ジジさんのQ&A 2015年1月19日
みなさま、おつかれさまです。
業務のひとつとして下読みなどをしております、ジジと申します。
読んでいるジャンルは男子向け、女子向けのライトノベルや恋愛物、ジャンル問わずのヤングアダルト(一般向けエンタテイメント)となります。ここ1年ほどはスマホ小説とも関わっております。
各賞に応募していらしゃる方、そして創作を趣味とされている方、なにかご質問、ご確認したいこと等ありましたらお気軽にお書き込みください。職域をはみ出さない範疇でお返事させていただきます。
〈スレルール〉
1.質問の大小は気にしない。
2.質問の既出も気にしない。
3.再質問をためらわない。
4.他の方に知られたくない突っ込んだ質問等はメールでどうぞ。
それでは、よろしくお願いいたします。
●答え●
来てくださってありがとう御座います。早速ですが質問です。
スマホ小説(というものがどういうものか、私は寡聞にして存じませんが)とも関わっているそうですね。
私はピクシヴでいわゆる二次小説を書いていますが、人気のある小説とそうでない物を比べ、自分なりに研究してみました。
で、人気の無いものは単純につまらないのか。文章に難があるのかというと、そうでもなく、たまに凄く上手い書き手さんに出会えます。
人気のあるものは引っかかりなく読めるものが多いですが、たまに文章にかなり難がある作品があったり、話の展開があまりにも王道すぎてありふれていたりします。
これはネット上の小説全てに言えるのかな、と。
つまり、私の質問とは。
「ネット上で活動する場合、話が王道で人に受け入れられやすいものを書ける人間に人気が出るのでしょうか?」
「ライトノベルの公募にも同じ傾向があると思いますが、人に受け入れられる王道とは、結局どのようなものか?」です。
お手数ですが、よろしくお願いします。
おつかれさまです。
私が関わるスマホ小説は、賞に関わるものであることを前置きにさせていただきつつ、お返事をさせていただきます。
> 「ネット上で活動する場合、話が王道で人に受け入れられやすいものを書ける人間に人気が出るのでしょうか?」
そのとおりだと思います。
賞というものは、より多くの「その応募者ならでは」の要素を求めるものですが、ネット読者はもっとシンプルに「読んでおもしろいもの」を求めるものかと。
このあたりはラノベなのか一般向けなのかでも変わってくるのですが、ラノベの場合は、「うまい」や「その人ならではの味」よりも「安心しておもしろいと読者が思える作品」をアップしてくれる作者こそ正義、という一面がありますね。
言い方を変えれば、ネット小説の書き手は「プロ作家」と同じ目で見てもらえる・見られてしまうことになります。
ですので、
> 「ライトノベルの公募にも同じ傾向があると思いますが、人に受け入れられる王道とは、結局どのようなものか?」です。
ネット小説界と賞では、この「王道」の定義も大きく変わるものと考えていただければ。
おもしろさ、という要素は当然、ネットと賞のどちらにも絶対必要なものですが、
・ネット小説は読者にとっての安定感が重要
・応募作には「安定」よりも他の応募者にない「オリジナリティ・味」が求められるので、王道を題材にするならその設定やドラマをいかにひねっているかがカギになる
という感じです。
わかりづらい点や新たな疑問等ありましたらまたレスしてください。
お疲れ様です。
早速質問させて頂きます。
自分は電撃大賞に投稿して一次落ちした作品を、別の規模の小さい賞にほんの少し手直しして再投稿しました。
その作品が少しでも受賞の可能性があるのかが知りたいのです。
というのも、ある賞で一次落ちした作品を別の賞に投稿したら受賞したという記事をプロの方が書いていたのを読んだことがあります。
かなり前でどこで読んだかは覚えてませんが……。
こういう捨てる神あれば拾う神ありみたいなことは本当にあるのでしょうか?
またある場合は、規模の大きな賞から小さい賞に出すのか、または規模の小さな賞から大きな賞に出すのか、どちらの方が受賞の可能性が高いでしょうか?
わかる範囲で構いませんのでご回答よろしくお願いします。
> 自分は電撃大賞に投稿して一次落ちした作品を、別の規模の小さい賞にほんの少し手直しして再投稿しました。
> その作品が少しでも受賞の可能性があるのかが知りたいのです。
もちろんゼロではありませんが、その可能性はないものと思っていただくほうが無難かと。
基本的に、一次を通らない作品には「一次を通らなかった理由」があります。
そしてその理由の多くは、「ネタ(設定)がつまらない/キャラに魅力がない/物語が拙い」のいずれかです。
ですので、落ちた段階で自作のなにが問題となって落選したのかを分析する必要があります。できれば自分以外の人に、ネタ・キャラ・物語の三点を意識して読んでもらうのがよいでしょう。
その上で改稿し、他の賞なり次回公募なりに送ってください。
ここでの注意点は、必要なら全面改稿する勇気を持つことです。
中途半端に要素――特に物語構成を残してしまうと、かなりの確率で改稿が改稿の意味を成さずに終わってしまいます。
> またある場合は、規模の大きな賞から小さい賞に出すのか、または規模の小さな賞から大きな賞に出すのか、どちらの方が受賞の可能性が高いでしょうか?
各レーベルに傾向がありますので、ネタ内容によります。
このあたりは各レーベルの受賞作や既刊を研究してみてください。
おひさしぶりです。年末の企画ではお世話になりました。
いくつか質問させていただきます。応募作用のあらすじ(梗概)の作り方についてアドバイスをください。賞の募集要項では、1000文字程度でまとめろとの事でした。
●質問1…ファンタジー作品の梗概はどんな部分を残すべき?
現在執筆しているものが、ファンタジー要素のある作品です。独自に作った名詞や世界観があるので、それらを1000文字以内で逐一説明しようとすると、間に合わなくなってしまいます。
ならば、あえて読み手の事など気にせず、説明無しで独自名詞を使って書いても(下読み・編集者に)許されるものでしょうか? 意味不明な梗概ができあがってしまいますが……(例:冥幽界サーラスから転生勇者シンが脱出した。獅子王として転生する定めをもった彼は冥幽王の使徒を、聖竜闘術で撃退しつつ……)僕ならば、冥幽界って何だ。転生勇者って何だ。聖竜闘術って何だ。って読んでてツッコミを入れたくなります。
やはり、独自名詞を削って、分かり易い言葉でストーリーを書き残すのが一般的でしょうか。それとも、もっと自由でいいのでしょうか。
●質問2…投稿されてくる梗概はプロットのようなものが多い?
個人的に梗概とは御伽噺のような形式が理想的だと思っています。例えば桃太郎なら、『昔々、山の麓に翁と嫗が暮らしていた。ある日、翁は山へ芝刈りに、嫗は川へ洗濯に出かけた。嫗が洗濯をしていると、上流から大きな桃が流れてきた。喜んだ嫗は家に戻り、桃を切って……』こんな感じで書くのが分かりやすいと思うのです。情感も表せる気がしますし。
一方、プロット形式(個人的に命名)の梗概はこのようになるでしょうか。『昔、山麓に翁と嫗が住んでいた→嫗が川拾った桃の中から男の子(桃太郎)が現れる→桃太郎が成長、鬼退治に出かけると言い出す→二人は桃太郎にキビダンゴを渡す→桃太郎は旅の道中で犬・猿・雉に出会い、キビダンゴを与えて仲間にする→一行は船で鬼ヶ島に渡る→鬼たちを懲らしめて、宝を手に入れる→故郷に帰って幸せに暮らす(完)』
プロット形式は余計な部分をそぎ落としてあるので、ストーリーをシンプルに書けます。
理想を言うなら御伽噺のように書きたいのですが、現実的にプロット形式でないと1000文字に上手に収まらない気がします。やはり、一般的に投稿されてくる作品の梗概はプロット形式のようなものが多いのでしょうか?
●質問3…梗概と小説本文とで印象が変わっても問題無いか?
よくある小説のテクニックで、作中で盛り上がる部分を次回予告的に冒頭に持ってくる技があります。他にも過去を想起したり、古くからの因縁の相手が作中で登場する場合を時系列で書いていくと、内容が重複したりして、かなりの量になってしまいますし、読んだ時にゴチャゴチャしてしまいます。
なので、自分なりに整理して梗概を書こうと思うのですが、梗概と小説本文でだいぶ印象が変わってしまう事に。それって問題ありますか?
後、梗概では真面目な印象なのに、作中ではラブコメ要素が爆発している場合、梗概に『ラブコメ要素強し』と自作の特徴を一筆添えておくべきでしょうか?
●質問4…その他、投稿するにあたり、梗概で弁えておくべき作法などがあったら教えてください。
たかが梗概。されど梗概。質の高いものを目指したいです。
回答よろしくお願いします。
おつかれさまです。
キャラの設定、そしてその設定の説得力はどの賞でも非常に重視される点ですので、ぜひ強く練り込んで魅力的な キャラに仕上げてあげてください。
> ●質問1…ファンタジー作品の梗概はどんな部分を残すべき?
> 説明無しで独自名詞を使って書いても(下読み・編集者に)許されるものでしょうか?
ご提示いただいた例文を使えば、(例:冥幽界サーラスから転生勇者シンが脱出した。獅子王として転生する定めをもった彼は冥幽王の使徒を、聖竜闘術で撃退しつつ……)は「主人公のシンは、異世界から○○(理由や設定)によって脱出した」くらいですね。
> やはり、独自名詞を削って、分かり易い言葉でストーリーを書き残すのが一般的でしょうか。それとも、もっと自由でいいのでしょうか。
自由などという希望は打ち捨て、涙にくれながら端的に、ひたすら大まかな筋をなぞって書いてください。
> ●質問2…投稿されてくる梗概はプロットのようなものが多い?
いちばん多いのは、小説の背表紙などに記載されている「あらすじ」と称するもの――アオリです。
ストーリーラインやオチ、物語上で重要なターニングポイントが記載されていないので、下読みとしては辛いものがあります。
繰り返して言いますが、あらすじにはストーリーライン(物語がどのように進行し、どのような展開を経てエンディングへ至るのか)を、端的に書いてください。そして、その中にはターニングポイントとなる事件、最後にはオチを、言葉を濁さず、きっちり明記してください。
こちらが欲しいあらすじは、応募者に対する期待感を増すためのアイテムではなく、本編を読みながら参照できる設計図です。
> ●質問3…梗概と小説本文とで印象が変わっても問題無いか?
あらすじが正しく書かれていれば、少なくとも、
> なので、自分なりに整理して梗概を書こうと思うのですが、梗概と小説本文でだいぶ印象が変わってしまう事に。それって問題ありますか?
このような事態は起こらないはずです。
とにかくあらすじはドラマチックである必要はありませんし、むしろあってはならないものですので、その点を念頭に置いてもう一度ご確認いただければと。
また、
> 後、梗概では真面目な印象なのに、作中ではラブコメ要素が爆発している場合、梗概に『ラブコメ要素強し』と自作の特徴を一筆添えておくべきでしょうか?
これは避けてください。
すべてを小説とあらすじに練り込むことが、応募作の掟です。
> ●質問4…その他、投稿するにあたり、梗概で弁えておくべき作法などがあったら教えてください。
上記した内容ですべてになるかと思われます。
ぜひ、あらすじとして機能するあらすじを作ってやってください。
こんばんは。
①受賞作するような作品というのは、選ぶ人の立場から見て、すべてのページに面白いところがあるようなものなのでしょうか?
②その面白さは「具体的にここが面白い」「このページには面白いところがX個ある」「作品全体でXXX個の面白さがあった」「平均して1ページあたりX.X個の面白さがあった」と言えるようなものなのでしょうか?
③面白さは人の作品を読んだり、マンガ・アニメや映画やニュースを見たり、自分で考えたり経験したりしてストックしていくものと考えていいでしょうか?
④もしそうなら、デビューする人は何個くらいの面白さのストックをもっているのでしょうか。プロになったら、何個くらいの面白さをストックしているものなのでしょうか?
⑤面白さをストックする優れたやり方はありますか?
⑥それとも、面白さというものは、キャラクターや設定の組み合わせの中から作品の中で生み出していくようなものと考えた方がいいのでしょうか?
選ぶ方はどのような面白さをどのように評価するのでしょう?
たくさん質問がありますが、お答えいただけますとうれしいです。
おつかれさまです。
> ①受賞作するような作品というのは、選ぶ人の立場から見て、すべてのページに面白いところがあるようなものなのでしょうか?
マイナスポイントが少なく、より高い「総合点」がつけられる作品が大賞受賞作ですので、そういうものではないですね。
> ②その面白さは「具体的にここが面白い」「このページには面白いところがX個ある」「作品全体でXXX個の面白さがあった」「平均して1ページあたりX.X個の面白さがあった」と言えるようなものなのでしょうか?
言えません。
> ③面白さは人の作品を読んだり、マンガ・アニメや映画やニュースを見たり、自分で考えたり経験したりしてストックしていくものと考えていいでしょうか?
はい。
> ④もしそうなら、デビューする人は何個くらいの面白さのストックをもっているのでしょうか。プロになったら、何個くらいの面白さをストックしているものなのでしょうか?
おもしろさよりもまず、ネタのストックがあるかどうかのほうが重要かと思います。
> ⑤面白さをストックする優れたやり方はありますか?
私には思いつきません。それこそ人によるものですので。
> ⑥それとも、面白さというものは、キャラクターや設定の組み合わせの中から作品の中で生み出していくようなものと考えた方がいいのでしょうか?
私はそう思っています。
軸になるネタなりキャラなりがあって初めて、そのネタやキャラでしか出し得ないおもしろさが生じるものだという思想ですね。
> 選ぶ方はどのような面白さをどのように評価するのでしょう?
他の応募作にない、その応募作と応募者ならではのネタまわしや味を最重視します。
回答ありがとうございます。梗概において自由など幻想なのですねw過剰なドラマ性を求めず、あくまで端的に大筋を表現する事が、チェッカーの手助けになると。
質問3の【梗概と小説本文とで印象が変わっても問題無いか?】について追加質問です。細かい部分ですが。
『小説』内のバトルで『奥の手』や『どんでん返し』で敵を倒すとします。クライマックスで張っておいた伏線の回収をするという事です。これを『梗概』で書くとなると、時間の経過
に従って表すのが無駄のない書き方だと思うのですが、そうなると開示情報の順番としては小説と逆になると思いますが……この程度の相違なら問題ありませんか?
> 回答ありがとうございます。梗概において自由など幻想なのですねw
幻想です。
> 『小説』内のバトルで『奥の手』や『どんでん返し』で敵を倒すとします。クライマックスで張っておいた伏線の回収をするという事です。これを『梗概』で書くとなると、時間の経過 に従って表すのが無駄のない書き方だと思うのですが、そうなると開示情報の順番としては小説と逆になると思いますが……この程度の相違なら問題ありませんか?
伏線はそれが起爆するクライマックスの筋を書く中で、端的に触れてください。
「~サトウは真犯人であるタナカに追い詰められる。だが、そこでスズキ事件において彼が部屋に潜ませていた爆弾が爆発し、彼は窮地を脱するのだった」のような感じですね。
伏線などは基本的に、その結果が実る大きなエピソードの説明時に明かすのがよいですね。