『教育が個性を潰す』という警鐘をたまに聞くことがあります。
人はみな生まれながらに素晴らしい個性を持っているのに、画一的な教育がその芽を摘み取ってしまうのだ、という説です。
では、創作理論などまったく知らない初心者の小説は、オリジナリティに溢れているのでしょうか?
私は250作品以上のアマチュアの作品を批評してきたのでわかりますが、実はそんなことはありません。
99%以上の作品は、技術もない上、オリジナリティも見受けられないのです。
私たちは、自分のことをこの世でただ1人の個性的な存在だと思ってしまいがちです。
だから、そのまま感性で書けば、なにもしないでもオリジナリティがある作品になると勘違いしやすいのですが、実はそれは大きな間違いです。
私もある時期まで、勘違いしていました。
悲しいことですが他人の目から見たら、その他大勢の1人だったなんてことが、おうおうにしてあります。
私の失敗談をお話ししましょう。
まだ執筆暦一年にも満たなかったころ、新人賞に応募するつもりで長編小説を書きました。
その長編小説には、自分にしか作れない独自の切り口を導入したつもりになっていて、かなり自信がありました。
これなら良い評価がもらえるだろうと、某有名投稿サイトに投稿してみたのですが、そこで返ってきた批評が、
「この作品は新人賞に応募されるそうですが、どこにオリジナリティがあるのでしょう?」
という非常に辛辣なものでした。
そこで気づいたのですね。
自分が個性だと思っていたモノは、他人の目から見たら個性でもなんでもない、既存作品の模倣の域を出なかったということに。
技術のパラドックスに陥る以前に、人に誇れるほどの個性を持っている人など、なかなかいないというわけです。
厳しいですが、これも1つの現実です。
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