったので、お答え願えればと思います。

 私は今、とある賞に応募するために二つの作品を仕上げているのですが、片方は去年同じ賞で一次を通過したものを大幅に改稿した作品。もう一つは完全新作となっています。
(ただ、新作は自分でも分かるくらい、改稿した作品に比べて完成度が低いです。というよりも、改稿した作品が私の書いた作品の中で一番の出来となっています)

 以上を踏まえて質問したいのですが、複数あるので番号をつけさせていただきます。

1、応募されてきた作品はシャッフルされると聞きました。つまり、同じ日に同じ人間から届いた作品であっても、読むことになるのは別の下読みの方となるのでしょうか?

2、過去にその賞で選考を突破した、もしくは改稿作であると分かっている場合、下読みの方は編集部からその時の講評、感想などをもらって評価の参考にしますか?

3、2に関して、もし分かるようならでいいのですが、編集の方は過去の講評などを参考にして応募作を読むのでしょうか。

4、片方が受賞に値するほどの作品、しかしもう片方が一次も突破しないような作品。こういうむらっ気といいますが、作品の差がある応募者がいた場合、下読みの方や編集の方はどういった評価を下すのでしょうか。
(上に書いてある通り、前者は過去に応募した作品を改稿して良くなっている場合としてください)

 質問は以上です。
 私自身、新作の方の自信がなくなっていて、仮に選考過程でマイナスの評価を下されるくらいなら出さずにおこうと考えてしまっています。
 ですが、新作を書けないとも思われたくはないので、どうにか良くしようとあがいている最中です。

 質問は多いですが、お答えいただければ幸いです。

ジジさんの回答2014/03/26

> 1、応募されてきた作品はシャッフルされると聞きました。つまり、同じ日に同じ人間から届いた作品であっても、読むことになるのは別の下読みの方となるのでしょうか?

 同じ人間がまとめて読むパターンと、1作ずつ別々の人間に回されるパターンがあります。
 どちらになるかは編集部の意図によって変わります。
 応募者の方の実力の平均値を知りたい場合は前者、公正な審査を重視する場合は後者になる感じかと思います。

> 2、過去にその賞で選考を突破した、もしくは改稿作であると分かっている場合、下読みの方は編集部からその時の講評、感想などをもらって評価の参考にしますか?

 私に関して言えばしません。先入観を持ってしまうと審査が引きずられてしまうので。
 ただ、前年や違う賞で同じ作品を読むことがありますので、その場合はどれだけ改善されているかに注目します。

> 3、2に関して、もし分かるようならでいいのですが、編集の方は過去の講評などを参考にして応募作を読むのでしょうか。

 編集者は当然さまざまなデータを持っていますので、それを踏まえてその応募作や応募者の商品力を探ることになります。

> 4、片方が受賞に値するほどの作品、しかしもう片方が一次も突破しないような作品。こういうむらっ気といいますが、作品の差がある応募者がいた場合、下読みの方や編集の方はどういった評価を下すのでしょうか。

 下読み段階では、受賞に値する作品のみを評価します。
 編集部段階でも基本的には同様です。
 基本的に出版社は「可能性」を探していますので、よほど投稿歴に引っかかるものがあったりしなければプラス面に注目するものです。

 なによりも自分がデビューしたいと願う気持ちと、その気持ちを托すレーベルを信じてください。
 受賞すると実に様々な「信じられない気持ち」が湧き出してくるのですが、それもまたプロにのみゆるされた贅沢な悩みというものです。

 必要でしたらメールででも、あらすじなどについてご相談ください。

るるさんの質問2014/03/26

  女子向けの制約とはどういうものでしょうか?

ジジさんの回答2014/03/26

・バトルを楽しまない。
・敵を殺したり、敵に重傷を与えたりしてはいけない。
・基本的に道具を直接打撃武器として使ってはならない。

 等です。
 もちろんもっと大量に細かいレギュレーションがあるのですが、個別の制約を挙げていくと身バレしてしまうのでご容赦を。

あまくささんの意見2014/03/26

 プリキュアって、説教しながら敵と戦うんですよねw ちょっと、学級委員っぽいって言うか。
 でも、あれはあれで、素直な正論をあれほど衒いなくぶつける物語も今時めずらしいので、意外と新鮮に感じたりもします。

 私がプリキュアで一番参考にしているのは、話を30分にまとめる巧さです。毎回テーマがあって、それに絡めた日常系のエピソードを序盤の5~10分くらいに必ず入れるんです。それを毎週やっているから完全に手馴れたものという感じで、そつのなさに感心しながら見ています。

 あ、長くなるので、レスはお気になさらずに。

れいちぇる~んさんの質問2014/03/26

 出版不況で日本ファンタジー大賞が無くなってしまったので、ラノベ文芸賞なるものを知り、こちらの分野に興味を持っています。

 ラノベ風の文芸なのか、文芸風のラノベなのか、単に主人公が中高生でなくてもよいという年齢制限を撤廃しただけのラノベなのか……審査基準の違いなどはあるのでしょうか?

ジジさんの回答2014/03/27

> 出版不況で日本ファンタジー大賞が無くなってしまったので、ラノベ文芸賞なるものを知り、こちらの分野に興味を持っています。

 なるほど。そういうことでしたら、賞として分離していない電撃よりはこちらのほうが応募しやすいですね。

> ラノベ風の文芸なのか、文芸風のラノベなのか、単に主人公が中高生でなくてもよいという年齢制限を撤廃しただけのラノベなのか……審査基準の違いなどはあるのでしょうか?

 基本的にはラノベのテイストを含むヤングアダルト、という解釈で大丈夫です。一般文芸っぽくさえなければ、ラノベである必要もないエンタテイメント作品を幅広く受け入れてくれるのがこのジャンルのいいところですね。

 身もふたもない話になりますが、メディアワークス文庫のラインナップが参考になるかと思います。
 ファンタジー作品での応募を考えているなら、成人女性向けのCノベルスも資料になります。

45さんの質問2014/03/27

 一度書いてみて余りにも長くなってしまったため、箇条書きで重要そうな部分だけを切り出してみました。(ただ、あまり深いところまでは書き込めませんので、ご了承ください。また、詳しく聞きたい部分があれば遠慮なくお願いします)

・新作は改稿作より思い入れのある作品。
 十巻分ほどのプロットなら頭の中である程度構築できます。

・シリーズ展開というべきか、長いストーリーを書いていく中で改稿作は出発点としておそらく最適。新作は前日談?が優秀なのですが、それをストーリーの最初に持ってくる事は……。
(前日談は主人公の後の性格を形作った部分であり、信念の根底にあるものですが、少しダークと言いますが、ある意味では主人公のトラウマです。なので応募作という意味では敬遠していますし、読後感もこれ単体では悪いと思います。
 主人公が成長する(したようにみせる)バッドエンドだと考えていただければ。
 ただ、前日談は膨らんでいずれ本編のストーリーに直接からませるつもりです。ですから、そこで書ければと思っています)

・上に書いた通り、新作は応募作の体裁をとるため、出発点とならざるを得なかった部分。

・書きなおしてある程度は良くなったが、改稿作に比べると山場の盛り上がりなどが弱い。
(物語の進行上、序盤で最大の課題が提示する必要があり、それに対処するために準備をする、実際に対処するというのが大まかな流れとなっています。そのため、中だるみしている気がします)

・どれだけ考えても改稿作よりいいと思えない。
(強く、分かりやすいテーマがあり、主人公が成長した結果ハッピーエンドという改稿作と比べるとどうしても見劣りします。前日談の話を混ぜ込めば対処できるんですが、それだと不幸を語るようで私は好きではありません)

・新作と前日談の間には、主人公と女主人公の出会いの部分があり、そこを膨らませれば応募作分ほどの分量にはなるため、腹をくくってこちらを書こうか迷っている。
(ただ、明確なボスがいないため、応募作としては弱くなってしまう危険性もあります。それに作品の雰囲気というか、それをより強く感じさせらるのは今できている新作の方です)

 もう自分でも何が何だか分からない状態です。恐らく新作に手直しをした状態で投降すると思いますが、まだ面白くできるはずだとも考えています。

 非常に分かりにくいとは思いますが、アドバイスなどありましたら宜しくお願いします。

ジジさんの回答2014/03/26

> ・シリーズ展開というべきか、長いストーリーを書いていく中で改稿作は出発点としておそらく最適。新作は前日談?が優秀なのですが、それをストーリーの最初に持ってくる事は……。

 物語の導入として最適なものであるなら、なんとしてでも物語の冒頭に入れてください。
 物語は基本的に時系列に沿って進めるべきですし、賞というものは「きちんと完結した作品」による「一発勝負」です。
出し惜しみをするに足るだけの理由(これを書くと自動的に親が死ぬレベル)がないなら、形振り構わず少しでも強そうな武器を全部作品に突っ込んでください。

 出し惜しみや次の巻を意識している作品はかなりの確率でそれを見透かされます。そうなれば構成で確実にマイナス評価をつけられます。

 主人公が生きてさえいれば次の巻はなんとでもなりますので、続きの展開を考えるよりもまず規定原稿枚数内でドラマを完結させることに全力を注いでください。

> (物語の進行上、序盤で最大の課題が提示する必要があり、それに対処するために準備をする、実際に対処するというのが大まかな流れとなっています。そのため、中だるみしている気がします)

 いくつか対応策は考えられますが、
1.課題を分割化し、Aをクリアして初めてBにアタックできる、という流れを作る。
2.課題自体はあっさりクリア。しかしそれによってまったく別の事件が勃発する。
3.課題に向かうキャラクターたちに「なぜこの課題へ挑むのか?」という理由づけを語らせ、それを元に恋愛や友情等の心情ドラマをからめて物語の幹を太くする。
4.主要キャラを中盤であっさり殺す(主人公以外全員殺すとインパクト大)。
 この4つなら物語をジャマせず展開できるかと思います。もちろん、これをとっかかりにして、まったく別の策を立てるのもありです。

 中だるみの最大原因は「物語の最初と最後を繋ぐ部分になにを入れていいかわからない」ですので、ここはひとつ「物語の都合はうかがいつつもキャラ寄りのドラマを突っ込み、彩りを」と考え、ピンチをチャンスに変えていきましょう。

> ・どれだけ考えても改稿作よりいいと思えない。
> (強く、分かりやすいテーマがあり、主人公が成長した結果ハッピーエンドという改稿作と比べるとどうしても見劣りします。前日談の話を混ぜ込めば対処できるんですが、それだと不幸を語るようで私は好きではありません)

 不幸をじんわりドロドロと語れば読者もただただ不幸になります。
 ですが、不幸に対して主人公がどう立ち向かうかを描ければプラスのカタルシスになりますし、逆に不幸にどう呑み込まれ、結果としてどんな惨劇を演じるかを描ければマイナスのカタルシスが生まれます。
 ハッピーエンドだけがカタルシスではありませんので、ここはいっそ突き抜けたバッドエンドを目ざすのもありではないかと思います。

 物語の流れがわからないのでちぐはぐなコメントになってしまった感じですが、不明点や新たな疑問点等ありましたら新スレのほうで再質問してください。

羽生さんの質問2014/03/27

 回答ありがとうございます。一気にまとめて質問した方がよかったと少し後悔。
 応募作でディストピア作品の比率はどのくらいですか? またそういう作品は通過しにくいでしょうか?

ジジさんの回答2014/03/27

 ほぼ見かけません。
 このジャンルはどの程度世界観を作り込むかがひとつのカギになるりますが、作り込むほどにラノベと相性の悪い理屈臭さ、文学の臭いがしてきますし、作り込まなければ単なる駄作に成り下がります。
 ですので、応募作のテーマとして選ぶには難しい素材かと思います。

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