ライトノベル作法研究所
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  4. 動機、抑圧、目的の達成公開日:2012/01/09

動機、抑圧、目的の達成

 物語とは主人公が目的を達成する過程を描いた物です。
 現状に不満があったり、何かを達成したい、手に入れたいという欲求があり、これを成し遂げるために、目的を妨げる要因と戦っていく道筋が、すなわちストーリーとなります。

 この基本原則を念頭に置かないと、他の要素がどれほど優れていても意味不明の駄作になります。
 キャラクターが魅力的でも、文章がプロ顔負けに上手くても、台詞回しがどんなに巧みでも、興味を引く伏線がどれほど散りばめられていても、

 すべて無意味になります。

 例えば、有名な日本昔話の桃太郎を例に挙げてみましょう。
 桃太郎は、自分を拾って育ててくれたおじいさん、おばあさんに恩返しをするために、彼らを苦しめる鬼を退治することを決意し、旅立ちます。
 旅の過程で、犬、猿、キジにきび団子を渡してお供に加え、彼らと力を合わせて、鬼を退治します。

 しかし、もし桃太郎が鬼退治など決意せず、ただ日々を畑でも耕して、まったりと暮らしていくことを選んでいたら、どうでしょうか?
 あるいは、鬼退治に旅立ったものの、「やっぱ無茶だわ、これ」と、道中で気が変って家に引き返してきて、その後は一庶民として平凡に過ごすことを選んでいたら、どうでしょうか?

 え? な、なにが、やりたいの、この話は……?
 と意味不明な作品となり、桃太郎の物語が後世に残ることはなかったでしょう。
 何の冒険にも挑戦しない、平凡な一庶民の生活など、おもしろ味の欠片もありません。

 物語とは、主人公がさまざまな困難に打ち勝ちながら、最後に目的を達成するからこそ、読み手に快感や感動を与えるのです。

 現実の世界では夢や目標を持ったとしても、なかなか思い通りには達成できません。
 達成できればこれほど喜ばしいことはありませんが、努力しても必ず報われる訳ではないのが世の常です。
 ならば、せめて空想世界の中ぐらいでは、ヒーロー、ヒロインになりたいじゃありませんか?

 自分を主人公と一体化させ、彼(彼女)の織りなす冒険を仮想体験し、そこで目的を達成するカタルシス(快感)を得る……
 この喜びを人は求めるわけです。
 あらゆる物語は、この王道的ストーリーのパターン……

 主人公が目的に向かって行動し、それを妨害する敵(環境)と戦って、最終的に目的を達成するという流れを守っています。

 中にはバットエンドで終わる作品もありますが、バットエンドといっても、主人公の目的がなんらかの形で達成されています。
 悲劇として有名な『ロミオとジュリエット』も、愛を貫いて死んでいきます。
 つまり、死という結末は悲しいけど、究極の目的である恋愛成就は達成されているわけです。 

 さて、物語の流れが分かったところで、これをよりおもしろくする方法を紹介しましょう。

 それは主人公の『目的』を明確にした上で、そこに向かうための『動機』を強力なものにし、これを妨害する『敵の攻撃』も強烈にすることです。

 絶対に達成したい目的がある主人公が、これを阻もうとする強大な敵に死にものぐるいで立ち向かい、最後には勝利する。
 この鉄則を守っていただければ、あなたの小説は必ずおもしろいものになるでしょう。

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