初めまして、汐朗(せきろう)と申します。
幅広く質問に回答するという作業は気力と神経を使うもの。ある意味、人柱とも言えるスレッドを立てていらっしゃるスレ主さまには敬意を表します。
小生も悩みがございまして、ひとつだけ質問をさせて下さい。
読者が混乱しないよう工夫するのは大前提として~
章ごとに、又は場面ごとに主人公の一人称と三人称が切り替わる作品は、評価の上でマイナスになりますでしょうか。
主人公の心理や主義主張を前面に出したいけれど、主人公が登場しない場面も構成として必要な時に悩んでしまうわけです。
全部三人称で通せと言われればそれまでなんですが、マイナス評価にならないのでしたらやってみたいという気持ちになりまして、ご意見を頂ければ幸いです。
> 章ごとに、又は場面ごとに主人公の一人称と三人称が切り替わる作品は、評価の上でマイナスになりますでしょうか。
それだけでマイナスにはなりません。
ただ、経験から言えば視点切り替えの応募作を一次から上げられたことがありません。
これは視点切り替え・視点移動というものが「技術」で成り立つ手法だからです。
極端な話、「おもしろさ」を測る一次審査に「うまさ」を測るための追加審査が加わるわけですから、それだけ審査の目が厳しくなるわけです。
ただ、うまく、しかもおもしろく書けるなら、非常に大きなアドバンテージが得られることも確かです。
作品内容がわからないので大枠でしかコメントできませんが、このような感じです。
回答感謝いたします。
仮にXという一次で落選した作品があるとします。しかしXは確かに一次で落選しましたが、間違いなく「面白い」域に入っていました。ただ、ジジさんのもとに届いた山のレベルがたまたま高くて、相対評価で落とさざるを得なかった。
こうした場合、評価シートには何と書くのでしょうか。「あなたはセンスが良い。諦めずに投稿すれば、近いうちに賞レースの一次は通過できるだろう」みたいなことを書くのでしょうか。
この点は好評価、この点はマイナス評価、という具合で書きます。
私は応募者の方にとって次の投稿に役立つ情報というものは「なにがよくてなにがダメなのか」だと考えています。
妙に期待させるのではなく、評価データを送ることを第一に考えます。
どうも、サイラスといいます。お言葉に甘えて、2点、質問します。
1・トレンドをどこまで取り入れていいのか?
ここでも、よく話題に上がるのですが、自分の書きたい要素とトレンドや王道要素の折り合いの付け方です。
トレンドや王道要素を多く入れすぎると、既存の作品や他の応募者の作品と似て、作品としての個性がなくなる。かといってよほどの技量と作家自身の知名度がない限り、自分の書きたい要素が多いと、奇を当てらいすぎる危険性が、自分の中にはあります。
ジジさんが考える、トレンド、王道と自分の書きたい要素の境界線というのはありますか?あるのだったら、教えてください。
2・漫画の原作について
以前、別の下読みさんにも聞いたのですが、漫画の原作の下読みというのは、話にも上がってこないのでしょうか?
また、最近の漫画は、絵を描く人とシナリオを書く人が別なケースが増えてきた感があるのですが、そのような漫画のシナリオだけの募集や下読みの業務について、ジジさんのお考え(やりたいとか、今後増えるだろうなといったもの)をお聞かせください。
今、内容がまとまっているのは、これだけですが、お願いします。
> 1・トレンドをどこまで取り入れていいのか?
賞を狙うなら、今感はかならず取り込んでください。
ただ、この今感は「テイスト」であり、「ネタそのものである必然性はない」という点は重要です。
やりたいものの中に今っぽいテイストを混ぜる、それだけで応募作はそれなり以上に確立します。割合はやりたいもの8:今感2くらいで充分かと思われます。
ようするに、「読んでみて古く感じなければいい」のです。
ですので、今感が出やすいセリフまわりには気をつけるべきですね。
> 2・漫画の原作について
特に話もないのですが、頼まれたとしてもこれは断ります。
文章形式で書かれた原作をコマ割りの形で再現することができませんので。
> また、最近の漫画は、絵を描く人とシナリオを書く人が別なケースが増えてきた感があるのですが、そのような漫画のシナリオだけの募集や下読みの業務について、ジジさんのお考え(やりたいとか、今後増えるだろうなといったもの)をお聞かせください。
コミック原作において原作者が正しく原作者として機能するためには、少なくとも自分でネームを起こせる程度の能力がないと難しいのではないかと考えています。
マンガの構造が理解できていなければ、マンガで映えるセリフ構成やストーリーラインは構築できないと思うからですね。
実際やってみると本当に難しいものです。
ですので、マンガの場合は「ネーム込みの原作」形式での募集が増える可能性がありますが(絵を描く人口が増えているので、絵だけは描けるという人も多いですので)、それほど盛り上がらない気はします。
盛り上がる可能性があるとすれば、電子書籍をメインにした自費出版の線ではないかなと。
賞に応募するよりもずっと簡単に、数百円でも自分の書いたもので稼げるとなれば食いつく層は増えるでしょう。
ただ、電子書籍が広がる速度という問題もありますので、なかなかこうだ、とは言えない部分があるのですが。
またなにかありましたら、お気軽にご質問ください。
いわゆる王道と呼ばれる作品についてですが、「王道過ぎて陳腐と受け取られる作品」と、「王道でよく見る設定や展開だけど面白い作品」とを明確に分ける基準みたいなものは存在するでしょうか?
陳腐とオリジナリティを分ける境界線はすなわち「設定(ネタ)」です。
王道に仕分けられる素材を、ほかの人が思いつかないような角度で描くことができれば、それは非常に高い評価を得ることができます。
具体的にこのようなことが知りたい、ということがあればまた再質問してください。
数年前七十過ぎのオバーチャンが芥川賞を受賞していました。そこまで極端でなくても一般では五十歳くらいでのデビューをしばしば見かけます。しかし、ラノベでは(数えで)四十は厳しいでしょうか。
それこそ近年は40過ぎの受賞者が複数いますし、問題ないです。
少なくとも私が関わっている賞においては、応募者の方の年齢で作品の評価を変えることはありません(私の場合はそれ以前に、応募者の方のデータは見ないことにしているのですが)。
むしろ年齢によるご自身の内の今感の目減り、その防止と今感を取り入れる方法について考えるべきです。