ジジさん(ラノベ新人賞下読み)のコラム 2014年03月27日
応募者の方が歳をとるデメリットとはなにか?
最大のものが「読者層となる若年層を理解できなくなること」です。
人間は歳をとります。それにつれ、つきあいの場、幅、温度が変化します。
ラノベにおける最大の読者対象層である中高生は、多数の同じ「若者」に囲まれ、心情面はともかく実質的にはメリットもデメリットもない「友達づきあい」でつながることになります。そのようなつきあいとは無縁という人もいるでしょうが、生で他の学生の会話や空気感、なによりも大事な人間関係を見て、聞いて、インプットできているわけです。
が、社会人にはこれができません。人間関係は同じ職場や同じような趣味人同士という比較的狭い場でのものに固定されるうえ、自分もまわりも「大人」というカテゴリーになりがち。しかも「生活(主に仕事と家庭)」を第一に置かざるをえませんから、必然的に友達づきあいの温度も低くなります。
これがなにをもたらすかと言えば、読者対象層がもっとも共感、感情移入できる高温の人間関係から遠ざかり、「現役ではなくなる」ことになります。
年輪を重ねた応募者の方が主人公やヒロイン、その他のキャラをうまく立てられないのは「現役ではないから」。これに尽きます。
社会人の応募者の方にとって、現役との感覚のズレは致命傷になりえます。目から血を噴く勢いで対応策を考え、形振り構わず実践してください。
もうひとつ大きな問題として「文章スタイルが古くなる(特にしゃべり口調)」もありますね。シリアスものはともかく、コメディだとそれだけで落とされかねません。
極端に言えば、シリアスものの文章は読者が内容を「理解」できれば第一段階クリアになるのに対し、コメディは雰囲気や時代性に合わせたノリを「感じさせる」ものなので、時代からずれているとどうにもならないからです。
まとめて言うなら、コメディはシリアスよりも「今、このときの時代性」が要求されるため、現役ではない人間にとっては高いハードルになりえる。になります。
加えて懐かしネタを扱った応募作は、たいがいがその当時の流行を笑いどころにしたものになりがちですが……応募作ではこれができていない、懐かしネタを延々と垂れ流すだけのものが非常に多いです。
「今の読者は懐かしネタを、懐かしい/おもしろいとは感じてくれない。なにせ生まれていないので」という大前提を念頭に置きつつネタを考えてください。