ライトノベル作法研究所
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  4. ギリギリ健全なタイトル公開日:2014/07/18

ギリギリ健全なタイトル

 ヒットする作品は、その時代の価値観に照らしあわせて「ギリギリの健全な物」であるという法則があります。

 例えば、1983年に発表された少年ジャンプの漫画『北斗の拳』は、人間の身体が破裂するなどの過度の残虐シーンや暴力シーンがありました。この少年向けとは思えないようなバイオレンス路線で物議を醸しながらも、累計発行部数一億部の大ヒットになりました。
 2006年に発表された漫画『To LOVEる -とらぶる-』は、これまた少年誌でできる限界ギリギリラインのエロ萌え路線のラブコメで、ジャンプでやっているエロ漫画などと呼ばれて物議を醸しながらも、累計発行部数700万部を超えるヒットになりました。

 少年にとって『ギリギリ健全な物』というのは、チラ見せの心理で、もっと知りたい!と強く興味を引き立てられる上に、「けしからん!」という物議が生まれることで、メディアでの露出や知名度が上がり、大ヒットになっていくのです。
 ただし、一線を越えて不健全な物になると、若い読者がドン引きしてしまうので 購買層が狭まり、ヒットしにくくなります。若い読者にとって、不健全な物(過度の残虐性やエロ)は実はおもしろくないのです。また、どう考えてもけしからんので、「けしからん!」「いやOK!」という物議も醸しません。

 ライトノベルでも2008年9月に刊行された富士見ファンタジア文庫の『ハイスクールD×D』が、挿絵に裸体を入れるなど、これまでの健全ファンタジー路線を捨てて、許されるギリギリのエロを狙ったことでヒットしました。
 この作品以後、エロが受けることがわかったので、タイトルに不健全にならないラインで性的なニュアンスを入れ、読者の注意を引きつける手法が現れはじめました。例えば、以下の様なモノです。

 『さくら荘のペットな彼女』 は、累計発行部数100万部以上のヒット作でゲーム化、テレビアニメ化もされています。
 タイトルは、いかがわしいですが、中身はとても正統な青春ラブコメとなっていて、人気を博しました。
 このようにタイトルには性的なニュアンスが入っているけれど、中身は意外とまっとうというパターンもあります。

 『だから僕は、Hができない。』『コンプレックスで共感させる』の記事で紹介した、コンプレックス刺激系のタイトルです。性的ニュアンスを入れた衝撃的なタイトルである上、若い男子のコンプレックスも刺激しているため、否が応にも目を惹きます。この作品も漫画、アニメ化されるほどの人気を博しています。

 『官能小説を書く女の子はキライですか?』は、官能小説を美少女が書くという新機軸を打ち出そうとしたのでしょうが、すでにエロ萌え路線は、漫画『To LOVEる -とらぶる-』や他のライトノベルでやり尽くされてしまったため、他の作品との差別化ができず、あまりヒットしていません。
 この作品は設定がRー15禁でありながら、全年齢のラノベであろうとしたために、20歳以上のオタクにとっては中途半端なエロ、10代の少年にとっては不健全で引いてしまう、という悪い状況になってしまったようです。

 統計データが有るわけではありませんが個人的には、『さくら荘のペットな彼女』のようなタイトルに性的ニュアンスを漂わせながらも、中身は健全よりな作品の方が、ウケが良いように感じています。

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