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  4. 探偵・怪盗物の漫画に愛のあるツッコミを!公開日:2014/11/30

探偵・怪盗物の漫画に愛のあるツッコミを入れる!

 迷える狼さんの質問 2014年11月22日

 あくまでも、糾弾とか叩くつもりではなく、いわゆるヒーローサイドの行動で、許すべきではないと思える行動を挙げてみたいと思います。 

「金田一少年の事件簿」から
 主人公の「金田一 一」は、試験で不正を働こうとした事があります(明智少年の華麗なる事件簿「明智少年の最初の事件」など)し、手癖が悪くて、ちょくちょく色んな物をくすねます(女性が服の下に着込んでいた水着もすり取った事がある)。
その中には、警察が押収した証拠品も含まれており、彼自体が罪を犯している事になります。

 また、根がスケベなせいか、セクハラめいた言動や性犯罪手前の様な行為も行いますし、権利をかさに、横暴な行動に出る事もあります(体育祭委員になった運動会で、3人4脚の組み合わせを、自分好みに決めるなど)。

 また、礼儀や品格においても、問題があります。
 未成年にも関わらず、学校の備品のPCでアダルトサイトにアクセスして、エロ画像をDLしようとしてウイルスに感染させたりもしています。

 そして、謎解きモードになると、犯人とおぼしき人物をあんた呼ばわりしたり、言葉遣いが乱暴になります。

 次に、同作品で一の後輩の「佐木 竜二」です。
 いつもビデオカメラで何かを撮影していますが、基本的に「無許可」の「盗撮」です。
 一に迫る少女の裸(魔神遺跡殺人事件)なども撮影していたり、犯行現場を無断で撮影する事もしょっちゅうです。

 彼らは、あくまでも探偵もどき(と、その助手)であり、何の権限もありません。

 また、一の「じっちゃんの名にかけて」は決めセリフですが、本当に祖父を尊敬しているのなら、その名を汚す様な言動は慎むべきだと思います。

 次に、同じ探偵ものの「名探偵コナン」です。
 私が問題にするのは、工藤 新一(コナン)の取り巻きである、少年探偵団の行動についてです。

 彼らは、しょっちゅう勝手に盛り上がって問題行動を起こした上に、佐藤刑事などに注意されても、全く反省しません。
 当然ですが、少年探偵団は勝手に名乗って活動しているだけで、世間的にも非公認の私設組織です。何の権限もありません。
 そもそも、子供が犯罪に首を突っ込んで良い訳がありません。

 その上で、廃屋や営業時間外の建物など(時には一般民家すら)への不法侵入は日常茶飯事ですし、メンバーの1人「光彦(ミツヒコ)」は、電波受信機(本来、子供が買える代物ではない)で「盗聴」を行った事があります(不特定に飛び交う電波を受信機で拾うもので、電波法違反です)。

 また、ゲーム会社では、発売前のゲームを無断でプレイしようとしました(ゲームディスク自体は、犯罪の証拠が記録されていたダミーディスクでしたが、下手したら産業スパイです)。

 各作品の登場キャラクターによる、上記の問題行動が許されるのは、結果的に事件解決の役に立ったので多目に見られているだけであり、元来ならば到底許される事ではありません。

 本当に犯罪に対する意識(いかなる理由があれ、犯罪は悪であるなど)を訴えたかったら、まずはキャラクターの問題行動を正すべきではないかと思います。

 正規の警察官でも、そういった職業でも何でも無い素人が、事件解決の為には手段を選ばずというのでは、少々乱暴なのではと思います。

 ちなみに、「新ヤッターマン」では、ガンちゃんが立ち入り禁止の札を無視して神社の敷地に侵入しています。
 そのせいで「ヤッタードラゴン」に出会えた訳ですが、あくまでも結果論であり、仮にも「正義の味方」が「不法侵入」しちゃいけません。

●答え●

うっぴーさんの意見2014/11/27

 こんにちは。
 金田一少年はおもしろいですね。
 基本的に彼は、バカでスケベでやる気がないけれど、事件が起きると底力を発揮して、みんなから頼りにされる危機的状況に強いタイプだと思います。
 普段のバカな言動で共感を誘い、危機において活躍してカタルシスを得るという心理に読者を誘導するためのキャラ設定でしょう。
 幼なじみの美雪に対するセクハラがひどいような感じがしますが、それは事件が始まる前に読者を飽きさせないためにお色気要素を使っているのだと思います。事件が始まるまでは、舞台や人間関係の説明で、やや退屈な展開が続きますからね。

 名探偵コナンの少年探偵団は、こんな冒険がしてみたいという少年たちの願望を反映したもので、そこに細かい社会のルールなどが入ってくれると夢が壊れてしまうので、あえて法令的な問題はスルーしているのでしょう。彼らの行動は一つ一つを見ると問題のあるものが含まれていますが、全体としては犯罪者を捕まえるのに協力するという善行なので、ゴールデンタイムにTVアニメとして放送しても問題にならないのだと思います。

あまたさんの意見2014/11/28

 怪盗キッドなどの、怪盗もの。
 芸術的なぬすみうんぬん色々と言ってますが、彼らは全員ただの窃盗犯です。
 人のものを盗む、という行為を悪びれなく行なっているだけです。

 キッドがコナン君にこんな風な意味のことを言っています。
『怪盗は芸術家だが、探偵はただの批評家』
 いやいや、たとえがまずおかしい。
 芸術家や批評家は職業ですが、怪盗はただの泥棒、犯罪者ですからね。
 その手口がどれだけ独創的で工夫が凝らされていようが、評価に値するものではありません。
 他人のものを盗んでおいて何を誇らしげに言ってるんだこいつは、って感じです。

Smanさんの意見2014/11/29

 ツッコミにツッコミ。
 こんな話もあります。

江戸の町にたくさん出没したスリは、たんなる泥棒や強盗とちがって、彼らなりのプライドを持っていた。スリの技術を子どものころから、先輩に叩きこまれたため、自分たちの技術に誇りを持ち、職人芸とまで思っていたからだ。職人としての誇りを持っているので、自分がスリだということを隠そうとしなかった。
引用・江戸のスリは、わざとひと目でわかる格好をしていた?

 ただの泥棒であることに変わりないし、仰るとおりと反論する言葉もないのですが、
 義理と人情に生きてた時代には泥棒すら芸のうち――とはいえ泥棒とスリは別物と考えられていたようですが。
 日本で有名なスリ師と言えば仕立屋銀次でしょうか。
 彼が生きてた明治大正時代を舞台に、スリや泥棒を題材にして書かれた浅田次郎の「天切り松闇がたり」がすごく面白いです。

 とはいえ。職人芸などとは泥棒の言い分で、まさに盗っ人猛々しいという言葉も、まあ、もっともなんですけれどw

らくらくさんの意見2014/11/29

>その手口がどれだけ独創的で工夫が凝らされていようが、評価に値するものではありません。

 失礼ながら、怪盗達は貴方からの評価なんて欲しがっていませんよ。
 そんなもの一文にもなりませんしね。

 彼らには彼らの価値観があります。
 そしてその価値観に従って行動することを是とし、その結果が、世界で大勢を占める価値観において悪となっている。それだけの話です。

 もちろん、信念があれば他人のものを盗っていいわけではありません。
 しかし独特の価値観を持ち、他人の言葉に囚われない怪盗たちの存在は
「俺たちの価値観は本当に正しいのか?」
「彼らは悪人だが、もっと裁くべき悪がいるんじゃないか?」
 という問いかけへとつながります。
 そういった社会的・哲学的な側面を持つからこそ、怪盗などのダークヒーローは魅力的なのです。

 それを「全員ただの窃盗犯」で終わらせる発言なんて、まさに毒にも薬にもなっていません。
 薬(探偵)はもちろん、毒(怪盗)よりも価値がないと言わざるを得ないでしょう。

ラノベの(偽)王女様さんの意見2014/11/29

 うーん、四角四面に「こういう行為はよろしくない」と言われればその通りなのだけれど、創作論としてそれを正せば面白くなるor正さないと面白くないというものではないわよね。
 むしろ、うっぴーさんの言うように読者を上手く引きつける要素として用いていると思うわ。

 そもそも探偵小説の祖であるシャーロック・ホームズですら全ての事件を合法手段だけで解決しているわけではないってことは理解しておくべきじゃないかしら。
 読者が求めてるのはエンターテイメントであって、ポリティカル・コレクトネスじゃないって事も。

 それはさておき、金田一とコナンと言えば、両方のアニメが続けてやってた頃に
 金田一で事件解決。犯人は自殺してしまい、寂寥感の漂うエンド
→コナンで事件解決、犯人自殺……の所をコナンが助け、
「犯人を自殺に追い込む探偵は殺人者同然」的な台詞
 ってなったのにはちょっと笑ったわ。
 作風の違いであってどっちが良い悪いって訳じゃないんだけど、タイミングが、ねぇ。

うっぴーさんの意見2014/11/30

 金田一少年が謎解きモード時に犯人を「あんた」呼ばわりするのは、相手との対決姿勢を出すためでしょうね。
 今までは仲間や目上の人として接していたけれど、今は大量殺人を犯した許されざる敵として戦うために、呼び方を変えているのでしょう。

 ラノベの(偽)王女様が、金田一少年が犯人を自殺に追い込んだ事実を指摘していますが、コナンと違って、金田一は犯人と戦って追い詰めるというスタンスなのだと思います。
 コナンは謎解きが楽しい謎解きマニアで、犯人と対決するという姿勢は金田一より薄いように思えます。

 これはおそらく、金田一が犯人と正面切って言葉を交わして戦うのと違って、コナンは睡眠薬で眠らせた毛利小五郎などを代役として謎解きをするとい違いが影響しているのでしょう。
 金田一は逆上した犯人に襲われるリスクがありますが、隠れて探偵役を操っているコナンにはこのリスクがありません。
 金田一は、連続殺人犯という恐ろしい相手と直接対決するための「恐怖」を克服するために、「あんた」というキツイ言葉で相手を追い詰め、自らを鼓舞しているのだと考えられます。
 コナンは犯人が逆上しても、襲われるのは毛利小五郎だったりするので、あんまり身の危険を感じずに、推理の披露に集中できるのでしょうね。

 そういった意味では、怪盗キッドの『怪盗は芸術家だが、探偵はただの批評家』というコナンに対するセリフは的を得ていると思います。

迷える狼さんの意見2014/11/30

 TVアニメ版「ルパン三世」では、毎回ルパンが意表を突いた盗みのテクニックを披露しています。
 ルパンにとっては、盗みは浪漫であり芸術の様なものなのでしょう。
 ルパンは、盗む過程とその結果を楽しむ愉快犯なのであり、美術品などの大物を狙うのは、盗む物の価値が高い程、難易度が上るせいです。
 また、「難攻不落の金庫」などは、中身よりもそれ自体を破る事を目的として狙います。
 変わった所では、「絶対脱獄出来無い刑務所」にわざと服役して脱走する、といった事もやっています。

 TVスペシャル「ロシアより愛をこめて」では、ラストに「必要経費として、これだけもらって行くぜ」と言って、大量の金塊の中から一抱え分だけ拝借して、残りを全て放棄しています。
 また、造幣局から刷りたての新札を大量に盗んだ時は、ファミリー総出でカジノに繰り出し、一晩で散財しています。
 この様に、金銀といった貴金属や、現金などはあっさりと見切りをつける事が多いです(不二子は除く)。

 ただし、骨董や美術品などを盗んだ場合、その大半は返却せず、どこかにある「ルパン一族の秘密の隠し場所」に保存している様です。

 また、例外はありますが、「盗みにおいては絶対に人を殺傷しない」というポリシーを持っています。
 ルパン三世においては、ルパンが泥棒なので、敵である警察が正義になっている為、銭型警部はヒーローサイドのキャラクターです。
 TVスペシャル「血の刻印」では、その銭型警部をして、「ルパンは盗むと言った物は必ず盗む」と言わしめています。

 そして、「金田一少年の事件簿」に登場する「怪盗紳士」も、また同じポリシーを持っています。
 物語の中で、少なからず一に辛酸を舐めさせた、数少ないキャラクターの1人です。

 似た様なものですが、「キャッツアイ」の3姉妹は、特定の品物(ハインツコレクション)だけを狙うので、盗み自体には何のポリシーもありません。
 「(殺傷はしませんが)手段を選ばず、盗む物は盗む」と言う点が、ルパンとは違います(ただし、オリジナルの道具を使うなど、盗みのパターンはルパンと酷似しています)。

 そもそも、黙って盗めば良いのに、わざわざ犯行を予告するなど目立つ行動を取ったり、素顔がばれたら困るのに顔を隠さないなど、ルパンに比べると矛盾が目立ちますが、それは話を面白くさせる為の演出だと思います。

 あと、「怪盗セイントテール」は、「理不尽な手段で奪われた金品を盗み返し、こっそりと被害者に返す」という、ある種の義賊です。
 ただ、ジャンルがいわゆる「魔女っ子系」なのですが・・・。

 最後に、「ついでにとんちんかん」は、ギャグですので忘れて下さいw

迷える狼さんの意見2014/11/30

『手段を問わないのは正しいのか?』
 「金田一 耕助」は、多少ものぐさで不潔なところはありますが、基本的に聡明な紳士として描かれています。
 「シャーロックホームズ」は、作中で麻薬を使用した事があるなど、あまり素行が良いとは言えず、周囲の空気を全く読まない自己中心的な部分もあったり、事件の捜査なども、自らが楽しむ趣味として行っている節が高いです。

 「名探偵コナン」に比べると、「金田一少年の事件簿」は、横溝 正史が根底に流れているため、事件の最後が悲劇的に終わる事が少なくありません。
 その点、コナンは円満解決が若干多いです。

 ラノベの(偽)王女様へ。
 私が問題にしているのは、
「事件を解決する為ならば、何をしても良いのか?」
 と言う事です。
 結果オーライでも、許して良い事と、そうでない事はある程度の線引きをするべきではないのでしょうか。

 しかし、これはいわゆる「囮捜査」とは違います。
 囮捜査は、正式な警察の行う捜査方法です(日本では認められていませんが)。

 金田一少年もコナンもホームズも、探偵(もどき)であって、正式な組織には属していませんし、何の権限も与えられていません。
 権限の無い者が行えば、犯罪になってしまう事はあるのです。

 例えば、泥棒を見つけて他人の敷地に勝手に入れば、自分も犯罪に問われます。
 文句を言えば、「そういう時は通報して下さい」と言われるでしょう。

 一やコナン&少年探偵団が勝手な行動を取るのは、「事件を解決して目立ちたい」という、単なる「ヒーロー願望」や、謎を解きたいという欲求があるだけです。
 実際、少年探偵団は、佐藤刑事に時々怒られたりして、警察には煙たがられています。
 正規の組織である警察にしてみれば、頼みもしないのに素人、それも子供が勝手に首を突っ込んでは困るのです。

 実際に彼らは、「現場の保存」という鉄則を、たびたび無視します。
 警察が到着する前に、自分達で事件を解決しようとして、荒らし回ります。
 コナンがたびたび制止しますが、あまり効果は無い様です。

 そもそも、少年探偵「工藤 新一」ならともかく、ただの小学生である「江戸川 コナン」は、部外者なのです。
 時々、コナンは容疑者(犯人)に対して、「江戸川 コナン、探偵さ。」と名乗りますが、あくまでも自称です。

 それを考えると、警察に協力を要請されている「毛利 小五郎」が、コナンを邪険に扱うのは道理です(見ている側は、お前が邪魔なんだよと、やきもきしますが)。

 「金田一少年の事件簿」で、警察が登場する場合でも、一に関して、現場の警察官があまり良い顔をしないのは、彼が素人だからです。

 佐木も、時々重大な意味を持つ撮影したデータを、警察に提出する事がありません。
 本来ならば、警察に協力すべき事なのに、自分達だけで秘密や手がかりを独占して秘匿(ひとく)してしまっています。
 もっとも、こういう作品の場合、下手に手がかりを警察に提供してしまうと、大抵の場合は警察が先走って台無しにしてしまうので、止むを得ない事もあるのでしょうけど。

 それと、「金田一少年の事件簿」と「名探偵コナン」において、両者の間に絶対的な違いがある事として、
「金田一少年の事件簿の場合、舞台となった多くの場所は、警察が関与出来無い密閉エリアになる場合が多い事です。」
 それに対して、「名探偵コナン」は、警察が到着して合同捜査になる展開が多いです。
 また、毛利 小五郎や「服部 平次」など、他の探偵役が同行している場合もあり、一に比べると捜査がやりやすい展開があります。

 つまり、コナンよりも一の方が、自発的に事件を解決する必要に迫られる展開が圧倒的に多いのです。
 時々、明智警視や剣持警部の様な警察官が一緒になる事もありますが、ほとんどの場合は一だけで事件を捜査して解決する事になります。
 この場合、正規の手段がどうのとは言っていられません。

 ただ、警察が登場した場合、協力すべきところは協力するべきではないかと思います。

 事件解決の為とは言え、一はコナンに比べると、行動が横暴な部分があります。
 あと、やっぱり佐木の盗撮は、私は許すべきではないと思います。毎回偶然に重要な事が記録されているだけで、あれはやはり犯罪だと思うからです。

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