ライトノベル作法研究所
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  4. コンプレックスで共感させる公開日:2014/06/14

コンプレックスで共感させる

 累計発行部数453万部突破の『魔法科高校の劣等生』(2011年7月刊行)と累計450万部の『僕は友達が少ない』(2009年8月刊行)のタイトルは、どちらも『読者のコンプレックスを刺激して共感させる』という仕掛けになっています。
 この世に存在する人間のほとんどは、なんらかのコンプレックスを抱いて生きています。『劣等生』や『友達が少ない』悩みというのは、ラノベの主要ターゲット層である中高生が持つ物でも最たるものです。

 『僕は友達が少ない』などと言われると、わっ、これは自分のことだ! と思わず手にとってしまう訳です。

 そうやって読者を引きつけておいて、『魔法科高校の劣等生』では、劣等生クラスに所属しながらも、実は既存のものさしでは測れない超天才の主人公が優等生たちの鼻を明かしていく、重大事件を解決するといった展開で、快感を与えます。
 読者の心理の流れは「『劣等生』これは自分と同じだ!」→「実は隠れた天才児で大活躍!」→「楽しい!」となります。

 『僕は友達が少ない』も、まったく同じ構造で、友達がいなくて悩んでいた主人公が隣人部という変な部活を美少女ヒロインと一緒に作って、そこで容姿以外は残念な女の子たちと、毎日、馬鹿騒ぎしながら生活するといったものです。
 読者の心理の流れは「『友達が少ない』これは自分と同じだ!」→「女友達が次々にできて、馬鹿騒ぎ!」→「楽しい!」となります。

 まずコンプレックスを刺激して共感させ、次に作中で、これを解消してみせるという、『落差』によって大きな快感を与えているのです。『魔法科高校の劣等生(実際は天才児)』『僕は友達が少ない(実際は女友達が多い)』。
 人間の心理は、最初から快感を与えられるより、まず欠乏(周りからバカにされている。友達が少ない。)といった不快な状況を味わってから、これを解消する形で快感を与えられた方が、快感が何倍も強くなります。
 真夏に喉が渇いてどうしようもない状況で、冷えたジュースを飲むと、ものすごく美味しいですよね。これと同じです。

 『魔法科高校の劣等生』と『僕は友達が少ない』は、タイトルからして、読者を物語に引き込んで、大きく楽しませる仕掛けがしてあるのです。

 ラノベはオタク男子が読む娯楽です。リア充は基本的に読みません。
 この点を踏まえ、どうすれば彼らの共感を得て、作中でコンプレックスを解消できるか、考えてタイトルをつけると良いでしょう。 

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