ライトノベル作法研究所
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  4. 下読みが回答。ラノベ新人賞Q&A公開日:2014/07/09

下読みが回答。ラノベ新人賞Q&Aその10

百一さんの質問2014/07/10

 感情移入という言葉がわかるようでよくわかりません。
 具体的にはどういうことを意味しているのでしょうか? 理解のポイントのようなものをご存知でしたらお教えください。
 感情移入を起こすにはどうしたらいいですか?
 感情移入は強ければ強いほどいいのですか?
 よろしくお願いいたします。

ジジさんの回答2014/07/10

> 感情移入を起こすにはどうしたらいいですか?

 主人公に読者が感情移入するためには、その主人公に共感できることが重要です。
 読者対象層が「自分に近い部分がある」と共感できるよう、主人公の境遇設定や性格設定を作ってあげるのがよいかと思います。

> 感情移入は強ければ強いほどいいのですか?

 そこまでの深さで共感させるためには非常に高い実力が必要かと思いますが、読者を主人公や物語世界へより深く引き込む努力はするべきでしょうね。

平田さんの質問2014/07/10

 初めまして、平田という者です。早速質問させていただきます。
 新人賞によっては、他賞の一次落ち作品をそのまま投稿してくるのはご遠慮ください、というようなことが明言されておりますが、もしも無改稿で投稿した場合、100%落ちてしまうものなのでしょうか?

 中には、運が悪かった(下読みさんと相性が悪かった等)から落とされたんだ、だからあえて無改稿のままで出してもう一度試したい、と思う、あるいは賞を変えれば一次を突破できるかもしれないと思う人もいらっしゃると思います。

 そうして無改稿で出された作品は、前回投稿されたものと変わってない、あるいは他の新人賞で一次落ちしたものをそのまま流用しているな、ということを下読みさんは分かるものなのでしょうか?
 説明がへたくそで変な質問になってしまいましたが、率直な意見をしてくださると幸いです。

ジジさんの回答2014/07/10

> もしも無改稿で投稿した場合、100%落ちてしまうものなのでしょうか?

 100パーセントとは言い切れません。

> そうして無改稿で出された作品は、前回投稿されたものと変わってない、あるいは他の新人賞で一次落ちしたものをそのまま流用しているな、ということを下読みさんは分かるものなのでしょうか?

 初見ならもちろん知る術はありません。

> 中には、運が悪かった(下読みさんと相性が悪かった等)から落とされたんだ、だからあえて無改稿のままで出してもう一度試したい、と思う、あるいは賞を変えれば一次を突破できるかもしれないと思う人もいらっしゃると思います。

 そのように思う方がいらっしゃるからこそ、同じ作品が複数の賞に応募され、その内の数回私のような下読みが読んだりもするわけです。

 が。
 よほどの不幸が降りかかったのでないかぎり、一次落ち作品には設定とキャラクターに巨大な問題があるものです。
 一次を突破するだけの力がないからこそ落ちるわけです。

 どこの賞でもいいから一次を突破する! というのが最終目標ならいいのですが、受賞が目標ならば一次落ちの原因について考え、その上で問題点を解消した新作を書き起こすほうが、落ちた作品をわけもわからないまま手直しするよりはよい結果が出る可能性が高いものと思います。

ティアラミスさんの質問2014/07/10

 こんばんわ、ティアラミスですわ。

> 質問の意図が正しく読み取れませんでしたので、とりあえず創作物を多人数でよりよく作っていくためにはどうしたらよいかについての私見を。
>正しい質問については、お手数ですが再質問をお願いいたします。

 私の質問の意図は、創作の上での、他者(読者)、自分(創作者、制作者)を意識することの、メリット、デメリットです。
 アニメーターの話を入れたのは、創作者としての自分を意識し過ぎた方の例と載せてみましたの。あまりにも作品をより良くしたいという気概は認めるものの、わがままな自分に気づかず、痛々しく感じました。
 一方で、読者を意識しようと、共感は得られやすいもの、他人の目や避難に怯え、二番煎じのような作品しか書けない、それすらも書けなくなるように状態になってしまう危険性を感じます。

 そこで、他人、自分を意識することで得られる利点と、意識しすぎると起きる弊害を教えていただけたらと思い、質問させていただきました。
 ただ、前回の質問は、余計な言葉が多すぎましたわね。

>別の方へのレスに書いたことなのですが、
>「設定の魅力とオリジナリティを端的に説明できるキャッチコピーがあるか?」
>を実行してみるとよいかと思います。
>そのキャッチコピーに入る要素こそは作者がもっとも重要視している要素であり、作品の軸です。逆に言えば、キャッチコピーに入れられない要素は作品にとって重要なものではないと判断できます。

 早速、取り組んでみましたわ。
 けど、できたキャッチコピーが、しっくりこなかったり、くどくなりすぎたり、なかなか難しですわね。

ジジさんの回答2014/07/10

> そこで、他人、自分を意識することで得られる利点と、意識しすぎると起きる弊害を教えていただけたらと思い、質問させていただきました。

 自意識によるメリットは、エッジをそこなうことなく作品という形にまでネタを削りあげられることでしょうね(絵描きなら、自分が思い描いたとおりの線を引ける、ということになります)。
 ただ、そうして生み出したものが他人に賞賛されると、作り手は自分がお客様に作品という娯楽を提供するサービス業であることを忘れ、お客様が作品ではなく、自分という希有な存在に対してお金を払うのだと勘違いするようになります。これこそが最大のデメリットということになりますね。
 だからこそ私は制作者という言葉が好きですし、自身に制作の人間であれと言い聞かせて生きています。

 また、他人への意識(自意識の対義語は存在しないのでこう書くしかないのですが)のメリットは、マーケティングを始め自分の感性と世間の傾向のズレを正しく理解しやすく、実際に作り上げる前に各修正ができるという点です。
 これは書いたり作ったりすることが仕事になると非常に大事になってくる能力で、私が下読みを続けている理由の三割はこの能力を鍛えるためなのです。
 デメリットについては、すでにティアラミスさんご自身が述べておられますね。作者も作品も挙動不審になります。

>  けど、できたキャッチコピーが、しっくりこなかったり、くどくなりすぎたり、なかなか難しですわね。

 キャッチコピーは「自分はこれを入れたい!」と「他人にこれを理解させなきゃ!」という噛み合わない要素を両立させなければならないだけに難しいものです。
 しかし、すばらしいコピーがつけられる作品はかならず良作以上の出来映えが保証されますので、ぜひがんばってみてください。
 できれば一作分拝見したいところです。

ラノベの王女様の質問2014/07/10

 マーケテイングを学ぶのにおすすめの本があったら紹介してほしいわ。

ジジさんの回答2014/07/11

 私はマーケティングというものを本で学んだことがありませんのでおすすめもできないのですが、「コンテンツマーケティング」はご存じでしょうか?
 まだご存じでなければ、ぜひ調べてみてください。サブカルチャー職を目ざすなら知っておいて損はないかと思います。

どあのぶさんの質問2014/07/11

 こんにちは。どあのぶです。
 迅速なご返信ありがとうごさいます。

> 設定として非常におもしろいと思います。ですのでとにかくサバイバル要素の部分にひねりを加え、ネタとしての完成度を高めてください。

 ジジ様に面白いと言っていただき感無量です。頂いたアドバイス通りにサバイバル要素の方に力を入れて、いい作品ができるように心掛けたいと思います。

 ちなみに本作のキャッチコピーは、
「生存率30%? ……え、成人式で?  ちょっとなにいってるかわかんない」
 タイトルは、
「財政破綻したので異世界で成人式を行います by市長」
 となっています。
 実は、タイトルとキャッチコピーを逆にした方がいいかもしれないと、ずっと違和感を抱えています。
 ジジ様はどちらがキャッチコピーとしてふさわしいと思われるでしょうか。

> せっかく異世界からの援助を受けているわけなので、こちらの世界ではなくあちらの世界の常識や法律(この部分は町法や市法などという特別な法律がまかりとおるよう設定を作る必要がありますが)が適用される、という形にすればある程度解決するかと。
> 日本も昔は15歳で元服していたわけですし、高校の入学式がそのまま成人式を兼ねるので、日本において高卒という最低限の資格を得るためには地獄の儀式をくぐり抜けねばならない! などの設定にしてしまうのはどうでしょう?

 ジジ様の考えではやはり、主人公の年齢を中高生に下げたほうがいいということでしょうか。
 確かに、20歳はラノベ主人公としては少し高すぎますね。
 20歳にする積極的な理由が思いつかない限り、主人公の年齢は17~18歳で構想してみます。
 加えて、ジジ様の「向こうの法律に合わせる」というアイディアに目から鱗が落ちました。
 ずっと、こちら側の法律をどうするかということばかり考えていたのでまさに盲点です。
 もうちょっと進めて、異世界と市側の力関係を表すために、「向こうの法律を押し付けられた」という設定にしても面白そうですね。
 ご提案ありがとうございます。

> テレビで報道される成人式のニュースや兄姉の成人式がひどかった話を主人公が思い出すシーンをプロローグで入れたり、ストーリーの端々に幕間劇で入れるなどして読者に説明する、という手は使えるかと思います。

 成人式あるあるネタは、平和な日本の成人式と異世界の成人式のギャップを演出しようと思いついたものです。なので、幕間劇やプロローグ形式はまさにピッタリな手法ですね。参考にいたします。
 また、異世界とのギャップに異文化交流しようとして失敗する話も面白そうですね。例示していただいた飲み物の効果のギャップもわかりやすいです。こちらも参考にさせていただきます。

> 疑問点、新たな質問等ありましたら再レスをしてください。

 早速お言葉に甘えてしまい、恐縮です。また1点質問よろしいでしょうか。

 実は、ヒロインを異世界でペアを組むトカゲ族の女の子にしたいのです。
 ヒロインのモチーフは決まっていて、アルマジロトカゲといいます。
 外見がドラゴンぽくってかっこいい上に、アルマジロのように丸くなるしぐさがとてもかわいいのです!
 こ、これは書くしかない……!
 と、熱く語りましたが、おそらく人外ヒロインというだけで、読者側にとってはかなり地雷だと思います。でも書きたいし、でも地雷だし……。とジレンマの日々に陥っております。

 ここで、ようやく本題です。
 読者に受け入れられる人外ヒロインの書き方についてぜひヒントをいただけないでしょうか。

 個人的に考え付いたのは以下の4点です。
1.容姿はさらっと書いて、可愛らしいしぐさ(モデルのトカゲでいう丸くなるしぐさ)を強調する。
2.「ヒロインの外見はアレだけど、性格はかわいい」とギャップ萌えを狙う。
3.人外ヒロイン自身に「自分の容姿は人間主人公にふさわしくない……」という葛藤をさせて、読者にそんなことないよ、と思わせる。
4.人間とのミックス度を上げて、モチーフとなった動物の特徴的な部分だけが遺伝したヒロインにする。(猫でいうねこみみなど)

 色々書きましたが上の4点は無視していただいてもかまいません。
 もう一つ、人外ヒロインの作品を下読みされる上で気にするポイントなどもご教授いただけたら幸いです。
 厚かましいお願いで恐縮ですが、どうぞよろしくお願いします。

ジジさんの回答2014/07/11

> 頂いたアドバイス通りにサバイバル要素の方に力を入れて、いい作品ができるように心掛けたいと思います。

 こちらの世界とあちらの世界のギャップがカギになるかと思いますので、とにかくこちらの世界の常識が通用しない世界でどう主人公たちにあがかせるかを、ぜひ考えてみてください。

> ちなみに本作のキャッチコピーは、
> 「生存率30%? ……え、成人式で?  ちょっとなにいってるかわかんない」
> タイトルは、
> 「財政破綻したので異世界で成人式を行います by市長」
> となっています。

 応募作品にタイトルをつけるのは応募者の方の特権ですのでこのまま悩んでいただくとして、一例として私が思いついたキャッチを挙げます。
「成人式-死亡率=成人率(30パーセント)……です?」
 なんてのも、自分の中で書き進める際、指針にできるかもしれませんね。このキャッチはあくまでも他人用ではなく、自分の中で要素を整理するためのものなので、重要な要素さえ抜き出せていれば大丈夫です。
 ちなみにうまいキャッチが思いついたら、劇中でキャラクターに言わせましょう。印象的な決めゼリフは好評価につながりやすいです。

> 20歳にする積極的な理由が思いつかない限り、主人公の年齢は17~18歳で構想してみます。

 年齢問題についてはデビュー後の商業作なら特に問題だとは思わないのですが、ほんのわずかでもプラス点を得、マイナス点を減らすことが求められる応募作では、やはり中高生男子を主人公に据えるのが無難です。

> 加えて、ジジ様の「向こうの法律に合わせる」というアイディアに目から鱗が落ちました。
> ずっと、こちら側の法律をどうするかということばかり考えていたのでまさに盲点です。
> もうちょっと進めて、異世界と市側の力関係を表すために、「向こうの法律を押し付けられた」という設定にしても面白そうですね。

 あちらの世界の成人式は決死であるのに対し、こちらの世界の連中は成人式はやんちゃのお披露目会だと思っている……というようなギャップを各エピソードに効かせられるとおもしろそうですね。
 たとえば「親の首を刈り、友の屍を踏みしだき、成人を目ざしたところでなんになるというのかっ?」な人々に「成人ひゃほー」な輩が混ぜ込まれたとき、どんな化学変化が起こるのか? というような。

> ここで、ようやく本題です。
> 読者に受け入れられる人外ヒロインの書き方についてぜひヒントをいただけないでしょうか。

> 個人的に考え付いたのは以下の4点です。
> 1.容姿はさらっと書いて、可愛らしいしぐさ(モデルのトカゲでいう丸くなるしぐさ)を強調する。
> 2.「ヒロインの外見はアレだけど、性格はかわいい」とギャップ萌えを狙う。
> 3.人外ヒロイン自身に「自分の容姿は人間主人公にふさわしくない……」という葛藤をさせて、読者にそんなことないよ、と思わせる。
> 4.人間とのミックス度を上げて、モチーフとなった動物の特徴的な部分だけが遺伝したヒロインにする。(猫でいうねこみみなど)

 ケモナーはかなり重度の選ばれし民なので(倫理的規制の厳しいアメリカではこれをこじらせたあまり、ドラゴン×車というすさまじい性癖が誕生してしまったりもしていますね)、ケモノ成分は抑えていくのがよいかと思います。
 ですので、4をベースに1を混ぜ込み、3はむしろ主人公が、人間離れした能力ばかりか命をかけて成人式に挑むヒロインに感化されていき、自分はこの娘のとなりで助けられてばかりでいいのか? などと葛藤する図式のほうが、クライマックスで主人公を生かすきっかけを作れるように思います。

 2に関しては、やはりヒロインはかわいいほうが無難だと思いますので、最初はとっつきにくい性格にしたり、最初からすごく人なつっこいのにどこか影を感じる、などの思わせぶりなしかけをするなど、かわいい容姿と性格・内面でギャップがある、としたほうがよいかと。

> もう一つ、人外ヒロインの作品を下読みされる上で気にするポイントなどもご教授いただけたら幸いです。

 これは「人外という設定が読者に受け入れやすい形に噛み砕かれているか?」になります。前述したとおり、ケモナーは蛇の道ですので。

 不明点、新たな疑問等ありましたらまた再質問してください。

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