キャラクターの名前や属性は、被らないように注意し、容易にキャラの見分けができるようにしておきましょう。
これは読者に不要な読解の苦労を負わせない、内容を理解しやすくするための配慮です。
例えば、キャラクターの名字が「田村」「仲田」「沢田」「田島」などというものだったらどうでしょうか?
彼が一堂に会して、それぞれを名字で呼び合うような場面があったとらしたら、もう最悪です。
誰が誰だか、見分けがつかなくなります。
小説上のキャラクターは、漫画、アニメのように姿が絵で描写されている訳ではなく、言葉上の概念として存在しています。
読者は彼らの表情や動きなどを、文章から受け取った情報によって、頭の中でイメージします。
受け取る情報が混同しやすいようなものだと、この作業がうまくいかず、ストーリーを追うのが大変になります。
特に名前は、キャラクターを見分ける上での重要なキーワードです。
似たような名前というのは、キャラの混同を招くので要注意です。
キャラクターの名前は、発音、文字数、文字の形にいたるまでバラバラで、一目で見分けがつくようにしておくと良いです。
「三ヶ木 巡(みかげ めぐる)」というキャラがいたとしたら、他のキャラは「相沢 有希(あいざわ ゆき)」など、発音、文字数、文字の形まで、まったく異なるキャラに設定するのです。
日本人の名前は「佐藤」が圧倒的に多く、同じクラスや職場に「佐藤」が二人いることがあるかも知れませんが、こういったリアリティを追求することは逆効果です。現実でもそうですが、佐藤という名前が出て来た際に、どちらの人物を指しているのかわからず、混乱を招きます。
小説を書く際は、とにかくわかりやすくすることを念頭に置いてください。
他にも、Aは剣が得意、Bも剣が得意、Cも剣が得意、などというように同じような属性を付けない方が良いです。
AはBより剣の腕が立ち、Aは柳生新陰流の使い手で、Bは北辰一刀流の使い手である、というような設定にしても、読者的には差異がほとんどありません。
(剣客物をやりたいのなら別として)
それよりも、Aは剣が得意、Bは射撃が得意、Cは魔法が得意、などとした方が、それぞれの個性が際立ちます。
異なる個性の者同士が一緒にいると、個性はより輝きを増しますが、同じような個性の者が一緒にいると、それぞれの印象が薄くなるのです。
もっともマズイのは、「サラ」、「サキ」というように名前が酷似している上に、両方とも16歳の少女で、同じように剣が得意、などという状況です。
まず間違いなく、読者は両者の見分けが付かなくなり、混乱します。
初心者の作る小説では、このような失敗をたびたび目にします。
要するに、「読みやすいように工夫した物語を提供する」という配慮に欠けているのです。
小説は、文字だけでストーリーを伝えなくてはならないので、少しでも内容を理解しやすくするように、心がけましょう。
特にライトノベルにおいては、わかりやすさ、読みやすさは絶対の正義です。
●同じ発音の名前・例
・アルフレッド
・アーヴィング
・アリシア
というように、頭文字が同じ音だとキャラクターが混同されがちになります。
●同じ文字数の名前・例
・ルル
・キラ
・パド
というように、名前の文字数が同じだとキャラクターが混同されがちになります。
●似た形の名前・例
・梢(こずえ)
・鞘(さや)
・清水
・浦島
というように、漢字の構成部位が似た形や、同じ偏の名前のキャラクターは混同されがちになります。
●お手本の例
お手本として、大ヒットライトノベル『凉宮ハルヒの憂鬱』(2003年6月刊行)のメインキャラクターの名前を列挙します。
・キョン
・涼宮 ハルヒ(すずみや はるひ)
・長門 有希(ながと ゆき)
・朝比奈 みくる(あさひな みくる)
・古泉 一樹(こいずみ いつき)
下の名前が、カタカタのキャラ、ひらがなのキャラ、漢字のキャラがいます。
文字数も二文字と三文字の名前が混じっています。
このようにすることで、キャラクターの混同を避けることができます。
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