ライトノベル作法研究所
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  4. 読者には未知の情報をどう伝える?公開日:2015/01/16

主人公には既知、読者には未知の情報をどう伝える?

 海さんの質問 2015年01月09日

 私はファンタジー小説を書こうと思っています。
 最近は転生ものや、トリップ、ローファンタジーなどが流行っていますが、私はハイファンタジーの、異世界住人主人公でいこうと思っています。ですが、ここで問題が生じたんです……。

 よくある物語では、例えばローファンタジーなどですと、「最初主人公は自分が異能を持っていること(もしくは魔法が使えることetc)を知らずに生きてきた。しかし何かのきっかけで、自分の能力が発動する。現世で生きている同じ仲間に出会い、その魔法の原理や敵などの説明を受ける」などの流れだと思います。転生は、主人公が生きていく上でその異世界について学んでいきますよね。
 なにが言いたいかと言いますと、大抵のファンタジー主人公は「読者と同じ目線、知識」を持っており、その上で物語がスタートするよね、ということです。ですから、地の文で主人公が「つまり、○○っていう能力は△△ができるわけだな。」と呟いてもおかしくないわけです。また、誰かが主人公に、魔法やその世界の仕組みについて話しても問題ないわけです。

 ですが!
 私が書こうと思っている主人公は、最初から異世界に住んでいる生粋の異世界住人なんです。ですから、主人公と読者の知識に差があるんです。
 物語を主人公の幼少期から書けば問題ないかもしれませんが、16~17歳の、そこそこの年齢でスタートするつもりです……。

 ここまでを踏まえて皆様に意見をもらいたいのは、

・やはり主人公と読者の異世界知識が違うと、あまりよくないか?
・主人公と読者の知識が違う場合、主人公が知っているけど読者が知らないという情報を、どうやって伝えればいいか?
・伝える際に、例えば地の文や会話文に軽く説明を入れるとして、どこかくどくならないか? 一人称の文章ならば、読んでいて「この主人公誰に話してんの?」という違和感を感じる。三人称の文章ならば、やたら説明が多くなる(しかも硬い)などの問題が生じないか?

 参考までに、私が書いたファンタジー小説のちょっとした説明の部分を転載します。読者が初めて知る情報であり、私が説明することを意図して書いた部分です。主人公は海賊、女です。

1
 船のヘリから体を離し、わたしは船尾楼の方へ歩いた。真っ赤なマストが風で靡なびいている。ルテミスの髪の色に合わせているんだろう。
 それにしても、この船にはルテミスが多い。ルテミスーー言わずもがな、赤い目と赤い髪の毛を持つ、人間の身体能力を超越した元人間だ。飛躍力、腕力、敏捷性などの身体能力が、普通の人間に比べて相当高い。体も強靭なので、ちょっとやそっとでは怪我もしない。その上、痛みへの忍耐力もかなり強いのだ。腕を二本折ってもまだ戦おうとしてくるんだから嫌んなっちゃう。ま、味方につけばこれほど心強いことはないんだけど。

2
 甲板で慌ただしく走る他の船員の体を擦り抜けながら、わたしは武器庫へと急ぐ。
 砲弾戦はもうじき始まるけど、たぶんすぐに移乗戦になる。互いの船に乗り移って戦うのだ。海賊同士の戦いのときは大抵そう。お互い宝を奪われるわけにもいかないし、何より、負ければ負けるほど船の評判が落ちる。身体を張ってまで、宝や誇りを守ろうってわけ。
 でも、海賊界で誇りは大事なのだ。団の強さはすぐに噂になる。敗者の烙印を押されれば格好の餌食になるし(ちなみにあまりにも弱いと無視される)、勝ち組に入れば恐れられる。それはもう、側を通れば黙って宝を差し出されるってくらいに。

●答え●

猫さんの意見2015/01/09

> 1
>  船のヘリから体を離し、わたしは船尾楼の方へ歩いた。真っ赤なマストが風で靡なびいている。ルテミスの髪の色に合わせているんだろう。

 真っ赤なマントが靡かせているのが誰か分かりにくいと思います。『幾つもの赤が目に付いた。鮮やかな赤の髪と瞳、そして真紅のマントを靡かせたルテミスだ』
 みたいにしてみてはどうでしょう。

>  それにしても、この船にはルテミスが多い。ルテミスーー言わずもがな、赤い目と赤い髪の毛を持つ、人間の身体能力を超越した元人間だ。飛躍力、腕力、敏捷性などの身体能力が、普通の人間に比べて相当高い。体も強靭なので、ちょっとやそっとでは怪我もしない。その上、痛みへの忍耐力もかなり強いのだ。腕を二本折ってもまだ戦おうとしてくるんだから嫌んなっちゃう。ま、味方につけばこれほど心強いことはないんだけど。

 言わずもがな……? それより前の文章を知らないので分かりませんが、ここまでにルテミスって出てきたのでしょうか?
 もしも出てきていないのなら、「言わずもがな」は無くして良いと思います。

『この船にはルテミス――まるでナイフのように鋭い紅眼と日の如き髪の元人間達が多い。容易に帆に飛び乗ってしまう程の跳躍力、百キロ越えの岩石を片手で持ち上げてしまう腕力を備えた彼らは、腕二本折れても変わらず闘志を滾らせ続けられる強靭的な肉体を持つ。敵であれば脅威となるが、逆に味方であれば鉄壁以上の心強さだ。』

 みたいに例えを使ってみると効果的だと思います。

> 2
>  甲板で慌ただしく走る他の船員の体を擦り抜けながら、わたしは武器庫へと急ぐ。

 体をすり抜ける→人波をすり抜ける
 の方がわかりやすいかと思います。

>  砲弾戦はもうじき始まるけど、たぶんすぐに移乗戦になる。互いの船に乗り移って戦うのだ。海賊同士の戦いのときは大抵そう。お互い宝を奪われるわけにもいかないし、何より、負ければ負けるほど船の評判が落ちる。身体を張ってまで、宝や誇りを守ろうってわけ。
>  でも、海賊界で誇りは大事なのだ。団の強さはすぐに噂になる。敗者の烙印を押されれば格好の餌食になるし(ちなみにあまりにも弱いと無視される)、勝ち組に入れば恐れられる。それはもう、側を通れば黙って宝を差し出されるってくらいに。

 「でも」という逆接が必要ないかと思います。
 あと、話が重複しているように思えるのと、最後の三行がいまいち何を言いたいのか分かりません。

『間もなく始まる砲弾戦。経験から、程なくして互いの船の乗り移って闘う移乗戦に移行することだろうことは推測済みだ。海賊同士の戦いにおいてたった一度の負けも命取りとなる。団の敗退はたちまち噂となって広まり、宝も矜持も奪われてしまう。逆も然り。幾度も勝利すれば団は畏怖され、付近を通過するだけで金や宝を差し出される』

 こんな感じでしょうか? 
 かなり簡潔にしましたが、説明は本当の作家さんでもタラタラ何ページにも渡って書く方もいらっしゃいますし、さらっとだけ書く方もいます。だから、ここまで短くしなくても良いかと。

 読者と主人公の知識に差があるとしんどいです。無知キャラをいれるとやりやすいのですが……。大体は地の文で説明すれば大丈夫かと。一人称であっても説明が無いのは困るので、書いてあっても良いと私は思います。私も以前一人称で書いたのですが、同じ悩みを持ち、最終的に三人称で書くようになりました。

 参考になれば幸いです。

クロウドさんの意見2015/01/09

 こんばんは、クロウドです。

 添削するとすれば、猫さんに同意です。私の感じるところとしては、16、7歳の年齢がその世界では20から30に相当すると考えても、選んでいる単語が難しい……いってしまえばベテランや老人の言葉になっていることが、説明がより説明になってしまっている理由のひとつかと。
 私たちが普通に会話したとして、『あいつは並外れた飛翔力』とは不自然ですね。どっちかというと『あいつは良く飛ぶ。電話ボックスくらい飛び越せる』がらしいと思いませんか?
 そうした語句の選定が一人称が簡単であり難しいともされる所以です。

 やたら説明が多く硬いとのことですが、硬い理由は上述。多いと感じるのは内容の重複やこのタイミングで出す必要性がないような情報の存在が原因でしょう。
 重複は2で、猫さんも指摘されております。

 タイミングうんうぬんは1です。体が強靭まではわかりますが、痛みの耐性や重症でも戦う根性と闘争心については、後の戦闘描写等でも描けるでしょうし、信頼の理由としても語らせることができるでしょう。

 情報の後出しジャンケンになるのを懸念されているようにも思えますが、1については容姿と身体能力の高さ、あとは頑健な体だから心強いで十分に布石かと。

 2についても、海賊同士の戦いだから気合いが入るのは想像できるでしょうから、戦闘後の敵の処罰などで、ちょっと過激に戦闘したのは『こういった事情が通例・常識なのだ。だから意地を張るのだ』ともできますよ。

Smanさんの意見2015/01/10

 ようするに、世界観を説明するためにはどんな方法があるのか、と。

 海さんが考えているように、無知な主人公に説明するという形で読者に説明する方法がおそらく一番多いでしょう。
 これは、世界観や設定の説明のみならず、無知な主人公(=弱い、レベルが低い主人公)が強者を倒すというカタルシス、またそうした主人公が成長する過程を描くことで主人公と一緒に読者にも成長の嬉しさを伝えることができます。
 まあ、どちらかといえば世界観など説明のしやすさというのは副次的なもので、主人公が無知なパターンは弱者が強者を倒すというテーマが一番強いのかなと思います。

 で、じゃあ世界観や設定の説明を焦点にして考えると、作中で「説明する必要がある」というシーンを作れば良いだけです。例えばトップクラスの魔導師である博識な主人公と、魔導は門外漢だけど試合で負けなしの王国騎士という組み合わせのストーリーがあれば、魔術師が騎士に説明するという形を取れます。
 つまり、主人公が無知なサブキャラに教えるという形ですね。

 ファンタジー全盛期の名作であるスレイヤーズや魔術師オーフェンはこのパターンですね。
 天才魔導師であるリナ=インバースが、強いがバカな剣士ガウリイに説明する。
 元エリート魔術師であるオーフェンが、弟子のマジク・リンに説明する。
 ファンタジーだけでなく、熟練刑事と新米刑事のコンビなんてドラマや映画でもこういうパターンは多くあります。
 まあ別にコンビを組む必要はなく、説明するために無知な名無しのモブをぶちこんでも良いでしょう。
 コイツを応用すると、

>1
> 船のヘリから体を離し、わたしは船尾楼の方へ歩いた。(略)

 ふと、新米の船員が隣で驚いたように小さくつぶやいたのが聞こえた。
「赤目赤髪……あれがルテミスっていうんですか」
 普段なら答える気もなかったが、震える新米船員に気が付いて、落ち着かせた方がいいだろうとわたしは新米船員の質問に答える。
「なんだ、はじめて見たのか?」
「ええ。西のほうに住んでたもので。親族以外と長く一緒にいるのは、今回の航海がはじめてなんです」
「なら覚えておけ。赤色眼とは戦うな。奴らは両腕をへし折ってもなお戦意を失わない。人じゃないんだ、戦って勝てる相手じゃない。味方なら心強いが、船の上では気を許しちゃいけないよ」
「敵側にも赤髪のやつがいますけど……」
「アホか。眼を見ろと言ったろ。髪は染められるんだから黒髪のルテミスだっている」

 こういう主人公がサブキャラクターに説明するというパターンは、やはり「説明のため」と言うよりは主人公を博識に見せる強そうに見せる偉そうに見せるそういう演出の一環です。
 私の拙い応用例では、主人公のほうが上の立場にいるとわかりますよね。

 ……。
 主人公が無知なパターンの逆パターンもあるよと説明しただけでえらく長文になっちまった。
 ちょっと巻いていこう。

 現実の生活の中で、「そんなのわかりきってるよ」ということをいちいち説明する場面ってのは多々あります。
 その最たるものが、いま、まさに私がやってるコト。
 自分の知識にあるものってのは、基本的に自慢したかったりひけらかしたりしたいものなんですよ。間違いがあれば指摘したくなってきたりとかね。
 まあ、知識を自慢するなんてのは表現者としては程度が低いですけどね。

>1
> 船のヘリから体を離し、わたしは船尾楼の方へ歩いた。(略)

 の例文で言うと、ルテミスは自分たちが最も輝く戦いの場で、自信に満ちあふれているんじゃないでしょうか。
 「俺たちを元人間なんて言ったのはどこのどいつだ?」と自分でルテミスの凄さを語りはじめても問題ないでしょう。
 漫画では「地の文で表現する」ということが出来ないため、少年漫画とかだとわざとらしいくらいにこういう表現がありますよね。

 ほかにも状況に応じていろいろありますが、ようは「説明シーン」を作りゃいいだけで、地の文であっさり説明してもいいと思うけど、個人的には芸がない感じはします。

>・やはり主人公と読者の異世界知識が違うと、あまりよくないか?

 そんなことはありません。
 同じであれば説明しやすいけど、説明しやすい場を作ればいいだけなので、問題ありません。

>・主人公と読者の知識が違う場合、主人公が知っているけど読者が知らないという情報を、どうやって伝えればいいか?

 簡単に解決するには無知なモブを入れれば説明できますね。
 それが不可能な場合はいっそ説明らしい説明をせずに、セリフや地の文で少しずつ読者の認識を誘導したりしてます。
 もちろん、地の文で解説のみって場合もあります。ケースバイケースですね。

>・伝える際に、例えば地の文や会話文に軽く説明を入れるとして、どこかくどくならないか?

 程度や方法によります(私の応用例では「新米船員を落ち着かせるため」というシーンなので、説明はくどくないと個人的には思います)が、一つの方法だけに頼ったやりかたをしたら、おそらくクドくなるでしょう。
 地の文で解説してもいいけど、地の文で解説してばっかだとやっぱり芸がないしクドくなりますよね。
 戦場でルテミスが自分で凄さを語り始めれば、それはそれでルテミスのキャラクター性を書けますから、これを地の文で解説してしまっては表現の機会を自分で潰してるようなものです。

 とはいえ、例文の二つは、私は別段嫌いではないです。
 例文2のほうはむしろ良いくらいだと思います。
 これだけ書けるなら迷わず書いてしまったほうがいいんじゃないかなと。もっと良い方法をと悩んで筆を遅らせることのほうが深刻でしょう。
 表現方法なんてのは、上手いにこしたことはないけど、それって絵筆の扱いが上手いって程度のことであって絵の上手さではないんですよね。

 では、「このあたりで」と言うにはえらい長文になってしまいましたが、このあたりで失礼させていただきます。

追い込みさんの意見2015/01/10

> ・やはり主人公と読者の異世界知識が違うと、あまりよくないか?

 よくないというより、読者の負担が増える可能性があるとはいえると思います。
 それに対して無策であれば、よくないだろうと思います。

> ・主人公と読者の知識が違う場合、主人公が知っているけど読者が知らないという情報を、どうやって伝えればいいか?

・情報格差のある複数の人物を登場させて会話させる。ふつうにやると説明的な会話(いわゆる説明ゼリフや、説明するためだけに出てくるご都合キャラ)になる可能性があるので注意が必要です。
・地の文で語り手または作者が情報を伝える。

> ・伝える際に、例えば地の文や会話文に軽く説明を入れるとして、どこかくどくならないか? 一人称の文章ならば、読んでいて「この主人公誰に話してんの?」という違和感を感じる。三人称の文章ならば、やたら説明が多くなる(しかも硬い)などの問題が生じないか?

 情報をたんに説明するだけでは硬く退屈になりがちなので、どうやって単なる説明にしないかが大事だと思います。一人称の場合、たとえば主人公に語る理由を与えます。三人称の場合、説明(ただの解説)を描写(行動、感情)に近づけます。

> 1
>  船のヘリから体を離し、わたしは船尾楼の方へ歩いた。
>真っ赤なマストが風で靡なびいている。

 マストは柱です。風になびきません。帆のことでしょうか?

>ルテミスの髪の色に合わせているんだろう。

 こう書いたなら、そう推測した理由がほしいところです。ルテミスが多いというだけでは理由になりません。ルテミスが船の実権を握っている、ルテミスが帆の管理をまかされているなど、何か理由がないと、この主人公は言いっ放しの不親切なキャラになってしまうと思います。
 また、ここで理由をつけないと、これ以外の部分が真っ赤でない理由も説明がないということになってしまうと思います。

 とくに重要でなければ、最初から説明が不要なように、推測ではない形で書いた方がいいと思いました。

>  それにしても、この船にはルテミスが多い。ルテミスーー言わずもがな、赤い目と赤い髪の毛を持つ、人間の身体能力を超越した元人間だ。飛躍力、腕力、敏捷性などの身体能力が、普通の人間に比べて相当高い。体も強靭なので、ちょっとやそっとでは怪我もしない。その上、痛みへの忍耐力もかなり強いのだ。腕を二本折ってもまだ戦おうとしてくるんだから嫌んなっちゃう。ま、味方につけばこれほど心強いことはないんだけど。

 説明のための説明文にしないように、出てきたキャラは動かすと良いのではないかと思います。
 初心者ですが、わたしなりに書いてみたいと思います。

 船の前縁からはなれ、わたしは船尾楼へと向かった。見上げると、船の巨大な帆は追い風をはらんでふくれあがっている。その真っ赤な色は、マストやロープの上に登って忙しくはたらく大勢のルテミスたちの目や髪の色にそっくりだ。
 この船にはルテミスが多い。元人間である彼らは赤い目と赤い髪の毛を持ち、人間をはるかにしのぐ身体能力で軽々と高所へ上っていく。ロープからロープへ跳び移る飛躍力、横桁から片手でぶら下がる強い腕力、マストのてっぺんまで数瞬で昇ってしまう敏捷性。どれをとっても普通の人間には真似できない。強靭な体で、ちょっとやそっとでは怪我もしない。痛みへの忍耐も強いのだ。両腕を折ってやってもまだ戦おうとしてくるんだから嫌んなっちゃう。ま、味方につければこれほど心強いことはないんだけど。

 ルテミスたちを精一杯動かしてみました。
 主人公とルテミスのあいだにちょっとした絡みが入るともっといいのですけど。

> 2
>  甲板で慌ただしく走る他の船員の体を擦り抜けながら、わたしは武器庫へと急ぐ。
>  砲弾戦はもうじき始まるけど、たぶんすぐに移乗戦になる。互いの船に乗り移って戦うのだ。海賊同士の戦いのときは大抵そう。お互い宝を奪われるわけにもいかないし、何より、負ければ負けるほど船の評判が落ちる。身体を張ってまで、宝や誇りを守ろうってわけ。
>  でも、海賊界で誇りは大事なのだ。団の強さはすぐに噂になる。敗者の烙印を押されれば格好の餌食になるし(ちなみにあまりにも弱いと無視される)、勝ち組に入れば恐れられる。それはもう、側を通れば黙って宝を差し出されるってくらいに。

 こっちも動かせるものは精一杯動かして書いてみたいと思います。
 「わたし」がどんな感情でいるのか書いてないので、それも書く方がいいと思います。
 「わたし」が説明したくなる理由をつけます。

 甲板を走る船員たちの慌ただしい混乱の中を、わたしは武器庫へと急ぐ。
 早く行かねばと気持ちはあせるが、通路は狭いし船員全員が戦いの準備に忙しく、人にぶつかり、荷物にぶつかり、山と積まれていく弾薬箱に行く手をはばまれる。向かってくる人波に押し戻されてなかなか前に進めずいらいらする。
 海賊たちがこれほど興奮するのにはわけがある。
 もうじき大砲を撃ち合う砲弾戦が始まるわけだが、それは長くは続かず、すぐに移乗戦になってしまうからだ。武装した海賊が互いの船に乗り移って、剣と銃を交え、文字どおり運命をかけて激しく戦うのだ。海賊同士の戦いのときは大抵そうなる。
 宝は大事。命は大事。でも、もっと大事なものがある。海賊としての強さの誇りだ。
 海賊界で強いという誇りはなによりも大事なのだ。団の強さはすぐに噂で広がる。勝ち組に入れば恐れられ避けられる。それはもう、敵にただ近づいただけでおとなしく宝を差し出してもらえるってくらいのものだ。しかし、いったん敗者の烙印を押されれば、あらゆる海賊につけ狙われ、よってたかって格好の餌食にされるのだ。飢えたサメの群の中に迷いこんだ傷ついたイルカ同然の運命だ。
 戦いでひとたび誇りを失えば、たとえ生きのびることができたとしても、遅かれ早かれ悲惨な終末へ追い込まれ、宝も命もすべて奪われるのだ。誰もがそれを知っているからこそ、船は異様な興奮状態でわきたっている。わたしは通行の邪魔になる連中をつきとばすようにして武器庫への道を開いていった。

 へたくそな文ですが、こんなのもひとつのやり方ととらえていただければと思います。

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