ライトノベル作法研究所
  1. トップ
  2. 創作Q&A
  3. コラム
  4. タイムトラベルで過去へ行こう2公開日:2014/09/27

タイムトラベルで過去へ行こう2

 ダン・シーネンさんのコラム 2014年09月14日

 アインシュタインは「神はサイコロを振らない」の名言を残し、量子力学の基本方程式を作ったシュレディンガーですら「シュレディンガーの猫」と呼ばれるパラドクスで反論した。それでも、確認できる限り確認して、量子力学が正しかった。

 それでも、シュレディンガーの猫問題は現在でも議論が続いている。観測できないときにどうなっているか、という問題なので解決しようがないのである。一部は後で触れてみる。その量子力学がゲーデルの宇宙で通用したとしても、決定論的世界になる。

 なぜならどんな現象についても、その因果関係を辿れば、その現象自体に行き着いてしまうからである。全体が確率的だったり、不確定だったりすることはゲーデルの宇宙では起こらない。そのため、根本的に決定論的世界になってしまうのである。

 幸い、この我々の宇宙はゲーデルの宇宙ではないらしい。だとすると、過去へのタイムトラベルもないらしい。なぜないのか、それは分からない。可能かもしれない過去へのタイムトラベル方法は、タキオン(通信のみ)、ワームホール使用も提案されている。

 ホーキング博士は『時間順序保護仮説』を提唱していて、この宇宙には未解明だが過去へ戻ることを許さない仕組みがあると考えている。少し古いが、SF作家のラリー・ニーブンが別の理由を考えたことがある(短編集・『無常の月』収録だが題名忘れてしもた)。

 過去へ戻り、過去を改変したとする。これが(他にどうしようもないので)可能だとする。すると未来は変わるので、新しい未来では過去に戻るかどうかは不明だが、さらに仮にやはり過去へ行って改変があるとする。するとまた新たな未来になる。

 過去を変えるたびに繰り返される。そうして膨大な回数、宇宙の歴史が書き換わり、最終的に、誰も一度も過去へ行かない宇宙の歴史に辿り着く。そういう見解である。母親消去のパラドクスなどを解決はしないし、未来からのタイムトラベラーも数多といる。

 ただ、自称未来人の予言は当たらない。未来からきたせいで、未来人がタイムトラベル前に見ていた世界はリセットされてしまい、その未来から変わってしまうからである。未来からタキオン通信を受信しても同じである。ラプラスの小悪魔も無理なのでなる。

 しかし、それでは夢がない。夢ばかりではない。今より科学技術などが発達した未来から学ぶことができない。そこで、量子力学の多世界解釈というものに注目してみたい。ターミネーターシリーズ、特にTV版のサラ・コナーズ・クロニクルが興味深い。

 未来がいくつもあることが示唆されているのである。未来から来たと称する者の言うことが違う。ドラゴンボールでのトランクスの経験は明確にそうである。彼が過去と思った世界で何をしても、彼のいた元の世界は変わらない。どうなっているのか?

 その前に『シュレディンガーの猫』に立ち寄る。量子力学では素粒子は確率的に振る舞う。それが50%・50%に分かれるとして、一方なら猫が死ぬ装置が作れる。それを内部が観測不可能な箱に入れてしまう。観測できないとき、素粒子の振舞いは50%ずつ。

 対応する猫の生死も50%ずつ(半死半生ではないことに注意)。元気に走り回る状態と完全に死んでいる状態を併せ持つ猫となる。そんなことはあり得ない、だから量子力学が確率を本質と結論するのは間違っている。シュレディンガーはそう主張した。

 これに対して、「いや、そういう猫がいていい。いないと思うのは我々が単に無知なだけだ」と言った学者らがいた。当時、コペンハーゲンにいたため、コペンハーゲン解釈と呼ばれている。これに対しエヴェレットという物理学者は別の解釈をした。

 エヴェレットの解釈を、宇宙が『生きている猫のいる世界』と『死んでいる猫の世界』に枝分かれしたと考えることもできる(エヴェレット自身はそこまで考えていなかった)。宇宙の確率的な現象について、必ずそういう宇宙の枝分かれが起こる。

 すると、今のこの宇宙、ひいては地球、さらに個々人について、非常に似ているが異なる世界もあることになる。この世界の過去に酷似した別の世界、この世界の未来と思えるような別の世界もあるはず。そういう別世界に行って戻れば疑似タイムトラベルになる。

 こういうSF考証の作品は、ドラゴンボールのトランクス以外にもたくさんある。母親消去のパラドクスは母親のような別人となってパラドクスにならず、宇宙に矛盾を起こさない。一つの世界に、いくつもの別の未来らしい世界から何人も来ても問題ない。

 ただし、科学考証としては問題がある。今、自分がいる世界は存在確率100%で、あり得た別の世界はどれも存在確率が0%になる。0%とは『無い』と同義なので、行けないのである。ただ、こちらから見て0%の世界は、その世界の人間には存在確率100%となる。

 無数の世界で、少しずつ異なる自分が「もし、ああしてたらなあ」と夢想はするが、互いに行き来はできないわけである。しかし、0%は本当の文字通り0なのか。というとヘンテコだけど、世界の枝分かれが無限大にあるため、考ておくべきことがある。

 0から始まる自然数の番号が振られた無限個の玉があるとしよう。その中から一つ取り出すと、ある自然数が選ばれる。その自然数が選ばれる確率を考えると、1÷無限大=0とせざるを得ない。しかし確率0%でも、実際に玉が取り出され、数は選ばれている。

 こういうとき『無限小』という数のようなものを持ち出すことがある。無限小とは「0ではないけれども、どんな小さい数よりも小さい」という分かりにくい代物。数学の微積分が生まれるのに役立った(憎き奴)。0なら起こらないが、無限小なら許すわけである。

 もしかすると、多世界解釈が言う無数の別世界(平行世界)は存在確率が0ではなく無限小であって、やり方次第では行き来ができる可能性があるかも。過去のリセットは無理だが、進歩した世界に行って学べるはず。他の世界のでボランティアもあるだろう。

 過去に戻る可能性はタ未だに架空の存在であるキオンが初めてではない。相対論以前の古典電磁気学にも、数学解として出てくる。電磁気学を数式を解いていくと、未来から過去へ戻るとしか思えない電磁波の式が出てくる。先進波と呼ばれている。

 しかし、そういう過去へ戻る電磁波、つまり未来から来た電波は受信されたことはないし、過去へ送信できたこともない。それで、数学解としては出て来ても、実存しないと考えられている。しかし、SFでは今でも設定で使うことはあるみたい。

 常に超光速のタキオンに対し、我々のような普通の物質はタージオンと呼ばれている。光速度未満でしか動けない。光はルクソンと呼ばれ、常に光速度で動く。我々(タージオン)が超光速で動こうとすれば、タキオンになるしかないが、それは不可能である。

 ……らしい。それで通信しか可能性がない。さらにタキオンでも光速度を超えた程度では過去には戻らない。特別の工夫が必要になる。そのため。キップ・S・ソーンはワームホールを用いた方法を工夫している。まずワームホールの出口を亜光速で移動させる。

 そして入口近くまで引き戻す。相対論的効果により出口の時間は遅くなっていたため、出口から見える世界は過去になっている(ここがちょっとややこしい)。通り抜けると過去へ行けてしまうわけである。この方法ではタイムマシン開発以前には戻れない。

 しかもワームホールを作るには、質量がマイナスになる通称『エキゾチックな物質』が大量に必要。タキオン通信より先の話になりそうである。ホーキング博士は「タキオンなんかないし、ワームホールは通ろうとした途端に潰れてしまう」と言っている。

 ま、負けるものか。それなら二度と還らぬ覚悟で過去に戻ってやる。ブラックホールってある。近づくほど時間はゆっくり進み、事象の地平面というところで時間が静止するため、遠くから見ていると何物も中へは落ちて行けない。しかし、落ちて行けば違ってくる。

 落ちて行けば時間がゆっくりにもならず、事象の地平面などはなく。ただし、事象の地平面のあるはずの高さを通過するとき、外界では無限大の時間が経過してしまう。その後、中心まで落ちて行くのだが、外界ではまた無限大の時間が経過する。

 その2回目の外界の無限大の時間経過は未来から過去へと進むのである。最初のが0→+∞、2回目が+∞→-∞であるが、さすがに宇宙誕生以前までは無理だろう。やった、と思ったら違ってた。またホーキング博士に遮られてしまうのである。

 ホーキング博士はブラックホールが有限の時間で蒸発するとしている。ブラックホール内部ではなく外界での有限の時間である。ほぼ確実のようだ。いわゆるホーキング輻射である。これによりブラックホールはエネルギーを失い、相応する質量を減らして行く。

 そして綺麗さっぱり消えてしまう。ブラックホールに落ちて行くと、こうなる。ブラックホールに落ちて行くと、次第にブラックホールが光り始める。事象の地平面付近からだ。だんだん輝きを増しγ線も交じり始める。しかも、その事象の地平面は逃げて行く。

 仮に増しに増した猛烈な輻射に耐えていられたとすると、突如として輻射は治まる。あったはずのブラックホールは跡形も無く、元の宇宙に戻る。しかし、外界では膨大な時間が経ってしまっている。恒星は一つも輝いていない。陽子すらないかもしれない。

 陽子にも寿命があるからだ。恒星はとっくに燃え尽きている。ホーキング輻射発見以前は、回転するブラックホール(カーブラックホール)使えば別の宇宙に行けるなんて言われてたけど、それも望みはついえた。結論:ホーキング博士は意地悪だ!(終)

○上記記事は、ダン・シーネンさんが、
http://togetter.com/li/521884
 にまとめられた記事を当サイトの交流用掲示場に投稿した物を転載したものです。
 意見や補足などが有る方は、下のメールフォームよりお送りください。

うっぴーさんの意見2014/10/05

 ダン・シーネンさん、どうも書き込みありがとうございます。

> 過去へのタイムトラベルについては、負の質量の物質とワームホールを使用する方法が、物理学者のキップ・S・ソーンによって発表されています。

 昔読んだ科学の本で、ブラックホールは別の宇宙に通じている穴で、ブラックホールの先にはワームホールがあり、これを通過すると、ホワイトホールというすべてを吐き出す穴から、別の宇宙や時空に吐き出される、というようなことが書いてありました。

 これは現在でも支持されている説なのでしょうか?
 ホワイトホールが見つかっていないため、存在したとしても観測するのが困難であるため、なかなか立証が難しい気がします。
 また、ブラックホールに吸い込まれる過程で、すべての物質は粒子状に破壊されてしまうので、生物や機械が原型を保ったまま、別の宇宙や時空間に到達してそこを調査することは、事実上不可能だと思います。
 別の宇宙に行けるなど、ロマンがあるのですが、現実の壁は厳しいですね。

 ブラックホールに吸い込まれる過程で、光の速度を超えてしまい、光の速度を超えることで、過去へ行くことができる、という話も聞いたことがありますが、元になっている相対性理論が難解すぎて、なにがなにやら、よくわかりません。

 また、地球が球状に閉じており、いくら東に進んでも果てがなく、いつか同じ場所に戻ってきてしまうのと同じように、宇宙も無限に広がっている訳ではなく閉じており、地球から永遠に同じ方角に進んでいくと、また元の場所に戻ってきてしまうのではないか、という話を聞いたことがあります。

 宇宙空間がこのような特性を持っているとするなら、閉じた空間を突破して、別の宇宙や時空に到達するためには、なんらかの大きな跳躍、ブラックホールを通過するなどの無茶が必要になってくる気がします。
 科学では別の宇宙の存在も指摘されているようですが、別の宇宙に行くための方法なども研究されているのでしょうか?

ダン・シーネンさんの意見2014/10/05

>  昔読んだ科学の本で、ブラックホールは別の宇宙に通じている穴で、ブラックホールの先にはワームホールがあり、これを通過すると、ホワイトホールというすべてを吐き出す穴から、別の宇宙や時空に吐き出される、というようなことが書いてありました。

 いくつかあるブラックホールのうち、カー解のブラックホールの特異点ではないかと思います。回転する星がブラックホールになると、中心の特異点がリング状になり、リング内が全く別の空間と接続しています。そういう数学解になるということで、どこにつながるのかは分かりません。

 この宇宙内と考える人もいますし、別の宇宙だと考える人もいます。特異点リングの出口がホワイトホールの特異点と考える人もいます(この宇宙か、他の宇宙か、どちらもあり)。さらに、宇宙が宇宙を生んで行くマルチ・ユニバース説になったりもして、想像は無限に広がっていくようです。

 アインシュタインの重力方程式を解くべく、静止した球対称の重力という仮定のもと、シュワルツシルト解が得られたのが最初で、それから導かれるブラックホールが最もシンプルなのですが、特異点がまさに点であるため、内部からどこかにつながるような数学解とはなりません。

 しかし、どちらのタイプであってもホワイトホールを考えることはできます。相対論で普通に言うホワイトホールは、ブラックホールの内部解を時間反転したものです。ブラックホールであれば、ブラックホール内部に落下した物体は中心に向かって落ちていくわけですが、ホワイトホールでは中心から外に向かって物体が進んでいます。

 ではホワイトホールから何かが出てくるかといえば、出てきません。ブラックホールの事象の地平面から内部に落ちて、中心に到達するまでの間、ブラックホール外部では無限大の時間が経過します(しかも2回も)。その時間反転のホワイトホールでも、中心から事象の地平面に到達するのに無限大の時間がかかります(やはり2回)。

 ホワイトホールを事象の地平面より外から見ると、ブラックホールと見分けがつきません。ブラックホール同様、強い重力を持っています。ホワイトホールも普通に質量があり、質量相当の重力を持ちます。重力は時間に無関係ですから(数式に時間が出てこない)、時間が反転しても関係ないのです。

 ホワイトホール内部では時間が反転していると申したことと矛盾するように感じられるかもしれませんが、ホワイトホール内部で反転させた時間はブラックホールの中心へ落ちていく物体の時間です。内部でも重力については変わらず、斥力になるわけではありません。ブラックホールなら中心に向かって速度を増しながら落ちて行きます。その時間反転であるホワイトホールだと、速度を減じながら上がってきます。

 また時間反転になり得るのは事象の地平面内部だけです。外部ではそういうことは起こりません。このことはさらにややこしくて、普通のブラックホールでは、事象の地平面から中心に落ちていくと、外部の時間はプラス無限大(注:事象の地平面落下までに外界では無限大の時間が経過している)からマイナス無限大に向っていきます。

 外界との兼ね合いを考えると、時間反転の関係にあるように見えます。でも、それがブラックホールです。ブラックホール内部が時間反転したホワイトホールは、もう少し奇妙なもので、もしかすると時間反転という言い方自体があまりよくないのかもしれません(ブラックホール内部では空間と時間の役割が入れ替わる、などとよく分からない説明があるのは、そういう事情を反映している)。

>  これは現在でも支持されている説なのでしょうか?

 以上のような事情ですので、いろいろな人がいろいろに考えています。ただし、ブラックホールが事象の地平面を顕わにするだけでも無限大の時間が必要なことは注意が必要です。ブラックホールの事象の地平面まで落ちていくのは、無限大の時間がかかります。有限の時間で落ちていけるという説明がありますが、落ちていく人基準でのものです(そういう座標系を考えるということ)。落ちていく人が外を観測すれば、事象の地平面到達までに、外では無限大の時間が経過します。

 そのことは、ブラックホール形成にも適用されます。恒星が重力崩壊して収縮を始めると、表面の時間は強くなっていく重力でだんだん遅くなり、事象の地平面の半径では時間が停止しますから、そこまで表面が落ち込むのには無限大の時間がかかります。ブラックホールといわれる天体が実際に観測されていますが、全て事象の地平面が顕わになる直前のものです。いわばなりかけのブラックホール、疑似ブラックホールなのですが、光さえも飛び出せないのは、それで充分です。

 さらに、ホーキング輻射の問題があります。ブラックホールは非常に時間はかかりますが、エネルギーを外に放出して、最後には消滅します。宇宙で無限大の時間が経過するのを覚悟してブラックホールに落ちて行っても、決して内部には行けません。もし(なりかけの)ブラックホールに落ちていくと、ブラックホールは次第に輝き始め、猛烈に明るくなって、そして突然消えてしまいます。

 そのとき、周りを見渡しても星は一つも光っていません。ブラックホールの消滅には、恒星が存続できる時間が過ぎてしまうほどかかります。でも、落ちていく人はブラックホールの時間が遅れる効果で、割と短い時間でそれが終わってしまいます。

>  また、ブラックホールに吸い込まれる過程で、すべての物質は粒子状に破壊されてしまうので、生物や機械が原型を保ったまま、別の宇宙や時空間に到達してそこを調査することは、事実上不可能だと思います。

 上記のことをいったん忘れまして(あるいはホーキング輻射が間違いだとして)、非常に大きなカー・ブラックホール(回転するブラックホール、特異点がリング)ですと、通り抜けられる可能性があります。ブラックホールに落ちていくと引き伸ばされ、砕かれるとよく説明されていますが、それはブラックホール中心との距離差により、重力の強さが違うためです。

 普通の天体でも、地表と上空では重力の強さが違います。上空のほうが弱い。それが、ブラックホールでも起こります。足を下にして落ちていくとして、足にかかる重力は頭にかかる重力より強いです。ブラックホール中心に近くなると、それが著しくなります。足のほうが強く引かれるわけですから、伸ばされてしまうことになります。それがさらに激しくなると砕かれます。

 しかし、カー・ブラックホールの特異点はリングです。ブラックホールの北極・南極(つまり自転軸)から落ちて行けば、特異点のリング半径が充分に大きければ、通り抜けられます。どのくらいのブラックホールなら人間でも通り抜けられるかは失念してしまいましたが、質量が太陽の100億倍などという巨大なブラックホールが宇宙にはたくさんあります。そういうレベルなら可能でしょう。

 しかし、ホーキング輻射は正しそうです。通り抜けるべき特異点リングができる前に、全てのブラックホール候補星は消滅してしまいます。しかし、そういう数学解があるということは事実です。発見されていないだけで、ブラックホール以外も考慮すれば、同様の解はあるかもしれません。重力などの条件さえ整えれば、別の宇宙に行ける可能性は残されています(個人的には「ある」という気がする)。

>  宇宙も無限に広がっている訳ではなく閉じており、地球から永遠に同じ方角に進んでいくと、また元の場所に戻ってきてしまうのではないか、という話を聞いたことがあります。

 閉じた宇宙というモデルです。宇宙内でどこまでも真っ直ぐ行くと、元の場所に帰ってくる、という説明がよくあります。球面は2次元ですがそういう形状になっていて、3次元に拡張して超球面と呼ばれることもあります。果てはありませんが、体積は有限となります。

 別のタイプとして、開いた宇宙があります。体積は無限となります。平面のような場合と、球面とは逆の形状(馬の鞍型、と呼ばれることが多い)がありますが、この宇宙はどうやら平面のようなものらしいです。

 そのことと、別の宇宙が存在するかどうかは、特に関係ありません。この宇宙が無限の体積があっても、他の宇宙は無数に存在できます。2次元平面で喩えるなら、無限大の3次元空間に無限枚数の無限大の広さの2次元平面を置けます。この宇宙が4次元空間内に存在しているなら、それと同様に無限個数の無限大の体積の3次元空間の宇宙を置けます。

 ただし、他の宇宙が存在するかどうか、存在するなら行けるかどうか、などは具体的には分かっていません。きちんと考えるための理論がまだまだ未完成です。例えば、宇宙の始まりをきちんと理論的に考えるためには、一般相対論を使って量子力学を書き換える必要があります。量子重力理論と呼ばれていて、何とか作ろうとはしていますが、数式のあちこちに無限大が続出して、難航しています。超ひも理論などで突破できればいいのですが、超ひも理論からはあり得る仮説が無数に出てしまい、どれなのか分からないという状況もあったりします。

 この宇宙がそんな風に未解明だらけなので、他の宇宙については、夢想的に仮説を出す人はいても、具体的なことを言える人はいません(それだけに、SF考証や設定はやりたい放題できそう)。

携帯版サイト・QRコード

QRコード

 創作Q&Aは小説を書く上での質問・悩みをみんなで考え、研究する場です。
 質問をされたい方は、創作相談用掲示板よりお願いします。

質問に対する回答・意見を送る

『タイムトラベルで過去へ行こう2』に対する意見を募集します! 
投稿されたい方はこちらのメールフォームよりどうぞ。

カスタム検索