ライトノベル作法研究所
  1. トップ
  2. 創作Q&A
  3. 作家デビュー
  4. 下読みが回答。ラノベ新人賞Q&A公開日:2014/07/09

下読みが回答。ラノベ新人賞Q&Aその7

ころんさんの質問2014/07/07

 返信ありがとうございます。
 確かに男性主人公は青少年にウケやすいですよね。ちょっと失敗です。

 それでですね、また質問です! ちなみに応募作はSFのアイドルモノだったのですが(無茶苦茶やー)、SFは科学考証必須で難しいとジジ様はおっしゃってますよね。

 ちなみにマトリックス系(ここまで書いていいのかなー)世界、SAOチックなのですが、このかぶるジャンルの多い世界観はそれだけでマイナスになってしまいますか? それとも上手く使えていたらさほどマイナスになりませんか? と言ってもうまく使えているのか不安ですが……

ジジさんの回答2014/07/07

> 確かに男性主人公は青少年にウケやすいですよね。ちょっと失敗です。

 どうしても読者のメイン層が男子になりますので、男子やふーな展開のほうが受けをとりやすい部分があります。特に女子アイドルものなら読者の期待は当然「アイドルとの恋愛」になりますので、ここを外すとハードルが上がってしまう可能性があります。

> ちなみにマトリックス系(ここまで書いていいのかなー)世界、SAOチックなのですが、このかぶるジャンルの多い世界観はそれだけでマイナスになってしまいますか? それとも上手く使えていたらさほどマイナスになりませんか?

 世界設定自体はかぶっても大丈夫です。問題になるのはその設定を生かした物語の軸になる設定(ネタ)ですね。
 また、SFに関してはファンタジーや異能力ものの強みである「それっぽければいい」という手が許されない部分があります。このへんは、そもそも想像発信のネタと科学という実在する上に超専門知識発信のネタの違いとも言えますね。たとえば超シリアスとんでも医術ドラマというようなネタは、やはり成立しにくいです。

 ……話がズレましたが、ここで他作品とはちがう角度からのネタづくりができていれば、意外性という部分で大きなアドバンテージを得ることができます。
 ただし、その設定が既存のネタ+既存のネタという図式になってしまっていて、オリジナリティのない単なる組み合わせになっていないかどうかには注意が必要です。

Smanさんの質問2014/07/07

 ジジさんは前回の質問スレッド春にて「今感」なる言葉を使っておりました。
 これは要するに「古臭いもの」の反対にあるような意味だと解釈したのですが、しかし、だからと言って流行を取り入れれば良いというものでもないと思うし、そうした意味で書かれたわけではないと思います。

 この「今感」とやら、正直に言えばなんとなくわかるし言いたいことは理解できるのですが、具体的にどういうものか把握できず、この感覚を誰かに伝えようと思っても上手く伝えられないだろうというレベルの理解に留まっています。
 おそらくはジジさんも感覚での理解だからこそ「今感」と表現したのだろうと思うので、いまさら掘り返し説明を要求するのはどうかとも思うのですが、たとえ回答が曖昧な形でもただの持論であっても、是非とも「今感」の正体について意見を聞いてみたいと思っています。

 一応、私としては、やはり曖昧なのですが、
 流行や設定は道具で、その扱い方(雰囲気、ネタの造り、展開のタイミング)で「今感」を出す。だから流行を取り入れれば良いというわけではないが、流行であれば「今感」は出しやすい。てなことを考えています。

ジジさんの回答2014/07/07

 「今感」については、非常に説明がしにくい要素ではあります。
 これはまさに「感覚」の話だからですね。ですのでどれだけ言葉を重ねてもズレていく可能性は高いのですが、なるべくがんばってみます。

 ラノベには今現在好まれる人物像というものが存在し(俺様やらツンデレやらの記号で表わされる人格設定です)、通常、登場キャラクターは数が限定された記号の中のどこかに属するよう創られていきます。この、今現在の好みから外れたキャラは当然人気が出ません。

 また、セリフまわりも同様で、創世記には結構な率で文語調セリフをしゃべっていた主人公が、今やラノベ的常識に沿った口語をしゃべっているわけです(一般エンタメではこのような話し方をするキャラはいません)。

 文章まわしもそうで、ラノベ独特の短文の活用による空間(空白)デザインは他の小説メディアではほとんど重要視されない要素ですね。ラノベ以外で思いつくのはスマホ小説くらいです。

 例を挙げていくと膨大になってしまうので一旦切りますが、強引にまとめるなら「今現在のラノベにおいて常識とされている要素――設定、キャラ、セリフ、文章等、すべての構成要素とそれを組み立てる作家性(感覚)」こそが今感の正体ではないでしょうか。
 たとえば純文学があの時代の今感を映した娯楽読み物であったことを考えれば、そう言ってもよいのではないかと。

 さらに言葉を絞るなら、「ラノベ読者が違和感なく「ラノベだな」と思える要素が今感」。
 ですので、

> 流行であれば「今感」は出しやすい。

 そのとおりかと思います。

サイラスさんの質問2014/07/07

 こんばんは、サイラスです。質問のご返答有難うございます。

> 規模の大きな賞なら30パーセントほど、小さな賞なら10パーセントほどではないでしょうか。

 なるほど、つまり、応募者の7割以上は、一回で諦めてしまうということになるんですね。
 それは、惜しいようにも感じますが、1回の応募で諦めるなら、この先、プロの作家であり続けるなんて、無理ですね。

> スマフォ小説はケータイ小説の進化形といって差し支えないかと思います。
> 特徴としては、スマホの一画面をひとつの空間として、文字配置をデザイン化して読者に見せるものであること、そしてE★エブリスタのような投稿サイトにおいて「連載」という形で物語を綴ることが挙げられます。
> また、このようなサイトはコミュニケーションツールとしての一面も持っており、人付き合いのうまい人は人気投票に強い、という傾向もあります。

 イメージとしては、一つの画を作っていくようなビジュアルに重点を置いてものと、従来のケータイ小説と言われる共感やコミュニケーションをベースにしたものの2つのタイプがあるように思いました。

> このメディアで元気があるのはやはり女子向け恋愛ものですね。スマホで数ページ分更新していくだけで反応が返ってきますし、
>集英社ピンキー文庫を始め、複数の専用レーベルからかなりの本数が書籍化されていて、書き手のモチベーションも高いです。

 まだまだ、男子中高生向けの従来のライトノベルは、弱いんですね。
 ここで、追加の質問を2点します。

1・スマホ系のラノベについて
 先程、書いたのですが、男子中高生向けのラノベが弱いというか未成熟な原因って、やはり、書き手が少ないうえに、オンラインゲームなど競合するコンテンツが多いのでしょうか?それとも、既存のラノベの電子化が進んでいないような、権利やコンテンツの運用自体が不慣れなため、各社、消極的になってしまっているのでしょうか?

2・初心者の応募作品について
 初心者とは、応募回数が2回以下ぐらいの方と考えていますが、その方たちの作品で、ここはこだわりや工夫が感じる、力を入れているなというところと、逆に、このところがお留守になっている点というような特徴ってありますか?

 追加の質問ですみませんが、よろしくお願いします。

ジジさんの回答2014/07/08

> なるほど、つまり、応募者の7割以上は、一回で諦めてしまうということになるんですね。

 ほかの賞やジャンルに流れてしまう例も多いかと思います。
 続けていれば受賞や拾い上げのチャンスがあるので、どの賞を選んでも、どのようなジャンルに鞍替えしてもいいのでとにかく書き続けてほしいですね。

> 1・スマホ系のラノベについて

 ラノベに関しては、まだまだスマホ系作家の青田刈りに乗り出している出版社が少ないということもありますが、スマホ小説サイトよりも確実にデビューできる投稿サイト(まさに「小説家になろう!」ですが)があり、書き手がそちらへ固まってしまっているのが大きな原因でしょうね。
 女子が多いのも、前のレスで述べたデビューへの道が太いという理由が強いかと思いますし。
 また、スマホ小説のラノベは普通のラノベの賞で落選したものをそのまま載せてしまう例も多く、書き手の意識面での問題もあるのかなと。

> 2・初心者の応募作品について

 ひとつの作品を最後まで書ききるというのは、まさに並大抵の努力では成し得ませんが、「設定とキャラにオリジナリティが出せず、好きな作品の劣化コピーになってしまう」というのは応募暦の浅い方に多い弱点かと思います。
 最近はあまり見なくなりましたが、既存の有名作をキャラ名だけ変えて送ってくる応募者の方がいます。そのような物語が書きたくて創作を始めたゆえのことでしょうが、創作の創の字がどのような文字なのか、ぜひご確認いただきたいところですね。

田村田中さんの質問2014/07/08

 いつも参考にさせていただいております。
 設定を生かすために、ここら辺に気をつけろ。とかってありますかね?
 ちなみに設定は能力バトル系のものです。

ジジさんの回答2014/07/08

 作品の内容による部分がありますので、言い切るのは難しいのですが、
「その設定の魅力とオリジナリティを端的に説明できるキャッチコピーがあるか?」
 というのはひとつの指針になるかと思います。

 オリジナリティ論に関しては幾度も述べてきましたが、基本的に「ありふれた題材を他人とはちがう角度から切り取り、調理できているか」になります(細かい説明が入り用でしたら再質問してください)。

 設定の魅力が高ければ、キャッチコピーだけで人の目を惹くことができます。
 ご自身の構築した設定の完成度を確かめるなら、キャッチコピーを他人に見せ、反応を確認してみてください。

リン花さんの質問2014/07/08

 私は今新人賞に出そうと思っているガンアクション物の話を書いています。
 この話は語り部と主人公が別にいまして、主人公は男なのですが語り部は女の子(主人公の妹)です。
 女子の一人称は地雷だよなと思いつつも、その語り部の女の子を男にすると、ほとんどの場面が男ばっかりで非常にむさ苦しくなるというのがあり悩んでいます。
 個人的には男女比半々でちょうどよくなっていいのですが、やはりライトノベルというジャンルでは女子の一人称はキツいですか。

ジジさんの回答2014/07/08

 受賞率をほんのわずかでも上げることを考えれば、視点主は男子にすることをおすすめせざるを得ないのが正直なところです。

 ただ、女子視点に意義を感じるなら、女子であるマイナス面を意外性というプラスに変える方法を考えるのもよいかと思います。
 今さらりと考えつくのは、

1.地の文章をあえて3人称にして文語寄りにすることで、語り部役の妹の性別を隠す
2.妹ではない視点主を男子キャラで立て、主人公と主人公について語る妹を丸ごと描写する
3.仲間なり敵なりを女性キャラに変更する

 でしょうか。
 もちろん別の手段でも構いませんし、物語を最高のクオリティで描くために必要なら、妹視点のままでもかまいません(女子視点のマイナスを払拭できるだけの設定とキャラ、物語があればよいわけですので)。

携帯版サイト・QRコード

QRコード

 創作Q&Aは小説を書く上での質問・悩みをみんなで考え、研究する場です。
 質問をされたい方は、創作相談用掲示板よりお願いします。

質問に対する回答・意見を送る

『下読みが回答。ラノベ新人賞Q&A』に対する意見を募集します! 
投稿されたい方はこちらのメールフォームよりどうぞ。

カスタム検索