ライトノベル作法研究所
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  4. 空気キャラを生まないコツ公開日:2012/01/31

空気キャラを生まないコツ

 気をつけなくてはならないのは、ストーリーにあまり関係してこない、「空気キャラ」を作らないようにすることです。

 「空気キャラ」とは、空気のように存在感のない登場人物。いるだけの存在。
 あれ、このキャラ、別にいなくてもいいのじゃない? 登場している意味あるの?
 と読者に思わせるようなキャラクターです。

 キャラクターとは物語という重厚なパズルを形作るピースのようなものです。
 ピースは一つ一つがパズルを完成させるために必要な役割を担っています。
 物語を完成させるためのピースに余計なものが混じっていると、枠におさまっていない部分が不協和音を生みだし、完成度を下げてしまいます。
 これを防ぐために

1・登場人物の数を多くし過ぎないこと。
2・キャラクターの関係図を作ること。

 この2つをお勧めします。
 キャラクターは、あまり数多く登場させると、それぞれの存在感が希薄になります。
 原稿用紙300枚の長編小説に人名のついたキャラクターを20人も登場させたら、それぞれの個性を深く描き出すことは、物理上不可能になります。
 読み手は人名を覚えるだけで一苦労になり、書き手によほどの技量が無い限り、物語としては破綻したものになるでしょう。

 長く続いている連載漫画などは、ストーリーを継続させるために次々に新しいキャラを追加していく法則があります。
 格闘漫画の場合なら過去のキャラは自然と消えていくので良いのですが(例外あり)、ラブコメやギャグ漫画の場合だと、キャラクターが増えすぎたために登場場面の減った「空気キャラ」が現われるようになります。
 こうなると危険サインです。

 物語がマンネリ化するのを防ぐために新キャラ追加していくうちに、増えすぎたキャラクターを抱えきれなくなって、破綻に向かっていきます。

 これを防ぐために物語に参加しつづけるレギュラーメンバーと、特定のエピソードが終わったら物語には登場しなくなるゲストキャラを区別すると良いです。
 漫画『シティーハンター』などは、レギュラーとゲストを完全に分けており、レギュラーが増えすぎて物語が破たんするのを防いでいます。

 また、キャラ同士の名前を矢印で結んだ、キャラクターの関係図を作ると創作に役立ちます。

 キャラクターを、独立した離れ小島のように点在させずに、それぞれを関係で結ぶのです。
 このキャラとこのキャラは親友、兄弟、師弟、恋人、片思い、ライバル、敵対といった関係を決めていきます。
 このようにそれぞのキャラを相互に関係させることで、ストーリーに参加しない存在感のないキャラを生まないようにできます。

 また、キャラクター同士をもっとも強固に結び、ストーリーをおもしろくさせてくれる関係は、「対立(敵対)」と「恋愛感情」です。

 物語の形態は「敵対する存在と戦う」「恋を成就させる」の二つが最大流派です。
 なぜなら、この二つは人間が本能的に興味を感じ、快感や興奮を得られる分野だからです。
 例えば、「奥さんが旦那さんの浮気現場に乗り込んで、愛人と修羅場になる」というのは、使い古された昼ドラのネタですが、このハラハラ感がたまりません。
 包丁を持ち出して、相手に突きつけたりしたら、もう最高! 
 せんべいをバリバリ食べていた手を止めて、テレビ画面に釘づけです。

 ライトノベル向けの物語を作るのであれば、
「2人の美少女から言い寄られていた主人公が優柔不断な態度を取っていたら、彼女ら2人が彼の前で鉢合わせして、一触即発の状態になった」
 などという場面を用意すると、おもしろいです。
 主人公がうらやましいので、殺したくなりますが……

 また、同じ組織の仲間はすべて仲良しにしてしまうのではなく、見栄や出世欲から、身内で足を引っ張り合ったり、尊敬の念からライバル関係になったりすると、緊張感が生まれ、おもしろくなります。
 恋愛感情が絡めば、それだけキャラクターの関係は複雑になり、身内でのいざこざの火種にもなります。
 対立関係や恋愛関係でキャラ同士を結ぶことで、自然とおもしろいストーリーが生まれる素地が作れるのです。

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