ライトノベル作法研究所
  1. トップ
  2. 創作Q&A
  3. 作家デビュー
  4. 新人賞下読みが質問に答えます公開日:2014/11/14

ラノベ新人賞下読みが作家志望の質問に答えます4

サイラスさんの質問2014/09/30

 お疲れ様です。サイラスです。返信有難うございます。

> > ②プロの作家さんの読書事情。
> 私のまわりで言えば、人気作や話題作、お勧めされた作品、知人の新刊を、本数を絞って読む人が多いですね。これはもうラノベが娯楽ではなく資料であり、仕事そのものだからです。
> あとは娯楽兼資料として、映画を見たり他ジャンルの本を読んだり音楽を聴いたり、とにかくインプットに努めます。

 なるほど、ただ、こうなると読者では、居られませんよね。
 楽しむことも、無責任に意見をいうことも……

> それこそ仕事なので、数はそれなりに読んでいるのですが、新人賞作では望月唯一氏の『サービス&バトラー(講談社ラノベ文庫)』がおもしろかったですね。既存作では、エドワード・スミス氏の『マーシアン・ウォースクール(電撃文庫)』が好みでした。

 やはり、ノベルが多いですね。自分たちがやったときは、その他の本は、小説と一般教養などが半々でしたから。
 ここで、一つ追加の質問してもよろしいでしょうか?

①プロットの破たんしやすい個所は?
 これは、夏まつり企画用に作品を書いていた時の反省も兼ねるのですが、この企画への参加を断念した後、どこが悪かったのかなと見ていくと、締め切りまでに、間に合わせることを重視するあまり、プロットをまともに作らないで、執筆したことが原因で、具体的には、キャラの役割やキャッチコピーがはっきりとしない。概念等の説明役が必要だったのに、入れなかったことが、作品を空中分解させてしまったと反省しています。
 そこで、質問なのですが、以前、ジジさんは、プロットの重要性を言われていましたが、そのプロットで、プロでも、気を付けないと破たんしやすい箇所とは、どこだと考えていますか?参考までに教えてください。

ジジさんの回答2014/09/30

> なるほど、ただ、こうなると読者では、居られませんよね。
> 楽しむことも、無責任に意見をいうことも……

 そこを意識しつつ、さらに読者や視聴者として楽しんでインプットまでしたいのが職業人です。
 私も含めて、明日の生活がすべて頭の中からアウトプットされるネタにかかっているジャンルの人間は、なにかしらガツガツしてしまいがちです。

>  やはり、ノベルが多いですね。自分たちがやったときは、その他の本は、小説と一般教養などが半々でしたから。

 一般書籍ももちろん読みますが、冊数としては二十~三十冊程度のものです。ラノベにしても、献本含めて年に百冊程度でしょう。
それだけ応募作を読んでいる時間が長いということでもあるのですが(今年は700本を越えそうです)、映画を見たりゲームをしたり、人と会ったりビュッフェを巡ったり、書く以外のインプット時間が詰まっているのも大きいですね。

> ①プロットの破たんしやすい個所は?

1.物語の起点と終点が明確に設定されているか?
2.中盤のメインになる事件が、作品の長さに合わせた数だけ設定されているか?

 起点と終点は企画や作品に合わせて結構すんなり決まるものですが、中盤は意外にうまく決まらないものです。起点と終点をつなぐ展開ができているか、見せるべきキャラの魅力エピソードが物語の軸にからめられているか等、実はかなり気を配って配置なり流れを作らないと、物語があっさりおもしろくなくなってしまうからです。
 よって、範囲が広くなるのですが商業的におもしろいものを考える際は「中盤の設計」が肝になるものと、私は考えています。

かなへびさんの質問2014/09/30

 おつかれさまです。かなへびと申します。
 小説のストーリーに付いて、御聞きしたい事があります。
 僕は「イリヤの空、UFOの夏」や、「雨の日のアイリス」等を読んで、かなり泣かされた人間なのですが、いざ、それらから何かを学んで、自分のお話に反映させようとすると、どうしても上手くいかないのです。
 単刀直入に御尋ねしますが、どういう小説が、「泣ける」小説なのでしょうか? 漠然とした物しか掴めなかったので、是非ジジ様のご回答を御聞きしたいです。
 よろしく御願い致します。

ジジさんの回答2014/09/30

> 単刀直入に御尋ねしますが、どういう小説が、「泣ける」小説なのでしょうか? 漠然とした物しか掴めなかったので、是非ジジ様のご回答を御聞きしたいです。

 これは……説明が難しいですね。
 私が泣ける話を依頼されて書く場合、「人(動物でもロボでもいいのですが)の想いが誰か(作中キャラ)の胸に届き、動かすもの」を心がけます。

 たとえば不幸な人がいて、「幸せになりたい」と思っているとします。しかし、その人は病気でもうすぐ死ぬことがわかります。その人は自分が死んでも無事な心臓を、誰かに提供します。
 その誰かは絶望的に不器用で、誰ともわかりあえない不幸な人で、ずっと自分を生かしやがったその人を恨んでいますし、自分などに心臓をくれなければならなかったその人も、自分を恨んで憎んでいるだろうと思っています。
 が、その誰かは偶然、その人の遺族からその人が残したビデオレターをもらいます。そこにはその人が映っていて、その誰かへただ一言、「楽しく暮らして欲しい。自分の心臓はそのためにがんばるから」。その誰かはその人の不幸な人生を知り、さらにその上で誰かの幸せを願うその人の想いに、胸を打たれます。
 以後、その誰かは不器用ながらも懸命に生きることを決意します。自分と、自分の中で自分を動かしてくれるその人、ふたり分幸せになるために。

長い上、死という泣きものでは定番のネタを使ってしまいましたが、一応のポイントは、
1.物語のカギになるキャラに、果たされない思いが存在する(ロボなら人間になりたい等)
2.そのキャラの思いを共有したり、受けて広げたりするキャラが存在する(通常は主人公になります)
3.カギになるキャラと主人公の間をつなぐためのギミックがある(上の例文ではこれが心臓移植になります)
4.主人公がカギになるキャラの思いを受けて、成長ないし変化する

 おおまかに整理するとこのような感じです。
 不明点等ありましたら再レスしてください。

たかセカンドさんの質問2014/09/30

 現在、元奴隷だった主人公が旅路の途中、ヒロインとなる少女と出会い旅を共にするという話の構想を練っております。
 主人公は奴隷の烙印(顔などに焼き印)を押され畏怖される存在であるため、定住する場所が見つからず生きるために旅を続けなければならないという設定で考えております。

 主軸を少女と旅をすることによる、主人公の成長。世界の醜さや美しさなどを書きたいと思っております。
 誰もが予想できないどんでん返しや、手に汗握るようなバトルは無く、比較的のんびりとしたお話を書きたいと思っております。
 正直「狼と香辛料」に影響されたところもあり、旅っていいなあ、と思わせるような話です。
 もちろん、話の山場を作り飽きさせないように考えています。
 ドキドキワクワクするような刺激はあまりありませんが、このような話は需要はあるのでしょうか?

 とりあえず今考えている仕組みは

・主人公は元奴隷。生きる目的も見いだせていないが、死ぬ理由もない。一つの所に留まれないため、旅を続けてその日暮らしをしている。

・感情や生きていくための知識がまったくない少女(主人公と同い年、もしくは少し年下)と旅を共にし、その少女に主人公が生きていくための知識や、人との関わりを教えていく。

・最初は感情の起伏が少なく、動物のようだった少女も、次第に感情が芽生え人間らしく成長していく。

・生きていく目的が見いだせなかった主人公も、少女の成長を間近で見ていることにより、この少女を守っていきたいと思うようになり、それが生きる目的になる。

 世界観としましては、中世風ファンタジーを考えています。
 魔法が存在する世界で、少女は作られた魔法の生命体。

 魔法は誰もが使える力ではなく、現代における核のようなもので魔法が使える人間が吸う人いるだけで、その国家は軍事力、外交力があるとみなされる。
 この設定で、少女と絡ませてうまく山場を作っていきたいと考えているのですが……。
 私は人の親ではありませんが、目の前で成長していく人間を見ていくということは、生への渇望に繋がるのではないかと思います。
 それにより、主人公は生きる意味を見出していくという話を考えております。

ジジさんの回答2014/09/30

 設定拝見しましたが、もうひとつ強力なネタが欲しいところですね。
 現バージョンの設定だと、まだ「ありがち」の域を抜けられていません。

 旅がテーマになるなら、その「旅」自体になんらかのしかけをするべきかと思います。『キノの旅』なら、『銀河鉄道999』をあの世界観で実行してみる……などのしかけがありました。
 今さらりと思いつくものとしては、たとえば「奴隷なので常に追い立てられている。短い滞在時間の中で、その土地の名物料理を食べなければならない(この部分はなんでもよいのですが)」など、主人公の旅の目的と行動目標を明確にしておくと、ネタが作りやすいかと。

さささささみさんの質問2014/10/01

 はじめまして。

 最近頭の中で浮かんだ物語で、ざっくりとした内容は女主人公が片思い相手の変人アニメオタクだったイケメンに告白するという話です。
 場面は主人公と友達・主人公とそのイケメンとのシーンがメインで、この話の中で名ありキャラの男は2人しか出ません(しかも1人は男の娘)
 やはり女主人公のしかもラブコメはマズイでしょうか?
 やはり女性向けラノベ向きなのでしょうか(私は女性向けラノベはよくわからないのです)

ジジさんの回答2014/09/30

 女性主人公が片思い相手に迫るという流れなら、女子向きのレーベルへの投稿が無難ではないかと思います。
 ただ、ネタがありがちなものなので、もう少しひねりが欲しいところです。

あまくささんの質問2014/10/01

 なかなか話がかみあってこないので、いくつかご質問しながら整理してみます。

1)幽霊ヒロインが成功しにくい原因の一つに、「主人公の恋愛の対象として読者に意識させることが難しい」ということがあるように思います(他にもあることも理解しているつもりです)。

 まず、この点についてはいかがでしょうか?

2)仮に1はよしとして、その対処法について。大別すれば、
a.幽霊ヒロインの恋愛成分そのもののテコ入れをはかる。
b.恋愛成分の強化は諦めて、ヒロインをめぐる諸設定に斬新なアイデアを導入し、物語そのものの面白さで勝負する。

 この二通りの方向性があると考えます。よろしいですか?

3)創作の最終目標としてはbの方法が正しいが、この方法だけを選ぶなら「幽霊ヒロイン」である必要がない。

 前回のスレの段階からそう考えています。
 そしてジジ様と他の方はbの話をしており、私だけがaの話をしているように思うのですが、いかがでしょうか?

4)最終的にすぐれた作品に仕上げるためにはa・bの両方が必要。bについては「こういうアイデアはどうか?」という話がしやすいが、aはアイデアだけでは語れない。(aについて)斬新さもあるに越したことはないが、キャラの魅力に斬新さは必須ではない。

 これが私の考えで、この考え方についてどう思われるかご質問させていただいています。
 実は前回のやりとりがあった後、刊行されている幽霊ヒロインもののラノベを何冊か読んでみました。読書の選択が妥当だったかどうかは分かりませんが、少なくとも私が読んだものは幽霊ヒロインにラブ成分はほとんど感じられず、むしろ人間のサブヒロインの方が魅力的だったんですね。
 なので、その点をどうすればよいかに絞って考えてみた試案でした。

ジジさんの回答2014/09/30

 私に関して言えば、夏から変わらず幽霊ものの新しい鋳型を考える、という方向で考えています。
 また、前のレスでいただいた、

> メインヒロインならば、幽霊であっても「生命の輝き」を感じさせたい。

 は、幽霊を題材にした青春ものでは定番ネタかと思っています。
 それだけ幽霊という設定を覆すのが難しいわけですので、その「使い方を変える」方法へ向かうことになる。と、いうのが現状の流れかなと。
 では、最新レスへのお返事を。

> 1)幽霊ヒロインが成功しにくい原因の一つに、「主人公の恋愛の対象として読者に意識させることが難しい」ということがあるように思います(他にもあることも理解しているつもりです)。

 ここも捉え方かとは思うのですが、現在の私は、恋(便宜上恋愛を恋と愛に分けます)自体は成立すると思っているのです。恋は「想いが成熟していく過程」を描くもので、心情に根ざしたものです。
 幽霊の恋愛はプラトニック一択ですが、心情については生者同様描くことができるので、やりようがあります。
 ただ、体がないだけに、肉体的な表現行為がともなう「愛」が体現できません。成熟した想いが、最後の最後で実らないことになります。
 それが作者も読者もわかっているからこそ、恋愛物で新境地を切り拓くのは難しいという結に至ると。

> 3)創作の最終目標としてはbの方法が正しいが、この方法だけを選ぶなら「幽霊ヒロイン」である必要がない。

 幽霊という定義をどのように裏切っていくか。それを考えて幽霊ものにおける幽霊の新基軸を打ち出したいと考えています。
 その点では、ズレがあるものとは思います。

> 4)最終的にすぐれた作品に仕上げるためにはa・bの両方が必要。bについては「こういうアイデアはどうか?」という話がしやすいが、aはアイデアだけでは語れない。(aについて)斬新さもあるに越したことはないが、キャラの魅力に斬新さは必須ではない。

 幽霊という定義を生かしてキャラづけをするにしても、他作品との差別化をどの部分で図れるかにかかっている。というのが私の考え方です。その魅力が現時点では見えてこず、あらすじを拝見しても期待が持てない。ですので、その幽霊ヒロイン独自の魅力についての説明をしていただけないと、そのお話ができないというのが私の前のレスになります。

 キャラとしての幽霊ヒロインに言えることは、【恋心+アクション=恋】は成り立ちますが、【恋+愛情行為(肉体的接触)=愛】が成り立たないからこそ難しい。
 この部分のギミックを解消し、且つ差別化を図れなければ、新しい形の幽霊ヒロインは生まれないというのが、私の考えになります。

携帯版サイト・QRコード

QRコード

 創作Q&Aは小説を書く上での質問・悩みをみんなで考え、研究する場です。
 質問をされたい方は、創作相談用掲示板よりお願いします。