ライトノベル作法研究所
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2015年1月ラノベ新人賞下読みによるQ&A9

はすおさんの質問2015/01/24

 今風のファンタジーというのがいまいち感覚でつかめないので、参考となる作品があれば紹介してください。

ジジさんの回答2015/01/24

 感覚をつかむなら、数を読むしかありません。
 シリアスかコメディかでも変わってくるかと思いますが、ひとつの分岐点となった『ゼロの使い魔』以降のアニメ化作品を総当たりにしてみてください。

 いちおう、今時かはわかりませんが、設定のひねりかたの参考作としてアサウラ氏の『ファング・オブ・アンダードッグ』 (2014/11/21刊行)は推したいと思います。

斎藤さんの質問2015/01/24

 お疲れ様です。
 前のスレでジジさまにアドバイスをもらい、なんとか今月のコバルトの締切に間に合わせることができ、投稿してまいりました。ありがとうございました。

 そこで、質問です。
 自分の小説に出てくるキャラの性格がぶれてしまっている気がするのです。
 この性格のキャラだったらこういう行動を起こすだろう、こんなことはしないなど思いながら書くということをあまりしたことがなく、ストーリーの流れで書いてしまっているような気がします。
 キャラの性格を深めるために必要なこと、日頃気をつけることなどありましたら、アドバイスよろしくお願いします。

 あと、集英社からオレンジ文庫が創刊されました。
 ラノベのようで、一般寄りな雰囲気があると私は思います。私もあのような作品を書きたいと思うのですが、やはり一般寄りでも恋愛については萌えが必要だと思いますか?
 このような質問をジジさまにお伺いしていいのかわかりませんが、よければ返答お願いします。

ジジさんの回答2015/01/24

> キャラの性格を深めるために必要なこと、日頃気をつけることなどありましたら、アドバイスよろしくお願いします。

 物語の都合に合わせてしまいがち、ということですが、逆にしてみるというのはひとつの手です。
 つまり、「キャラの都合にストーリーの流れを合わせる」ということですね。
 このキャラはこのシチュエーションならこう行動するだろう。なら、その行動を生かすためにこんなシチュエーションを用意しよう。というふうに考えていくのです。
 先にストーリーがあるからこそ、その都合にキャラを合わせたくなってしまうのが人間です。逆なら、キャラを生かすためにこそストーリーを合わせるようにしていけば、キャラを中心に考えざるをえなくなりますので。

> あと、集英社からオレンジ文庫が創刊されました。
> ラノベのようで、一般寄りな雰囲気があると私は思います。私もあのような作品を書きたいと思うのですが、やはり一般寄りでも恋愛については萌えが必要だと思いますか?

 恋愛ものなら特に言えることかと思いますが、萌えよりも「共感」でしょうね。
 一般女子、一般女性は、主人公の置かれるシチュエーションを我が身に置き換えて楽しみます。だからこそ、読者と重なるなにかがないと、せっかくの主人公を好きになってもらえずに終わってしまいます。

ティアラミスさんの質問2015/01/24

 お疲れ様です。ジジさん、スマフォ小説についてのご返信有難うございます。

> >  この間、小説家になろうを覗いたのですが、なんていったらいいのかしら、絵のない絵本を読まされているよう感覚に襲われました。

> これについては、スマホ小説には一画面を「空間デザイン」する能力が必要であることを考えなければならないところです。

> > 一話分の内容が恐ろしく短いうえ、キャラクターの相関図やら間の空きすぎるレイアウト等、物足りなさを感じました。

> これはスマホ小説(というか、スマホ小説の投稿サイト)がコミュニケーションツールとしての機能を持っており、更新という作業を細かにすることで読者との「繋がり」を保っているからですね。

 なるほど。作り手の腕を問う場所よりも、2ちゃんねる等の交流をする掲示板という感が強いのでしょうね。だから、色んな作品を楽しみたい人間には、理解しがたい部分があるのでしょうね。

> >  私は、スマホなど、通信環境が整っていれば、どこでも見られ、投稿できる

> ティアラミスさんのこの推察に、「読者との目線が非常に近い、いわば同人誌的なコミュニケーションツールとしての秀逸さ」を加えて長所かと思います。
> なんにしても、「手軽に発信、受信できる」ことが大きいですね。

 そうです。手軽に繋がれる点も大きいですわね。返事や要望の反応も早いですし、常に誰かいますし、その繋がりも嫌になれば、断ちやすいところも、紙媒体では味わえませんもんね。
(ただ、それに比重を置きすぎて、束縛されている方も多いですが)

> 「なろう」もそうですが、スマホ小説の読者になる人は書き手に「斬新さ」や「その人ならではの味」は求めない傾向があるものと思っています。
> 求められるものは、自分の好みからはみださない「安定」であり、自分の声が書き手へダイレクトに届き、反映される「極限に近しい距離感」です。
> これはある意味長所にもなるわけですが、馴れ合いは作品のクオリティを下げますし、更新さえすれば繋がっていられる安心感は、書き手から「支持されるものをなんとしてでも書かなければ」という意欲を奪う一面がありますね。

 これは、意外といいたいのですが、今の若い子や掲示板を見ると、それも頷けますわね。多数の好みから合わないものは、過剰な手段を使ってでも、排除する。そして、その根底には、過剰なまでに植え付けられた不安やストレス。
 だから、安定性を求めるのと、それを反映した転生や転移物(都合のいい世界へ行き、安定した生活や成果を得る)の発達があったのでしょうね。

 スマホやネットとか、かっこいい響きだけど、実は、似通った人々しかいない旧態然とした場所なのかもしれませんね。

> >  また、ジジさんがおすすめのスマホ、携帯小説。具体的には、それに馴染みがないが、ラノベ等、紙媒体の小説には慣れ親しんでいる人間でも、読んで満足できる作品があったら、教えてください。
> > むろん、男子向け、女子向けは問いません。

> これについては、おすすめするだけで私の仕事がある程度わかってしまうのでご容赦ください。
> ただ、紙媒体の小説に親しんでいる人は、たいがいあの空間デザインがきついのではないかと思いますが。

 これについても、残念というか、意外ですね。
 ただ、空間デザインについては、私は、子供の頃、児童文学文庫を読んでいたし、最近も、ハリーポッターシリーズで近いようなもの読んでいるので、耐性(?)はあるので、平気です。
 あれ?ここで少し思ったことなのですが、実は、スマホやネット小説が広まるには、もしかしたら、児童文学とかがお手本になるのではないでしょうか?
 特に、空間デザインには、文字少なめで、絵やサイズ違いのフォントを多用する。その見易さを見慣れって、作れば、イケるような気がするのですが……どうでしょう?

> > ②レビューの投稿は作家修行に役立つか?

> ・その人の評価ポイントが定まっているかどうか
> ・「他人の作品を評価できる自分はすごい」と思い込まないだけの人間性が備わっているかどうか
> この2点をクリアできているなら、効果は期待できるかと思います。
> ただし、これも繰り言になりますが、アマチュアのうちはなにを差し置いても自分の作品を書くことを優先するべきです。

 そうですわね。同じ表現でも、あるもの(作品)に対する反応を表すレビューと、ゼロから何かをつくる作品とじゃ、方向性が違いますわね。
 それに、レビューはインプット、作品はアウトプットを重きに置く。その違いを、作家は理解していないといけませんわね。

ジジさんの回答2015/01/24

>  なるほど。作り手の腕を問う場所よりも、2ちゃんねる等の交流をする掲示板という感が強いのでしょうね。だから、色んな作品を楽しみたい人間には、理解しがたい部分があるのでしょうね。

 同人誌即売会に参加した経験がおありですとさらに共感していただけるものと思います。
 あの空間の売り手と買い手の関係がほぼそのまま展開するのがスマホ小説です。

>  だから、安定性を求めるのと、それを反映した転生や転移物(都合のいい世界へ行き、安定した生活や成果を得る)の発達があったのでしょうね。

 まったく苦労せずにすごい能力でチートな活躍ができる、というのは、やはり読者となる人のストレス値の高さや偏りも影響するところでしょうね。
 そのストレスのちょうどよい緩和手段がチートであり、それを無理なく(あくまでも読者が感情移入する際のギミックとして、ですが)実現できる異世界転生は「それしか認めない」読者の姿勢を固めていったのでしょう……などと考えています。

>  スマホやネットとか、かっこいい響きだけど、実は、似通った人々しかいない旧態然とした場所なのかもしれませんね。

 上記したとおり、期待するものが「ひとつ(ないし極狭)」で、それを要求し、供給することがひとつの文化として形成されたのではないかと。

>  あれ?ここで少し思ったことなのですが、実は、スマホやネット小説が広まるには、もしかしたら、児童文学とかがお手本になるのではないでしょうか?
>  特に、空間デザインには、文字少なめで、絵やサイズ違いのフォントを多用する。その見易さを見慣れって、作れば、イケるような気がするのですが……どうでしょう?

 これは非常におもしろい観点ですね。
 スマホ小説に絵というものがつけられるようになれば、よりはっきりするかもしれません。
 とはいえ、1ページではなく1画面という空間に文字を置くのは、実に難しいものです。私にはデザインセンスがないのでなおさらに。

>  そうですわね。同じ表現でも、あるもの(作品)に対する反応を表すレビューと、ゼロから何かをつくる作品とじゃ、方向性が違いますわね。

 少なくとも、他の誰かの作品にコメントする立場に立ったときは、常に「自分がコメントできるのは元になる他の方の作品あってのこと」というあたりまえのことを理解できていなければなりませんね。

ロータスさんの質問2015/01/24

 はじめまして、ロータスと申します。

 私は、長編部門に短編集を数作まとめて出すか、間に合わなければ短編1作で短編部門に出そうと考えています。
 そこで、お尋ねしたいのが以下の2点です。

・単純に短編をまとめて出すよりは、最終話で何かしら「まとめ」にかかる方がポイントは高いか?
 (例えば、主人公が死神である時、最終話で彼が死神になった経緯などが分かる方が良いか)
・逆に短編1本で出す場合、
 「それ一本きりでまとまった作品(SSになりますが星新一さんのようなタイプ)」と、
 「シリーズ化できそうな作品(有名どころで「キノの旅」など)」で、どちらのウケが良い等の傾向はあるか?

 以上、お答えいただけると幸いです。

ジジさんの回答2015/01/24

> ・単純に短編をまとめて出すよりは、最終話で何かしら「まとめ」にかかる方がポイントは高いか?

 個人的にはいくつもの短編で語られたカケラが最後の最後でひとつの意味を成す「伏線起爆型まとめ」形式が評価されやすいかと思いますが、それを抜きにしても、互いに関係のない短編を並べるのは構成や規定という点で心配があります。最低でも連作短編としての体裁は整えるべきでしょうね。

> ・逆に短編1本で出す場合、
>  「シリーズ化できそうな作品(有名どころで「キノの旅」など)」で、どちらのウケが良い等の傾向はあるか?

 かならずきちんと「完結」させてください。
 書き手が続きを意識すれば、それは思わせぶりな謎を残したり、その作品には関係ないキャラをわざと登場させてみたり、様々にやらかしてしまうものです。
 続きのことは受賞できてから考えればすむことですし、どのみち編集者が薄ら笑いで要求してきますので。

ゆみみんさんの質問2015/01/24

 回答ありがとうございます。

> > 読者を想定して書くのがくせになってしまって自分の好きに書くのができなくて困っています。

> ということでしたら、読者を想定しつつ、自分の好きなことの一部を練り込んでいく方法がよいのではないかと。

 読者層想定しすぎて今は負荷がかかってはいます。
 今書いてる作品については、男性向けで突っ切るか、女性受けも考えるか、ってところで悩み抜いています。本当は不安ありつつも男性向けで突っ切りたいのですが、女性受けも考えた方が市場が大きくなるなとは思います。

 前に女性向けで活動してた時に、結構な数の女性読者と接しましたが、かなり苦手意識があります。ものすごいトラブルがあったわけではなく、女なのに女性読者が苦手というのも変な話なのですが。男性読者が好きというわけではなく、女性読者が苦手なだけなので、男性向けで突っ切るにも不安があるという感じです。
 女性向けの方が受ける幅が狭いのと非寛容という認識があります。

ジジさんの回答2015/01/25

 これはレスを拝見したうえでの私見なのですが、現状を考えると、女性読者は切り捨てるべきでしょうね。
 文面からして男子向けの小説を書かれているものと思いますが、だとすれば女性向け視点はマイナスに働くことが多いですし(女子の好物は大半の男子にとって興味がないどころか気持ちの悪いものとして認識されがちです。これはゆみみんさんご自身が述べておられるとおり、女子の好みは幅が狭いということにも関係します)、なにより苦手意識のある相手に適切なサービスが(プロレベルで)できるかどうかという問題もあります。

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