ライトノベル作法研究所
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  4. 物語は一人歩きする公開日:2013/08/11

物語は一人歩きする

 小説を実際に書いていくと、初めに決めたプロットの展開通りに話が運ばなくなることがあります。
 これは誰にでも起こる現象です。
 むしろ、最初から最後まで、きっちりプロットの通りに小説を書き上げるケースの方がマレでしょう。

 もし、プロットで決めた通りにならないような状況に遭遇したら、無理にプロット通りに書き進める必要はありません。

 なぜなら、これが世に言う、「物語が一人歩きしだした」「キャラクターが作者の手を離れて勝手に動き出した」という状態だからです!
 最初に立てた予定通りに書き進めたからといって、それがおもしろい作品になるとは限りません。
 それよりも、主人公以外の脇役が主人公以上に目立ってしまったり、途中から思いついたアイディアを採用した方が、おもしろくなるという場合もあります。

 特に漫画の世界を見渡してみれば、そんな逸話がゴロゴロしていますね。
 例を上げてみれば『キン肉マン』『幽遊白書』『ドラゴンボール』『遊戯王』などがそうです。
 みんな当初の予定とは外れた展開になることによって、成功しています。

 とは言っても、漫画より整合性が求められる小説の場合、あまりにもストーリーが本道から外れすぎて、わけのわからない超展開になるのは困りものです。
 「物語が一人歩きしだした」「キャラが勝手に動き出した」と言えば聞こえは良いですが、書き進めていくうちに、アイディアが連想的に浮かんできて筆が暴走している状態とも言います。
 小説を書き慣れていない人の場合、この衝動に身を任せると、どこかあさっての方向に進みすぎて、最終的な着地点がわからなくなり、物語が破綻するケースが多いです。

 このために、最初にラストと、そこに至るまでに必要な通過点を考えておき、ちゃんとラストに軟着陸できるようにしておきましょう。

 この際、本道から外れないようにキャラの行動をある程度コントロールする必要があります。
 配慮すべきはキャラの自由な行動を阻害しないようにすることです。
 キャラが勝手に動き出すということは、その『キャラが立った』ことを意味します。
 作者の操り人形から脱し、固有の人格を確立したということです。この場合、

 「こいつは他人の言うことは聞かない奴だけど、ストーリー上、この依頼を受けてくれないと困るんだよな」などという理由で、キャラの性格を無視して、無理に作者の思い通りに動かそうとすると、せっかく立ってくれたキャラの性格が首尾一貫しなくなり、キャラが壊れます。
 これでは読者は興ざめです。

 もし、ストーリー上、キャラに依頼を受けてもらわなければ困るようであれば、依頼を受けざるを得ないような状況、外部的要因を作り出し、そこにキャラを追い込むことで、キャラの行動をコントロールするのです。

 例えば、「こいつは女に弱いから依頼人は絶世の美女にしよう」とか、「仲間意識が強い奴だから、仲間に怪我を負ってもらって、事件に巻き込まれさせよう」など、キャラそのものではなく、周囲の状況をコントロールすることで、ストーリーが本道から外れないように、キャラの行動を誘導するのが上策です。
(こういった問題が発生するのは、プロット段階でのストーリーの練り込みが足らないためとも言える)

 プロット通りに完璧にやる必要は無いけど、プロットを作ることは大切です。
 それが物語を書きあげる際の、地図や道しるべになります。
 最後にどうなるのか? どういった関門の通過が、そこに至るためには必要か、さえわかっていれば、途中から思いついたアイディアを採用しても、物語に破綻が起ることを防ぐことができます。

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